その7にゃん:みおとアホ毛と時々子猫

  「みおちゃんってさー、しっかり者の割りには私みたいにアホ毛があるよねー」

  ランチタイムの時間、ふとねこちゃんがこんな事を言いました。

  「そういえばアホ毛だ☆ みおちゃんはアホの子だ☆」

  「アホの子って……まあいいけどさ」

  「いつの間にかこんなにしっかり者になっちゃって」

  「おに……じゃなくて、たまちゃんがしっかりしないからでしょ?」

  みおちゃんはねこちゃんの言う通り、しっかり者なのに常にアホ毛を立てています。

  このアホ毛だけはどうやっても直らないようで、もはやみおちゃんのトレードマークのうちみたいなものです。

  (そういえば、みおも少し前までは……)

  みおちゃんはかつお節おにぎりを食べながら、思い出に浸っていました。

  [newpage]

  「今日は暑いなー」

  それはまだみおちゃんが猫少女になる前の事。

  とても今のみおちゃんからは考えられないくらい、彼女は抜けている子でした。

  「暑いー、アイスでも食ーべよっと」

  みおちゃんは冷凍庫から棒アイスを出します。

  「これこれ! このピーチアイスが美味しいんだよね☆」

  アイスを手にしたみおちゃんは上機嫌です。

  早速袋を開けてピーチアイスをペロペロ、ペロペロと舐めます。

  最初はアイスも大きいので、舐めていても大丈夫でしたが……。

  『ポトッ』

  「あー! みおのアイスが落ちたー……」

  抜けているみおちゃんは、何も考えずアイスを舐めていたが為に落としてしまいました。

  バランス良く舐めず、真ん中から半分が大分残っている状態で落としてしまったアイス。

  そのアイスを見てみおちゃんは……。

  「……そっか! これはみおにもう1つ食べろと言う事なんだね!? よーし、もう1個食べちゃおー☆」

  みおちゃんは2つ目のアイスを出して、再びペロペロします。

  『ポトッ』

  「あ……ま、いっか!」

  結局、最後は同じ事を繰り返すのでした。

  そして別の日、チョココロネがおやつでご機嫌なみおちゃん。

  みおちゃんは上からチョココロネに噛りつきます。

  「わーい、ちょこここねー、いただきまーす!」

  『にゅっ』

  するとチョコが押し出されてスカートに垂れてしまい、みおちゃんはスカートを汚してしまいました。

  「あ、みおのチョコー!」

  スカートの汚れよりも、チョコの事を残念がるみおちゃん……。

  「……ま、いいや! 舐めちゃえ☆」

  みおちゃんはスカートに垂れたチョコを指に付けると、ペロペロと舐めてしまいました。

  「ちょこここねおいしいなー!」

  チョココロネの事も「ちょこここね」と言っていたみおちゃん。

  これ程までに少し前のみおちゃんは抜けていたのです。

  [newpage]

  しかしある日……お兄ちゃんは女の子になってしまいました。

  「みお、助けて! どうすればいいか分からないー!」

  「お兄ちゃん大丈夫ー? どうしたのー?」

  「トイレ行きたいけどどうすれば! どうすればああああー……」

  「もうお兄ちゃんったらー、少しは落ち着きなよー。座って出すだけだよー?」

  「そんな事分かってるけどー……」

  女の子に成り立てのたまちゃんは混乱する事も多く、次第にみおちゃんはお兄ちゃんをリードするようになります。

  「こんな下着穿けないよー!」

  「大丈夫だよー、ほら、慣れちゃえば結構可愛いでしょー?」

  「で、でも……」

  「えへへー、お兄ちゃんとお揃いだねー」

  「やだよー、恥ずかしい……」

  「じゃあ一生下着無しでいる? そうもいかないでしょー?」

  「それはそうだけど……」

  みおちゃんはお兄ちゃんに頼られる機会が多くなりつつありました。

  「ほら、お兄ちゃん。もう1回言ってみて?」

  「あ……あたし」

  「声が小さい! もう一度!」

  「あたし……」

  「恥ずかしがらないで! 女の子はこれが普通なんだから! さ、しっかりファイトだよ。フレー! フレー!」

  「あたし……あたしは! たまちゃんです!」

  「言えたじゃない。お兄ちゃん、やればできるんだから」

  お兄ちゃんのお目付け役となったみおちゃんは、自然としっかり者になったのです。

  いつの間にか以前のような抜けている感じはなくなり、物事も冷静に判断できるようになりました。

  今のみおちゃんは女の子のたまちゃんが作り上げた、と言っても過言ではありません。

  [newpage]

