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初夜〜太極〜 ー 創世歴307年 新越国 晴明 ー

  新妻を抱かんと迫ったウマラを、軽くいなして妻は嗤った。

  「......どうあれば、良かったのでしょうか」

  嘲るように笑いをもらす妻に、ウマラは思わず問いかける。

  「さて...の」

  笑いを収めたアザミが、じっと見つめた。

  己を眺める妻の目が、どこか愁いを帯びているようにウマラは感じた。

  「貴女が私を近づけないのは、やはり私がミヤマの男だからだろうか」

  あの娘は、我々の手によって族人が[[rb:斃 > たお]]れていくのをその目で見ていたはずです。我らがニコシの民の仇である事、お忘れなきよう...。

  妻問いに同行した家臣に告げられた言葉が、ウマラの頭に響く。

  「憎くない、なんちゅう事はねぇの。怒りも、悲しみもずうっと奥で燻っとる。あの戦の時から...」

  ニコシノクニは変わってしもうた。[[rb:父 > とと]]さは意気地がねぇ。なんでもミヤマの言いなりじゃ。郷を追われ、居着いたカヤマノサトの長は、下の[[rb:者 > もん]]を脅し、奪い...上の者にはえぇ顔をする。

  ワシはそんな不甲斐ねぇ大人から、下の者を守りたかった。守ってきたつもりじゃった...。

  「じゃが、ヌシの言う通りワシは場当たり的じゃ。目の前の者しか守れん。離れた時、己が死んだ時...先の事は見えとらんかった。ヌシらはニコシの仇じゃ。けど、ワシの目に映るどんなニコシの大人より、ヌシはなんぼもまともじゃ...」

  「では...」

  妻の愁いはなんなのであろうか。

  「憐れじゃと、思うてよ。いくら家の為とはいえ、初めてあてがわれるのが年増の大女ではの...」

  アザミが自嘲気味に嗤った。

  「身の丈およそ六尺。この腕が引く弓は三人張り。山に混じって獣を追い、口を開けば大人も憚らん。無器量でもしおらしく愛想でもふりまけば、男もつくだろうにと、よう言われたもんじゃ」

  [[rb:呵々 > かか]]と声を上げ、そして目を落とした。

  「...性にあわんのじゃ。そうやって生きてきたが、これじゃ。ヌシにゃ荷が重かろうよ」

  目の前に拳を握る。[[rb:帛 > きぬ]]の上からでも、隆々とした筋骨が見て取れる。少なくない者が眉をひそめたその肢体も、ウマラ目には美しく映った。

  「私は貴女を無器量だとは思わない。それに貴女にはそのままで良いと言ったはずです」

  偽りの無い想い。しかしアザミは片笑みを浮かべる。

  「ヌシはこどもじゃ。女を妻にするっちゅうのがどういう事か。女がどういうもんか知らんじゃろ」

  「私はこどもではありません。女とて、まったく知らない訳では ...」

  威勢を張ったものの、尻すぼみになる。自信のなさを裏打ちするように。

  「ほうかよ」

  アザミが間近に頬を寄せる。アザミの鼻が、ウマラの小鼻に触れた。

  アザミの目に時折揺れる灯りが光を差す。琥珀色の瞳が、眼前を覆う。ウマラは静かに目を閉じた。

  「ん...」

  唇に柔らかい感触が伝う。そして何かがゆっくりと口の中に入り込んだ。

  「...っ...ふ...」

  何かは己の舌にまとわりつくように、口の中で蠢く。とろとろと熱いものが己の唾液と混ざりあう。

  あっ...つ...

  「...んっ!!」

  ウマラは逃れるように、仰け反った。

  はっ...ぁ...

  「息...苦しっ...」

  空気を吸い込むように肩を大きく揺らした。

  「息...? ふふっ...鼻ですりゃ良かろうよ?」

  こころなしか声色が柔らかに聞こえる。

  「可愛ええ婿殿じゃの。けどの...[[rb:急 > せ]]くな。急かんでえぇよ。今しがたニコシの[[rb:山神 > やまつみ]]に[[rb:願 > ねご]]うたじゃろ。体の交わりが[[rb:無 > の]]うても、ワシらは[[rb:夫婦 > めおと]]じゃ。男になるまでいくらでも待ってやる」

