サンプル -13- ヤリモク掲示板での、出会い

  ―――気づいた時には、体がくるりと反転させられていた。

  『っわ、ちょっ――』

  次の瞬間には。

  頬が、胸元が冷たいコンクリ壁にグッと押し付けられて。

  驚いて振り返ろうとしたけど――すぐさま。

  俺の背後で気配が沈む。

  重い肉体が、俺の真後ろでしゃがみ込んだんだ。

  コツ、という音ひとつすら立てず。

  2メートル半の巨体が静かに膝を折って――……

  その重たい存在感をなるべく小さく丸め込む。

  『っ、な、なに……っ―――』

  恐る恐る視線を動かすと。

  中年雄熊の影が俺の背後でずっしりと根を張るように構えていた。

  しかもあの大きすぎる両手が今、

  俺のズボンのベルトに指をかけ―――ぐっと、引っかかる布の音。

  言葉も、視線も、反応もないまま。

  ヤツの手は俺のズボンを、パンツごと、

  ズるんっと一気に降ろしてしまう。

  『っ、ひぁ……―――』

  肌に夜気が当たって、その一瞬で"曝け出された"のがわかった。

  そして、なにより。

  羞恥よりも早く、自分の太腿の内側に熱っぽい空気が当たって。

  ああ、嫌でも分かってしまう。

  見られてる。

  嗅がれてる。

  中を"確認される"体勢にされてる。

  壁に凭れ、尻を突き出して。

  まだ触れられてないのに、

  吐息ひとつ聞こえてないのに、

  背後でしゃがみ込んだだけのその獣に、

  雄膣の奥が、もうずっと、ひくついてる。

  反射的に締まって、でも同時に、濡れ始めてて。

  それが、夜風と一緒に――

  自分にも香ってくるくらいだった。

  ああ、やばい。

  これ本当に"確認"だけで済むのかなって――頭では疑ってるのに、

  身体は、もう期待してる。

  「……なんだ。もう濡れてるんだな」

  ぼそっと漏れるような呆れ混じりの低い声。

  そのトーンがあまりに冷静で、

  逆に胸が、どくりと脈打った。

  『っ……ちが、いや、そういう……んじゃ……っ』

  慌てて口が動いた。

  いや、別に否定する必要なんてないんだけど。

  むしろ、いつもみたいに。

  適当にヤってサヨナラ、でもいいのに。

  なぜかコイツの前では緊張してる。

  まあ、そんな俺の声すらまるで聞き流してるみたいで。

  ヤツは短くて重たい、あのマズル。

  それをぐっと俺の尻の谷間に近づけてきて。

  そのゆっくりとした動きに期待して―――……

  『っ、ま、待―――』

  すん、すん……

  『っ、ひゃぃ♡』

  言いかけた言葉も、空気に消える。

  鼻先が、触れるか触れないかの距離。

  でもそこから。

  明らかに"吸っている"音が聞こえてくる♡

  ひとつ、吸って。

  大きく吸い込んだかと思えば、ゆっくりと吐かれて。

  そのたびに。

  俺の腰のひゅんと捩じれ。

  ナカが、奥が。

  びくんっと大きな反応をみせてしまう。

  そこに息を吹きかけられてるわけじゃない。

  舐められても、まだ触られてもいない。

  ただ"ニオイを嗅がれて"いるだけ。それだけなのに。

  『っ……くぅ、ぅ……っ』

  力が入らなくなって、

  太腿がじわじわ震え始める。

  見られてる。

  嗅がれてる。

  雄に"発情具合を確認"されてるだけのメスのように。

  俺のニオイを提供している♡

  しかも、それが。

  雄熊の形をした巨体で。

  どこまでも無表情で。

  まるで"この作業に慣れてる"かのように淡々とされるのがやばい♡

  羞恥? 恐怖? 興奮?