  「今日はこれ持ってきたんだー。私、好きなんだー。チョココロネ♪」

  ねこちゃんはお弁当を食べ終えると、チョココロネを取り出しました。

  「あ、ちょこここね……」

  「ちょこここねじゃないよー、私、ここねだよー。こっちはチョコのコロネ♪」

  「あ、ごめんねここねちゃん。みお、チョココロネの事をちょこここねって言ってたのを思い出して」

  「へえー、何だか以外だねー。みおちゃんでもそういう時があったんだねー」

  「つい先日まではそうだったんだ」

  「えー、本当にー? でも私、転入前のみおちゃんは知らないものねー。前は大分違ったのー?」

  「うん、色々あって今はこんな感じに落ち着いたけどね」

  「さっき、たまちゃんがいつの間にかしっかり者になったって言ってたよねー。前は抜けてたのかなー?」

  「うん、かなりね」

  「そうだったんだー、ほんと意外だよー。でもみおちゃんがアホ毛なのも、何だか納得できたかなー」

  ねこちゃんはみおちゃんが抜けていた事を知り、納得したようです。

  「チョココロネ頂きー☆」

  「バリアー! これだけは絶対渡さないんだからねー!?」

  「今、一瞬猫少女のバリアが見えたような!?」

  「ここねちゃん、ちょこここねに対する執念が凄い……」

  それ程ねこちゃんは必死にチョココロネを守ったのでしょう。

  「みやも食べるんだもんー! チョココロネ貰うもんー!」

  「うるさい。黙れ。殺されたいのか」

  「ねこちゃん、怖い……」

  「こ、ここねちゃん……」

  ねこちゃんは割りとマジな顔をして言いましたが……すぐいつもの顔に戻りました。

  「いいよいいよ! チョココロネくれないならみやは卵焼きガチ勢だもん☆」

  みやちゃんはねこちゃんの分まで卵焼きをもぐもぐします。

  「あたし、ちょっとトイレに行ってくるね」

  「うん、いっといれー」

  「卵焼きむしゃむしゃ☆」

  たまちゃんはトイレへ行くと言い、一旦席を立ちました。

  『じーっ』

  (あれ、また視線が……にこちゃん?)

  「みおちゃん、どうしたのー?」

  「今、視線を感じてね。最近ほんとに多いな、何なのだろう?」

  視線の正体は恐らくにこちゃんです。

  やはりにこちゃんはみやちゃんを警戒しているのでしょうか?

  「でももう居ないみたいだよ!? 卵焼きぱくぱく☆」

  「え、もう居ない……? あ、ほんとだ。視線感じないや」

  「たまちゃんが居る間、誰かが見ていたのかなー? もしかしてストーカーさんー? だとしたら……私がたまちゃんを守らないと!」

  「え、ちょっとここねちゃん。多分視線はにこちゃんで……って、もう居ない!?」

  ねこちゃんはチョココロネを口に押し込みながら、凄い速さで校舎方面へ向かいます。

  遠くから「魔法猫少女ー」と言うねこちゃんの声が聞こえてきました。

  「ここねちゃん、やっぱり猫少女なんだよね……って、早く追い掛けないと! 何だかハチャメチャな事になりそうな予感が……」

  「卵焼きもぐもぐ☆」

  みおちゃんはみやちゃんが猫少女と分かっているので、お構いなしにこの場で変身します。

  「魔法猫少女! 始動!」

  「みおちゃん、みやと遊んでくれるの!? じゃあみやも☆」

  みやちゃんは一瞬でパッと変身しました。

  「と、とりあえずみやちゃんも一緒に来て!」

  「えー、みや、まだ卵焼き食べてるんだけどー! 遊ぶにしても食べ終わってからだよね!? ぷんぷん!」

  「明日もっといっぱい作って来てあげるから、ね?」

  「みや、分かった☆」

  みやちゃんはあっさりと取引きに応じました。

  「ここねちゃんが何か勘違いしているようだから、まずはねこちゃんを捜さないと」

  「でもどうせ視線ってにこちゃんでしょ!? みや、知ってるもん!」

  「うん、そうだと思うけど……」

  「でも何でたまちゃんが居なくなった途端、視線が途切れたのかな? かな!?」

  みやちゃんに言われて、みおちゃんはハッとしました。

  (もしかしてにこちゃんが見ていたのは……お兄ちゃん!? もしかしてにこちゃんも、お兄ちゃんの事を狙ってる!?)

