その6にゃん:目に見えない真実

  翌日、みおちゃんはいつも通り教室へ入ります。

  するとちょうどその直後、にこちゃんが入って来ました。

  「みーおちゃん、おはよぉ」

  「おはよう、にこちゃん」

  昨日現れた魔法猫少女のにこちゃん。

  物理で戦うその姿に驚かされながらも、みおちゃんの事を守ってくれた強い猫少女。

  にこちゃんと同じ名前だったのが気掛かりで、みおちゃんは隣の席のにこちゃんに探りを入れます。

  「ねえ、にこちゃん」

  「なぁに? みおちゃーん」

  「にこちゃんって、みおの卵焼き食べた事あったかな?」

  「えー、無いと思うよぉ? でも僕も食べてみたいなぁ、ねこちゃん、すっごく美味しいって言ってたものぉ」

  「そっか、ここねちゃん美味しいって言ってくれてたんだ。嬉しいな」

  ねこちゃんにも卵焼きは好評だったようで、つい嬉しくなってしまったみおちゃん。

  でもにこちゃんは卵焼きを食べた事が無いようです。

  (他に何か共通点は……どっちもにこちゃんだけど、あまりにも性格からして違い過ぎるもの。本当に同一人物なのかな。あ、そういえば)

  みおちゃんは2人の共通点を見つけたようで、にこちゃんに聞きます。

  「そういえばさ、にこちゃんって自分の事を僕って言うよね。何か理由でもあるの?」

  猫少女のにこちゃんが「僕」と言っていた事を思い出し、みおちゃんはそこに食いつきます。

  「うんー、だって僕はぁ、男の子だもんー」

  「そっか、にこちゃんって男の子だったんだ」

  にこちゃんからは当たり前のように、このような反応が返ってきました。

  「って、嘘ー!? にこちゃんが男の子!?」

  「あれぇ? みおちゃん知らなかったのぉ?」

  「は、初耳だけど……そういえばみおのクラス、隣の席は全員男子だよね……何でみおだけ女の子なのかなって思ってたけど……」

  にこちゃんが男の子だった、と言うならば納得です。

  「うん、男の子だよぉ」

  「女子の余り、じゃなかったんだ……」

  ショートツインテで花の髪留めが似合う、可愛い天使のようなにこちゃん。

  髪の毛はサラサラで、隣の席に座っているとシャンプーの良い香りがして、スカートもとても似合っています。

  「男の子だったなんて……いや、待って、この場合は男の娘と言うべきなのかな……」

  にこちゃんの普段の様子からして、とてもただの女装男子とは思えない。

  そう考えたみおちゃんは、きっとにこちゃんは男の娘なのだろうと思ったようです。

  「え、でもプールの着替えの時、女子のスク水だったよね? 体育もブルマだよね?」

  「うん、そうだよぉ」

  「えっと、女子更衣室で着替えてたよね!?」

  「そうだよぉ」

  「トイレも時々一緒に女子トイレへ行ってるよね!?」

  「そうだったねぇ」

  「……ごめん、頭の中がフリーズしそう」

  「嘘だと思うならねこちゃんに聞いてみればぁ?」

  普段冷静に物事を考えられるみおちゃんでも、さすがにこれには驚きを超えて衝撃的でした。

  

  「みおちゃーん、大丈夫ぅ?」

  みおちゃんは少しの間、ぽかーんと固まっていた後……。

  「……ご、ごめんね? いきなり男の娘だなんて言われて戸惑っちゃって」

  「みおちゃーん、もしかして僕の事ぉ、嫌いになったぁ?」

  「そんな事は無い。うん、無いけど……今まで通りの付き合い方でいいのかな……」

  「大丈夫だよぉ。僕、見ての通り、性別以外は女の子と同じみたいなものだからさぁ」

  「……ちなみにトイレとかお着替えとか、それって学園公認なの?」

  みおちゃんは衝撃の事実を知りつつも、結局猫少女のにこちゃんの事は分かりませんでした。

  [newpage]

