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犬ぞり部(釜蔵学園高校編)

  高校に入ったら、僕は、いやワイは変わるんや。

  

  今まで地味なマジメガネ君だったワイは、スーパー面白高校生になるのだ。

  そのために、お笑い番組をたくさん観たし、髪型も黒のスポーツ刈りから金のモヒカンに変えた。その不良風の髪型と不釣り合いな黒い丸縁の眼鏡のコーディネイトで、ヘンテコさを上げる。それで注目度も高まるってワケ。

  

  校風が「自由」な釜蔵学園に入学できたからには、思いっきり弾けるぞ! そう、ポップコーンみたいにね。

  

  

  人人人人

  

  

  入学式が終わったら、クラスで自己紹介の儀式が行われる。

  安藤君はもじもじ、井口さんは小声、伊藤亜子さんはだるそうに、伊藤鈴美さんはパリピな感じで、どんどん個性豊かな紹介が進んでいく。

  おっと、ワイの前の小野松君、アニメについて語り過ぎ。ここは短く印象に残るパターンの自己紹介にしよか。

  

  「はい、では次の人」

  先生に呼ばれたワイは、鳥の羽ばたきのごとく軽やかにかつ蜂の突き刺しのごとく素早く立つ。二番目の席のワイはきびすを返して、顔見世する。皆は不思議そうな顔つき。髪型はヤンキー、眼鏡ががり勉、さぁどっちでしょう?

  

  「どうもー、火事場のバカ力をいつも発揮するカジこと梶原景吾だすぅ。歌マネが得意なんで、ちょっと歌うで」

  女子に人気があるラムネポロンの「winter runner」を歌う。

  「走れ走れそりよー、雪が君を殺してもー、叫べ叫べ」

  透き通った歌声に酔う女子。

  だが、ここで全サビを歌ったらオチがないのでヤメだ。

  

  「はい。ここから先は課金しないと聴けまへーん」

  「えぇー。何よそれー」

  「お前はユーチューバ―かよ!」

  文句の声や笑い声。初めてのネタ披露なら、まずまずのスタートかな。

  

  「こんなワイですが、めっちゃよろしくやねん」

  ワザとらしいウインクも決まって、拍手喝采。

  よっしゃ! これで、中学時代の黒歴史とおさらば…、できなかった。

  

  「ワレェなめんとんかコラァ!?」

  教壇の先生もビビるほどの怒号。

  その声の持ち主は後ろにいて、にらみを利かす坊主頭だ。ワイと目があうとつばを飛ばす。

  「けったいな大阪弁使いよって! ケツの穴に指つっこんで、奥歯ガタガタ言わすぞダボォ!」

  「ふ、ふ、ふ、藤原君、お、落ち着きなさい」

  

  担任の先生が慌てて彼の席へ向かう。彼はムスッとした表情で口をつぐんだ。これにより、教室の空気は一気に絶対零度に低下してしまった。

  

  ワイのせいじゃないよな? たしかにおかしな大阪弁やけど、自分は埼玉出身だから、正しく使えないのはしたかないじゃんかよ。悪いのは過剰反応した藤原で、ワイは何の落ち度もない。

  しかし、これからふざけて喋る度に藤原に「インネン」をつけられそうな気がする。となれば、ワイの目論んでいた面白高校生伝説を築き上げることが出来なくなる。藤原を気にしない度量があれば……。もっと他の奴をいじりたいのに何も言えない。

  

  結局、僕は自分を変えられないまま、ホームルームが終わるまでちぢこまっているだけだった。

  

  

  

  [newpage]

  

  

  人人人人

  

  

  放課後のワイは、クラブ紹介の掲示板を隅々まで見ていた。中学時代の理科部という退屈な選択をしないよう、慎重に紹介分を熟読する。

  

  漫画研究会はイラストのキャラの目玉が顔からはみ出しているので、アウト。

  料理クラブはポスターの文字が女子力高いので、アウト。

  合唱部は全国クラスのレベルが要求されるので、アウト。

  自然愛好会は鳥の写真だけしか貼ってなくて気味が悪いので、アウト。

  

  ほとんどの文化系が全滅する中、一つだけ異彩を放つ部活のポスターがあった。

  

  男は黙って犬ぞり部!

