第3話「五十嵐一家の休日」

  [chapter:1日の始まり]

  ケモノ界の日本国、さいたま市大上区のとある住宅街。

  その中に建つ和風の平屋建てが、今回の舞台だ。

  5月3日の朝7時、布団の中で[[rb:五十嵐 > いがらし]]兄弟が目を覚ました。

  「兄ちゃん、おはよう。」

  「おはよう。」

  兄弟の体は黒く、背中一面に剛毛が生えている。彼らの種族はヤマアラシだ。

  兄の[[rb:棘郎 > とげろう]]くんは5年生。筋肉と脂肪がバランスよく付いた固太り。

  弟の[[rb:玲貴 > れいき]]くんは1年生。こちらは標準体型。

  2匹は布団(硬めの素材を使用したヤマアラシ用)を片付けながら話している。

  「ご飯の炊ける匂いがするな。」

  「兄ちゃんはほんとに食いしん坊だね。」

  「たくさん食って鍛えないと力士になれないからな。強くなるために食ってるから、ただの食いしん坊じゃないぞ。」

  その時、2匹を呼ぶ声がした。

  「朝ごはんよー!」

  「よーし、行くぞ!」

  2匹は顔を洗い、着替えを始めた。

  棘郎くんはパジャマのズボンを脱いで普通のズボンに履き替え、その上に腹掛けを着けた。しかし玲貴くんは腹掛け1枚だ。

  「玲貴、たまにはズボンとかパンツを履いたらどうだ?」

  「ぼくは腹掛けだけの方が大好きだもん。お尻丸出しでも気にしないよ。」

  ヤマアラシは剛毛があるため、普通の服が着られない。そのため、年齢や性別に関係なく腹掛けを着ける。

  なお野生時代は敵から身を守るため、剛毛は針のように鋭かった。進化してケモノとなった現在では当時と比べてかなり強度が下がっているが、それでも薄い布を引っ掛けて少し強く動かせば破れてしまう程度には鋭い。

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  [chapter:朝食の時間]

  ダイニングルームでは両親が待っていた。父親の[[rb:山之介 > やまのすけ]]はかなり太っており、母親の[[rb:松子 > まつこ]]は細身だ。

  「父ちゃん、母ちゃん、おはよう!」

  「おはよう。お前らは今日も元気だな!」

  「さあ、たくさん食べてね。」

  テーブルにはご飯とみそ汁、鮭の塩焼き、卵焼きが乗っていた。

  「母ちゃん、今日もいい出来だな!」

  「おいしそうだね!」

  「ありがとう、嬉しいわ。」

  「いただきまーす!」

  朝食が始まった。棘郎くんは鮭をご飯と共に食べる。

  「うまいぜ!」

  玲貴くんは卵焼きをかじり、笑顔を浮かべた。

  「今日は一段とおいしいね!」

  「玲貴、ありがとう。作った甲斐があるわ。」

  完食した棘郎くんは、茶碗を母親に差し出した。

  「母ちゃん、おかわり!」

  「棘郎は本当によく食べるわね。」

  「父ちゃんみたいな力士になるためさ!」

  山之介は現役の力士で、四股名は[[rb:嵐ノ山 > あらしのやま]]。それに憧れる棘郎くんは、力士になる夢を持っている。

  学校では相撲部所属で、毎日よく食べ、家でも稽古を欠かさない。夢のために努力を重ねる少年だ。

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  [chapter:休日もしっかり稽古]