  みおちゃんはにこちゃんも、お兄ちゃんに対してそういう感情を抱いているのではないかと思ったようです。

  ねこちゃんと姉妹……いや、兄妹ならば、同じ相手に恋心を抱いても何ら不思議ではありません。

  (にこちゃん、断定はできないけど……みおの知っているにこちゃん、と言う可能性もあるもの)

  「みおちゃん! みや、どうすればいいかな!?」

  「みおはここねちゃんとたまちゃんを捜すから、みやちゃんはにこちゃんが居たらマークしておいて!」

  「おっけー☆」

  「じゃあ宜しくね、みやちゃん」

  今回は珍しくみやちゃんとの共同戦線です。

  「あれ、ところでマークってどういう意味だろう!? ……ま、いいや☆」

  みやちゃんはマーク、の意味を良く分かっていないようでした……。

  [newpage]

  「お兄ちゃんを見つければ、自然とここねちゃんも見つかると思うから……とりあえず、お兄ちゃんだね」

  みおちゃんはアホ毛に全お兄ちゃん愛を集中させます。

  するとアホ毛が何かを受信したかのようにピクピク動き、みおちゃんに行くべき方向を示します。

  「アホ毛センサーが反応してるわ!」

  何とみおちゃんのアホ毛は、お兄ちゃん専用センサーとしての役割りも果たすのです。

  みおちゃんはお兄ちゃん愛をアホ毛に転移する事により、センサー能力をフルに発揮できるのです。

  猫少女だとこういう変な力(?)も使えちゃうようなのです。

  「お兄ちゃんは……あれ、中庭方面? トイレに行ったんじゃ……はっ、まさか!」

  みおちゃんはねこちゃんかにこちゃんに拉致られた可能性、を考えました。

  「お兄ちゃん、どっちかに捕まって誰も居ない所へ連れて行かれちゃったんじゃ……例えば体育館裏とか!」

  みおちゃんはみおちゃんなりの「最悪の事態」を予想していました。

  「だってお兄ちゃん可愛いし、何されちゃってもおかしくないもの。お兄ちゃん……お兄ちゃん……かわいい……!」

  みおちゃんは1人で目をギラギラさせながら、悦に浸っていました。

  周りを横切って行く学園の生徒達が、変な目で見ている事にすらも気付かず……。

  「……はっ! 悦に浸っている場合じゃなかった。お兄ちゃんを助けないと! きっと今頃助けてにゃんー……って言ってるに違いない!」

  みおちゃんはアホ毛センサーをピクピクさせながら、アホ毛の示す方向へ向かいます。

  校舎から再び中庭へ出て、アホ毛センサーの示すまま奥の方へ向かって行くと……。

  「やあ、みおちゃん」

  「はっ! にこちゃん!?」

  中庭の途中でにこちゃんに遭遇しました。

  にこちゃんはたまちゃんと一緒ではなかったようで、みおちゃんは少しホッとします。

  「ねえ、たまちゃん見掛けなかった?」

  「たまちゃんならあっちの方へ行ったよ」

  にこちゃんとアホ毛センサーの示す方向は一致しています。

  恐らくにこちゃんがたまちゃんを見掛けた、と言うのは本当なのでしょう。

  「じーっ」

  (にこちゃんもたまちゃんの行った方を見てる……やっぱりたまちゃんの事を狙ってる!?)