  

  紹介分はそれだけ。下に小さく活動場所が書いてある。

  犬ぞり部だから、冬に犬ぞりの競争をするのだろうか。あまり体を使わなくて良さそうな点にプラス評価。

  

  さらに、紹介分の各文字の特徴が一つ一つ違っているのが面白い。「男」は筆がにじむほど力強く、「犬ぞり」は丁寧に書かれ、「!」は犬の肉球マークになっている。一人一人が違う文字を担当したのだと思う。部員の団結力にプラス評価。

  

  最終的な決め手は、犬とふれあえることだ。何を隠そう、ワイは家でプードルのペトラザ3世を飼っている。犬の扱いには慣れているし、一緒に遊ぶのが大好きだ。よって、犬とともに活動できる点にプラス評価。

  

  まぁ、お笑い研究会があったらそこに入っていたけど、残念ながらこの高校にはなかった。なので、プラス評価が多い犬ぞり部へ行こう。

  ワイは胸高らかに地下へ降りて、犬ぞり部の部室へ向かった。

  

  

  人人人人

  

  

  犬ぞり部の部室前は何やら小便臭い。部室で犬を飼っているのか。

  それはともかく、入室する前の第一印象はとても大事だ。

  高校時代のワイのキャラはどんなことにも動じない明るさと決まっている。スマイルマークが負ける顔でドアを開けて、先輩方に好印象を与えるのだ。

  

  手鏡で笑顔の練習してから入ろう。歯はうっすら見せて、口角を上げて、目尻のしわを作って、これで大丈夫や。

  教室のドアは3回ノック。トントントンとリズムを刻む。ドアノブを握ったら慎重に開けて、元気よくあいさつだ。

  「失礼します!」

  

  奥の窓側のベンチにコワモテのマッチョと天然パーマが座っていた。そのベンチ前には骨が散らばってイル。マッチョは太い眉を寄せ、天パーがうさんくさそうに目を細めてワイをにらむ。その恐ろしい雰囲気にのまれ、慌てて「すみません。間違えました」と小声で顔を引っこめてドアを閉めた。

  

  ドアから離れて廊下の窓にもたれ、そのままずり落ちて座りこむ。

  ああ、またやってしまった。何も怖がることはないのに、さっきの藤原がフラッシュバックして入れなかった。

  

  これじゃあ、このクラブに入りたいと言って、もう一度入ることが出来ない。僕は何てとんでもないことをしでかしてしまったんだ。

  やっぱり、僕はどんなに明るくふるまっても、根が怖がりで臆病者だ。どうあがいてもこんな性格だから、日の当たる場所にいられない。

  

  大きくため息をついて帰ろうとすると、茶髪の[[rb:精悍 > せいかん]]な顔立ちの人と顔を合わせた。

  「こんにちは」と、爽やかな微笑であいさつしてきた。ワイもとっさに返事する。三枚目のワイと違って、いかにも二枚目の人だ。ひょっとして犬ぞり部の人だろうか。

  

  「ねぇ。もしかして、君は犬ぞり部の入部希望者?」

  予想が当たった! しかし、さっきの怖い先輩の顔がチラついてすぐに「イエス」と言えない。弱い自分よ、出て行け。このチャンスをふいにしたら、一生負け犬や。いつ言うか、今やろ!?

  

  「はっ、はい! この犬ぞり部に興味あって」

  「マジで? 嬉しいっスねぇ。じゃ、一緒に入ろうか?」

  「ありがとうございます!」

  優しそうなこの人がいるなら、犬ぞり部でもやっていけそうだ。ワイは彼に続いて部室へ入る。

  

  「初日から来たっスよ、キャプテン!」

  彼はドアを開けるやいなや、嬉しそうに報告した。さっき見たマッチョが眉を上げて、ベンチから億劫そうに立ち上がる。

  「おう。やったな」

  顔面通りの低く響く声だ。隣の天パーはワイの元へと駈け寄ってきた。

  「あれぇー? 君さっき部室のぞいてなかったけぇ?」

  ほくろまみれの顔を近づけて、甲高い声で問いかけてくる。うう、マズいぞ。まさか、先輩達の顔が怖くて入りづらかったなんて言えやしない。

  

  「ちょっと待てよ。そういう細かいことは自己紹介の後にしろよな? あと、部室はきれいに使えって、いつも言ってんだろ。骨っこはちゃんと宝物箱に入れろよ、ヒッキー」

  「えへへ。ごめんねー」

  この先輩、顔も中身もイケメンだ。新入生の気づかいが上手い。ワイのおどおどしたクラス担任と大違い。ぜひともあなたにこっちのクラス担任になっていただきたい。

  

  「このイスに座ってゆっくりしてくれっス」

  イケメン氏はパイプイスを指差した。そのお言葉に甘えて、ワイはそのイスに腰かける。イスはちょっと不安定でグラグラしている。イスの根元を見ると、いくつもの引っかき傷がついている。中にはへっこんだ跡がある。どうやって、このパイプイスはボロボロになったんだろか?