  「ごちそうさま!」

  完食した棘郎くんは自室で30分ほど休み、それから山之介の元へ。

  「父ちゃん、相撲の稽古やろうぜ!」

  「ああ、いいとも。」

  2匹はまわしを締め、庭へ出た。棘郎くんは相撲部の他に、自宅用のまわしも持っている。

  庭には土俵が用意されている。2匹は両側に立ち、四股を踏んで構えた。

  そこに玲貴くんも現れた。

  「ぼく、行司やりたいな!」

  「うん、お願い。」

  玲貴くんは軍配の代わりに普通のうちわを持ち、2匹の間に立つ。

  「はっけよーい…のこった!」

  2匹は組み合ったが、すぐに棘郎くんが押し出されてしまった。

  「やっぱり父ちゃんは強いなあ…」

  「ああ、お前もこれぐらい強くなれよ!」

  「ねえ、ぼくも兄ちゃんと相撲取りたい!」

  「ああ、いいとも。」

  玲貴くんは土俵に立ち、四股を踏んだ。

  「玲貴、かっこいいぞ。」

  「ありがとう、兄ちゃん!」

  今度は父親が行司だ。

  「はっけよーい…のこった!」

  合図で兄弟は組み合い、すぐに棘郎くんが足技をかけて玲貴くんを転ばした。

  「兄ちゃん、また強くなったね!」

  「ああ。部活で鍛えてるからな!」

  得意げに返し、まわしをなでる。

  「玲貴、この汚れは俺が今まで稽古に励んだ証さ。」

  「すごいね!」

  稽古は3時間に渡って続いた。さほど休憩も入れずに動き回ったため、3匹とも非常に疲れている。

  「あー、疲れた…」

  「もうへとへとだよ…」

  その時、母親が呼びに来た。

  「みんな、お昼ご飯よ!シャワー浴びてから来てね!」

  「はーい!」

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  [chapter:昼食と来客]

  3匹はシャワーを浴び、汚れを落とした。体をタオルで拭き、剛毛のある背中は全身ドライヤーで乾かす。

  「さっぱりしたね!」

  「気持ちよかったな。」

  着替えてテーブルに行くと、大きな丼に入った醤油ラーメンが4杯用意されていた。

  「やった!ラーメンだ!」

  「うーん、おいしそう!」

  「さあ、食おうじゃないか!」

  兄弟と父親は喜んで着席した。

  「いただきまーす!」

  一家はラーメンをすすった。

  「スープが濃厚だね!」

  「おお、麺もちょうどいい柔らかさだ!」

  「母ちゃん、ありがとな!」

  「喜んでくれて嬉しいわ。」

  棘郎くんと父親は、20分ほどかけて食べ終えた。

  「父ちゃん、うまかったな!」

  「ああ、最高のラーメンだったぜ!」

  玲貴くんも少し遅れて食べ終えた。

  「ごちそうさま!ああ、お腹が膨れた。ぼくにはちょっと多かったかな…」

  「玲貴、お前よく食べるようになったな。」

  「そうだよ兄ちゃん。でもぼくは太りたくないからほどほどにしとくね。」

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  それから約1時間後。兄弟がゲームの対戦で遊んでいると、インターフォンが鳴った。

