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ある冬の日。
シリウス待機所で出場待機をしていると、室内には大きなため息が響く。
「はぁぁぁぁ」
ため息の発信源は隊長デスクにいるバルジ。
パソコンを見つめながら、肘をついてげっそりと落ち込んでいた。
突然のため息に驚いた中堅のデイビットが思わず隊長デスクへ振り向いた。
「ど、どうしたんですか?!そんなコスモマトリックス砲みたいなため息をついて…」
「……ん?何か言ったか?」
「いや、だからそんな大きなため息をついてどうしたんですかって聞いたんですよ!」
「あぁ……すまん。なに…大した事ではない。気にするな」
依然として無気力状態で告げる姿に黙って傍観をしていたルイ、ユキ、学も参入した。
「隊長、いくら何でもそれで『気にするな』は無理がありますよ」
「何か悩みがあるなら聞かせて頂けませんか?」
「秘密は守ります。だから聞かせてください」
思いのほか重たい空気になってしまい、バルジは渋々腹の内を話した。
「はぁ…何もそこまで気にすることではないのだがな。なら…悩みを言うぞ」
無気力状態の中でも真剣な瞳にシリウス一同は息を飲んだ。
数秒の沈黙後、バルジは口を開いた。
「最近……ローレンスに避けられている」
「「「「…………は?」」」」
予想外の発言にシリウス一同は思わず言葉を失った。
不気味な静けさが漂うと、真っ先に気持ちを切り替えたのはデイビットだった。
「な……悩み事って惚気かよ!!」
「惚気ではない。真面目な話だ。ここ最近、あいつに完全に避けられている」
話を聞いて正気に戻ったルイと学も悩みについて尋ねた。
「でも、それはただ忙しかっただけではないですか?」
「そうですよ。ここ最近も出場件数も増えていますし…」
「俺も初めはそう思ったのだが、今朝、食堂でジュリアと食事をしているところに声を掛けたら、俺を見るなり明らかに避けるようにその場から離脱した。ジュリアと共にな」
今朝のやり取りを聞いて、デイビットが腕を組んで状況を理解した。
「あらら…完全にお二方から除け者にされていますね」
「だろ。あいつらに避けられるのは…正直辛い」
「確かに…なんやかんやでこの3小隊での任務も多いですからね」
「あぁ。それにこの状態で合同任務の要請があれば要らぬ障害が発生するかもしれん。それだけは避けたいものなのだが…」
(((え?そこ??)))
脱力したバルジの台詞にズレを感じた一同だが、あえて触れずに話を進めた。
「けど、もしも本当に避けているのなら何か原因があるのではないのですか?」
「そうですよ。あのローレンス隊長も理由無しで怒ったりしませんし」
「隊長、何か心当たりはないのですか?」
真剣に尋ねてくるルイ、学、ユキにバルジは腕を組んで天を仰ぎながら最近の事象について想い出した。
「心当たりか……そうだな……強いて言えば…アレか?」
「「「「アレ???」」」」
「ほら、先週にあった待機でのやり取りだ」
バルジの言葉を聞いて、シリウス一同は先週にあった出来事を想い出していた。
これは一週間前のこと。
シリウス、ケフェウスは共用ミーティングルームで出場待機をしていると、カレンダーを見たルイが何処か憂鬱にしていた。
「はぁ……もう12月18日か」
「ん?どうしたんだい、ルイ」
上の空状態の姿が心配になった学が声を掛けると、少し恨みの籠もった声が漏れた。
「有紀くん。12月を見て何も思わないの?」
「だから何がだい?」
「世間はあと1週間でクリスマスよ」
「それはそうだけど…それが何か問題でも?」
「毎年毎年…この時期に仕事にのめり込んで何も感じないわけ?」
「ん?それは確かにこの時期は出場も多いけどさ。俺たちSDFだから仕方がないよ」
「それよ!!!」
能天気に話した一言にルイが怒りの感情を爆発させた。
「確かに私たちはSDFだけど、何も毎年クリスマスに何もイベントが出来ないなんて不公平よ!」