  

  骨っこを片付け終わると、先輩方はベンチに座り、ワイと向き合う形になった。この三対一は入試の面接を思い出すな。

  「ほんじゃ、キャプテンからよろしくっス」

  イケメン氏が横目でマッチョ氏を見ると、彼はせきばらいしてから喋り出した。

  

  「北条正時。釜蔵学園の犬ぞり部主将。呼び名はキャプテン。よろしく」

  キャプテンはさっと手を差し出してきた。ワイはおずおずと握り返して握手する。肉厚でゴツゴツした手だった。

  

  「俺っちは[[rb:比企剛吉 > ひきたけよし]]で、みんなからヒッキーて呼ばれてるんだ。または釜蔵のポイントゲッターマンGO! 好きな方で呼んでくれ」

  天パー立てた親指で自らの胸を指した。この軽いノリはワイとキャラカブるやんけ、クッソ。

  

  「俺は畠山拓人。犬ぞり部の副キャプテンで色々知ってるから、困ったことがあれば何でも聞いてね。あと、皆からは拓さんと呼ばれてるっス」

  イケメン氏は相変わらず、清涼感たっぷりの笑みを浮かべている。このクラブで一番優しくて、絡みやすそうな方だと思う。

  

  3人の自己紹介が終われば、今度はワイの番だ。緊張するけど、さっきと同じ紹介をするぞ。

  「どうも、火事場のバカ力をいつでも発揮するカジこと梶原景吾どす。歌マネが上手いんで、ちょっと歌いま」

  ラムネポロンの「winter runner」を再び口ずさむ。

  「走れ走れそりよー、雪が君を殺してもー、叫べ叫べ」

  首をふってリズムを刻むヒッキーさん、口が半開きのキャプテン、少し笑い声をもらす拓さん、どの人も好反応だ。声の裏返りが起きる前に、ここでやめておこう。

  

  「はい。今日はここまでやねん」

  関西弁をナメんじゃねぇと怒られた時と違い、皆が笑顔で拍手してくれた。ヒッキーさんは立ち上がってヒューヒューと口笛を吹いている。

  

  「ブラボー。いやぁカジ君、まさか犬ぞり部にピッタリの曲歌いこなせるなんて、もう犬神様だ。すぐに犬ぞり行ってみよー!」

  「待てまて比企」

  「カジ君を歓迎するのが先だって」

  2人に止められた彼はしょんぼり頭を下げた。

  

  こんなに褒められるとは思ってもいなかったから、かなり体がほてっている。この人達なら、ワイの輝く高校生活のページをめくってくれそうだ。

  ヒッキーさんと拓さんは簡易テーブルを組み立て、その上にキャプテンがお菓子袋を開けてくれた。ポテトの香ばしい匂いが部屋中に満ちあふれて、ワイのつばが噴水みたいにたまっている。

  

  「さぁさぁ、どんどん食べてくれっス」

  拓さんにすすめられて、ポテチに手を伸ばそうとした。その時、部屋のドアが開いて、入浴剤の香りが鼻についてきた。せっかくジャンキーな雰囲気だったのに、ジャマしてきた奴は誰やねん。

  

  ふり返れば、ねずみ色の長髪のノッポが立っていた。武骨なキャプテンと違って、きゃしゃすぎる。ひざカックンしたら前のめりで倒れそう。

  「これはこれは。新入部員が入ってきたんだね?」

  「そうだよ。これからも仲良くしようね、ね?」

  ヒッキーさんはワイや先輩達の顔を順繰りにくいいるように見ていった。この人の挙動は一つ一つが「大げさ」だと思う。

  

  「ならば、僕の美しき体を見せようじゃないか」

  おもむろにノッポさんが制服を脱ぎ出してきた。ワイはポカン口でそれを見ていたが、他の先輩方はポテチを食べたり、半笑いのあきれ顔をしていたりで反応が薄い。彼はよく裸を見せたがるイタイ人ってことか。

  

  美しいと言ったくせに、腹の筋肉が割れていなかった。腕は引きしまっているが、全体的にガリガリだ。

  「僕が見せたいのは、この貧弱な手本の体ではない。凍てつく吹雪に負けない筋骨隆々の獣(ケダモノ)の体だ」

  「ケ、ケダモノ?」

  

  何のことかさっぱりわからないが、そのヒントとなる物を彼はカバンから取り出す。トナカイにつける大きな青のハーネスだ。ついにズボンも脱いでパンツ一丁になり、その上にハーネスを装着し始めた。

  「えっ、えっと、何をされているんですか?」

  「まぁ見てなって。百聞は一見に如かずだから」

  拓さんにそう言われて、ノッポの方を見ていた。

  ノッポがハーネスをつけると、体のあちこちに白い斑点が浮き出してきた。その斑点は何だろうと目をこらせば、白くて長い毛が密集しているようだ。

  

  動物じゃあるまいし、何で白い毛が飛び出ているのか。

  ワイは異様な光景に対して、目をパチクリさせるだけだった。

  

  [newpage]

  

  

  犬人人人人

  

  

  劇的な変化がまだ続いている。

  

  ノッポさんの上半身は、完全にクリーム色の毛におおわれてしまった。通常のムダ毛よりもかなり長くて密集している。何だか気味が悪いで。

  

  「ちょ、これ、大丈夫なんすか?」

  

  僕が言った束の間、ノッポがうめき出した。野犬の吠え声のようなうめき声。口元を手で押さえて苦しんでいる。

  

  ヒッキーさんは首を横に振って、ノッポの方に目くばせする。

  

  「和田様は狼男リスペクトしてるからオーバーなんだ、表現が」

  

  和田様と呼ばれたノッポが手を離したら、鼻まわりが黒ずみ、口と一緒に大きく突き出ていた。口元からチラッと犬歯がたくさん見えたような気がする。

  

  見た目が人間から遠ざかっている。これだけでも十分不安になるのに、さらに和田さんがさっきからウォンやグォンしか発していないことで、僕の胸が苦しくなる。人間の理性を失って襲って来やしないか。

  

  部室を見回したら、光沢のある黒いムチがあった。それでビシバシ叩いておとなしくさせ…、とても嫌だ!