  微笑むアザミの顔は優しげだが、それがかえって遠くにも感じた。

  「...私はあれからずっと、貴女を想っている。家がどうでは無い。急いてるわけでもない。ただ、私は貴女と...」

  妻問いの日から、彼女の面影が朝に夕にちらついた。姿を思い出そうとすれば、体が[[rb:熱 > いき]]れた。

  それはウマラにとって初めての事だった。

  「こんなに心が[[rb:焦 > じ]]れた事はない...。貴女は違うのか?何も...思わないのか」

  恨みは無いが、想いも無いのだろうか。家の為だけに己の元へ来たのか。仮にそうであるなら、手を出すべきでは無いのか...。

  妻の真意が知りたいと思った。

  アザミは体を離し、目を逸らす。

  「気ぃが、咎めんのじゃ。いくら[[rb:賢 > さか]]しいっちゅうても、その[[rb:形 > なり]]じゃろが...」

  「形...」

  数え十三になる己は、まだ五尺に届かない。同じくらいの者と比べた事は無いが、小さいのだろう。しかし。

  「これでも私は男です。咎める事など何もありません。私は貴女の夫なのだから。もし、貴女が私を慮っているのであれば、遠ざけられる方が辛い...」

  妻との問答。想いが届かぬと感じているのに、身体は反して昂っている。もどかしい。

  アザミの頬に触れる。そっと唇を重ねた。

  先程アザミがしてきたように、舌を差し入れる。まるで元から身体が知っていたように、ウマラはアザミの舌先をまさぐった。

  「...ん......っ」

  熱い...

  吐息と唾液が交じり合う。舌が妻を味わおうと、口の中で生き物のようにねっとり蠢く。ウマラは欲情に[[rb:隷 > したが]]うように、ひたすらに妻を求めた。

  唇を離すと、アザミが見ていた。責めるでも、受け入れるでもない。凪。

  「貴女の意に沿わない...事は...じ、人倫にもとる行為だと...思っています。けど...」

  抑えられない。

  己に行為に背徳感が浮かんだ。それに抗い、焦燥に駆られ口走る。アザミが指の腹で、その口を塞いだ。

  「ヌシの言葉はわかりづれんじゃ。もそっと簡単に言え」

  「えっ...」

  簡単にとは...。しばし閉口し、思った。

  「...私は、貴女と[[rb:夫婦 > めおと]]になりたい。形だけではなく、貴女と肌を合わせたい......。おかしいでしょうか」

  アザミは細く嘆息する。

  「...やめとうなったら言え」

  言うなり、唇を重ねた。目をつぶったウマラの天地が反転した。アザミが上に重なり、体全体に熱が伝わる。

  「貴女は...温かいね」

  「みんなほうじゃろよ...」

  手を重ねる。ウマラの手はひんやりと冷えていた。

  「ヌシの手、冷てぇの」

  「では、温めてくれますか?」

  戯れに尋ねた。

  答える代わりにアザミは、ウマラの手に唇を這わせる。指先をつっと吸った。

  「っ...ん、温かい」

  指先から妻の熱を感じる。唾液のぬるりとした感触、響く音。指がまるで性器と変貌したかのように、ぞくぞくと快感がはしる。

  「...ぁ...」

  思わず吐息が漏れる。じわじわと下半身に熱がこもり、思わずそこへ触れた。

  「どうした、待ってられんか?」

  妻の声に手を引っ込めた。意味ありげな微笑みに、顔が熱くなる。

  アザミの手がウマラの帯を解く。

  「あ...」

  [[rb:薄衣 > うすぎぬ]]一枚を羽織っただけであったから、すぐさま陰茎が露出した。天を衝くように反り立ったそれを、 アザミの指が触れる。

  「確かに、こどもとは言えねぇの」

  歳相応ではあるものの、しっかりと主張したそれをなぞる。指先に反応してピクリと動き、雫が垂れた。

  舌先が雫を舐め取り、ゆっくりと裏筋をなぞる。案外にもアザミの舌は丁寧に、繊細であった。触れるか触れないかほどの感触が、更に情欲を掻き立てる。

  「ん...っ 」

  刺激を求めるように、腰が浮いた。

  「これでは足りんか?」

  指先が嬲るように、亀頭を撫でている。

  「...っ」

  欲情のまま求めるのは、野卑ではないか?

