<4/6>虎王子と龍人騎士、ベッドの上で殴り合いと語り合い

  ~王子の部屋~

  俺と龍之助は王子の部屋に入り、扉を閉めるとお互い静かに向き合う。お互いに儀式用の正装として用意した服が汚れてはいけまいと、俺は全裸の上に着ていたローブを、龍之助も全裸の上に着ていたマントを脱ぎ去る。

  俺が龍之助の胸を掴んで身体を押しのけると、龍之助の身体が二歩分下がる。

  虎丸「なんでお前みたいなのが俺のパラディンなんだよ!」

  龍之助も反撃として俺の胸を掴んで身体を押しのけると、虎丸の身体が二歩下がる。

  龍之助「どうしてお前みたいなやつが俺の主君なんだ!」

  俺と龍之助は再度近付き合い、相手を押しのけようと胸を押し合う。

  虎丸「俺が不満に思うのは仕方ないとしてお前がなんで俺に失望するんだよ!」

  龍之助「それはこっちのセリフだ!」

  俺達二人の力は互角で、互いに踏ん張りながら胸を触って相手を押しのけよ として、お互いに一歩も動かずに押し合っていた。

  俺と龍之助はお互い押し合っていても無駄だと気付き、別の攻撃を仕掛けることにした。二人は同時に両手でお互いの両乳首を掴んだのだ。

  お互いにさっきまでの儀式で互いの乳首責めの技量の高さは分かっている。同時に乳首責めを始めればどちらか先に射精するまで続くだろう。今ならまだやめられる、とそれに気付くがどちらも勝負を投げ出したくはない。視線を交わし合い、乳首を同時につまみ出す。

  虎丸・龍之助「「あああぁぁぁん!!!」」

  お互いが最適な位置を責め合い、快感を感じながら口論を続ける。

  虎丸「俺はパラディンを父上達が決めることに不満を感じていたが、きっとベテランで落ち着いて経験豊富なパラディンが来ると思っていたんだ!俺をリードしてくれるみたいな存在が。それなのにお前みたいな喧嘩早くて生意気な若造が来るとは」

  龍之助「だいたい同年代だろう!お前いくつだよ!」

  虎丸「俺は23だ!」

  龍之助「俺は26!」

  俺達は3歳違い程度で張り合い勝負していた。

  虎丸「ぐ…ぐぬぬ…」

  龍之助も文句があるようで、俺の瞳を睨みながら言葉をぶつけてきた。

  龍之助「俺が仕える王族ってのは落ち着いて聡明な奴だろうと思ってた…。だからよく知らなくても仕える気があったのに、発展場で喧嘩に発展するようなガキとは」

  虎丸「ガキとはなんだ!ガキとは。そのガキと喧嘩したのはお前だろ!俺は王子として!これまでたくさんの外交努力と王国民のための治世に取り組んで来たんだ!何が不満だ!」