  

  彼の耳は横に伸び、バラの花状に複雑な形を取る。吊り目の中の黒真珠が大きくなり、犬っぽくつぶらな瞳になる。顔にもみっちり毛が生えて、人の要素が全然ない。かろうじて、灰色の長髪がたてがみ状に残っている。

  

  目の前にいるのはハーネスをつけた細身の犬人間だった。

  

  「ウウウ…、起キタゾ」

  

  やっと日本語を喋ったと思ったら、目の焦点が合っていない。おまけによだれを垂らして牙をむき出している。僕の心臓から踏切のサイレンが聞こえる。

  

  「ウマソガキ…、喰ッテヤル!」

  「和田やめろ!」

  「カジは新入生だ!」

  

  先輩の制止をふりきって、僕の顔めがけて大きな口を開く。食べられたくない! とっさに浮かんだのは、急所(キ○タマ)蹴りだ!

  

  「ぐぉあ!?」

  濁った声を出して野獣が倒れこむ。このスキに逃げないと。僕がドアへ急いだら、ゴツい手で握りつぶそうに肩をつかまれた。

  

  「待てまて」

  「僕は犬じゃないから、待ちません!」

  

  つばを飛ばしたら先輩方がゲラゲラと腹をかかえて笑っている。北条さんも口元がゆるんじゃっている。一体どうしたことやら。

  

  「やりました。ドッキリ大成功っス!」

  拓さんがクラッカーを天井に放つ。

  ヒッキーさんはカメラで僕と犬人間を撮りまくっている。

  そして、野獣と化していた和田さんは髪の毛を手櫛でまっすぐに整えながら、ぶつぶつと文句を言っている。

  「まったく。男の勲章を蹴るとは、なんと美しくない攻撃だ。僕の秀麗な遺伝子が受け継がれなくなったら、どうするつもりだったのかい、本当に」

  

  全ては演技だったのか……?

  

  たしかに、今の和田さんは人間時と同じく「美」が全身からあふれだすクリーム色の犬だ。もふもふの毛並みはさわり心地が良さげだ。

  

  「和田様、中々の名演技だったぜ。去年の拓さんの1万倍上手かったって」

  「ヒッキー! せめて100倍ぐらいにしてほしいっス……」

  拓さんの情けない声で、皆がどっと笑う。そんなに演技が下手だったのか、イケメン氏は……。

  

  「しかし、[[rb:布留土 > ふるど]]先輩には勝てんな」

  「ああ、あのヒゲの布留土2世さんか。あれは別格なんだ」

  「えっと、布留土さんって誰ですか?」

  ワイが尋ねると、拓さんがホコリを出しながらゴソゴソと書類だらけの戸棚をあさり出した。

  

  「あったあった。この人が布留土さんっス」

  アルバムの写真には、長い口ヒゲの人物がダブルピースをしていた。口ヒゲの先端が丸まっていて、トランプの王様みたいだ。悔しいが、この個性的な人に笑いで勝てる自信がない。

  

  「布留土さんの父が凄い科学者で、ハーネスをつけることで人間を犬化させることに成功したんスよ。その成果を試すために息子につけた結果、和田様のような犬人間になったワケで、ほら、この写真見て」

  アロハシャツからハーネスをのぞかせるシェパード人間が写っている。犬になっても王様ヒゲが残っていて、おかしさを際立たせているな。

  

  「犬ぞり部は密かにブームになっていて、今じゃ男子は全国13校、女子は全国5校になっているんだ。この釜蔵学園は第1・2回大会連覇の実績があるけど、ここ数年優勝から遠ざかっていて……」

  「だから、君みたいに勢いがある面白い子がほしかったんス」

  「美しくないが、相手の意表を突く力から察するに、潜在能力は高いと思うよ」

  「うむ」

  キャプテンは口数が少ないが、さっきから鍵穴をのぞくかのごとくワイを見つめている。密かに実力を認めてくれているのかな。まさか好きになったということはないわな。

  

  さっきからの先輩達の話を総合すると、犬ぞり部は人口が少ないから優勝しやすいこと、犬に化けるという特殊性があることが魅力的だ。

  

  すなわち、スーパー面白高校生活が送れるということだ。

  個性豊かな先輩達に囲まれて、ちっとも退屈しそうにない。ワイの部活はもうここで決まりだ。

  そうと決めたら、犬に変身だ!