  「と、言う事があってね。にこちゃんが男の娘だったなんて……」

  ランチタイムの時間、みおちゃんは今朝の出来事を皆に話しました。

  「うん、そうだよー。にこちゃんはー女の子なんだよー」

  「ねこちゃん、言ってる事がおかしい気がする……でもあたしもビックリだよ」

  姉妹……いや、兄妹のねこちゃんがこう言うくらいなので、にこちゃんが言ってた通り性別以外は女の子と同じ、と言うのは本当のようです。

  ねこちゃんはにこちゃんの事を「女の子側」として認識しているみたいです。

  「そっかそっか☆ にこちゃんって男の娘だったんだ! でもおかしいな、昨日戦った猫少女のにこちゃんは女の子だったのにな!?」

  「みやちゃん、卵焼きちゃんと作るからもう襲撃は止めてよね……って、みやちゃん? 今、何て言った?」

  「卵焼きうまうま☆」

  「それじゃなくて……と言うかそれ、言ってないよね?」

  「あ! またあたしのお弁当から勝手に卵焼き取ってる!」

  今日もみおちゃんの卵焼きは大好評のようです。

  「だからー、猫少女のにこちゃんは間違いなく女の子だったよ!? みや、猫少女の性別は間違いなく分かるんだもの☆」

  「たまちゃん、みやちゃんの言っている事本当かな?」

  「うーん……案外、みやちゃんなら本当に分かりそうな気がするかも」

  根拠はともかくとして、もしみやちゃんが本当の事を言っていたとすれば。

  人間のにこちゃんは男の娘、猫少女のにこちゃんは女の子で性別が矛盾します。

  「やっぱり、猫少女のにこちゃんとは別人なのかな……」

  「んー? みおちゃん、にこちゃんが猫少女だって思ってるのー? まさかそんな訳ないよー」

  「うん、そう……なのかな」

  「ねえねえ! ねこちゃんは何で猫少女の事隠すの!?」

  「みやちゃん、こりゃまたストレートな……」

  たまちゃんも驚くくらい、みやちゃんはストレートに聞きました。

  みおちゃん達はねこちゃんが猫少女を隠す理由について、追及するのを止めたのです。

  「えー? 一体何の事かなー?」

  ねこちゃんはやはり素直に認める筈もなく、相変わらずトボけます。

  「まあいっか! 卵焼きぺろぺろ☆」

  「ちょ、みやちゃんペロペロしてお行儀悪いよ……」

  『じーっ』

  (はっ……また視線? 屋上……の方じゃないよね。違う、何処からだろう……)

  みおちゃんは最近、誰かの視線を感じる事が多いです。

  (万が一だけどストーカーだったりするとやだな……一応、はっきり突き止めた方がいいのかも)

  みおちゃんは意を決して、視線の正体を突き止める事にしました。

  「みお、ちょっとトイレに行ってくるね」

  「うん、いっといれー」

  「卵焼きもう無い☆ みやの卵焼きはー!?」

  「全部胃袋の中だよ、みやちゃん……」

  「たまちゃんも、トイレ一緒に行こ?」

  「え、あたしは大丈夫」

  「いいから、着いてきて」

  みおちゃんはトイレに行くと言う事にして、強引にたまちゃんを引っ張って皆の元を離れます。

  たまちゃんはみおちゃんの様子に何か異変を感じたのか、とりあえず着いて行く事にしました。

  [newpage]

