お迎えに上がりました。

  人は死ぬと、鈴に似た音が鳴る。

  その音が耳に入ると私はスーツに袖を通し、今しがた亡くなられた方をお迎えに上がる。

  サラリーマンのような風貌な私。死神だと説明するも中々信じてもらえない。そもそも人は、自身の死を信じようとしない。

  現世に未練を残してきた証拠だ。はたまた、地獄に落ちると分かっているから認めようとしない人もいる。

  また一つ、鈴に似た音が鳴る。

  その音に人は自身が亡くなったと自覚する。

  落ち着いてくれたところで、死後の生活についての説明を始める。

  私の仕事は地獄での暮らしを天国にし、天国での暮らしを地獄にしないようサポートする事。

  私の説明に、仮に地獄行きだとしても安堵感を覚える人は多い。

  納得して頂いたところで、鈴に似た音が鳴る。

  あの世へとお連れする時間だ。

  私はスーツを脱ぐと、それを相手に着せる。この人は今日から死神として働く。

  私は今日で定年退職。新たな生を受けるべく地上へと降りた。