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この作品は「破裏拳ポリマー(新含む)」の設定・世界観をモチーフにしたIF系二次創作です。
(IFシチュ・フェチシチュメインでありストーリーはあくまでもベースです)
劇中の設定や演出には独自設定・独自解釈が含まれております。
世界を災厄から守る為に作り出されようとしていたポリマーシステム。
しかしその優れた技術を我が物としようとする者どもが狙いを付ける事は容易に予想のつく事であった。
そしてその極秘―だった研究所を犯罪組織の魔の手が襲おうとしていた。
厳重を極めていたはずのセキュリティは力尽くで破壊され残るは施設の中核とも言えるシステムの開発ブロックを残すのみ。
自らの運命が風前の灯火となっている事を感じた開発者のオレガー博士は助手である西田涼子だけでも逃がそうとしていたが彼女はその中で姿を消していた。
もちろん博士を置き去りにして一人逃げだそうとする為ではない。
怪しげな物体を抱きしめいずこへと無く駆けだしていたその瞳は強い意志に彩られていたからである。
そして彼女の姿は開発ブロックの奥のとある一室にあった。
「―やるしか……無いわね。」
迷っている暇などはなかった。こうしている間にもオレガー博士が最後の抵抗として張っているセキュリティは次々と破られている。
それが終われば博士、そして次は自分の番だ。
「最後の希望」は既にふさわしき者の手に託している。
その中に自分の込められるだけのメッセージは込めており仮にこの場で自分が倒れようとその者がその力を持って行動する時の支えとなるはずだ。
しかし……叶うのなら生きて、何らかの形で支えていければ。
だからこそ戦おう。この力をもって。
そんな思いをもって涼子は両腕に抱きしめていたその物体を手近な高さの場所に置く。
それは白いヘルメットだった。
一見どこにでもあるシンプルなデザインのフルフェイスヘルメット・しかしそれこそが―!
ふと涼子の瞳がそのヘルメットとアイコンタクトを交わした様に見えたがその瞬間、涼子は行動を起こした。
[newpage]
おもむろに身にまとっていた白衣に手をかけるとボタンが引きちぎれるのもかまわず一気に脱ぎ捨てる。
その下に着ていた赤いシャツをブラジャーごと引き上げるとその下から一気にやや小ぶりの膨らみを宿す上半身が露わになる。
普段のごく一般的な科学者としての冷静かつ理知的な気質を持つ彼女からは信じられないほど大胆な行動だがそれを気にしている余裕はない。
それを示す様に涼子はそのままタイトスカートの腰の部分に手をかけ引き下ろす。
これもまた全てを手にかけていた様で最後に履いていた靴を脱いだ時彼女はその細身の裸身を覆い隠す事無く露わにしていた。
ただそれだけなら錯乱状態に陥ったがゆえの乱行とも言えるがそれに走るには今の涼子は科学者として、そして良心とそれに基づく意志を持つ者としての理性を残しすぎていた。
だからこそ……涼子はその裸の腕をヘルメットに伸ばしそのままボブ状に整えられたイエローブラウンの髪をたたえた頭にスポリと被せる。
全裸にフルフェイスヘルメットと言う異様な出で立ちをした女性。それが今の涼子の姿。
通常なら変質者と見られてもおかしくはないし普段の彼女としてはまずあり得ない姿である。
だがそれを自覚し羞恥に走る時間は涼子には存在しなかった。
素肌をさらしたがゆえの一瞬の寒気や羞恥心・それらを振り払う様に涼子はその肢体をそらして解放の呪文を唱える。
「転身―ポリマー!」
その声をヘルメットに組み込まれた声紋センサーが感知しシステムを起動させる。
それと同時にヘルメットは少しずつその形を変えていく。
「うっ……くっ……」
頭を保護する為そのインナーフレームも変形する中涼子は頭を押さえつけていく刺激に耐えていた。
外部フレームもより確実にその頭部を護る形に変形しあごからうなじまでを覆い隠していく。
いつの間にか降りていたアイバイザーも鼻筋までを隠す広さにまで変化していた。
どこかヒーロー活劇の主人公を思わせる様な形に変化していたヘルメット、その変化が頭部全体を完全に覆い隠していく。
ヘルメットが首筋まで覆い尽くした時カチリと小さな音がする。
ヒーロー風フルフェイスヘルメット姿の全裸の女性と言う異様な出で立ちで立つ涼子。
もちろん変化はまだ始まったばかりなのだ。
[newpage]
首筋のユニットから白い光の様な、膜の様なものが吹き出す。
それは涼子のうなじやのど元に始まり肩を、背中を、鎖骨を覆っていく。