  ウマラは答えに窮して妻を見た。

  「加減は人それぞれじゃ。えぇか、悪いか聞いとるだけじゃ」

  うっすらとした笑みを浮かべて、アザミは言う。

  「...もっと、ください。...して、欲しい」

  遠慮がちに答えると、アザミはどこか嬉しそうに口を付けた。

  「...ぁ...んっぅ......」

  根元まで口の中に収められた陰茎が吸われ、思わず声を漏らす。指を吸われた時とは比べ物にならない程の快感が全身をはしった。

  「[[rb:女子 > めのこ]]みてぇな声じゃの」

  声変わり前のウマラの嬌声をアザミが嗤う。口元に拳を当て、声が漏れぬよう歯を食いしばる。緩急をつけて[[rb:舐 > ねぶ]]るアザミの舌が、それを阻んだ。

  「っ...はっ...ぁ...っぅ...」

  なんて稚拙だろう...。

  快楽の波の[[rb:間 > ま]]で、されるがままに声をあげる己に、はがゆさを感じる。

  貴女はそれでいいのか...?

  妻の顔は、[[rb:黄橡 > きつるばみ]]色の豊かな髪に隠れて見えない。ウマラはアザミの髪をかきあげる。口を離したアザミが一瞥した。

  「なんじゃ...」

  「顔...見たい。貴女がどんな顔してるか見たい」

  「そんなもん見んでえぇじゃろが」

  「そう?」

  再び下を向いたアザミの髪をかきあげる。アザミは頭を振って髪をおろした。

  「邪魔するとやめるぞ...」

  恨みがましく、眉を顰める。その顔すら今は愛おしい。

  「少しだけ...ね?」

  「ワシにも恥じらいっちゅうもんがあるんじゃ...」

  「なら...」

  尚更見たいよ。

  アザミの片側の髪を耳にかけ、反対側におろした。

  灯りに照らされた躰に、陰影がくっきりと浮かぶ。うなじ、首筋、鎖骨...。胸元に深く刻まれた谷間が薄衣に続いている。成熟した肢体に胸が鳴った。

  襟首に手を差し込む。ゆっくりと肩を撫で、薄衣を剥いだ。

  実りを迎えた麦のような色の肌。締まった身体は、筋骨の形をはっきりと浮かべている。それに反して、乳房は柔らかな印象を感じさせた。

  「ワシの体は恐ろしかろ?」

  乳房を隠し、アザミが言う。ウマラは首を振った。

  「いいえ、とても美しいです。触れても...構いませんか?」

  それぞれが一抱えもありそうな乳房に目を遣り、ウマラが言う。

  「だめじゃっちゅうたら、触れんか?」

  「...それは」

  わざわざ聞いた事を悔やむ。

  「ワシぁ、いけずじゃの」

  笑いながら、ウマラの手を取り乳房に当てた。

  「柔らかい...。それに重いね」

  ずっしりとした感触を手に感じ、乳房を揺らした。柔らかさも重さも、今まで感じたどれとも違い、なんとも形容し難い。ただ一つ言えるのは、

  「心地よい...。とても和みます」

  という事だった。

  「女、知っとるんじゃなかなったか?」

  アザミが笑う。

  「...」

  女を知る為にと、幾人か娘を用意された。乳房の目立つ者もいたが、ここまで大きくなかった。

  「私の手では物足りないでしょうか」

  指をいっぱいに広げて乳房を覆っても、指の間から[[rb:肉 > しし]]が溢れている。ウマラは鷲掴みするように乳房を揉んだ。

  「ん...」

  アザミが僅かに身をよじる。

  柔らかい感触の中に、コリと硬い感触が伝わった。

  見れば、乳房の先が親指ほどの大きさで、高々と屹立している。大きめとも思える乳首に、かえって淫らさを感じた。

  ウマラは舌先で、乳首の周りをなぞった。

  「...んっ...ぁ」

  吐息混じりの嬌声に、ウマラの陰茎がとくと脈打つ。

  「良いですか?」

  囁く。返事はなく、アザミは眉をしかめた。

  「好きでは無い?」

  「......」

  やはり返事はない。

  指で乳首をしごく。小さな息遣いと共に、妻の身体がピクリと動いた。

  「好き?」

  再び問いかけるも、返事は無い。

  返事はしないんだね。でも、いいよ。

  ウマラは指と舌で、妻の乳房をまさぐり、[[rb:舐 > ねぶ]]った。

  呼吸が徐々に激しくなり、胸が大きく揺れた。

  「...はぁ...っ...あ......んんっ...は...」