  応対をした母親が呼ぶ。

  「棘郎、松江ちゃんが来たわよ!玲貴、下履いて!」

  「松江か!そりゃ嬉しいぜ!」

  慌ててズボンとパンツを探す玲貴くん。それを横目で見つつ、棘郎くんは玄関に走った。

  玄関にはヤマアラシの[[rb:奉宮 松江 > ほうきゅう まつえ]]ちゃんが立っていた。彼のクラスメイトだ。

  腹掛け(胸を完全に隠せる女性用)とスカートを身に着け、バイオリンのケースを持っている。

  「五十嵐くん、バイオリンの演奏を聴いてもらおうと思ったの!」

  「楽しみだ!ぜひ聞かせてくれ!」

  彼女はバイオリンの演奏が得意。コンクールで金賞を取った事もあるほどだ。

  「父ちゃん、母ちゃん、玲貴!松江がバイオリン弾くから来てくれ!」

  「おお、金賞の子だな。」

  「あの演奏が生で聴けるなんて!」

  「楽しみだな!」

  五十嵐一家はリビングに集まった。松江ちゃんが曲を紹介する。

  「それでは、演奏します。映画『美女と竜』より、『いっぴきぼっちの晩餐会』!」

  一家は演奏に聞き入った。

  「皆さん、ご清聴ありがとうございました。」

  一家は松江ちゃんに拍手を送った。

  「松江、最高だったよ!」

  「実に天才的だ!まるでプロ並みだよ。」

  「素晴らしかったわ!金賞を取るのも納得ね!」

  「すごかった!」

  「みんなありがとう。私とっても嬉しいわ!」

  「そうだ、そろそろお茶にしましょう。松江ちゃんもどうぞ。」

  「いいんですか?」

  「もちろんよ。」

  和菓子と抹茶が用意され、お茶の時間が始まった。

  「この抹茶、おいしいわ…」

  「おお、抹茶のおいしさがわかるとは通だな!」

  「松江、饅頭も食べな。」

  「ありがとう、五十嵐くん。」

  計5匹のヤマアラシは、お茶の時間を楽しんだ。

  「一緒にお茶も出来て楽しかったわ。ありがとうございました。」

  松江ちゃんは自宅に帰った。

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  [chapter:開店!キャッスル・オブ・フード]

  それからしばらく経つと、父親が言った。

  「さあ、今日は外食するか!」

  その言葉に兄弟は喜んだ。

  「やった!外食だ!」

  「それで父ちゃん、どこ行くの?」

  「駅前に新しくできた店だ。今朝の新聞に広告が入っていたんだよ。」

  父親は広告を取り出した。

  ~豪華なお城で素敵な食事を~

  世界各地の料理が集まる夢のお城「キャッスル・オブ・フード」大上店がついにオープン!

  約200種類の料理が2時間食べ放題!

  年齢や種族を問わず楽しめます。ぜひ、ご家族でお越しください!

  中学生以下:1500円 高校生・大学生:2000円 成獣:3000円

  大上駅東口より徒歩1分

  「わあ、素敵なレストラン!」

  「広告見てたらお腹空いてきたね。」

  「さあ、行くか!」

  五十嵐一家は大上駅に向かって歩き出した。

  住宅街を抜けてしばらくすると、大上駅の東口が見えてきた。埼玉で一番のターミナル駅だ。

  周囲にはレストランやコンビニ、ドラッグストアなどの店やゲームセンター、カラオケ、ボウリング場などの娯楽施設が並んでいる。

  その中にヨーロッパ風の城が建っていた。そこがキャッスル・オブ・フードだ。

  「前から工事してたのはあれだったのか!」

  多くのケモノが広告を見たようで、入り口には長蛇の列ができている。そこに並ぶ客の約半数は太っていた。

  「まるで町中の食いしん坊が来たみたいだな。俺もその1匹だけど。」

  「兄ちゃん、ずいぶん混んでるね。」

  「いいじゃないか。並んでいる間にお腹が空くぞ。」

  列に加わった直後、背後から声が聞こえた。

  「あ、五十嵐くん!」

  「おう!五十嵐も来たのか!」

  「その声は…」

  振り向くと、2組の家族が立っていた。

  1組目はシマリスの[[rb:栗田 > くりた]]一家。父親の[[rb:純一 > じゅんいち]]、母親の[[rb:幸江 > ゆきえ]]、息子の[[rb:永雄 > ながお]]くん(相撲部所属の4年生)。

  2組目はホッキョクグマの[[rb:保良 > ぽうら]]一家。父親の[[rb:部亜 > べあ]](6年1組の担任兼相撲部の顧問。五十嵐くんの父親と似た体型)、母親の[[rb:由紀子 > ゆきこ]](太っているが夫ほどではない)、息子の[[rb:阿蓮 > あれん]]くん(ぽっちゃり体型の3年生)。

  「ああ、栗田も来たのか!」

  「そうなんだよ。ぼくはオープンがずっと楽しみだったんだ!だから今日は昼から何も食べてないんだよ。

  それで、ここに来る途中で保良先生たちと合流したんだ。」

  「先生も家族でいらしたんですか?」

  「そうだ。私もこの日を楽しみに待っていたよ。」

  「ここで出会うとは偶然ですね。いつも息子がお世話になっています。」

  「なあ栗田、今日は何した?」

  3組の家族は話を始め、入店までの時間をつぶした。

  「ねえ五十嵐くん、学年が変わらなかった事ってどう思う?」

  「不思議だと思うぜ。今年が始まった瞬間、世界中のケモノが誰も成長しなくなるなんて…」

  「そうだよね。さらに子供が生まれる事も、病気や老衰で死ぬ事もなくなったし…いつまでこのままなのかな?」

  「さあ、わかんないな。でもそれなら俺たちはいつまでも子供でいられるんだから、良かったんじゃないか?」

  「そうだね!子供の時間がずっと続くなんて最高だ!」

  棘郎くんと栗田くんは、今年から世界中で始まった謎の現象についても話した。

  この現象が始まった時、初めは世の中がパニックになった。しかし次第に受け入れられ、落ち着いていった。

  [newpage]