  龍之助「その歳だと、さては戦には出陣してないな?」

  虎丸「…そ、そうだが…」

  龍之助「じゃあガキだガキ、雄の騎士の戦いを知らんとはなガキ王子!」

  虎丸「3年早く生まれたからって…!俺だってこの歳なら戦に出れるんだ!お前みたいなへっぽこ騎士に言われたくはない!」

  へっぽこ騎士…その発言は龍之助の怒りに火をつけたようだ。全身から怒りの気持ちが溢れているのを感じる。

  龍之助「俺は騎士としての犯し合いの実力で同年代に負ける者はいない!多くの鍛練と実戦経験を積んで来たんだ、俺の実力に不満を持つ者はいないだろ!」

  俺は龍之助の気迫に尻込みしそうになるが負けてはいられない。

  虎丸「お前、偉そうに言ってるが噂に聞いた円卓の龍騎士団の追放騎士だろ?あんな名誉ある騎士団から追放されるとは、とんだ問題児なんだろうな!」

  龍之助「お前こそ父親の国王様やら兄達に守られているお坊ちゃん王子だろ、よっぽどビビりで実力がないと見える」

  俺の言葉に対して、龍之助も反撃し始めてきた。俺が気にしていることをピンポイントで言ってくる。

  虎丸「言ったな!俺を挑発してくるとはな、お前を一発殴ってやりたい」

  龍之助「俺も舐められたもんだな、許可なんていらないぜ?王子様はいちいち殴られる許可が必要ざんすかね?」

  その瞬間、俺と龍之助は同時に腕を振って互いの顔に一撃を決める。真正面からパンチを受け合いクロスカウンターとなった、それが殴り合いのスタートだった。

  俺の手に龍之助の龍人としてゴツゴツした鱗の感触がしてくるが、龍之助の手にも俺の虎獣人としてのフサフサした毛並みの感触がしてるだろう。

  俺は龍之助の鍛えた腹筋に連続パンチを喰らわす。

  虎丸「だいたい!あんな!出会い方したお前とだと!?」

  龍之助は俺の首を掴んで、俺の腹に重い一撃パンチを喰らわしてくる。

  龍之助「こっちこそ!まさかあんな場所で出会うとはな!?」

  俺は龍之助の肩を殴り付けると、

  虎丸「俺の王子としての生き方にお前みたいはやつが入ってくるとは!」

  龍之助は俺の胸を殴り付けてくる。

  龍之助「俺の騎士としての名誉にお前みたいなのが関わるなんて!」

  喋る余裕もなくなり、無言で殴り合う応酬が続く。

  お互いにノーガードでパンチを何十発も連打し合い、騎士として鍛え上げた硬い筋肉と獣人・龍人特有の皮膚の頑丈な硬さで互いの打撃はダメージにはならないがスタミナを消耗させていく。

  虎丸・龍之助「「はあ…はあ…ぁ…」」

  互いに抱き合うように身体を支え合い、殴り合う気力と体力を回復させようとするがこの殴り合いが無駄なことはお互いに分かっていた。

  皮膚の丈夫さや回復力・生命力の強い獣人・龍人は互いを物理的に傷付けようと思っても傷付けることができないのだ。だからこそお互いに犯し合いで戦をしている。

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  <龍之助の視点>

  俺と虎丸の二人はもつれてベッドに倒れ込み、天井を仰いでぜえぜえと息を吐く。

  自分の実力もわきまえず向う見ずに喧嘩を売ってくる奴だと思っていたが、俺とやり合うとは中々の強さで気に入った。

  俺は虎丸の胸筋に目が向いた。激しく息を吐き上下する胸板とそれを覆う黄色と白のフサフサの毛。取っ組み合いでかいた汗が毛先から雫となって光っていて、毛皮を持たない龍人としては羨ましくなる。

  虎丸「お前…強いな…龍王国の騎士は伊達ではないか…」

  龍之助「お前だって…王族の温室育ちだと思ってたぜ」

  俺は虎丸の達成感に包まれたような表情を見逃さなかった、強さを褒められて嬉しいのだろう。

  虎丸「俺だって王族として戦の英雄である父上や兄達に鍛えられてきた、戦で活躍できるように強さは磨かなければなるまいからな」

  龍之助「俺の父上達も騎士でな、俺を幼い頃から鍛え上げてくれたが、向こうはちょっとした遊びの気分だ」

  俺も虎丸のように幼い頃から鍛えられてきた、強さを磨くことに喜びを感じる気持ちは分かる、鍛えてくれる相手の期待に応えられたように感じるのだ。

  龍之助「お前は何故騎士にこだわりを持つ?王子なら戦ではお飾りの役割でもいいだろう?」

  虎丸は天井を見ながら、遠くを見るような目で言った。顔には憂いを帯びている。

  虎丸「まあ、幼い頃から騎士になりたかったからだ。戦で活躍できるような存在になれば、親父や兄達からも認められる。王国民も俺を子供扱いしなくなるはずだ」

  龍之助「王子様が名誉欲のためとは…やれやれだな」

  虎丸には王子としての心苦しさがあるのだろう、一国の王子として周りに認められたい気持ちと、若さ故の扱いがギャップなのだ。

  虎丸「人のことを分かったこと言うな。お前こそ、何故騎士になった?」

  俺は虎丸に尋ねたからには答えなければならないだろう、なんだか言うのは恥ずかしいが。

  龍之助「俺の父親達も騎士だった…しかも円卓の龍騎士団のな。寝る時には父上達から合戦での経験や思い出話を聞かされて憧れていた、だから俺も父親達のようになりたいと思ったのさ」

  それを聞いた虎丸は可笑しさを隠しきれない表情で俺を見て笑っている、

  虎丸「ははっ!なんだよ、俺と似たようなもんじゃねえか」

  虎丸の笑顔は屈託なく、なんだか俺はその笑顔を見てると安心できた。パラディンとして、高貴な王族に仕えることにプレッシャーを感じてたが、俺と同じ若者らしさ溢れる笑顔を見るとプレッシャーがほぐれてきた。

