「はぁ、はぁ、クソっ!」
ある1人の旅人が息を切らしながら走っていった。
「クソっ、俺の事をバカにしやがって…見てろ…絶対見返してやるからな…」
怒りながら文句を呟く旅人は、冒険者としても未熟で戦い慣れしていない丸腰の一般人同然の青年だった。
『あいつ、すげぇ弱いな〜!』
『モーモンやズッキーニャどころか、スライムにも手こずってやんの!』
など、気が付けば周りの人々から軽蔑や嘲笑を受ける毎日。
青年は強くなることを望み夢を見ていた…
「ん?」
青年が旅をしている先には何やら黄色い果物のようなものが。
「これって、噂に聞く女神の果実ってやつか!?…って、そう都合よく落ちてるわけないか…でも腹減ったなぁ…これを昼飯代わりにして食うか。」
青年はその果物を拾い、1口食べる。
「ん〜まぁまぁかな?…うっ!?」
青年は胸を抑えて苦しみ出す。
「何だ…体に…力が……うおおおおおおおお!!!!!!」
青年は雄叫びをあげると、体が謎の霧に包まれる。それと同時に男の体も人の姿を失い、体に筋肉がついて強靭な肉体に変化し、皮膚からは強固な鱗が体に出来上がる。膨れ上がった肉体の分、体も段々と大きくなり、鋭い爪や立派な角、そして大きな翼と尻尾が生える。
「ぐふぅ…はぁ…はぁ…力が…漲る…ウオオオオオ!!!!!」
宿す目の光も赤くなり、鋭い牙が口の中に生えてくる。
青年の姿は人間から、屈強な体格と凄まじい馬力と恐ろしい能力を持って誇る竜の姿の魔物へと変化した。
『すげぇ…これが…新しいオレ様…グフフ、ガハハハハハハ!!!』
青年だったドラゴンは高笑いをして飛び去り、そして男を蔑んでいたもののいた村へと飛ぶ。
「何だあれ!?」
「きゃああぁぁぁぁ!!!」
「助けてぇぇぇ!!!」
「ドラゴンだーー!!逃げろーー!!!」
『見てろよ貴様ら!俺の力を!!ぐおおおおお!!!』
ドラゴンは口から灰色のガスのようなブレスを吐き、村人たちに浴びせかける。
「ぐはぁっ!!!げほっ…ぐふっ…」
「がっ!!ごはぁっ…!!」
「がぁっ…!ぐぅっ!!」
村人たちは途端にガスの中に包まれ、高熱と猛毒の影響で苦しみ出す。
『グフフ、苦しめ苦しめ!苦しんでいく内に貴様らは強くなれるぞ?』
その言葉を聞いた途端、村人たちの姿も変化する。毒の影響が村人たちの体にまわりはじめたようだ。
「あおおおおおお!!!」
「うおおおおおおお!!!」
「があああああ!!!」
村人たちも雄叫びをあげて姿が変化する。その姿は人によって異なり、悪魔、ゾンビ、獣といった様々な容姿をしている。
『いいか、貴様らはオレの手下だ!オレが魔物に生まれ変わらせてやったんだぞ、感謝しろよ?』
『ゲヘヘ…グゲゲ……ゲヘ…』
『キシャアァァァァァァ!!!!』
『ガアァァァァァァオ!!!』
『よし、貴様ら!体がなまっていて暴れたくて仕方がないだろう?なら、早速外の世界で暴れるぞ!!ゆくぞ!ガハハハハハハ!!!』
『『『『ウオオオオオオオオオオオ!!!!!!』』』』
ドラゴンは手下の魔物を引き連れて村を飛び出し、人がいなくなって静まり返った村をあとにする。こうして、ドラゴンの侵略と破壊は始まりを告げるのであった…
[newpage]
「んん…はっ!!」
男は目を覚ますと、自宅の床に倒れていた。
「そうとううなされてたのか…それにしても、女神の果実を食って魔物に…なんて恐ろしい夢を見たんだ…」
男はそう言うと自宅をあとにして村の外へ向かう。
「さて、修行するか…」
男は嫌な夢のことを忘れて修行にはげむのであった…