  

  「ありが、おおきにです、ほな、ワイを犬にしてください!」

  ワイが床に手をついてお願いすると、尻がムズがゆくなる。

  ふり返れば、和田さんがモップの尾で尻をこすっていたのだ。

  

  「犬と言っても、実は二種類あってね。このような犬人間型と…」

  和田さんが両手を床について四つんばいになる。彼が身を震わせると、両手のももが太くなると同時に空気が抜けた風船みたいに体が縮んでいく。

  

  最終的に街でよく見かける犬と同じ体型になる。ただし、灰色のたてがみは元のままだ。

  「す、スゴイ。ホンマの犬みたいですねぇ、和田さん」

  

  犬はしかめっ面で首を横に振る。

  「和田様と呼びなさいと言いたいみたいっスね」

  「あれ? この体型になると喋れないんだすか?」

  「四つ足になると普通の犬と同じく「ワン」や「クウン」しか言えなくなるよ。ただ、人並みの知能はそのままだから、意思疎通は出来るっス。ねぇ和田様?」

  拓さんが軽やかにウインクすると、和田様は鼻を鳴らして天井に向ける。

  

  「なるほど、で、和田様の犬種は何ですか?」

  「今の部員の中ではめっちゃ俊足のボルゾイだよ」

  「そうそう。今日も一日がんボルゾイってやつさ。ハイ、チーズ!」

  ヒッキーさんがしゃがんで、ボル田様とツーショット写真を撮り出した。

  

  「よぉーし。さぁ、本日のナイスショットは…、あれぇ?」

  デジカメの画面には、満面の笑みを浮かべた人の隣に目をつむって長い舌を出した犬。これはヒッキーさんを馬鹿にしてるな。

  「ちょっとぉ和田様。美しくないってベロ出しはー」

  ボル田様はヒッキーさんにそっぽを向いて知らんぷり。どうやら、この2人は相性が悪そうだ。

  

  「あのデコボココンビは放っておいて、早速変身してみようか。四つんばいが変身しやすいから、裸になったら四本足のポーズを取ってくれるかい?」

  「はい、お願いします」

  

  犬の姿になるのはちょっと怖いけど、面白そうだからやってみたい。

  できたら、不細工な犬じゃありませんように。

  

  

  犬人人人人

  

  

  ハーネスの色は赤と白のチェック柄を選んだ。紅白模様で縁起が良さそうだし。

  制服を脱ぐと貧弱なごぼうの体があらわになって、めっちゃ恥ずかしい。見た目からゴリマッチョなキャプテンが、蚊が飛ぶぐらいの小声で言った。

  「モヤシボディ……」

  

  何やら馬鹿にされた感があって歯がゆいぞ。もっと鍛えて他人に見せても誇れる体になりたいものだ。あれれ、ワイの高校生活の趣旨が変わってへんか? スーパー面白高校生になるのが目標やろ?

  

  パンツとメガネはつけたままハーネスをつけると体が引きしまって、大リーガー養成ギブスをつけている気になる。パッと立ち上がってボディビルダーのポーズを取ってみようか。

  いや、この体だからやめておこう。

  

  「これで変わり始めるはずっス」

  パンツをつけてるとはいえども、四つんばいになって誰かに見られているのは、人間としての[[rb:尊厳 > プライド]]を傷つけられる。

  できれば顔を合わせたくないのに、ボル田様がしきりに見てくる。もしワイが醜い犬になったらあざけ笑うんだろうな。うう、それは嫌だ。イケメンじゃなくていいので、せめてカワイイ系でお願いや、神様!

  

  突然の耳を引っ張られる痛み。きっとこれは耳の変化だ。耳がどんな形になるかで大体の見当がつけられる。

  おおん!

  今度は鼻がムズムズするぞ。耳と鼻の同時変化ってやつか?

  

  痛みとかゆさが収まると、心に余裕が出てきた。

  「先輩。ワイはどんな感じになってますか?」

  「よし、任せろ!」

  ヒッキーさんがデジカメで電光石火の撮影。この人は写真部に入った方が良かったんじゃないか。

  

  「今のカジ君の状態な」

  画面にはほっぺをおおう折れ耳と焦げた鼻まわりのワイが写っている。何という中途半端な変身だ。

  「何か気持ち悪いなぁ」

  「変身途中はそんなもんっス。初心者は10分ぐらいしたら完全なワンコになれるって。あの和田様のようにね」

  

  ボル田様は骨をくわえながら、戸棚のバラの臭いを嗅いでいる。上品な(?)犬のふりをしているのか、それとも天然か。

  「これ食べろ」

  キャプテンが唐揚げをワイの鼻先に突きだしてきた。手を使わずに食べるのって、たしか犬食い……。あっ、犬になるからいいのか。

  