  龍之助「ふふっ…そうだな、お前と俺は似てるところがあるようだな。」

  俺と虎丸はお互いを見て笑いあった。殴り合いの実力は同じで騎士になりたがっていた理由も似ている。意外なところに共通点があり、気持ちが分かるのだ。

  こいつに俺のことを知ってもらいたい、何故だかそう思えた。

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  <虎丸の視点>

  俺は龍之助と思わぬところで話が弾むのに嬉しさを感じつつも戸惑っていた。いけすかない龍騎士だと思ってたのに、なんか俺に似ている。俺達は、何故騎士に憧れていたのかを語り合っていた。

  龍之助「あんま人には言わないんだがな…俺は子供の頃からどうも周りとうまくやっていけなくてな…でも騎士として他の者と一緒に戦って仲間を助け、敵を犯す、それをしていると俺は仲間からも信頼されて皆の一員になれた。戦と騎士団が俺にとっての居場所なんだと思ったんだ」

  龍之助は、俺を憎々しげに睨んでいた時の瞳とは違って、嬉しそうに目を輝かせて話している。龍之助のまっすぐな瞳を見てると、俺も人には全然言わなかった胸の内を話したくなってしまう。

  虎丸「居場所か…俺の二人の親父も兄さん達もよくしてくれたが、歳が離れてるから食事の席でする治世や外交の話は子供の俺には分からなくてな。

  皆で夢中になって話をしてると、俺が置いてけぼりなことに気付いて話を振ってくれるんだ。それが辛かった…早く知識を身に着けたいと努力したんだ」

  龍之助「お前にそんなナイーブな時があったとはなあ」

  虎丸「よく言うよ。戦が始まって親父達も兄上達も出陣して城を離れると、戦で離れた場所にいるから幼い俺は寂しくなってな…早く成人して騎士として出陣できれば兄さん達と一緒にいれる、戦が俺にとって家族の一員になれる場所だと思ったんだ。」

  龍之助「お前、俺と似たようなこと言うんじゃねえよ」

  虎丸「ふん…!誰がお前に似てるんだよ!」

  ----

  <龍之助の視点>

  俺は反抗しがちな若い王子の内面を知ると、ギャップが面白くて虎丸のことをもっと知りたいと感じ、身体を虎丸に寄せた。

  虎丸「たまに城へ帰ってくると、語ってくれる戦での手柄話の中の兄さん達の活躍に憧れていた。四人とも戦での話ばかりするから、俺はますますなんだか仲間外れの気分になった。だから俺は早く成人して騎士になり、戦に出陣したかったんだ。」

  龍之助「でも、成人する前に戦は終わった、か…」

  虎丸「ああ、おまけに兄さん達は王室を離れるだの龍王国に婿入りしちまうだのでまた離れちまうし…」

  龍之助「すれ違ってばかりってわけか」

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  <虎丸の視点>

  虎王国の第三王子である俺は、龍之助との殴り合いを経て疲れて汗ばんだ身体でベッドに横たわり語り合っていた。

  俺が龍之助の身体を見ると、鍛え上げて割れた腹筋の鱗の上を取っ組み合いでかいた汗が伝っていく、毛皮に覆われてる俺には中々ないことで魅力的に見える。

  俺達は意外と共通点があり、龍之助に自分のことを話したいと思えた。俺は龍之助のことも知りたいと思えた。俺に物怖じせずに全力で喧嘩を売ってくるところが気に入った。

  虎丸「お前…なんで円卓の龍騎士団を追放されなんかした?」

  龍之助「それはな…家庭の事情だ」

  虎丸「は?」

  俺は何とも変な方向からの言葉に対して、変な驚き方をしてしまう。

  龍之助は俺の反応など無視してつらつらと話しつづける。

  龍之助「まず俺の生い立ちを話すと円卓の龍騎士団の歴史を話さなければならない」

  虎丸「ん???」

  この話はどこに行くんだ…?