  「みお、どうしたの? トイレ……じゃない、よね?」

  「ここなら大丈夫だよね。お兄ちゃん、変身するよ。魔法猫少女! 始動!」

  「え、急に変身だなんてどうしたの?」

  たまちゃんは良く状況が呑み込めず、訳が分からないようです。

  「いいから早く。急いで」

  「分かったよ……魔法猫少女! 始動だにゃん!」

  たまちゃんも呪文を唱えて、2人共変身を終えました。

  「お兄ちゃん、着いてきて」

  「うん、分かったにゃん。でも一体どうしたんだにゃん? みやちゃんはあそこに居るのににゃあ……?」

  「お兄ちゃん、さっきの話聞いてたでしょ? 猫少女にこちゃんの話」

  「うん、にゃかにゃか反応するタイミングがにゃかったけど、ちゃんと聞いてたにゃ。新たにゃ子が現れたんだ?」

  「そうなんだよ。昨日みおの事を守ってくれたんだけど、はっきりと味方かどうかも分からなくて……」

  「それで、にゃんで変身したんだにゃん?」

  「また視線を感じて。その正体を突き止めようと思うんだ。猫少女の状態でならばきっと分かる筈」

  「何が分かるんだい? 猫少女のみおちゃん」

  「にゃあ!?」

  みおちゃんは真後ろから急に声を掛けられて、まるでたまちゃんのような驚き方をしてしまいました。

  「凄い声で鳴くんだね、みおちゃん」

  「にこちゃん……? ビ、ビックリした……全く気配が分からなかった」

  猫少女の身体能力であれば、本来気配が分からないなんてありえない事なのです。

  それにも関わらず、にこちゃんは全く気配を出さずに真後ろへ来ていたようで……。

  「そんなにビックリしたかい?」

  「心臓止まるかと思ったよ……」

  「……良かったね、まだ心臓が動いてて」

  「え、どういう事……」

  「さあ、何だろう。こっちのお話さ」

  にこちゃんは良く分からない事を言いました。

  「あにゃたが猫少女のにこちゃんにゃんだにゃん?」

  「うん、そうだけど」

  「あたし、たまちゃんだにゃん。初めましてだにゃん。にゃんか昨日はみおの事を守ってくれたようで、ありがとだにゃん」

  「初めまして、か……そっか」

  「え、あたしと何処かで会った事、あるのかにゃん?」

  「……さあ、どうだろう」

  「たまちゃん、会った事あるの? ないよね?」

  にこちゃんはまるで初対面ではないみたいな、良く分からない反応を示します。

  「にゃい筈にゃけど……」

  「そうだよね? ところでにこちゃん、さっきからずっとこの辺りに居た?」

  「さあ、どうだろう」

  「否定はしないんだね。もしかしてにこちゃん、ずっとみおの事を見てた?」

  「みおちゃんは見てないよ」

  「みおの事、は見てないの? じゃあみお以外を見てたの?」

  みおちゃんはにこちゃんの言い方に何かが引っ掛かるようで、にこちゃんに聞き返しました。

  「さあ、どうだろう」

  「もしかしてそれ、誤魔化しなの?」

  「みおちゃん、その……いや、あの子は危ないよ」

  「それ、昨日も言ってたよね」

  「あの子って誰の事にゃんだにゃん? みやちゃんかにゃん?」

  「さあ、どうだろう」

  「えっと、誤魔化し? それとも否定はしないって事……?」

  みおちゃんはにこちゃんの反応が良く分かりません。

  どうやら誤魔化しているようですが、みやちゃんと言う事について肯定もしていないのです。

  「僕はただ、奴を警戒しているだけなんだ。いつ奴が襲ってくるか分からないから」

  「奴? にこちゃんの言ってるあの子の事?」

  「うん、あの子……奴さ」

  どうやらにこちゃんがこの場に居る事、言動などからして、視線の正体はほぼにこちゃんで間違いないようです。

  しかしにこちゃんが一体何を見ていたのか、そこまではみおちゃんにも分かりません。

  「奴って一体誰にゃんだにゃん?」

  「……たまちゃんが知る必要はないよ」

  「にゃんで? あたし、正義の魔法猫少女にゃんだにゃん。悪い奴が居るにゃらば、あたし達がやっつけちゃうんだにゃん」

  「正義、ねえ……そっか、正義なんだね。たまちゃんは」

  「うん、正義の魔法猫少女だにゃ!」

  にこちゃんはまるで聞き流すかのような反応をします。

  「ねえ、みおちゃん」

  「何?」

  「学園の屋上が気になるの?」

  「え、何で?」

  「そっちの方を見ているように見えたから」

  にこちゃんに言われて、みおちゃんはハッとしました。

  「何でみお、屋上の方を見ていたのだろう……」

  自分自身でも理由が分からないようです。

  「みおちゃんには、何か見えるのかな?」

  「いや、別に何も見えないけど……何でもないと思う」

  「何故そう言い切れるの?」

  「何故、って言われても……」

  みおちゃんはにこちゃんに聞かれ、少し返答に困ってしまったようです。

  「みお、屋上ににゃにかあるのかにゃん?」

  「何も無いよ」

  「みおちゃん、あのね、真実は目に見えているものだけじゃない……言い換えれば、目に見えない真実もあるんだよ」

