【T&B】Dr.Saitoの怒り(こねた)【修正あり】

  タイガー&バーナビーが解散して、まず一番のしわ寄せを受けたのは、

  Dr.斎藤

  に間違いないだろう。

  今まで、ヒーロースーツのメンテナンス費用を誤魔化してニューヒーロースーツの開発費に当てていたのがばれたから、それをネタに脅されて忙しくなったのは置いておく。メンテナンスを殆どしていないので、薄汚れ、少しずつ精度が落ちて、がたつき始めていたのは確かだが、今のヒーロースーツが完全に使えなくなる前には、新しいヒーロースーツが出来上がる予定だった。お目見え予定は、約半年後のタイガー&バーナビー一部復活。

  だったのだが、それはタイガー&バーナビーをはじめ関係者には秘密の話だ。サプライズは秘密だから、サプライズなのだ。途中でバレてしまっては、タイガーの目を瞠る顔が見れないではないかっ! いや、みんなが驚く表情が……。

  それなのに、新オーナーは机にあったドミノピザを見て「開発費をどう使うかは開発者の自由だけどね、必要じゃないものに使うのは横領っていうんだよ」等と言い切ったのだ。ドミノピザだって十分に必要なものだというのに!

  反論したが、スピーカーを頭に載せていない状態では声は届かず、新オーナーが言い放ったのは「君、まだ開発続けたいでしょ? だったらヒーロースーツ作ってよ。今度一部で活躍するヒーローたちの為にド派手なやつね」だ。

  ヒーロースーツは繊細なものなのだ。ド派手でいいはずがない! 見栄えが良いのとド派手なのは全然違うのだ。見栄えがいいのに、能力発動に合わせてギミックを発動させ、更に周りを圧倒するのがヒーロースーツのあるべき姿なのだ。開発の醍醐味なのだ。何よりもヒーロースーツは見た目も大事だが、中身はもっと大事だ。なのに、バーナビーが一部に戻り、ライアンというガキがデビューするまでの短い間に新しいスーツを作れと、開発者を馬鹿にしているとしか思えない。

  しかもライアンという新しく雇ったヒーローの能力は重力を操るとか? ギミックは能力を発動させるときくらいしかできないじゃないか。タイガー&バーナビーのようにグッドラックモードをライアン&バーナビーが発動させるわけがない。第一、そんなコンビネーションを二人ができるとは思えない。できたとしても、どんな形なのか想像できない。開発者に想像できないということは即ち実用的ではないということだ。実用的でないものを実装させる気はない。ヒーロースーツに備えるものはあくまで実用的なものでなければならない。タイガーとバーナビーのヒーロースーツに付けたエンブレムしかり。

  だが、ライアンはタイガーが初めての見せてくれた時のような素敵な反応をくれるだろうか。いや、くれるだろう。絶対にいただくっ! そうだ。私は開発者だ。なら、どんな素人にも目を瞠らせるような素敵なヒーロースーツを作らなければならない。絶対に驚かせてやる! それだけは楽しみだ。

  だが、時間がない故に時計みたいな素敵機能等を盛り込むことができない。タイガーのスーツは色々なものを組み込めて、それに対する反応をタイガーがしっかりくれるから楽しかったのに……。

  ライアンとかいうガキにもたっぷり驚いてもらうとして、やはり開発期間が短すぎる。

  「派手にしてね。それだけでいいよ。どうせヒーロースーツなんてお飾りだろう」

  そんなことを平然と言っていた新オーナーは気に入らない。盛大に文句言ってやったが

  「君、声小さすぎ。聞こえないよ。じゃあ、任せたからね」

  と去って行ってしまった。

  あいつは敵! いつかぎゃふんと言わせて……

  ふと思った。

  今回の開発でヒーロースーツの予算だけは盛大にもらった。

  オーナーの要求は派手なもの――この一点。

  なら、余った予算をどう使い込もうが、それは開発に必要な経費だ。

  今開発しているライアンのものとバーナビーのstyle2は恐らく二人が着て行ってしまえば実験に使うことができなくなる。ならば、バーナビーのヒーロースーツに還元するという名目で……

  この数日後、Dr.SaitoはWild Tiger style2を完成させるのだった。

  ウィィィィィィィ……プチッ

  (切れただと? 私の渾身の発明のワイヤーが切れただと? ヒヒヒヒヒヒ……いいだろう、その挑戦、買ったっ!)

  と思ったかは定かではない。

  End.