体育館から校歌が聞こえてくる。その歌声を背に受け、私は燃え盛る焼却炉を見つめていた。
本来なら私も参加すべき卒業式。だけど、私はあの中に入れない。
いじめによる不登校。あの中に加害者がいると思うと足がすくんでしまう。
だから卒業式には参加せず、声をかけてくれた用務員さんと焼却炉の炎を見つめている。
ここまで来て逃げ出すとは、本当に何やっているんだろう…こんな事なら来なければよかった…
「そうでもないさ。ここに来た事で君は今日を以て、この学校であった嫌な事から卒業できるんだ。ほら、見てごらん。炎がそんな君に拍手を送っているよ」
パチパチと小さく音を立てる炎。見つめていると心が落ち着いてくる。
「今燃えているのは、君が今日まで流してきた涙だ。拭う必要なんてないよ。全て、焼却炉に委ねるといい」
卒業式が終わる頃、焼却炉の炎も消えた。
それを見届け、帰路につく。涙を燃やした事で私の中で何か吹っ切れた気がした。