  微かな嬌声。時たま吐く、細く長い息。

  かきあげた髪の間に見えるのは、羞恥と、恍惚。

  案外にもしおらしい妻の姿に、己の中の男を意識した。

  妻の剛毅な姿に隠された女が見たい。

  「声、我慢してる? 幽艷な様も美しいけど、乱れているところも見てみたいな...」

  更に激しく触れた。呼応するように、妻の身体が揺れる。

  「んぅ...あっ...ぁんっ、んぅぅっ」

  次第に大きくなる声。身体を大きく反らせた。

  「気持ち良いですか? ふふっ、答えなくてもいいよ。身体が応えてるから。もっと...して欲しいんでしょう」

  アザミは顔を逸らせたが、目の前に乳房が突き出されている。ウマラは強く吸い付いた。

  「あ、んっ...んぅっ」

  恥じらいのない嬌声が耳にまとわりつく。羞恥も理性も消えた。隙間もないほど身体を添わせ、妻から溢れる欲情を貪った。

  「綺麗だね、アザミ」

  妻の名を呼ぶ。アザミがうっすら涙を湛えた目を向けた。

  「とても美しいよ。けど、淫猥だな。貴女がそんな淫らな顔で、こんないやらしい声をあげるなんて...思ってもみなかったよ」

  ウマラが言うと、アザミが口を歪めた。

  「怒ってる? それとも照れ隠し?」

  胸から腹へ唇を這わせる。いくつもある筋肉の筋を指で撫でた。ウマラの愛撫に応えるように、アザミの肢体は仰け反り、よじる。

  「っ...」

  ウマラの唇が、臍から下へ差し掛かった時、アザミは声を上げ、膝を締めた。

  「どうしたの? 進めないよ...」

  頭を挟まれた格好になったウマラが、不満げに尋ねる。

  「...」

  「なに?」

  「......も、やめ...」

  「どうして?」

  髪と同じ[[rb:黄橡 > きつるばみ]]色の茂みは、すでにしっとりと濡れそぼっている。指で[[rb:陰 > ほと]]の際をなぞった。

  「っ...んっ...ん...やっ...んっ..や...」

  頭を締める脚に力がこもる。拒むような脚の動きに反して、陰はとろりと雫を流した。

  「ねぇ、アザミ。離して?......もっと貴女の事、知りたいんだ」

  「......ワシは、おかしかろ?」

  「え?」

  頭を挟まれたまま、視線だけを妻へ向けた。蒸気した顔に、哀愁が滲んでいる。

  「こんな体で...こんな[[rb:性格 > たち]]で...[[rb:女子 > めのこ]]のように声をあげ...よがる姿なんぞ。おかしかろうよ?」

  息も切れ切れに呟いた。

  「いいえ...?」

  急に妻は何なのだろうか。少し身を引くと、脚が緩んだ。

  「[[rb:ヌシも言 > ・・・ゆ]]うたらええよ。ヌシのような[[rb:者 > もん]]でも、女の顔をすると...笑えばえぇ」

  自虐的に言う。大きな体を縮めた姿が少女のようにも見えた。

  「ヌシも...ね。誰かが、貴女をそう言って抱いたのか。しかし...事の[[rb:最中 > さなか]]に他の男を思うなんて、妬いてしまうな... 」

  内腿に手を掛ける。

  「んっ...」

  体全体に力をかけ、脚をこじ開ける。

  妻の雫が溢れた[[rb:陰 > ほと]]が露になった。

  「貴女は私が囁く言葉を疑っていたのか。戯れに女を抱き、嘲笑うような者だと思ったのか? 心外だね」

  妻の[[rb:陰 > ほと]]に口をつける。

  「ウマラ...」

  言いかけるアザミを目で制した。

  舌で外陰を舐り、徐々に内側へ動かした。淫靡な音が響く。

  「っ...ん...」

  「まだ抑えてる? 大丈夫、私は貴女を笑わない。初めから、貴女は私の愛おしく、美しい妻だ」

  指で陰を開き、膣へ舌を挿れた。

  「んっ、あっ...ぁ...」

  膣の中から雫が音をたてて、溢れる。

  「聞こえた? 貴女のいやらしい音。こんなに感じてくれて、私は嬉しいんだ。もっと、もっと聞かせて」

  わざと音をたてて[[rb:舐 > ねぷ]]ると、さらに先を求めるように、妻の腰がビクビク揺れ、肉が舌を呑みこもうとした。

  「可愛いね。欲しいの?」

  「...」

  吐息だけを漏らす妻に微笑む。

  「その口で、言って。私を求めて」

  「...挿れ...」

  「え? なに?」

  「ヌシが...欲しい」