  「あざっす、だす!」

  人の時は手を使って肉だけを口の中へ入れるが、今のワイは口だけで骨ごとかみくだける。硬い骨ごとかめば、肉の身や汁がいつもより口内に満ちて美味い。ヤッベ、これはクセになるぞ。

  

  体中に熱が満ちている。これで全身に毛が生えて、さらに顔まで包めば犬になれる。尻がさっきの鼻と同様にむずがゆくなってきた。

  

  [newpage]

  

  

  犬大人人人

  

  

  ハーネスをつけて10分後。ワイの変化は未だに耳と鼻先、尻尾のみにとどまっていた。

  尻尾はボル田様と同じフワフワ尻尾だ。色合いは彼より濃くて山吹色だろう。毛深い犬になることがわかっているのに、全身の変身が終わらない。じれったくて首をビュンビュン振る。

  

  「あれーおかしいなぁー」

  「人でもない犬でもない、まるで人面犬のような醜さだ」

  獣人型に戻った和田様はぬるい紅茶を優雅に飲んでいた。

  

  「やはり俺達が手伝ってあげた方が良さそうか。なら、キャプテンやヒッキーも一緒に変身するっス」

  「うむ」

  「オーケー」

  快い返事をした後、彼ら3人は裸になってワイの周りを取り囲んだ。かごめかごめの中の人のように、いやそれ以上の圧迫感だ。彼らはそれぞれのハーネスをつけていく。

  

  

  キャプテンの筋骨たくましい体には黒い毛がうっすら生えていく。胸筋と腹筋は土色、さらに口元も同じ色だ。太い眉は黒から茶に変色して、黒い海の小島と化す。三角状の耳は頭の上部で垂れ下がった。

  全体的に黒で、ところどころが土色のこの犬が何かわからない。ド―ベルマンならもうちょっとスラっとしているし、茶色が多いシェパードでもない。ただ、全体的にゴツいことはわかった。

  

  

  拓さんは白肌の細マッチョだと予想していたが、ゴリラの胸毛が生えて野性的だった。そんな彼の体にはクリーム色の毛が細々と生えていく。くせっ毛と同じあずき色が顔の上部に生えて、耳はピンと立つ。尻尾はマフラー状に巻いて生えてきた。

  丸顔であずき色の犬は見たことがある。柴犬だ。優しくてイケメンの拓さんにピッタリだ。人のなごりとして、胸毛だけ毛糸の帽子みたいにふんわりと前に出ている。

  

  

  ヒッキーさんは筋肉質でも肥満体型でもない「普通」の体型だった。彼がハーネスをつければ、白い毛が全身にうっすら生えていく。白い毛の上には墨汁のしみが出来ていった。顔のほくろは黒い斑点に変わる。白と黒のコントラストは牛みたいに鮮やかだ。

  こうして、彼は映画の主人公にもなったダルメシアンに変わった。黒の天然パーマが残っている以外は完全にダルメシアン獣人だ。やや黒が多くて美しさに欠ける。

  

  

  皆の変身を見ていたら、ワイの体のいたるところがチクチクと針で突き刺さってくる。その刺激が電気信号となって、頭からつま先まで伝えられる。

  

  「始まったな」

  「いよいよっス」

  「いぇい! たくさん撮りまくるぞー」

  「早く変わりたまえ」

  4人の犬獣人に囲まれた途端、ぼさぼさぼさと毛が伸び出す。体中が山吹色の毛に包まれていく。手足の関節が成長痛に! ヒトと違う関節になっているようだ。

  

  ふり返って体のラインにそっと流れる長毛を見ると、自分のもふもふに惚れ惚れだ。ひょっとして、今のワイは犬ぞり部史上最高にもふかわ系ちゃう?

  

  

  犬大犬犬犬

  

  

  「うーん。何で顔だけ人のままかなぁ」

  「センスがなさすぎるよ。もう」

  不満げな先輩の声を聞いて、前足で顔をさわってみる。

  ああ、まだか弱き人肌じゃないか!?

  

  結局、ワイはスーパー面白高校生にも、犬ぞり部にもなれへんのか。

  

  涙がにじんで前が見えない。僕はいつも不器用で、皆から笑い者にされるんだ。そんな運命なんだ。

  

  「泣くな」

  ワイのメガネを押し上げて、ぬめりあるものが湿った目をなめてきた。

  澄み切った視界にキャプテンの犬顔がある。

  

  「キャ、キャプテン、ぼ、ワイはどうしたら」

  「オン!」

  四つ足のキャプテンはそう吠えると、鼻と鼻をこすり合わせてきた。半開きになっていた僕の口へ彼の舌が入る。これはキスや……。

  

  初めてのキスは男同士で、犬臭くて、強引なのに、なぜか嬉しかった。

  早く変身しなきゃとか、面白くありたいとか、もうどうでもいいや。

  

  愛らしい、カッコいい、美しい犬達に囲まれて、今の僕は幸せだ。

  そう、ここは犬の花園。

  もう何も遠慮することはない。

  

  鼻と口が突き出して、顔中に毛がびっしり生えていく。顔が人から離れていく。やっと皆の仲間になれた。

  

  「ウォンウォンウォン!(変身終わりました)」

  皆からの祝福の言葉がかけられると思ったら、無機質なシャッター音が響くだけ。あれ、拓さんや和田様のお言葉は?

