台風の朝

  「…ん……」

  目が覚めた。

  雨が、降っている。

  雨音に混じって何処かで、雷鳴が響く。

  身体が勝手に反応して、震えた。

  そんな微かな動きに気付いて、隣で眠っていた千秋さんが目を覚ます。

  多分この人の中には、俺のためのセンサーが張り巡らされている。

  だから、本能的に守らなきゃと目を覚ますのだろう。

  …愛おしい。

  狂おしいほど。

  チュ…チュ……

  千秋さんに被さるようにしてキスをすると、千秋さんは緩やかに応じる。

  「……今朝はご機嫌なんだね、貴和」

  まるでいつもは不機嫌、みたいな言い方。

  俺が軽く千秋さんの唇を噛むと、千秋さんはそんな俺の歯に舌を添わせる。

  「……ぁ」

  自然と開いた口の中に千秋さんの舌が侵入してきて、ふ、あ、と声が漏れる。

  気持ちいい。

  ふわふわとして、幸せで、このまま溶けてしまいそうだ。

  「ん、っ貴和、いい子だね」

  千秋さんはそう言って俺の頭を撫でた。

  もうキスはないの?

  そう強請るように見つめれば、千秋さんは少しだけ口角を上げる。

  「朝から、あんまり煽っちゃダメだよ、貴和

  最近休み取れてなかったでしょ

  ちゃんと休まないとね」

  千秋さんはそう言って、俺をベッドに引き倒した。

  トントンとリズム良くお腹を叩く大きな手。

  ゆっくりと寝かしつけられて、微睡みに解けていく。

  さぁもう一度、おやすみなさい。

  END