サンプル -12- ムカつく幼馴染

  「……暑いな」

  独り言みたいにそう言ったかと思うと。

  おもむろに上着を脱ぎ始める白銀。

  ただそれだけの動作なのに――

  空気が変わった。

  それは比喩とかじゃなくて、物理的に。

  ニオイなのか、温度なのか、分からない。

  けれど―――

  明らかにむわっとした、脳が溶けそうな空気。

  『―――っ、ぁ、は……っ♡』

  息をするのが、苦しい。

  鼓動が速まって、辛い。

  これは、何?ヒートだから?

  今まで白銀を意識したことなんてないのに。

  コイツが少し動くたびに獣人特有の体臭を感じて肺が焼けそう。

  ダメだ、意識したら余計に、だから―――……

  ――ぎしっ

  熱にあてられたぐちゃぐちゃの思考を何とか反らせよう。

  そう努力する俺の目元を――

  何かが覆うようにスっと影が落ちたのに気付いて薄目を開ける。

  すると―――

  妙に近い、すぐそば。

  視線を上げればちょうど目の前で。

  白銀の巨体がこちらを見下ろす。

  『……、ぁ、は…な、に………っ♡』

  「………汗。拭いてやる」

  『ぃ、いい、よ…別に……♡』

  さらに半歩、近づくゴツデブな巨躯。

  俺は――無意識に息を止めていた。

  だってもう俺の体の芯はドロドロに溶けているんだから。

  それなのに―――――

  「…ほら。よ……―――」

  『ぁ―――♡』

  ばさっ、と掛け布団が剥ぎ取られ。

  小さく縮こまる俺が敷布団の上に取り残されれば―――

  熱に浮かされた身体が部屋の空気に触れる。

  それはまるでサウナ後の外気浴にも似た、感覚。

  『っ、ぃ、いい、ってのに……―――』

  「………ふん」

  モゾモゾとする俺と、それを視姦して無言でいる白銀。

  何をするでもなく、俺の布団の横でぼっ立ちで、

  数秒間の、無音。だけど―――

  「………ごく」

  『……―――っ、ぇ―――♡』

  ――今。

  明らかに白銀の"喉"が鳴った、そんな音が聞こえて。

  俺は耳を疑う。

  まさか、いやいや、というより状況的にマズい。

  呼吸も辛くて、頭ん中もぐちゃぐちゃなのに。

  妙な胸騒ぎを感じて――

  剥ぎ取られた掛け布団を取り返そうとしたその時。

  「ほら………足、上げろ」

  『な……―――は、ぇ―――♡』

  どすん、とその逞しすぎるゴツデブの巨躯で布団に上がり込み。

  俺の、スウェットを吐いた細い両太腿を鷲掴むや――

  ぐいっと押し上げるようにして俺の下半身を折り畳んでしまう白銀。

  つまりそれは―――

  『な―――ぁ、ぉ、おい……―――っ♡』

  ―――M字開脚。

  布団の上で正座をする白銀と、身体を2つに折り畳まれる俺。

  そんな構図が出来上がってしまえば――

  コイツの視線が、体臭が、ダイレクトに俺に降り注いてくる。

  「おら。汗、拭くから………ちょっと力抜け」

  『へ……は?――ぁ、ぇ♡』

  平然とした口調でそう言う白銀だが。

  明らかに――

  こんなの"汗を拭く"だけの体勢じゃないってのは、分かる。

  『な、こ、れ……っ、なん、で……―――っ♡』

  「………ふ」

  俺は必死に声を絞り出すが、もうそれどころじゃない。

  この体勢とこの状況で白銀に身体を拭かれるなんて―――

  そんなの絶対におかしいしあり得ない。

  ――しかも。

  コイツが今、ゴツい指をかけている俺のスウェットのゴム。

  もしそれが一気に引き下げるようなことでもしたら―――……

  じゅくじゅくと愛液が染み出ているアナルが丸出しになってしまう♡

  それだけは避けないといけない、なのに。

  『っ、は……や、め……――♡』

  「あ?聞こえねえ」

  俺の必死の訴えも空しく。

  仰向けで、身体を2つに折り畳まれて。

  尾てい骨のあたりが――

  すでにべろんと捲れ上がってしまっている俺の。

  異常に反応する下半身を守る砦でである、スウェット。

  そのゴムを白銀は。

  無情にもその太い指でぐっとずり下げ。そうして―――……

  ぐっ……―――ずるんっ

  『っ、ぁ"♡ま……―――♡』

  ―――意味、分かんねぇ。だって、今の俺♡

  ムカつく幼馴染の目の前でさ。

  ――マンぐり返し。

  そう呼ばれる姿を晒すことになって。

  『なに、すん、d―――』

  「………おぉ。すっげ」

  まるで"何か"に勘付いたような、いや最初から予知していたような。