「ふ、不公平って……それが俺たちの仕事なんだから仕方がないだろ!」
「でた!堅物人間!そんな事ばかり言っていると、あのバルジ隊長みたいにクリスマスを経験したことのないつまらない人間になっちゃうわよ!」
唐突に指を指されて告げられた言葉に書類確認をしていたバルジが少しムッとしながら話に参入した。
「ルイ、言っておくが、クリスマスは経験をしているぞ」
「ほらね…言ったでしょ。だから…って?!バルジ隊長、今なんて言いました?!」
「だから…クリスマスくらい経験をしていると言ったのだ」
ぶっきらぼうに告げた一言にその場の一同が振り向いた。
デイビット「あのバルジ隊長が?マジかよ」
学「お祭りにも行ったことがなかった人が意外だな…」
ルイ「信じられないわ…」
キム「おい…アレ本当かな?」
ピエール「大方、子供時代の話だろ。じゃなきゃガセだな」
コーリー「でもバルジ隊長ってそんな見栄の嘘をつくかしら?」
シリウス、ケフェウス一同の疑心暗鬼状態を見かねたバルジは話の根拠を話始めた。
「随分と失礼な奴らだな。まぁ…経験したといっても有紀隊長時代の頃だがな」
「ゆ、有紀隊長時代って…就職後かよ?!」
「と、父さんの…それってどういう事ですか??」
デイビットと学が驚きの声を漏らす最中、バルジは淡々と思い出話を語った。
「アレはまだ俺とローレンスが新人で間もない頃だったな。有紀隊長からの提案で、シリウスでクリスマスパーティーをすることになってな。当時の俺はクリスマスを全く知らなかったから、大して力になれなくてな。結局、企画は有紀隊長が、料理担当はローレンスがしてな。まぁそれなりに盛り上がったよ。なぁローレンス」
「あ?あぁ……そんなこともあったな」
「なんだ?照れているのか」
「……五月蠅い」
目を逸らして話そうとしない姿に笑みを溢していると、話の内容に食いついたコーリーが質問してきた。
「バルジ隊長、今の話ではローレンス隊長が料理担当って言っていましたけど、実際どんな料理が出たんですか?」
「そうだな……うろ覚えだが、ツリーに似せたサラダやパエリア…パスタ…結構手の込んだ料理が出ていたな。あっ!特にローストビーフはかなり美味だったな。あんなに蕩けた肉は初めてだったからかなり衝撃を受けたよ」
「へぇ~ローレンス隊長がそんな料理を…」
「以前の休暇でも思ったけど、意外な一面だよな」
「だな。俺たちも一回食べてみたいな~」
バルジが懐かしい思い出話を漏らすと、ケフェウスのメンバーも想像の中で涎を垂らしていた。
あまりにお花畑な話をしている姿を見掛けたローレンスがギロっと睨んだ。
「また勝手に過去の話を暴露しおって。お前には守秘能力はないのか」
「そんなに怒るなよ。それに俺に取ってはいい思い出だ。別にそれを他人に話すことは悪い事ではないだろ」
「いい思い出って、たかがクリスマスパーティーだろ」
「生憎、俺にはそれしかクリスマスの思い出はないからな」
「それはそうかもしれんが…」
「それにアレはクリスマスに興味がなかった俺を気遣って有紀隊長が企画した事だ。たまには思い出に浸るのも悪いことではないだろ」
思い出話に苦言をしたローレンスに、懐かしさの裏に寂しさを抱えて話す姿が周囲に不思議な雰囲気を漂わせた。
再び現在に戻り、話を聞いたシリウス一同も当時の事を想い出した。
学「そういえば…そんな事話していましたね」
デイビット「けどよ。たかが料理の暴露でそんな避けたりするか?」
ルイ「そうね…ローレンス隊長もそこまで怒ってもいなかったわよね」
バルジ「あぁ。俺もそれが原因だとは思えんが。実際それくらいしか心当たりがない」
一通り話し終わり再び沈黙が流れると、あることを思いついたルイがぼそっと呟いた。
「もしかして……嫉妬かしら」
「「「嫉妬???」」」
「ルイ、それはどういう意味だ?」
「そのクリスマスパーティーって有紀隊長が企画したんですよね。もしかして、初めてのクリスマスの思い出を取られて根に持っているとか」
突然舞い降りた嫉妬の仮説にバルジは少し頬を赤くして反論した。
