拍手喝采

  「鬼さんこちら。手の鳴る方へ」

  キーボードを叩く。

  目の前の画面に映るは人気配信者。私のライバルだった奴。

  嫉妬。これが醜い感情だとは分かっている。だけど止められない。

  僻み。理解していても文句を言わなければ心を保てない。

  私は汚い人間だ…だからつい、コメントを送ってしまった。

  『あんまり調子に乗っていると、鬼が来るよ』

  鬼。いい大人がこんな文言でビビるわけない。

  すぐに私のコメントは笑いに変えられた。みじめさに、涙が出そうになる。

  その時だ。画面の向こう、手を叩いて笑う配信者の姿が消えた。

  上がる悲鳴。ただ事ではない様子にコメント欄も大荒れだ。

  『本当に鬼が来たんじゃないか?』と打ち込んでやるとまさにお祭り騒ぎ。

  『手の鳴る方へ』『鬼出発!』『拍手禁止』

  荒れるコメントに私は大満足。思わず手を叩いて大喜び。…えっ?

  画面に鬼の姿が映し出される。

  鬼はモニターから太い腕を伸ばすと、私の頭を掴み握り潰した。