  「にこちゃん、どういう事?」

  「そうだね、常識が通用しない場合もある、と言えば分かりやすいかい?」

  「にこちゃん、にゃんだか難しい事を言うんにゃね」

  「そうかな。たまちゃんにも係わる事だと思うけどね」

  「そうにゃの?」

  「さあ、どうだろう」

  にこちゃんは自分で言っておいて、何だか誤魔化すような反応をしました。

  「にこちゃん、聞いてもいい?」

  「うん、何だい?」

  「にこちゃんは……あのみおの知っているにこちゃん、なの?」

  「僕、昨日言ったよね。一体いつ誰が猫少女は皆人間が変身している、って決めたのかな? って」

  「つまり、にこちゃんはみおの知っているにこちゃんではない、と言いたいの?」

  「さあ、どうだろう」

  「……どっちなの? みお、分からないよ」

  にこちゃんはどうやら、本当の事を話す気はないようです。

  みおちゃんにもねこちゃんの時とは違い、本当のところはどうなのかはっきりと分かりません。

  「ねえにこちゃん、にこちゃんの正体の本当の事は分からないけど……みお達、同じ猫少女同士だよね。悪を倒したいなら一緒に協力しようよ」

  「さて、長居は無用かな。僕はそろそろこれで」

  「あ、待って! にこちゃんは……みおの味方なの? どうなの……?」

  「……さあ、どうだろう」

  「味方とは言ってくれないの?」

  「僕は悪の存在を警戒しているだけだよ。そこに敵も味方も関係ないよ」

  にこちゃんはそう言い残し、その場を去ってしまいます。

  「にこちゃん、あの子にゃんだったんだにゃん?」

  「にこちゃん……」

  みおちゃんはにこちゃんに対して、はっきり味方だと答えてくれなかった事が引っ掛かるようです。

  (にこちゃんは一体何者なんだろう……みおの事、見てたのは間違いないと思うんだけど……みおじゃないとすれば、何を見てたの?)

  新たに現れた魔法猫少女のにこちゃん。

  みおちゃんはにこちゃんに関して行動から考えまで、何から何まで分からない事だらけで頭が混乱しそうでした。

  「お兄ちゃん、とりあえず戻ろっか」

  「うん、お弁当の残りを食べるにゃ」

  みおちゃん達はランチタイムの場へ戻ります。

  [newpage]

  「ただいまにゃん」

  「お待たせ。戻ったよ」

  「おかえりー……って、あれ? 猫少女のたまちゃんとみおちゃんー?」

  「あ……」

  みおちゃん達はついうっかりしてしまい、変身を解くのを忘れたまま戻ってきてしまいました。

  みおちゃんも先程の事で、大分頭が混乱していたのでしょう。

  「珍しいね☆ 猫少女のまま今のみやと会うなんて☆」

  「みやちゃん、それはもうみやちゃんも猫少女と認めてる、と捉えていいのかな?」

  「うん、いいんじゃないかな!?」

  みやちゃんは呪文すらも唱えずに、猫少女の姿へ変身しました。

  「ね、あっと言う間にこの通り☆」

  「まあ何て言うか、みやちゃんは隠す気なさそうだなって分かってたけどさ……いざ潔く見せられるとちょっと拍子抜けしちゃうね」

  「まあでもすっきりしたにゃん。あとはねこちゃんだけだにゃん」

  「ちょっとたまちゃん、ここねちゃんの事は……」

  「ああーん、猫少女のたまちゃん可愛いー。ぎゅーってしていーい? 私、このお胸でたまちゃんの事包み込みたかったんだー」

  「え、は、恥ずかしいにゃ……」

  「あ、そうだよね、ごめんね……それに私も抑えないとなんだ、そう、抑えないと……」

  ねこちゃんは何だかぶつぶつと言っています……。

  「……よし、大丈夫。じゃあ皆でご飯食べようかー」

  「もう卵焼き無いのに!?」

  「みお達はまだ食べ終わってないから……」

  「みやつまんない! せっかくの変身ついでだし、食後の運動がてらみやと遊んでっ☆」

  「え、戦えって事かにゃ!?」

  「みお、まだおにぎり残ってるんだけど……暴れられても困るし仕方ないな。ここねちゃん、おにぎり食べる?」

  みおちゃんはまだ口を付けていないおにぎりを、ここねちゃんに差し出しました。

  「具は何かなー?」

  「焼き鮭だよ。みおが程良い塩加減にしたからすっごく美味しいよ」

  「よし、取引成立だよー」

  ねこちゃんは即決でみおちゃんのおにぎりを貰いました。

  「鮭おにぎりうまうまー」

  「ねこちゃんまでもみやちゃんみたいににゃってるにゃ……」

  「大好物を目の前にすると、皆こうなっちゃうのかな」

  「さあたまちゃん達、みやと遊んでもらうよ☆」

  「分かったから、とりあえず人の居ない広い所へ移動してからね?」

  果たしてたまちゃん達はご近所の平和を守っているのやら……ともかく、みやちゃんと広い校庭で遊ぶ事になりました。

  「皆行っちゃったー。焼き鮭おにぎりうまうまー……やっぱり、私も一応行った方がいいのかなー?」

  ねこちゃんは急いで鮭おにぎりを食べ終えると、皆の後を追い掛けました。

  [newpage]