  [chapter:夢のお城は食べ放題]

  1時間ほど並び、ようやく入り口に着いた。

  自動ドアは重厚な木の扉を模しており、上の看板には荘厳なフォントで「Castle of Food-Royal Banquet Time-」と書かれている。

  両側には狼と虎の番兵(もちろん作り物)が立っており、それぞれ槍の代わりに巨大なナイフとフォークを持っている。

  中に入ると、広い廊下が現れた。右側には様々な種族用の鎧が並び、天井からはランプが下がっている。

  代表者が名前をサインした後は、左側に並ぶ椅子に座って待った。太ったケモノでも楽々と座れるほど大きい椅子だ。

  しばらくして名前が呼ばれ、3組の家族は順に店内へと案内された。

  「うわあ、すごい!」

  「本当のお城みたいだね!」

  「予想以上のクオリティだ!」

  歓声を上げる3組。

  廊下の先には、豪華な大広間が広がっていた。

  天井からは立派なシャンデリアが下がり、壁には中世ヨーロッパ風の絵画が並び、豪華な彫刻の入ったテーブルと椅子が並んでいる。

  よく見るとシャンデリアはグラスや皿で作られ、絵画にも食べ物が描かれ、テーブルや椅子にもナイフとフォークがデザインされていた。

  3組の家族は、できるだけ近くのテーブルに場所を取った。

  「まずは子供だけで料理を取りに行き、次は親が取りに行こう。取って席に戻ったら食べ始めていいぞ!」

  保良先生の一声で、子供たちは料理が並んでいるエリアに向かった。ここは壁で食事スペースと仕切られている。

  「ここもすごいセットだね!」

  「どれもこれもうまそうだ!」

  壁の奥は和食、洋食、中華、エスニックの4コーナーに分かれていた。それぞれ日本の城、ヨーロッパの城、中国の宮殿、インドの宮殿がモデルにされており、各エリアには50種類ずつの料理が並んでいる。

