チューリップ

  今年も庭にチューリップが咲き誇る。

  このチューリップ。管理をしているのは意外にも夫である。

  私と夫は幼馴染という奴で、両片思いという奴でもあった。

  夫は私に何とか恋心を気付かせようと考え、チューリップを使った。

  丁度あの頃、小学校の音楽のテストで「リコーダーでチューリップを演奏しろ」と言われていた。

  「本物を見ながらだと上手くなるぜ」

  自慢げにチューリップを吹く夫。

  私は夫の家に通い、チューリップの練習を続けた。わざと吹けないフリして、毎日通った。

  あの頃の夫は12本のチューリップを自慢していた。その花言葉を知ったのは10年後の事である。

  私が13本目のチューリップを渡すと肩を落とし、さらに5本追加した。

  それからも徐々に増えていき、私達が結婚する頃には108本ものチューリップが咲いていた。

  そのチューリップも今では99本。

  夫は「これが一番いいんだ」と言って、今日も口笛を吹きながら上機嫌で世話を続ける。