「ば、馬鹿者!ローレンスが有紀隊長に嫉妬するはずがないだろ!」
「でも、それしか心当たりがないんですよね。だったら可能性はありますよ」
「何を馬鹿なことを…そんなことは」
「いいや。意外とあるかもしれねぇな」
バルジの反論の声に被さるように告げたデイビットに学が首を傾げた。
「デイビット、なんでそう思うんだい?」
「だってよ。アレだけ過保護なローレンス隊長が避けるっていうだから相当だぜ。もしかして何か勘に障って気持ちが冷めたのかもしれねぇぞ」
「それって…つまり…」
「あぁ。恋の氷河期ってやつだ」
「なっ?!」
軽い相談のつもりが思いがけない方向に進んでいることにバルジは絶句した。
(冗談ではないぞ。たかが思い出話で破局にまで発展するものなのか?!いや…あいつの性格を考慮すればあり得た話…なのか?だとしたらどうする…謝罪をすべきなのだろうか…)
想定外の事象に口に手を当てて思い悩み始めた姿を見てシリウス一同が危機感を感じた。
デイビット(やべ……こりゃ失言だったかもしれねぇ)
ルイ(バルジ隊長…さっきよりも思い悩み始めちゃった)
学(こんな状態でもしも緊急出場があったらどうしよう…)
シリウス一同が不安を抱えている最中、無情にも恐れていた事態が発生する。
ブーーー、ブーーー、ブーーー
『ヴァイナハ星系周辺での磁気嵐の影響により特急列車546号並びにスターエクスプレスが立ち往生発生。シリウス小隊、ケフェウス小隊に緊急出場要請。ビックワン、飛龍は直ちに発進準備願います』
(((あぁ…最悪のタイミング)))
突然の出場要請にシリウス一同が絶句する最中、バルジは気持ちを切り替えていつも通りに指示を出す。
「シリウス小隊、スクランブル。ビックワンへ向かうぞ」
「「「「了解」」」」
何処か不安が払拭されないまま、一同はビックワンに乗り込んだ。
各自が着席をしてパネル操作をする最中、バルジがコールを始める。
バルジ「システムチェック」
デイビット「システムチェックスタンバイ」
学「全武装システム、異常なし」
デイビット「重力ブレーキ、異常なし」
ルイ「通信レーダー、異常なし」
ユキ「ミッションデータダウンロード完了」
デイビット「メインボイラー接続点火」
オペレーター『ビックワン第二総装備にて出場』『第二装備スタンバイ』
ルイ「上昇フロート固定確認」
学「スペースイーグルクルー配備完了」
バルジ「……………」
淡々とコールを進めていた最中、突然進行が停止した。
しばらく沈黙が流れると、不安になった学が後方を振り向く。
「あの……バルジ隊長?」
「……ん?どうした」
「いや…スペースイーグルクルー配備完了とご報告しましたが」
「あ……」
学からの台詞を聞いて自身の過ちに気が付いくと、珍しく顔を赤くして釈明した。
「す、すまん。私のミスだ」
珍しく動揺する姿に操縦士のデイビットと通信担当のルイは不安を抱えていた。
(あのバルジ隊長がコールを失念するなんて…あり得ないわ)
(こりゃ思った以上に重傷だな。無事に飛び立てればいいけどよ…)
司令室内になんとも言えない空気が立ちこめる最中、恐る恐るユキが確認した。
「あの…隊長、お体は大丈夫ですか?」
「心配いらん。ただ失念しただけだ。気を取り直して続けるぞ」
「「「了解…」」」
シリウス一同の不安が払拭されない状態で再び発進コールが始まった。
バルジ「微速進行、出場位置へ」
デイビット「び、微速進行」
有紀「じ、磁力シールド発生機関、正常値へ」
デイビット「エネルギー正常、ボイラー内圧力上昇、シリンダーへの閉鎖弁オープン、臨界まであと02」
オペレーター『28番線発進スタンバイ』『ビッグワン発進を許可します』
ルイ「発進許可…確認」
デイビット「ボイラー内出力120%」
バルジ「メイン回路へ接続」
デイビット「接続」
学「システム、オールグリーン!」
すべてのチェックを確認したバルジは発進号令を放つ。
「ビックワン、発進!!!」
ポォーーーーーーー!