  

  お尻を何かがちょこちょこさわってきた。後ろを見たら、柴拓さんが尻の臭いを嗅いでいる。ちょ、そこはやめて下さい。

  尻尾で振り払おうとすれば、ボル田様が僕のハーネスをかんできた。その眼は憎しみがこもっていて、明らかに毛並みの美しさを妬んでいる。

  

  「和田っち、新人イジメは許されないんキャン!」

  ダルメッキ―さんがボル田様の体に飛びつく。腹を相手の背中にすり合わせて、舌丸出しのうっとり顔を見せる。ボル田様はハーネスから口を離し、馬乗り(犬乗り?)になったダルメッキ―さんに向かって吠えだす。

  

  やっと重荷が取れて自由になった僕は、柴拓さんと犬キャプテンとじゃれあう。柴拓さんは僕の毛のカーテンに顔をうずめる。僕は前足で犬キャプテンの体をさわってみる。おおう、鋼鉄の筋肉だ。

  

  犬キャプテンが一声鳴くと、唐揚げがつまったコンビニ袋を鼻で差す。ダルメッキ―さんが一目散に駆け出す。負けるもんか。僕も食べるぞ。

  

  袋から出た唐揚げを口で引きぬいて何とか2個まとめてゲット。唐揚げは骨ごと食べるのが一番だ。

  おや? 柴拓さんが犬キャプテンの首筋を嗅いている。いい匂いがしそうね。僕もやってみよう。ボル田様は敷居が高いので、ダルメッキ―さんとふれあってみる。

  唐揚げを食べて油断している所をガブリ!

  

  「キャウン」

  後ろの首筋を甘がみして臭いを嗅ぐ。ポテチの脂っこい臭いだなぁ。思ったとおり、そんないい匂いじゃない。

  僕にかまれた彼は、どことなく満ちあふれた顔を見せる。目を閉じて激しい吐息。この犬はドMのヘンタイなのか。

  

  ちょっと引いてしまう。

  が、よくよく考えてみれば、ホモっぽい犬キャプテン、匂いフェチの柴拓さん、鏡の自分に見とれるボル田様で、ヘンタイ犬だらけだ。

  

  犬ぞり部は元々そういう愉快な集まりなのだ。

  こんな犬達をまとめるのは一体誰なんだろう?

  

  

  [newpage]

  

  犬犬犬犬犬

  

  犬の姿で遊びまくっていたら、最終下校のお知らせが流れる頃になっていた。そろそろ人に戻らなきゃと思っても、犬キャプテンと柴拓さんが僕の腹を枕にしてあお向けに眠っていて、動くに動けないのだ。ダルメッキ―さんとボル田様も互いの尻の上に頭を乗せて眠っているし。

  

  助けが来てくれと思っていたら、軽快にドアが開いた。

  「帰る時間じゃ、荒犬どもぉ!」

  武将ばりのあごひげが目立つ先生だ。奥目をギョロつかせて、寝ている僕達を見渡す。僕と目があうとニカっと笑ってみせた。

  

  「新入部員はゴールデンレトリーバーか! 善きかなよきかな。よしよし、起きて記念写真を撮ろうぞ!」

  先生がいくら叫べど、柴拓さんがあくびするぐらいしか反応がない。とうとう先生は堪忍袋の緒が切れて、地団太を踏み始めた。

  おもむろにポケットから笛を取り出してプーッと吹く。

  

  突如として耳がちぎれる大音響。これ以上聞いていたら頭がパーンと割れちゃう。先輩達は起き上がって寝ぼけ頭を振って、「おすわり」のポーズを取る。僕も同じく「おすわり」する。

  

  「去年と同じく俺様をそりに乗せた写真を撮るぞ。新入生をメインに撮りたいから、レトリーバーの右横はボルゾイ和田、左横はロットワイラー北条な」

  先生がそう言うと、「おすわり」をし続ける僕の両隣にボル田様と犬キャプテンが移った。北条さんが変身した犬ってロットワイラーって言うのか。また検索してみよう。

  

  「よしよし。じゃ、北条の隣は柴犬畠山、和田の隣はダルメシアン比企だ。ハーネスをそりにつけるから、四本足で立ったままじっとしとけよ」

  後ろで何かがカチャカチャと鳴りだした。ボル田様を横目で見たら、前足でたてがみをかき上げてイル。犬になってもこの人はオシャレに写りたいのか、あっメガネを押し上げとこう。

  

