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ケンジとユイカ夫妻はガレージに来ていた。息子のヒナトにプレゼントする車を見にきたのだ。
「業者が置いてくれたはずが、ありゃ?」
「何よこれー、タイヤだけじゃない!」
ピンク色の毛に包まれたタイヤ4個だけが並べられていた。羊毛フェルトの手触りで、さわり心地はいいが実際の運転には向かなそうだ。
「クソが! 訴えてやる」
「ホント、マジないわ。あれ? あれあれ?」
何と、タイヤが彼女の手にくっついてしまったのだ。瞬間接着剤でくっつけたかのように全く剥がれない。
「ちょっと、これ取ってよ!」
「あんだぁ? 何遊んでんだよ?」
「違うって! 勝手にくっついたのよー」
「わかった、わかった。取っちゃる」
彼女が手を伸ばし、彼が思いっきり引っ張る。だが、学生時代はラグビー部の猛者だった彼の腕力でも、タイヤが全く剥がれない。彼は顔を赤くしてギブアップした。
その内に、他のタイヤも彼女の両手両足にくっついてしまった。
「いやぁー! 何よこれー!?」
「なに、何なんだ? わからん!」
戸惑う彼女の顔は次第に羊毛のようなふわふわした毛に包まれていく。目元は茶色で、口元は白色の毛が覆う。鼻がY字の模様になり、ヒクヒク動く。目はビーズのように真っ黒になり、小動物のようにせわしなく動く。ピアスをつけた耳は細長いだ円形になり、焦げ茶色の羊毛に覆われる。
手足が急速に短くなり、タイヤが胴体に近づく。胴体は車のように大きくなり、背中が茶色、腹が白色の部分に覆われた。彼女は立てなくなり、四足歩行の形態を取る。
「PUI PUI PUI?(私、どうなってんの?)」
もう、彼女は人間の言葉を発せない。突然の妻の異形化に、夫は声を失ってしまう。
彼女はハムスター状の車に変わってしまったのだ。
「おっ、モルカーじゃん! かっわいいー! ありがと、パパ!!」
ガレージに来たヒナトが顔をほころばせて、ユイカの頭を撫でる。彼女は満更でもないようで、目を細めてクークー鳴いている。
「モルカーって何だ?」
「知らねーのかよー、時代遅れだなー。モルモットの車がたくさん出てくるパペットアニメだぜ」
「パペットアニメ?」
旧世代のケンジの脳裏には、牛とカエルの人形を操る黒子のお笑い芸人の姿が浮かんだ。
「耳にピアスつけてるとか、シャレオツじゃん。ほんじゃあ、乗ってきまー」
「あっ、ちょっと待ちなさい!」
ヒナトは慣れた様子でモルカー(母)に乗り込み、シートベルトを着用する。
「おっ、ふっかふかー。再現度たけーなぁー」
「ヒナト! その車は母さんで――」
「出発進こー!!」
ヒナトはエンジンをかけて、モルカー(母)を走らせていく。遠ざかっていく妻の後ろ姿、ケンジはそのお尻を見る。もちっとした丸いお尻に、*の尻穴だ。普段は何の感情も湧かない小動物のお尻だが、それが妻のモノと思うと、急に彼の股間が興奮してきた。
「ユイカ、ユイカ、ユイガアアアアアアア!!」
彼が怪獣のごとく叫べば、鍾乳洞にぶら下がる鍾乳石みたくとげとげしくて硬い黒の陰茎が、ズボンを突き破って出てきた。上半身はブロリーもおったまげの筋肉が付いて、赤い鱗に覆われていく。背中からコウモリ状の翼、頭には2本の三角コーン状のツノが生え出す。
「グギャア、ギャア(力が湧いてくる……)」
彼の両脚はゾウのように太くなり、一歩進むだけで地面がへこむ。顔は馬みたく細長く伸び、鼻の穴が大きくなる。白目の部分が黒くなり、黒目が金色に変わり、猫の目のごとく縦に細くなる。口の中に収まらない牙は、サメも白旗を上げるほどの鋭さだ。
筋骨隆々のドラゴンになった彼は、鼻息で砂煙を起こして飛ぶと、妻と息子を追い始めた。
[newpage]
「フンフンフーン」
ヒナトは鼻歌交じりに運転を続ける。モルカー(母)はひっきりなしに四つのタイヤ足を動かしているが、そろそろ体力が尽きそうだ。涙を流して、口を半開きにしている。
「ガアアアアア!(ユイカ、追いついたぞ)」
ドラゴン(父)はモルカーの後部にしがみついて叫ぶ。そして、流れるように、自慢の巨砲をモルカーのアナルへぶち込んだ。
「うん? 何だ、これ?」
ヒナトの座席がもっこりと持ち上がる。後部座席から前にかけて、丸い棒状に盛り上がっている。その正体はドラゴン棒だが、彼はずっと前を見ているのでわからない。
「ガアア。グギャガアガア(我慢できん。ヤるぞ!)」
ドラゴンはドラゴン棒を激しく突いて、モルカーを揺らす。モルカーはでこぼこ道を走るように上下に揺れ出す。
「うわっ! 故障か?」
「PUI PUI ピー!!(いや~ん)」
切れかかったモルカーのエンジンが、段々と溜まっていく。彼女の黒目が大きくなり、タイヤの回転速度が上がっていく。
「うわああああ、止まらないよぉー!!」
「グワギャアアアアアアアア(進めー!)」
「ピュッピュッピュッPUI PUI(めっちゃたのしー!)」
元人間ドラゴン夫にセックスされた元人間モルカー妻は、体内に息子を乗せて、道路を爆走し続けた。
(終わり)
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