墓石は壊さないこと

  私は栗子。どこにでもいるふつうの女子高生。

  そんな私は今、大変なミスをやらかしてしまったのだ。

  栗子「どうしよう〜!!」

  なんと、ただの石ころだと思っていた野良犬の墓石を誤って蹴飛ばしてしまい、石をふたつに割って壊してしまったのだ。

  栗子「見つかったらご近所さんに怒られちゃう…」

  そう思ってあたふたしてると、突然私の頭の中に声が響く。

  「やる…」

  栗子「へ?」

  すると、私の目の前には大きな犬の姿をした紫色のモヤが現れる。

  「よくもワシの眠りを妨げてくれたな…お前は祟ってやる!!!」

  すると犬の幽霊は突然私の口の中目掛けて入り込んできた。

  栗子「もごっ!!もごご…!!」

  私は大きく口を開けて舌を出しながら白目を剥いて悶絶する。やがて犬の霊は私の全身を覆うように纏わりつく。

  栗子「んごおぉぉぉぉぉっ!!!」

  私は必死にもがくけど、どんどん身体の自由を奪われ、ついに意識を手放してしまった。しばらくして目が覚めると、私は全裸で地面に倒れていた。

  栗子「ここは……どこ?!ってかなんであたし全裸に…?」

  周りを見渡すとそこは見慣れた近所の公園だった。だけど様子がおかしい。

  栗子「うそ…立てない!!」

  なんと、私の背丈が縮んでいて、しかも二足で立てなくなっていたのだ!!栗子「ちょっとこれどういうことなのよー!」

  「ふはははは!!!どうじゃ、犬と人が混じった化け物の姿になった気分は!!」

  栗子「誰!?」

  背後から私を見下ろすようにして立っている人物がいた。それは犬の姿をした老人だった。

  栗子「あんたがやったのね!?元に戻してよ!!」

  「ふん、うるさいのう。元に戻りたければ長い時間をかけてワシを追い出すしかなかろう。元はお主が撒いた種じゃ。反省せい!」

  栗子「そ、そんなぁ…!!」

  こうして私は犬の幽霊に呪われてしまい、半人半犬として過ごすことになった。

  「あれ?栗子、なんか顔変じゃない?」

  「え?うぅ、そ、そうかな?」

  「栗子、あんた舌出してどうしたの?」

  「わぅ!?な、なんでもない!!」

  そして日を追う事に犬化の症状は進行してゆき、人前で生活することが困難になった。

  栗子「舌は出るわ牙は生えるわ…しっぽは生えるわろくな事がなくて…わふ、早く犬の幽霊を追い出してください!!」

  喋る時にも犬の言葉混じりでないと話せなくなった私は、なんとか除霊して貰えないかと除霊師に相談する。

  「よかろう、アブラカタブラ…きえ〜い!!」

  栗子(こ、こんなんであの幽霊消えるの?)

  半信半疑で呪文を聞き続ける。すると、私の背後から突然あの紫色のモヤが現れる。

  「うがぁぁぁぁ!!!な、なんじゃこの呪文は!?く、苦しい…!!ぎゃあぁぁ……」

  犬の幽霊は除霊師のインチキ臭い呪文で消滅した。まぁ元は私が悪いけど向こうも向こうで私を半犬に変えて生活に差し支え出したんだからお互い様だよね?

  大人になってからは私はいつも通り過ごしている。ただ…

  「うぅ…ワン!!ワン!!」

  栗子「きゃん!!」

  驚いたり感情が爆発すると、後遺症的な感じでこうして犬の耳やしっぽがまた生えてきてしまうのだ。

  栗子「も、元に戻ったんじゃ無かったの〜?」