  龍之助「12人の騎士団には1人の騎士団長と11人の騎士がいた。珍しいことではないが、11人の騎士達は皆男で互いに付き合ったり離れたりの穴兄弟竿兄弟でな。だが11人の本命は騎士団長である俺の父さんだった」

  虎丸「なるほど、お前の父はあの騎士団長とは」

  龍之助「円卓の龍騎士団は虎王国の騎士団に囲まれて絶対絶命となっていた。騎士団の誰もが敵に犯され捕虜になって戦が終わるまで離ればなれになることを悟ったんだ。

  そうしたら、11人の騎士が皆騎士団長に愛を伝えたんだ」

  虎丸「………なんだその話は」

  俺は口をあんぐり開けて話を聞いている。夕食会の時に同じ振る舞いをすれば、王族としてはしたないと言われてしまうだろう。

  龍之助「敵の包囲下で絶望的な戦力差の中で騎士団の士気は低下している、騎士団長は言ったんだ『敵を一番多く犯し、勝利に導いた者を俺の旦那として迎える、交尾の時期になれば俺を孕ませ子供を作ろう』とな」

  虎丸「………」

  まあ性欲と血気盛んな騎士達を焚き付けるために自分の身を捧げる指揮官は珍しくない、王族として俺もいざというときに身を捧げる覚悟はある。

  龍之助「騎士団は騎士団長の旦那になるため士気を上げて結束を取り戻し、見事敵全員を犯しつくし勝利を手にした」

  虎丸「それで誰がお前の父を孕ませる権利を手にして父親になった?」

  龍之助「11人の騎士達だ」

  虎丸「いや、その中で誰なのか聞いてるんだが」

  俺は龍之助のイマイチよく分からない回答にモヤモヤした。龍之助は俺の質問に対して、目を見開き、恥ずかしいことなど何もないという感じで覇気を纏わせてこう言った。

  龍之助「11人の騎士全員だ!」

  虎丸「!!!!!!!!!!????????」

  俺は思っていたのとは全く違う過去を聞かされて参ってしまった。二人だけではなく三人などで結婚したり子育てすることは珍しくないが11人だと?

  龍之助「11人の騎士は敵を犯した数は同じでな、誰かが欠けていれば勝利にはならなかったのだ。全員互いを愛し合っていたから、全員で恋人になるのに支障はない。」

  俺は王族だから血筋が重要視されてしまう世界に生きているが、それにしてもこれは珍しい気がするぞ…。

  龍之助「戦が終わり、龍王国の勝利の宴が行われた時に騎士団の12人で結婚式を行い、結婚初夜には交尾期に入った騎士団長を11人の騎士が代わる代わるやら同時挿入やらで犯しまくった」

  虎丸「つまりはその…」

  龍之助「 ってことで、数ヶ月後に俺が生まれたってわけよ」

  虎丸「言葉も出ない…」

  なんだか龍之助は変わった家庭環境で過ごしてきたようだ、王家に生まれた俺が言うのもなんだが。

  龍之助「俺が生まれた当初は誰が本当の父親か揉めたそうだが、血を調べると12人の血が混ざってるらしくてな…俺は12人の父親と一つ屋根の下で育てられた」

  虎丸「幼い頃に父親から騎士の物語や武勇伝を聞かされていた、とか言ってたが12人からか…」

  龍之助「だから俺は騎士、特に円卓の龍騎士団に憧れた。他の道も考えるように父さん達には言われたさ。」

  虎丸「父親と同じ道を歩みたいか…国王を父に持つ俺が言えた義理じゃないが、その気持ちは分かるぞ」

  龍之助「だが騎士の豪胆な生活にばかり触れてきた俺には、どうも学校とかじゃ俺は人付き合いがぶっきらぼうとか言われて苦手でな…騎士以外の道など考えられなかった、戦い以外の道では繊細なことが多すぎる。」

  俺は龍之助は生まれる時代を間違えたタイプだろうなと思ってしまった、かつての戦溢れる世の中なら困らなかったろう。

  龍之助「俺は必死に訓練してまずは龍王国の軍騎士団に入ったさ。騎士団では相手に突撃して犯し、仲間を庇い助け合う。

  そうしてると他の生活以上に絆を育めた。俺にとって騎士の人間関係はさっぱりしていて好きだ。あんな人間関係が割に合ってる」

  龍之助は俺の反応など確認せずに、楽しげな目で騎士団のことを話している。困難な環境で連帯し、お互いに同じ苦労を味わい絆を結ぶ、龍之助が話す絆は俺にとっても憧れのものだった。