「あっ……」
胸元を駆け下りた時涼子は軽くあえぐ。膜は彼女の胸の膨らみを素早くも優しく覆うときゅっと引き締めその形を浮かび上がらせる。
同じ頃両腕に伸びた膜はその白く細い腕をさらに白く染めながら二の腕から肘、手首から指の一本一本に至るまで覆っていく。
その間にも胸を覆った膜は背中から、みぞおちから滑り降りながら一気に腰を覆う。
「うっ……あっ!」
臀部から、へそ下から下りた幕が足の間で合流した時涼子は女性としての声を上げる。
しかしそれを気にする事無く膜はそのままその太もも、膝、ふくらはぎを覆いくるぶしまで降りるとかかととつま先を覆う。
瞬く間に彼女の肢体は全て白い膜に覆われる。
その姿はまさにラバースーツか全身タイツか。
そして……一瞬全てが引き締まる。
「あぁっ!」
涼子の声が引き金となる様にのっぺりとした膜―スーツに彩りが生まれる。
足下は少し低めのヒールシューズに変化する一方肩から両腕・手の甲に至るまで装甲板の様なものが浮かぶ。
全身の要所に黒いラインが走り胸と腰のビキニラインをかたどる一方両脇にひときわ黒いラインが露わになる。
そしてその胸元とヘルメットの両脇にアルファベットの「P」を模したエンブレムが浮かぶとその背中から一対の白い翼がはためく。
変化が終わった事を感じた涼子はその余韻に浸る間もなく両脚に力を込め飛び上がる。
まさに水面から飛上がる白鳥の様に飛び立ち―猛然と獲物を襲う白鷲の様に今にもオレガー博士に迫ろうとした異相の者どもにその足を叩き付ける。
異相の者どもが吹き飛ばされる衝撃を反動にして着地した涼子はオレガー博士をかばう様に立ち身構える。
バイザーの下の顔は闘志よりも険しさを露わにしており額に汗がにじんでいる。
しかし―引く事はできない。負ける事はできない。
それがこの姿―ポリマーとなった涼子に課せられた戦いなのだから。
その姿と焦りを感じ取ったかの様に異相の者どものリーダーはマスクの下でにやりと嗤うとさっと右手を掲げる。
それにあわせ左右から異相の集団・そして中央には巨大なパワーローダーが現れた。
ポリマーのヘルメットの中で涼子は息を呑んだ。ポリマースーツの中に冷や汗がにじむのを感じる。
だが、それを振り払う様にポリマーは構える。
「ふぅ……っ!」
息を上げたその目の前に異相の者どもの群れが襲い掛かった。
[newpage]
内肘で挟んだ首ごと顔面を叩き付ける。
背後から迫る相手を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。
肘鉄でみぞおちを砕く。
首をつかんで投げ飛ばす。
戦い方はシンプルだがその一撃一撃は確実に相手を仕留めている。
そもそも科学者畑の人間である涼子がいかにポリマーの加護を受けているとは言えここまで戦い抜けている事は奇跡かも知れない。
あえてその要因を挙げるのなら一つはポリマーの開発をする中で人間の身体構造についての研究や知識も必然的に身につけていった事・そしてもう一つは……。
不意に再び宙を舞うポリマー。
その行く手に襲い掛かる異相の者どもを拳で、膝蹴りで、首投げで砕きながら宙を舞う。
そのたびにスーツがしなり涼子の体を軽く引き締める。
しかしその感覚を確かめる暇も無くポリマーは着地しその背後で異相の者達が無様に落ちる。
それを見とどけた異相の者のリーダーはなおも不敵な笑みを浮かべると次の指示を出す。
重機音を響かせパワーローダーが巨大な足を踏み込みアームを射出する。
「きゃあっ!」
辛くもかわすがその衝撃で吹き飛ばされる。
それを追うパワーローダーからのレーザー射撃が舐めるように襲い掛かるのを必死でかわしその足を蹴り砕く。
パワーローダーも只ではやられないとばかりにレーザーを撃つがその着弾点にポリマーはいない。
その姿は……パワーローダーにたたき込まれていた。
宙を舞い着地するポリマー。しかし全身で大きく息をするその表情に余裕はない。
それはスーツの装着時間の限界が近づいているからか、それとも慣れぬ身で戦い続けるが故の疲弊か。
異相の者達のリーダーの笑みが不敵なものから獲物をいたぶり貪ろうとする邪気に満ちたものに変わる。
いかに強靱なスーツを纏い相応に戦えるとは言えその持てる力は乏しくしかもようやく尽きようとしている。
あとはその「中身」を粉砕すれば良い。
「フゥ……ハァ……ハァ……ハァ……」
顔中冷や汗をこぼし肩で大きく息をしているポリマー。
殺気を感じ振り向いた目に飛び込んだのはリーダーの姿が現れるやその体躯で猛然と駆け出し飛びかかる姿だった―!