ビックワンは白い煙を吹き出し、動輪を加速させて宇宙へと飛びたった。
その後、不安を抱えていたシリウス一同だったが、無事にケフェウスとの救援作業を完了させて4時間程でディスティニーへ帰還をした。
操車場でビックワンと飛龍が並んで停車をすると、降車した際にローレンスの姿を見掛けた。
少々気乗りはしなかったが、今回の任務の事も踏まえてバルジは声を掛けた。
「ローレンス、少しいいか?」
「……バルジ。なんだ?」
「いや…今日の任務では世話になったな。その礼を…」
「礼を言う前にまずは謝罪をすべきではないのか?」
「……は?」
唐突に言われた一言に硬直をしていると、ローレンスは呆れ顔で説明を始めた。
「先の任務でのあの指揮はなんだ?」
「指揮?」
「明らかにお前の判断が遅い部分があった。咄嗟に俺がカバーをしたが、アレでは部下が戸惑うだろ!」
「あ……確かにそんな部分もあったな」
「『あったな』ではないだろ!隊長のお前が判断を誤れば小隊だけでなく乗客の命に関わる事を理解しているのか」
「それは…重々理解をしている」
「何を考えていたのかは知らんが、もっと現場に集中しろ。いいな!」
正論を叩きつけて立ち去ろうするところをバルジは慌てて制止させた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「今度はなんだ?」
「いや…先の任務については申し訳なかった。素直に謝罪をする。それで…謝罪ついでではないが、今晩俺の自室で少し相談を聞いてくれないだろうか?」
恐る恐る尋ねた事にローレンスはしばらく考えて返答をした。
「………悪いが、今晩は付き合えん」
「……は?」
「俺も忙しい。悩み事があるのならば、お前のところのセクサロイドのユキにカウンセリングをしてもらえ。では失礼する」
「ロー…レンス」
絶句して立ち尽くしているバルジを残して、ローレンスは諫早にその場から立ち去った。
離れて傍観していたシリウス一同はその異様な雰囲気に全身で危機感を覚えた。
デイビット(こりゃやべ……ガチの氷河期だ)
ルイ(あのローレンス隊長があんな冷や対応をするなんて…)
学(バルジ隊長…大丈夫かな)
ユキ(これは大変な事になりそうです)
シリウス一同が待機所に戻ると、再び大きなため息が響く。
「はぁぁぁぁぁ」
再び隊長デスクで頭を抱えている姿をみたデイビットと学は少しコソコソ話を始めた。
『なぁ…学。なんかデジャブを感じたのは俺だけか?』
『俺も感じたけど、デジャブの方がもう少し空気が軽かったよ』
『確かに…空気の重さが2倍に感じるぜ』
『同感…』
男二人が軽くため息を付いていると、気を遣ったユキが珈琲を用意した。
「皆さん。お疲れでしょう。珈琲をご用意しました」
「おっ!ナイスなタイミングだぜ」
「丁度欲しいと思っていたところだったのよ」
「ありがとう、ユキ」
報告書作成をしていた一同に配り終わると、ユキが隊長デスクのバルジの元に向かった。
「隊長、どうぞ」
「……ん?あぁ…すまん。そこに置いておいてくれ」
依然として無気力状態で書類を眺めている姿を気にしたユキは珈琲を置いて提案をすることにした。
「あの…隊長。もし宜しければカウンセリングを行いましょうか?」
「………は?何故私がカウンセリングを受けなければならんのだ?」
「いえ…随分とお元気がありませんので。情緒不安定では指揮系統にも障害が発生してしまいます」
ユキの説明を聞いて、自身の不甲斐なさに飽き飽きとした。
(冗談ではないぞ。何が悲しくてこんなしょうも無いことでカウンセリングを受けなければならん。流石に無様すぎだ)
「大丈夫だ。大したことではない」
「その様には見えませんが…」