  「いいよ。挿れてあげる」

  中指を差し挿れる。

  「んっ...」

  小さく声を漏らした。

  指...細いかな。

  まだ発達途中の己の陰茎に比べても、指は細い気がした。

  一度抜き、指をもう二本添えた。

  「んっあぁぁっんっ!!」

  [[rb:陰 > ほと]]から雫を溢れさせ、声をあげた。

  「やはり太い方がいいみたい?」

  「あぁ...んっ...んっあっ...あぁ」

  何か言いたげに見ている。

  ウマラは三本添えたまま、挿入をくりかえす。

  「あっ、んっ...んぅっ」

  陰は淫らな音をたてながら、ウマラの手に雫を垂れ流した。

  「貴女の陰、まるで[[rb:湧水 > ゆうすい]]みたいだよ」

  「ぁっ...んっ...んっだめっ。...ゆ...び......指、抜け...」

  ウマラを腕に抱き込み、喘ぎ声をあげ、アザミが懇願した。

  「嫌です。だって...」

  「んうっ、あ...んっ」

  陰を掻き回す。

  「そんなに気持ちよさそうにしてくれるのに、やめられないよ」

  陰核の皮を剥き指先で刺激する。

  「んっ...そこ...は...やっ...」

  「ここが、いい?」

  聞こえないふりをして、指先で弄る。

  「あっ...違......んっぅ...や...」

  ビクビクと腰を浮かし、水のように雫を垂れ流す。

  「[[rb:肢体 > からだ]]も悦んでいるでしょう?」

  乳房を吸いながら、陰を刺激し続ける。動かす度に、妻の淫らな嬌声が響いた。

  「あぁっ...んっ...ぬ...け...んっ」

  「声抑えるのやめたの? 可愛らしくていいね。外の衛士に聞こえてしまいそうだけど...」

  「っく...抜け...ちゅうとろうが...」

  「嫌だよ。いやらしい声聞きたいから」

  「あぁぁんっ......ふ......ア、ホ.....ボケ」

  「え? 今...なんて......んぁっ、あぁっ」

  陰茎から快感が走った。

  意趣返しをするように、アザミが陰茎を包み込んでしごいた。

  「はぁっ......ん、とめ...やめ...て。ダメ...だっ...」

  「んっっ...やらしいのはヌシじゃろ...よ...っ」

  「まっ...ダメ...いっ...き、そう...」

  陰から指を抜き、両手でアザミの手を抑えた。

  「挿れさせて...アザミ」

  絶頂の寸前で止めて、陰茎ははち切れそうなほど膨らんでいた。妻と一つになりたい。ウマラは思った。

  「まだ... 」

  「?」

  「立て...」

  「え...?」

  戸惑うウマラの腰を抱え、立たせた。アザミは目の前に反り立った陰茎をどっぷりと咥え込む。

  「んぁぁぁっ、あっ、はぁっ。っぅ...んぁ。あ、やめ...」

  陰茎を強く吸い込まれ、ウマラは声をあげた。

  舌と口腔の刺激に、陰茎が激しく脈打つ 。思わずアザミの頭を両手で抱える。アザミは構うことなく、繰り返し吸い付き、時折舌先で舐った。

  「あっ...んぅっ、ダメ。とめて...気が...いってしまいそう...とめて...っあ...」

  陰茎がドクドクっと脈打つ。絶頂に達する寸前、アザミが口を離した。

  「あ...っ...」

  情けない声が漏れた。

  「残念か?」

  指先で亀頭を撫で、アザミが笑った。

  「ヌシがとめろっちゅうたろうがよ?」

  舌を出す。舌先からつぅっと糸を引いて、唾液が陰茎に降りかかった。

  「本当に淫らだね...」

  「やめるか?」

  「...いえ、もっと...して。もっと見たい...」

  アザミは笑みを零す。そして乳房で陰茎を挟み込んだ。

  柔らかい[[rb:肉 > しし]]の感触に、唾液と己から零れた雫でぬるぬると滑る感覚。

  「はぁ...あぁ...っぅ...気持ち...良い」

  ウマラは自ら己の陰茎を乳房の合間に滑らせた。

  「ふ...ぅ...ぅ...んぁっ」

  温かい肉に何度となく、割り込ませる。押し寄せる快感が欲求を呼び起こす。

  「これもいいけど、やはり挿れたい...貴女の中に挿れたい」

  「...」

  妻の顔から愁いが消えていた。

  「...上がえぇか、下がえぇか?」

  「任せます...」

