【T&B】ライアンが花束をもって虎徹さんに……以下略(過去捏造)
まったく、酷い男だ。
気付けなかった俺も俺だが、アンタも酷い。
アンタ、俺のことちっとも気が付いていないだろう?
まぁ、俺も気付けなかったからお互いさまってやつだろう。
前回シュテルンビルトで仕事をした時、アンタ姿はなかった。仕事の合間に見たHeroTV。音なんて出てなかったから、青いヒーロースーツを目印に探していたのに、アンタはいなかった。
今までずっと目で追っていた青いヒーロースーツ。あんたなら絶対に現れるだろう事件現場。
アンタの姿はなかった。
だからてっきりヒーローを辞めたと思っていた。
踏ん切りを付けるためにアンタみたいにヒーローになってみたけど、ダメだった。
顔出しでもしてりゃ、いつかアンタの目に止まるかもと思ったけど、アンタは俺を見ても気が付きもしなかった。
まぁ、十年間に助けたかわいそうなガキなんて俺だけじゃなかったんだろうけど。
そして、俺も気が付かなかった。
三年経って、一区切りつけるつもりでシュテルンビルトのヒーローのオファーを受けた。
事前に教えられていたのは「衰えたロートルヒーロー。アライグマのような男だ」――アンタの名前なんて出てこなかった。
けど、気付けなかったなんて言い訳だ。俺はアンタを見逃した。目の前にいたアンタに気が付かなかった。
けれど、見つけちまった以上、手を伸ばせば届くとこにいるアンタを諦める気は全くない。
アンタにとっちゃあ、よくあることなんだろう?
親と婚約者をいっぺんに亡くした可哀想なガキを慰めるなんて、日常茶飯事なんだろう?
けど、約束は約束だ。相方――仕事上のパートナーの座はアイツに譲ってやったんだ。だから、プライベートのパートナーは俺のもんだ。
昔の約束、守ってもらうぜ。
――うちに来るか?
それが、昔俺を助けたアンタが言った言葉だ。責任、取ってもらうからな、ワイルドタイガー。