  「たまちゃんは渡さないんだから☆」

  「そういえばみやちゃん、何でたまちゃんを倒そうとしてたんだっけ……」

  どうやらみおちゃんは、みやちゃんの当初の目的も忘れかけていたようです。

  「みおちゃんには関係ないよ☆」

  「うん、まあ遊びとは言ってもみやちゃんの事だから……」

  「行くよ☆」

  『ちゅどーん!』

  「バリア!」

  みおちゃんの思った通り、みやちゃんは容赦ない攻撃をしてきます。

  しかしみやちゃんにとっては、本当に「遊びのつもり」なのでしょうか。

  「食後の運動にちょうどいいね☆ みや、もっと遊んじゃうよ☆」

  『ちゅどーん! どーん!』

  「バリア!」

  「えいにゃん! えいにゃん!」

  『パーン! パーン!』

  「たまちゃんは相変わらず弱いね☆ 痛くも痒くもないよ!」

  「これじゃあバリアで攻撃できない……どうしよう」

  みおちゃんは困ってしまいました。

  みやちゃんは遊び感覚ですが、止めないときっと終わらないだろうと。

  みおちゃんはバリアを張ったままでは、攻撃できそうにありません。

  「バリアー! 2人共ー、バリアは私に任せてー」

  「やっぱり来たね、ねこちゃん☆ こうでもしないと猫少女で出て来てくれないと思ったんだ☆」

  「ふぇっ!? だ、だからー私はー……ああもう、分かりましたよ! 私、ここねですっ!」

  「認めちゃうんだ!?」

  何やら面倒くさくなってしまったのか、急にあっさりと認めてしまったねこちゃん。

  今まで正体を隠し通していたのは、一体何だったのでしょう……。

  「だなんて言うと思った!? 私、ここねじゃないからね!? 違うんだからね!?」

  「あらら……」

  「結局認めにゃいのかにゃ……でももう皆分かってると思うんだにゃ……」

  「違うんだってばー……」

  「ねこちゃんも往生際が悪いね! 何でそんなに隠したがるのかな? かな!?」

  「だからー、私は違うのー。元々のねこちゃんって言う猫少女なのよー」

  「嘘だ! ……よね☆」

  今日のみやちゃんは何故か、やたらねこちゃんにグイグイと行きます。

  「ま、いっか☆ とりあえず強いの撃つからね☆」

  『ドカーン!』

  「バリアー!」

  「あ、そういえば戦ってたんだにゃん……」

  「たまちゃん、忘れてないでしっかりしてよ……」

  「でも3対1って部が悪いよね!? ねこちゃんはバリアでみおちゃんが攻撃して……たまちゃんはみそっかすだけどさ!?」

  「みそっかすって酷いにゃ……」

  「みや、多分勝てないだろうから帰る! また今度遊んでね☆」

  みやちゃんは変身を解いて人間態に戻ると、何食わぬ顔で戻ってしまいました。

  「……でもさ、ここねちゃんに正体漏らしてるのに大丈夫って事は、ここねちゃんが猫少女なのは確定なんだよね」

  「そ、それは……もう追及しないでってばー……」

  「追及じゃなくてさ、もう皆分かってる事だから。せめて正体が言えない理由までは聞かないから、猫少女って事は認めようよ?」

  「だから私はー……」

  「じゃあ何でみおの上げた焼き鮭おにぎりの食べかす、口の周りに付いてるんだろうね?」

  「ふぇっ!?」

  ねこちゃんは皆を追い掛ける為、最後の方は急いで食べたようで……。

  「……私もたまたま食べてただけだから! 猫なんだし、鮭おにぎりくらい食べるでしょ!? 塩加減が効いてて美味しかったんだから!」

  ねこちゃんは誤魔化し気味に言いながら、戻ってしまいました。

  「……ねこちゃん、塩加減が効いてて美味しかったって言ってたにゃ。でもにゃんでここまで隠し通そうとするにゃ?」

  「さあ、何でだろう」

  「よっぽどにゃにか訳でもあるのかにゃん?」

  「さあ、どうだろう」

  「みお、にこちゃんの口癖が移ったにゃん?」

  「え、違うよ!? 無意識って怖い……」

  みおちゃんはどうやら、にこちゃんの言葉が頭に残ってしまったようです。