  ふん。アザミは手を緩めると、ウマラに跨る。そして[[rb:陰 > ほと]]を陰茎に押し付けた。

  「えぇか?」

  「はい...」

  下からウマラは頷く。

  幾度も[[rb:陰 > ほと]]をこすり付けた後、ウマラの陰茎を差し挿れた。

  「んっ...熱い。貴女の中...とても熱い」

  「気持ち...良かろ?」

  「ん」

  妻が動かすに、身を任せた。

  中の肉が、陰茎を締め付け搾りだそうとする。

  「ふっ...ん...気持ちいい」

  「ヌシぁ、ちと気に食わんとこもあるが...。えぇよ。ヌシの子、産んでやる。子種をよこせ…」

  自らも快楽の表情を浮かべ、アザミは言った。

  ウマラは思わず笑みを零す。

  「先程のような可愛らしさはどこへ行ったの」

  「はっ...ワシぁこういう[[rb:女子 > めのこ]]じゃ」

  「そう...」

  両手を伸ばす。アザミが応えるように、体を近づける。

  己の腕には大きすぎる妻の背を抱いた。アザミは小さな夫を腕の中に抱き込む。

  「そういうところも、好きだよ」

  「ほうかよ...」

  月のない、朔月の夜。二人は[[rb:真 > まこと]]の[[rb:夫婦 > めおと]]となった。

  *

  気づくと、隙間から弱い光が差し込んでいた。

  「寝て、しまっていたのか...」

  己の身体を妻が覆い、包んでいる。

  ウマラは静かにアザミの腕から抜け出した。

  「寒っ...」

  妻の温もりが無くなった途端、朝の冷気が肌を刺した。

  「早ぇの...」

  寝惚け眼のアザミが呟いた。

  「すみません、起こしましたね…」

  「えぇよ」

  妻の肉布団で寝ていた己と違い、薄衣一枚の妻は冷えていた。

  「温かくして。貴女は大事な人なんですから...」

  肩に[[rb:上衣 > うわぎぬ]]を掛ける。

  「大事な子を産まねばならんからの...」

  小さく笑う。

  「私は...貴女を想って言っているのです。家や、子の為では無い。意地の悪いことを言わないで下さい」

  悲しげに眉をよせ、ウマラは言った。

  「ほうか...」

  掛けられた上衣の中に、ウマラを抱きよせた。再び温もりを肌で感じ、ウマラの陰茎はピクリと頭を持ち上げる。

  「...足りんかったか?」

  アザミが笑う。

  「貴女と居れば足るという事はないかもしれない。絶えず欲求が湧き出てくるから...」

  意図せず勃起したそれを薄衣で覆う。しかしそれは衣を押し上げ、はっきりと主張していた。

  「困った婿殿じゃの」

  完全にそそり立ったそれを、アザミは指で突いた。

  「ん...」

  とくとくと脈打ち始めた陰茎を、ウマラは抑えつけ腿で挟んだ。

  「そう言えば東の大陸では、万物を陰と陽で分けるという考えがあるそうです」

  「?」

  男が陽で、女は陰。二つは対極であるがそれぞれに、それぞれを内包し、完全に断ちわかれるものでは無い。

  「時に二つは混じり合い一つの大きな太極を成します。私が貴女を。貴女が私を輔け、太極を成しましょう」

  ウマラがアザミの手をとる。

  「ようわからんが...ええよ。輔けてやる。ヌシを。ここに住む者の為にの...」

  アザミが応え、ウマラが頷いた。

  「私は貴女を迎えるため、一足早く郷へ戻ります」

  婚儀は両者の郷の境目に建てた小屋で行った。ウマラが住むニコシ府はこの小屋から半日ほどの距離にある。

  「名残惜しいけど、行きます...」

  アザミの腕から抜け出し、身なりを整える。

  糸で彩られた上衣。長い髪を結び、腕輪、首飾り、耳環で飾る。すっかり貴人然とした姿に変わった幼い夫が、アザミを抱き、唇を重ねた。

  「朝餉をとって、ゆっくり赴いて下さい。待ってます」

  「おう...」

  もう一度唇を重ねて、ウマラは立った。

  「トクサ、馬を曳け」

  「は」

  戸のこちら側から声を張る。誰がいるかもわからない戸の向こうから、しかし確かに応えがあった。

  馬のいななきが聞こえ、一度振り向く。

  「では」

  軽く頭を下げ、ウマラは小屋を後にした。

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