  龍之助「そして俺はついに龍王国の将軍や国王から円卓の龍騎士団の一員として推薦された、父さん達は快く迎えてくれたよ」

  龍之助はようやく話終えて、ふぅ~と一息ついた。だがまだ肝心な話が聞けていない。

  虎丸「長いぞ…一気に自分の過去を止まらずに話すから少し怖いんだよ。ちょっと前に聞いた話も繰り返してるし…それで…なぜ追放された?」

  龍之助はばつが悪そうな表情になると、ベッドの上で俺に背を向けて寝転び、まるで学校で嫌なことがあったことを語る子供のように話しだす。

  龍之助「円卓の龍騎士団として始めての実戦でな、相手は龍騎士団より圧倒的に格下の虎王国の騎士団達だった。媚薬の輸送を護衛する任でな。当然勝利は余裕だった……」

  虎丸「我が王国の騎士達を格下とは聞き捨てならないが…まあ続きを聞こう」

  龍之助はどんよりした雰囲気を醸し出しながら、つらつらと早口で喋り始めた。

  龍之助「だが俺が敵と犯し合おうとすると、父さん達…騎士達と騎士団長は全員心配して俺の元に駆けつけるから隊列は乱れるし、俺が相手にしている雑魚一人に歴戦の強者12人で襲いかかるし、護衛対象そっちのけになるしで任務が失敗しそうになってな…。円卓の龍騎士団の名誉もあやうく落ちるところだった。」

  虎丸「円卓の龍騎士団にもそのような事があるとはな」

  龍之助「それで父さん達は皆俺に土下座して言ったんだ『心配で仕方ないから円卓の龍騎士団を辞めてくれ』って…はぁ……」

  龍之助は大きくため息をついて無言になった、どうやらこれで話は終わりらしい…。

  ……騎士団を追放されたとか言うから、てっきり大罪を犯したとか名誉を汚したのかと思ったが……俺は心の内をどうにか消化したく、龍之助を見て大きな声で言ってしまう。

  虎丸「それは見事に親バカだな!」

  俺の言葉を受けて、龍之助は俺にガバリと抱きついてきた。怒って飛びかかってきたのかと一瞬思ったがそうでもないらしい。子供が親に泣きついているように、俺の胸を借りたいらしい。

  龍之助「俺は人生の目的を見失ってしまったような気がしてな……龍王国の国軍騎士団に入り直したが、円卓の龍騎士団の名誉が忘れられんし、すぐに戦も終わっちまってな…」

  龍之助の顔が俺の胸筋に置かれ、俺は何をしたらいいか分からずにとりあえず龍之助の頭を撫でてやる。

  龍之助「国軍騎士の任務は王国内での作物の収穫とかばかり…民のためになってるのは分かるのだが、犯し合いの戦いしたくて満たされない…おまけに父親達はしょっちゅう心配して職場見学やらとか言って様子見に来るし…12人の歴戦の騎士団がぞろぞろ見学に来るんだぜ?」

  虎丸「やっぱ親バカだな…12人も…それで龍王国から離れたくて我が王国に来たわけか…」

  俺は龍之助の瞳に孤独と空虚さを感じた。ふざけた話ではあるが、父親達の仲間になることを夢見ていたのにそれが叶わなかった気持ちが俺には痛いほど分かる。どんなにもがいても自分が乗り越えられない壁があるように感じるのだ。その気持ちに寄り添いたくなり、俺は身体を寄せて龍之助へ近付く。

  龍之助「ああ、それでぶらぶらしてる内にホワイガーさんから王室での騎士になる誘いを受けてな。王族に仕える誇りと名誉ある騎士、荒くれ者の俺にとっては夢みたいだった」

  虎丸「何故虎獣人ではなくお前みたいな龍人を選んだのか謎だったが、納得だな。戦を求め名誉を手にしようとする、古の騎士たる素質を持っている」

  龍之助「一昔前なら敵の王国の王子に仕える裏切り者だがな」

  龍之助は自虐気味に笑うと、手を俺の身体へ触れるほど近づけてくる。

  龍之助「お互い古い伝説に夢中になって…今の時代を生きるには不向きなもんだな」

  虎丸「今は騎士が戦をするような時代ではないからな…」

  俺も手を龍之助の身体に触れるほど近付ける。

  龍之助「いっそのこともっと昔にお互い生まれてれば騎士として、虎王国と龍王国の戦で敵として犯し合えたのにな」

  虎丸「まったくだ、きっと強敵として良い関係を築いただろう。その方が今日よりいい出会いが出来た」

  俺と龍之助は同時に手を互いの身体の上に置いた。龍之助の鱗はゴツゴツとして硬いが触り心地がよく、まるで強気に振る舞っているが内心は不器用な龍之助の心の様だった。俺達はさするように身体を触り合い撫でていく。お互いの心の葛藤を慰め合うかのように。