  どれでもあるし、どれでもない。

  でも確かに――

  下腹が、きゅううって疼いて。

  さっきより、もっと。

  奥がぬるぬると熱を持ってきてるのが、自分でもわかる。

  まるで"早く舐めて♡突っ込んで♡"って、

  そう俺の体がコイツに懇願してるみたいでムカツク。

  やばい。ほんとに、やばい。

  なのにまだ"深呼吸"しかされてない。

  この先、どこまでされるんだろう。

  どこまで"確認"されてしまうんだろう。

  どこまでそれを受け入れてしまうんだろう―――

  『ぁ、なぁ、おっ、ぉい……―――♡』

  やばい。ほんとにやばい。

  死にそう――

  恥ずかしくて、気持ちよすぎて、もう壊れそう。

  自分の足が震えてるのが分かる。

  膝が、言うことを聞かなくなってきてる。

  それでも、まだ彼は何もしてない。

  ただ後ろでしゃがんだまま。

  俺の尻を見つめ、鼻を動かすだけ。

  真顔で、無表情で、

  じとっとした目で俺の尻穴を見つめてる。

  ただそれだけのこと。

  もう耐えられない――そう思った、その時。

  ぬっ、と。

  ヤツの太くて逞しい右腕が動く。

  肘のあたりまで捲られた袖から見せる、無骨で、毛に覆われた腕。

  その手の指のうちの2本、人差し指と中指。

  その節ばった武骨な指が俺の尻穴のすぐそばに触れてきて――……♡

  ぐにゅっ

  『っひっ……!』

  びくっと肩が跳ねる。

  なのにヤツは表情をまったく変えず。

  そのままぐいっと。

  ―――まるでVサインでもするように。

  俺の尻穴を中心に、その。

  2本の指をぐっと左右に開いてみせる。

  そうすれば皮膚が押し退けられ。

  それに合わせて、自然と、穴が―――……

  『ぁあっ……っ♡』

  くぱぁって、開いてしまう♡

  「………ほぅ」

  夜の空気が、直接、内側に触れる。

  ――冷たいはずなのに。

  そこが熱を持ってるせいで背筋がゾワリと震える♡

  中が、見られてる。

  完全に、開いて、晒されて、

  もう隠せない。

  さっきまで"確認"って言葉にしがみついてたけど。

  これってもう、完全に"交尾の準備"じゃん♡

  それなのにコイツはまだ無表情のままでさ。

  俺の、無様にヒクつく穴の奥を見ながら、ただぼそっと。

  「……ふむ。狭すぎることはないな。奥も柔らかそうだ。悪くない」

  ―――はぁ?うそ♡

  評価されてる。俺のココ♡

  意味わかんね。

  なのにそれが妙に気持ち良すぎて、涙が滲んでくる。

  ほんの少し、ちょっと指で開かれただけなのに。

  ――それだけなのに。

  俺の中、きゅぅっと疼いて。

  "もっと見て"って勝手に奥が疼いて。

  とうとう――…

  愛液がぬるっと零れ出ていくのが分かってしまう♡

  ……最低だ。

  見られただけ、開かれただけ。

  それで反応してるなんて。

  今までにこんなの、あり得ないはずなのに。

  「ふん。これが男のオメガの……雄膣か。随分と濡れやすいんだな」

  ぼそりと低く落ちてきた声に、肩が震えた。

  その言葉――

  "オメガだから"なのか?

  "雄膣だから"なのか?

  それとも"俺だから"なのか。

  いろんな意味が含まれてるようで、

  でも、何ひとつ答えをくれないその声に、

  どう返していいかわからなくなる。

  『っ、ち、ちが……俺は、そういうんじゃ……―――♡』

  そう言おうとした唇が震える。

  だって。

  言い訳してるそばから内腿を愛液が這ってるのがわかるんだ。

  俺の中が、もうこの"確認作業"だけで、

  発情寸前みたいに出来上がってるの――…

  自分が一番、よく知ってる。

  けれどそんな俺の戸惑いなんて。

  まるでどうでもいいみたいに、

  ヤツは、ふっと鼻息をひとつ漏らして―――……

  「ここまで反応がいいと……孕ませやすいか」

  それが本気か冗談か、あるいはただの独り言なのか。

  でもその言い方は、

  俺のことを"肉体として"見てるのがはっきり伝わる声だった。

  自分の意思じゃなく。

  俺の性格でも、癖でもなく。

  ただ、単なる"雄膣というもの"の反応。

  孕むための器としての性質。

  単純に"そういったモノ"として解釈したかのような。

  そんなさらっと品物でも見るように評価した口ぶり。

  『っ……や、め……言わないで、そんな風に……♡』

  声が震える。

  でも、コイツはその声にも答えない。

  もはや、いや最初から。

  ―――言い訳すらこの人には"必要ない情報"なんだ。

  ―――――

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