  「栗田、どこから行こうか?」

  「まずは和食コーナーから周ろう!」

  「そうだな!」

  子供たちは10分かけて、料理を決めた。棘郎くんと栗田くんのトレーは料理で埋まっている。

  寿司、うどん、ワニ肉ハンバーグ、フライドチキン、春巻き、チャーハン、インドカレー、ナン…これだけで1食分になりそうだ。

  一方、玲貴くんと阿蓮くんが取った量は2匹の半分ほど。

  「玲貴に阿蓮、そんなちょっとでいいのか?」

  「ぼくは太りたくないからね。」

  「ぼくも同じだよ。」

  4頭がそれぞれの席に戻ると、今度は親たちが料理を取りに行った。

  「じゃあぼくたち、先に食べてるね!」

  「いただきます!」

  子供たちは料理を食べ始めた。

  「このお寿司、おいしいね!」

  「ハンバーグも肉汁がいっぱいだ!」

  「春巻きだっておいしいよ!」

  「インドカレーもうまいぜ!」

  思い思いの感想を言いながら、夢中で料理を頬張る一同。そのうち、親たちが戻ってきた。

  「棘郎、たくさん食ってるな!」

  「永雄もいっぱい食べて大きくなってね!」

  「阿蓮もあんな風になるんだぞ!」

  「もう、ぼくは太りたくないって何度言ったらわかるの?」

  それから2時間、3組の家族は食事を楽しんだ。

  「相撲部は最近どんな感じですか?」

  「最近、アライグマの[[rb:新井 楽 > あらい らく]]くんが強くなってきたんですよ。」

  「それは今後が期待できますね。」

  親たちは近況を話し合っている。

  「栗田、あの新しいゲーム機買ったか?」

  「クロテンドースイッチの事?それなら2週間前に買ったよ。この連休は毎日家族で遊んでるんだ。」

  「俺はまだ買ってないな。明日遊びに行っていいか?」

  「ごめん、明日は家族でボウリングに行くんだ。」

  「へえ、ボウリングか!楽しめよ。」

  「うん、もちろん。ストライクが取れるといいな!」

  子供たちはゲームや遊びの話に夢中だ。

  2時間後、食事が終わった。

  「あー、もう食べられないよ。ゲーップ!」

  栗田くんは大きなげっぷをした。

  「永雄、レストランでげっぷするなんてお行儀が悪いわ。」

  「ごめんなさい。でもこんなに食べたんだもん。げっぷが出てもおかしくないよ。」

  恥ずかしそうに言い、膨らんだお腹を軽く叩いた。

  「ふう、満足満足!」

  阿蓮くんもお腹を大きく膨らませている。

  「お腹いっぱい…ってこんなに食べちゃったよ!ああ、これじゃまた体重が増えちゃう…」

  「まあいいじゃないか。パパみたいに力士を目指したらどうだ?」

  「だから、ぼくは太りたくないのに!」

  五十嵐兄弟もパンパンのお腹を撫でた。腹掛けがまくれ、出べそが覗いている。

  「玲貴、何がうまかったか?俺は寿司とハンバーグとチャーハンだな。」

  「ぼくはケーキとドーナツとアイスクリームと柏餅とメロンソーダと…」

  「玲貴、デザートばっかじゃねえか!」

  「アイスクリームなんか20種類全部食べたからね!」

  「お腹壊すぞ。」

  「大丈夫。ヤマアラシは強いんだよ!」

  3組の家族は店を出た。空は暗くなっているが、駅の周辺は明るい。

  「兄ちゃん、お腹が重くて歩きにくいね。」

  「いいじゃないか。景色がゆっくり見られるぞ。」

  しばらく歩いてから振り返ると、キャッスル・オブ・フードはライトアップされていた。

  「幻想的だね…また来たいな。」

  栗田くんがつぶやいた。

  住宅街に入り、しばらく歩いた所で保良一家と別れた。

  「今日はじっくり話ができて良かったです。またいつかお会いしましょう。」

  さらに歩いて、栗田一家とも別れた。

  「五十嵐くん、また相撲部で会おうね!」

  「栗田、連休終わって時間があればうちに来いよ!」

  「それならクロテンドースイッチで遊ぼうね!うちから持ってくから。」

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  [chapter:五十嵐家の夜]

  五十嵐一家も帰宅した。玲貴くんは家に入ると、すぐ腹掛け1枚になった。

  「父ちゃん、最高に楽しい食事だったぜ!ありがとな!」

  「喜んでくれて嬉しいよ。玲貴はどうだ?」

  「ぼくも最高だったよ…あれ?」

  玲貴くんのお腹がゴロゴロと鳴った。

  「ううっ、お、お腹が痛い!トイレトイレ!」

  彼はトイレに駆け込んだ。

  「やっぱりアイスクリームの食べ過ぎがこたえたか…」

  呆れ気味に言う棘郎くん。

  10分ほどして玲貴くんはトイレから出た。入る前と比べて、お腹は明らかに小さくなっている。

  「ふう、やっと落ち着いた…」

  「玲貴、大丈夫か?」

  「なんとかね。あんなに食べたのにこうなるなんて、なんか損した気分…」

  「そうか。これからは冷たい物の食べ過ぎに気をつけろよ。」

  その後2匹は風呂に入り、両親より早く布団へ。

  「父ちゃん、母ちゃん、お休み。」

  「よく眠れよ。」

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  布団に入った後も、2匹は話している。

  「玲貴、今日は楽しかったな。」

  「そうだね。ぼくはお腹壊しちゃったけど…」

  「まあいいじゃないか。何が楽しかったか?」

  「松江ちゃんのバイオリンと、夕食かな。」

  「俺も松江が来るなんて思わなかったぜ。夕食も最高だったな。」

  「明日も楽しい1日にしようね。」

  「そうだな、玲貴。ゴールデンウィークはまだ残ってるからな。」

  2匹はいつしか眠りに落ちた。

  [chapter:おしまい]