「本当に大丈夫だ。それに話したところで解決する事でもないからな。悪いが口出し無用で頼む」
「………分かりました」
少し残念そうにユキが立ち去ると、珈琲を啜りながら気持ちを切り替えた。
(あいつの言う通りだな。少し心を乱しすぎた。さて…残りあと1時間、気を引き締めるか)
その後、気を取り直して報告書作成を完了させて業務を終了した。
業務を終えて後、夕食を済ませるとバルジは射撃訓練所へ訪れていた。
バキューン、バキューン、バキューン
ヘットフォンをつけたまま無表情で目標を撃ち抜いていく。
タイマーがゼロのなり、訓練成績が表示されると意外な数字に目を大きく開く。
「なっ?!96.8点だと」
バルジの普段の訓練成績は平均で99.0点台。2ポイント近く成績ダウンしていることに驚きが隠せなかった。
「2ポイントダウンだと。急にどうして…まさか…情緒不安定が影響しているのか?」
自身の不調を考察していると、あまりの不甲斐ない内容に首を振った。
「いかんいかん。これではあの学以下ではないか。洒落にならん!」
変な危機感が覚えたバルジはその後一心不乱に訓練にのめり込んだ。
それから約1時間訓練を行い、気が付けば時刻は20時。
片付けを終えたバルジは自身の自室へ向かっていた。
「ふぅ…何とか平均まで取り戻せて良かった。しかし…我ながら情けない。これくらいの事であそこまで不調になるとはな。あまりに酷いようなら本当にカウンセリングを受けるべきなのだろうか…」
腕を組みカウンセリングの受診について悩みながら廊下を歩いていると、曲がり角から声が聞こえた。
『ジュリア、少しいいか?』
(ん?今の声は……)
バルジは声に反応すると、そっと壁沿いに寄り添いながらゆっくりと覗き込んだ。
そこには仕事終わりのローレンスとジュリアが立っていた。
(ローレンス?それにジュリアも。こんな時間になんだ?)
不審に感じながら、何処か気になった為、そのまま盗み聞きを始める。
「ローレンス、どうしたのこんな時間に。珍しいわね」
「ふん。珍しくて悪かったな。ところでこの後に予定はあるか?」
「そうね…帰って晩酌をするくらいかしら」
「ならば丁度いい。これからBARで共に飲まんか?」
「あら!本当に珍しいわね。どういう風の吹き回し?」
「たまにはいいだろ。期待しているかもしれんが、割り勘だぞ」
「もぉ~そういうところは相変わらずね。いいわよ。大切な話もあるしね」
「ふん。分かっているではないか」
笑みを溢しながら会話をしている様子を眺めているバルジはふつふつと怒りの感情が芽生えていた。
(あいつ?!俺からの誘いは忙しいと断っておいてジュリアと晩酌だと。まさか…本当に俺に飽きたということか?!それでジュリアに鞍替えとは…流石に…)
「胸糞が悪い……くそ」
あまりの残酷な現実に嫌気が指したバルジは早々にその場から離脱した。
何か気配を感じたローレンスはふと後方を振り向いた。
「……ん?」
「どうしたの?」
「いや…誰かに見られていたような気がしたが…」
「こんな時間に歩き回ってるのは貴方くらいよ」
「そうか?だが…何だろうな。変な殺気も感じたのだが…」
「え?ちょ、怖い事を言わないでよ」
「すまん。どうやら気のせいの様だ。では行くか」
「そうね」
不審に感じたものの、気配が消えた為気にせずに二人はBARへ向かった。
【次回予告】VOICE 有紀&デイビット
なんだか昨日より隊長の機嫌が悪いような…
こんな時に緊急出場って。全く女神も酷な事をしやがるぜ
次回、『赤と黒のクリスマス 後編』
俺たちは次の駅で誰かの争いに巻き込まれる。
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