  「あのね、みおちゃん。実はたまちゃんはね」

  「にこちゃん、そうはいかないからね!? たまちゃんはみおだけを愛しているんだもん!」

  「へ?」

  みおちゃんはたまちゃんを捜して、アホ毛センサーの示す方へ走って行きました。

  「みおちゃん、もしかして暴走してる? 妹は僕が守る!」

  にこちゃんはそれっぽいポーズをしながら、キリッとして言いました。

  「って、感じなのかな……虚しい。面倒事に巻き込まれるのは嫌だし、今回僕はもう離脱するよ」

  にこちゃんは去って行きました。

  [newpage]

  「そういえばみやちゃん、にこちゃんに会わなかったのかな? マークしておいてって言ったのに」

  みやちゃんの動向が気になりつつも、みおちゃんはお兄ちゃん捜しを続けます。

  「何だかアホ毛が不調……センサーを使い過ぎたかな」

  みおちゃんは少し抜けた感じの表情になってしまいました。

  「たまちゃーん」

  「そんにゃ……にゃんで、ねこちゃん……」

  「はっ!? 2人の声!? もしかしてここねちゃん、みおを出し抜いちゃった!?」

  ねこちゃんは一体たまちゃんに何をしているのでしょうか?

  体育館裏から2人の声が聞こえてきます。

  「たまちゃんはみおのものなんだからー!」

  みおちゃんはアホ毛をシャキーンとさせながら、体育館裏へ飛び込みます。

  「ふぇっ!? みおちゃん、どうしたのー!?」

  ハートのアホ毛をピクピクさせながら、猫少女のねこちゃんが驚いた表情をします。

  「みお、どうしたんだにゃん? 良くここに居るのが分かったにゃん」

  「え、あれ……猫?」

  2人の元には猫少女……ではなく、1匹の小さな猫が居ました。

  「たまちゃんが猫ちゃんの声を聞きつけてー、それでここへ来てみたら怪我をしてたんだってー」

  「あ、だからたまちゃん、変身してるんだ……」

  声を良く察知する為、きっとたまちゃんは猫少女に変身したのでしょう。

  「でも何かさっき、たまちゃんの嫌がるような声が聞こえなかった? にゃんで、ねこちゃんって」

  「あー、それねー。どうもねー、たまちゃんったら私の付けた名前が嫌みたいでー」

  「名前? この猫に名前を付けたの?」

  「たまちゃんみたいに可愛い子猫ちゃんだからー、たまちゃんって名前にしたんだよー。そしたらたまちゃんが嫌がってー」

  「さっきのにゃんでって、そういう事なの……」

  別に2人が変な事をしていた訳ではなく、全てはみおちゃんの早とちりでした。

  「にゃんであたしの名前にゃの……」

  「それはねー」

  「愛って事かにゃ……はっ、言ってる場合じゃにゃかったにゃ。みお、この子の怪我をにゃおしてあげられにゃいかにゃん?」

  「たまちゃんの怪我を?」

  「あたしじゃにゃいにゃん……この子だにゃん」

  「たまちゃんだよね?」

  「そうだよー」

  名前の事を否定する猫少女のたまちゃん、一方肯定したがるチョココロネのねこちゃん。

  「可愛いからいいじゃん、たまちゃんで」

  「みおまでそういう事言うのかにゃあ……」

  「とりあえずパッパとやっちゃうよ? 痛いの飛んでけー」

  みおちゃんは子猫に治癒魔法を使います。

  するとみるみるうちに子猫の怪我は無くなり、あっと言う間に元気になりました。

  「みゃあー」

  「猫ちゃん、元気ににゃったにゃあ」

  「きっとありがとーって言ってるのかなー」

  「あたし達、猫少女にゃのに猫語は分からにゃいのよね……」

  「猫少女だからって、猫の言葉が分かる訳ではないみたいね」

  「その子、みおちゃんの事をママって言ってるよ!」

  「みやちゃん!? 急に出てきたからビックリした……猫の言葉、分かるの?」

  どうやらみやちゃんが言うには……。

  「うん! みや、分かるみたい☆」

  彼女は猫の言葉が分かる、との事です。

  「時々思うけど、みやちゃんって一体何者なんだろう……」

  「みやはみやだよ?」

  「そういう意味じゃなくて……うん、まあ深く考えたらダメなのかな」