  作業が終わると、先生は三脚の上にカメラを設置してボタンを押しまくっていた。

  「いかがかな? では、会心の表情を見せておくれよ!」

  先生があわてふためいて後ろへ行くと、背中が引っ張られる感じがした。そりの上に乗ったんだろう。

  

  会心の表情はどうしよう。変顔を作ろうにも手は使えないから…、目を丸くして舌を大きく出そう。とてもシンプルだけど、可愛く見えると思う。

  シャッター音が鳴ると、閃光が目を襲う。これで僕達は撮られた。ずっと立ちっ放しだったので、腹ばいになろうとしたら、

  「もう1枚いってみよー!」

  と、まだノリ気な先生の声である。もういいかげんにしてくれ。

  

  

  犬犬犬犬犬

  

  

  写真を撮り終えた先輩達が人に戻っていく。ぼ、ワイも人間時のイメージを描きながら、二本足で立とうとする。が、体が重すぎてすぐよろめいてしまう。

  「北条。一年生を支えてやれ」

  「はい」

  

  キャプテンがワイの体を抱え上げてきて、赤ちゃんを抱っこしたみたいになる。キャプテンの昭和な太眉と角刈りが接近して、思わず吹き出しそうになる。

  「これで後ろ足がつけるっス。さっき源野先生が言ってたように、いつもの自分を想像して」

  拓さんの言葉にしたがって、後ろ足を床につけていつもの自分を思い浮かべる。中学時代の自分は黒歴史、今日の藤原は思い出したくない。ならば、自分とペトラザ3世がじゃれあうイメージだ。

  

  そんなトコさわるなよペトちゃん。ああもう、またこんなところにウンチしちゃってぇ。お手がよく出来たねぇ。

  「かぁいいなぁペトちゃん」

  

  皆の視線がワイに集中している。

  ハッ! 想像力が高すぎて、自分の独り言を発してしまった。穴があったら入りたい。でも、人の言葉を喋ったということは元に戻れたのかな。

  

  「可愛いのはお前だ!」

  「先生、これ、ヤバいっスね……」

  「ケモショタ、ケモショタ、ケモショタ……」

  キャプテンが壊れたテープのように謎の単語を連呼している。ヒッキーさんはデジカメで連写の嵐だ。

  おそるおそる自分の体を確かめたら、獣人型よりも小さい三頭身の犬人間になっているじゃないかぁ!?

  

  「いかんいかん。僕よりも可愛い生き物がいるなんて、有り得る訳が、いや、だが、しかし、うーん」

  鼻をおさえて震える和田様はワイの今の姿に惚れてしまったのか。ハーネスを外したら元の姿に戻れるけど、今の彼らが許してくれそうにない。

  「先生が責任を持って彼を送り届けてあげようぞ」

  先生が僕の首筋と尻を取って軽々と持ち上げる。

  

  「俺がやる!」

  キャプテンが挙手すると、先輩達が口々に文句を言いだす。

  「いいや、俺っちにしか出来ないね!」

  「おい、ちょっと待てよ! そこはじゃんけんだろ!?」

  「醜い言い争いはやめないか?」

  

  かくして、ケモショタと化したワイをめぐって、激しい争奪戦が始まった。

  

  想像していた高校生活とちょっと(かなり)違うが、犬ぞり部は全くサイコーやで! そりを引くのが大変そうだと悪魔がささやいても、犬の天使がそいつを食べてくれた。

  目指せ全国一! そして、ワイはスーパーもふもふ高校生になる!!

  (お犬)

  

  [newpage]

  

  <登場人物紹介>

  

  梶原景吾(かじわらけいご)

  犬ぞり部1年。ゴールデン・レトリーバーに変身する。関西弁でお笑いキャラを目指しているが、実は根暗。

  

  

  北条正時(ほうじょうまさとき)

  犬ぞり部3年で主将。ロットワイラーに変身する。口数は少ないが頼りになる男。

  実は┌(┌^o^)┐ホモォ…

  

  畠山拓人(はたけやまたくと)

  犬ぞり部3年で副主将。柴犬に変身する。誰に対しても優しいが、調子に乗った者には厳しい態度を取る。バレンタインデーにチョコを89個もらったことがある。

  

  比企剛吉(ひきたたけよし)

  犬ぞり部2年。楽しいことなら何でもやりたいムードメーカー。和田のことが好きだが、実はクラブ唯一の彼女もち。

  

  和田義郎(わだよしろう)

  犬ぞり部2年。自分以外美しくないと考えるナルシスト。気にいった髪型にセットできなければ学校を休むほどの徹底ぶり。

  

  源野朝経(げんのともつね)

  犬ぞり部顧問&体育科の先生。豪快な性格で我が道を進む。根性論を出して多くの生徒にうとまれることもあるが、北条からは慕われている。

  

  藤原忠嗣(ふじわらただつぐ)

  野球部1年。関西からの特待生で快速球を投げる。まさか犬ぞり部に入ることになるとは

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