  そんな、白銀の―――

  聞き馴染みのある一蹴するような、低い声。

  それと同時に。

  一瞬にして空気の濃さが一段と強くなったのが分かって。

  それは俺の下半身から漂うメスのニオイ――

  それが一気に充満した証拠だというのが嫌でも分かってしまう。

  だって。

  俺の尻の割れ目から漂う、愛液の濃厚でむせ返るような甘い香りが。

  自分でさえ分かるくらいにはっきりとオスに認識させてしまってる♡

  そんな屈辱と快感のダブルパンチを喰らった俺は。

  『っ、は……ぁ"♡これ、は……っ、ちが……くて……―――♡』

  しどろもどろになりながらも弁明しようと。

  ――自然と涙ぐんでしまっている目をぎゅっと瞑りながら。

  じゅくじゅくと染み出す愛液について誤魔化そうとする、のだが。

  「…すっげぇな、これ。酷い汗」

  『――ぇ、は、ぁ……―――♡』

  ―――分かっているのか、気付いていないのか。

  どっちがどっちだか分かりにくい声色で。

  白銀は俺のアナルをじろっと視姦しながらそう吐き捨てる。

  でも、そんなのも嘘に決まってると、分かる。

  だって"汗を拭く"とか言いながら下半身に手をやるなんて変だし。

  俺が、今。

  スウェットを下ろされて丸出しになっている尻の割れ目からは。

  ―――発情しきったメスの匂いがむんむんと漂っている訳だし♡

  折り畳まれてしまっている俺でも嫌というほど感じるくらいなのに。

  白銀は――

  まるで態度を変えず、興味なさげに。

  布団の上で正座する両膝を大きく拡げ、ケツを後方に突き出して。

  俺のアナルに顔を近づけるように―――……

  その巨体をぐっと前のめりにさせるや顔面を寄せてくると。

  あろうことか。

  細い目のままスンスンと鼻を鳴らしてソコを嗅ぎ始めて。

  『ぁ、ゃ―――だ、ぉい……―――♡』

  「あー……すげぇニオイ」

  ただただ、ボソっと。

  でも的確に俺の羞恥を煽ってくる言葉を漏らす、白銀。

  そしてついには―――――

  ふーっ♡

  『―――っ♡くぁっ、ぁ、はひ……―――っ♡』

  「……はは。すっげぇ、染み出てくんな」

  ゴツい白熊の、窄まった唇。

  ――そこから。

  ふぅ、と熱い息が噴きかかれば。

  それに釣られてじゅわっ、と溢れ出てしまう愛液。

  そんな無様な様子を観察して。

  野太い声が俺のケツの方から聞こえてくれば―――

  もういよいよ俺は羞恥と快感で訳が分からなくなる。

  こ、コイツ……っ♡

  絶対わざとだろ、と。

  そう確信に変わりつつも今の俺の体ではもうどうにもできないし。

  まさかこんなクソ野郎にクンニされるとか。

  ―――絶対、ありえねぇ♡

  『っ、ぉ、ま……はな、れろ……―――っ♡』

  「………あ?拭くって言ったろ」

  『ちが、っく、て……おねg―――』

  べろんっ♡

  『―――っ!?くぁぃ"っ♡』

  俺の必死の抵抗も虚しく。

  マンぐり返しの体勢で、スウェットをズリ下げられた俺の尻の。

  愛液に塗れたアナルの、割れ目。

  そこに顔面を埋めるように寄せた白銀の。

  分厚くてねっとりと熱を孕んだ舌が――まずは。

  ベロんとひと舐めなぞりあげていき。

  ―――瞬間。

  背筋を駆け上がるゾクリとした快楽の信号。

  それが俺の、ぐちゃぐちゃに溶けた脳みそをガツンと刺激して―――

  やば、めちゃくちゃ気持ちいいっ♡

  『―――は、ひっ♡ぃ、や"……―――♡』

  「ん?拭くだけだろが」

  そう言ってもう一度。

  今度はねっとりとアナルの皺を丁寧になぞるようにして。

  じゅるじゅるとわざとらしい音を奏でながら舐めあげる、白銀。

  そんな舌の表面にある無数の突起がアナルを擦るたび。

  ―――俺の脳髄にびりりと強い刺激が走る。

  やべ、すっげぇ気持ちいい♡

  こんなのおかしいの、なんで♡

  どうして、もうなにもかんがえられない♡

  『ぁ"っ、ゃ、らっ♡ィっぎそ―――♡』

  自分でも嘘だろ、と思う。

  だって――…

  たった数回、ゆっくりとした丁寧な動きで。

  舌の表面でアナルの皺をなぞりあげられただけなのに。

  それだけで。

  もうすでに俺の身体が絶頂へ駆け上がっていく、なんて。

  『―――はひっ♡ひ、ィぐっ♡ぁぁ"―――♡』

  ―――――

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