  「みやちゃん、この猫ちゃんに攻撃しちゃダメにゃからね!?」

  「分かってるよ☆ 子猫は守るべき存在だもん!」

  あの色々と無茶苦茶なみやちゃんでさえも、子猫は「守るべき存在」だと分かっているようです。

  「みゃあー、みゃあー!」

  「ママー、ご飯ちょーだい! って言ってるよ!?」

  「ほんとにママって言ってるのかな……ちょっと疑問。みお、何か食べ物持ってくるね」

  みおちゃんはランチの場所に戻り、すぐに卵焼きの残りを持ってきました。

  「あ、卵って猫にあげても大丈夫なのかな?」

  「大丈夫だよ☆ 生卵じゃなければ食べられるからね! アレルギー反応が出ると困るから、様子見しながら少しずつあげるといいよ☆」

  「何だかみやちゃん、凄く詳しい……」

  当たり前のように、猫に関する知識を発揮するみやちゃん。

  みやちゃんはもしかして、それ程猫好きなのでしょうか?

  「ほら、お食べ。良く噛んで食べるんだよ」

  「ぱくっ、もぐもぐ……むしゃむしゃ」

  「食べてるー、たまちゃん可愛いー」

  「にゃんだかおにゃじにゃまえにされて複雑だにゃあ……」

  (そういえば……何だか昔、こうやってこんな感じで猫に卵焼きをあげてたような……)

  みおちゃんは何だかこんな光景に覚えがある、と感じているようです。

  他の猫にも卵焼きをあげた事があったのでしょうか?

  (それに何だかこの子、すっごく見覚えがあるような……気のせいかな)

  みおちゃんは何かが頭から出掛かっているような、そんなもやもやした感じを覚えていましたが……。

  「……うん、多分気のせいだよね」

  「みゃあー!」

  「これすっごく美味しい☆ だってさ!」

  「美味しいの? 良かった、猫でも美味しいって分かるんだね」

  「みゃあー、みゃあー」

  「かつおダシが利いていてすっごく好み、また食べたいなー、って言ってるよ! と言う訳でみやもぱくぱく☆」

  「あ! みやちゃん、少しは残しておいてよね?」

  「みやちゃんはほんとに卵焼きガチ勢だにゃあ」

  「私もやっぱり食べたくなっちゃったー……みおちゃん、貰ってもいーい?」

  「勿論だよ、ここねちゃん」

  「ちょこここねじゃないよー、ここねだよー」

  ねこちゃんはもしかして、チョココロネガチ勢なのでしょうか?

  「知ってるよ。でもねこちゃんじゃなかったっけ?」

  「あ、そういえばそうだったっけ……まあ卵焼き美味しいしー、何かもうどうでもいいかなー」

  「ここねちゃん、気持ちがブレてるよ……」

  みおちゃんの卵焼きは、正体を隠す気持ちすらもブレさせてしまう程の美味しさです。

  「満足満足☆」

  みやちゃんはお腹いっぱいになったようで、草の上に寝そべってしまいました。

  「みやちゃん、猫じゃないんだから。服、汚れちゃうよ」

  「一応猫だよ!? 猫少女だもん☆」

  「まあ間違ってはいないけどさ……」

  「みゃあー、みゃあー」

  「ママ、またねーだって! この子、帰るみたいだよ!」

  みやちゃんがそう言うと、子猫は本当にその場を去って行ってしまいました。

  「またねー」

  ねこちゃんは子猫に手を振ります。

  「みやちゃん、本当に言葉分かるんだ……」

  「みやちゃんは時々不思議だにゃあ」

  「さ、食後の運動に付き合ってもらうよ☆ みやと遊んでっ☆」

  「え、また戦うの!? 奇襲は止めてって言ったのに……」

  「奇襲じゃないよ☆ 食後の運動の遊びだよ!」

  みやちゃんにとっては、本当にあくまで遊びらしいです。

  「面倒だにゃあ、にゃんでいちいち戦わにゃくちゃにゃらにゃいんだにゃん……」

  「みやちゃんはそういう子だから……通訳で少しは助けられたし、仕方ないか。付き合ってあげるよ」

  「でもこっちは3人揃ってるんだけどねー、みやちゃんそれでも戦うのー?」

  「あれ、2人じゃないの? へっぽこのたまちゃん、人数に入れてるの!?」

  「へっぽこ言うにゃー!」

  その後みおちゃん達は戦いましたが、結局みやちゃんは3体1で勝てずまた試合放棄な結果で終わりました。