[newpage]
只目を見開き呆然と立ちすくむだけだった涼子。その一瞬の中に見えた光景―。
それは彼女の学生時代の知人だった人物の姿。
自分とは全く異なる雰囲気を持ちながらも何か確かなものを感じさせる人物。
思えば涼子がポリマーをまといながらここまで戦い抜けたもう一つの要因はその人物から何気なしに教わった武術の動きだった。
それなりの心得を持っていたその人物に対しせいぜい護身術レベルが精一杯だったがそれでもその人物の教えは確かだった。
そしてその人物こそ……。
“そう言えば言っていた……相手が強い力で迫る時は……。”
ほんの一瞬・それでもリーダーが彼女の体をえぐるには十分な時間だった。
しかし、リーダーが感じたのは獲物を捕らえた手応えではなく―胸を貫く打突の衝撃だった!
ポリマースーツ越しに涼子の体がえぐられようとしたその瞬間、涼子は半ば無意識に相手の懐に飛び込み両手を合わせた掌底をたたき込んだ。
両手の甲に「P」を模したエンブレムが一瞬輝き衝撃がリーダーを貫く。
相手の体格の差、迫る勢い全てを逆手に取った渾身の反撃だった。
しかしそれでもまだリーダーにはそこからなんとか体勢を立て直しポリマーを返り討ちにする余力はあった。
そして両腕を掲げそのまま叩き降ろそうとする―。
「ポリマー……ホーク……!」
ポリマーから聞こえたその声はリーダーには聞こえなかった。
その瞬間、ポリマーの背中の翼がその両腕に絡みつき両脚が一つに混じり合う。
ヘルメットもまるで鳥の頭部か高速ジェット機の先端部のように変形する。
「う……あぁ……」
スーツの変化、そしてそれにともなうスーツの伸縮が素肌にもたらす感覚に一瞬声を漏らすがその声は瞬時に咆吼に変わる。
「ハァァァァァーッ!」
さながら小型の鳥型飛行機のような姿になったポリマーは足に当たる部分からの推力を全開にしリーダーをその先端に据え付けたまま突進する。
その高速の勢いにさしものリーダーも身動きできない。
さらにポリマーはそのまま倒れていたパワーローダーにぶちかましをかけるとそのままさらに推力を上げいつの間にか異相の群れの全てを乗せたまま飛ぶ。
そしてその勢いを頭上・天に向ける!
激しい破壊音と共に天井が破れポリマーはパワーローダーと異相の者どももろとも天空をめがけて一直線に飛ぶ。
その衝撃に耐えきれずパワーローダーの動力部が悲鳴を上げはじめる。
その悲鳴が絶叫に変わる寸前ポリマーは彼らを解放し大爆発を背にしながら静かに滑空、降下していく。
その姿は鳥型からいつの間にかもとの人の姿に戻りながら自然落下に身を任せている。
白鳥か白鷲か、それとも白き鳳か。
ポリマーは静かに研究所の天井に開いた穴に通り抜け静かに舞い降りた。
[newpage]
幸いオレガー博士も最後のセキュリティに薄皮一枚で護られておりかろうじて無事だった。
その目の前でポリマーはヘルメットに手をかけながら何かを唱える。
その瞬間、ポリマーのアーマーが、翼が、体を彩るラインがスーツの中に消えていく。
さらにそのスーツも白い膜に戻りながらヘルメットの中に吸い込まれるように消えていく。
その中から現れたのは汗に輝き火照りに包まれた素肌をたたえた全裸の女性の肢体だった。
膜の全てをその中に取り込みヘルメットが元のシンプルな形に戻った所で涼子はヘルメットを脱ぐ。
「ふはぁ……っ!」
大きく息を吐きながらかぶりを振る。そこに流れるイエローブラウンの髪は汗に濡れていた。
心身にまだ残る戦いの残滓に震えながら肩で息をしていた涼子だったがなんとか呼吸を整えていく。
かろうじて侵入者は撃退できたもののここはすでに安住の場ではない。
一刻も早く行動しなければ……。
そう思う涼子だったがオレガー博士の軽い咳払いにふと我に返り改めて自分が全裸で立っている事を思い出す。
生体装着テスト用のスーツを改修したものであるが故装着には素肌に直接まとう必要のある試作品。
もちろん託したものは完成品であり素肌に直接まとう必要はまったくなくこの試作品も改めてその改修をしないといけないだろう。
そもそもどうしてそんな仕様のものを涼子は使ったのかさえ謎なのだが。
しかしそんな事を考える以前に涼子はここで初めて軽く恥じらい混じりの笑みを浮かべていた……。
[newpage]
その直後研究所は大爆発を起こし全ての研究データは無に消えた。
涼子とオレガー博士の消息は知れない。
爆発に巻き込まれたのか、爆発にまぎれて姿を消したのか。
それを知る者は世の闇の中にも光の中にもいない。
ただ一つ言えるのは涼子が託したものは無事託すべき者の手に渡った事。
そして―かの街に悪意の者を討つ赤き不死鳥の物語がつづられるようになった事である……。
了
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