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ヒグマ獣人高校生柔道部男子が弱みを握られて慰み者にされる話
「それじゃあ、今日はここまで。お前らがたむろしてると俺がドヤされるんだ、寄り道せず帰れよ」
体育館に敷設の柔道場。ビニール製の畳の上で素足の男子達がすこし拠れた柔道着に身を包み整列していた。
その前で、一人の男性が物静かながらも威圧感のある声で、そう告げた。
「はい! お疲れ様っしたー!」
揃って帰る生徒達の声に「買い食いくらいは良いけどな」と少し茶目っけのある笑みを浮かべた男性――柔道部の顧問は、解散する獣人人間が入り交じる生徒の中の一人に声を掛けた。
「椿、お前ちょっと居残りな」
椿と呼ばれたのは、体は殆ど大人になっている男子高校生の中でも取り分けガッシリとした体を持っているヒグマ獣人の生徒だった。
柔道着から覗く胸板は、短い深茶の被毛が脂肪の程よく乗った筋肉にふっくらと膨らんでいる。全体の均整があり、日々の練習を真面目に取りくんでいるのだろう事は目に見えて分かった。
「椿、お前最近どうした。取組中も妙に気が散ってるだろ?」
だが、顧問教師の口から出たのは、そんな評価とは真逆のそれだった。そんな顧問の指摘に、椿は顧問も簡単に投げ飛ばせそうなそのガッシリとした身体を少しびくりと震わせてから、何かを迷うように視線を彷徨わせ――。
「……なんでも、無いっす」
「そうか……」
じっと顧問を見つめながら椿はそう返していた。
明らかに『なんでもない』はずがない反応だったが、顧問にはそれ以上踏み込めない。なにせ、多感な時期の生徒だ。深く踏み入ってしまえば、顧問にとっても、椿自身にとっても取り返しの付かない傷になってしまうかもしれない。
若い頃は色々あるもんだ。と顧問は、己の思春期時代を思い出しながら、椿の肩をポンと叩いてから、「あー、なんだ……その」と言葉を迷ってから。
「何か相談できることがあれば、聞くからな」
と、その判断を椿に委ねたのだった。
彼の顧問を見つめる瞳が、救いを求めるものだと気づくこともなく。
◇◇◇
久間里 椿は、高校2年の柔道部員だ。
地区大会では優勝常連、県大会にもなると中堅程度の実力。
元々柔道を始めたのは、アニメの警察官が柔道で悪人を捉えた所に憧れてだったが今は生活の一部になっている。正義は悪に――いや、そんな事はどうでもいい。
椿にとって、今はそんな事どうでもよかった。
「お、お疲れ様ですー」
「……ああ」
後輩が先に着替えて部室から出ていく。柔道場に備え付けの部室はロッカーとベンチが並べられているだけの、殆ど更衣室だけの部室だ。そのベンチに座って着替えもしない椿に、後輩が遠慮がちに挨拶してドアを閉める。
椿の先輩や同級生は皆もう帰った後、部室の掃除を済ませた後輩達が帰れば、もう椿しか部室には残っていなかった。
「最近、久間里先輩、機嫌悪いよな……」
「部活中もなんかイライラしてる感じあって嫌だよなぁ……」
と聞こえていないと思っているのか、自分の悪口を言う後輩の声を聞きながら、椿はベンチから立ち上がり、柔道着の上着を脱ぎ捨てて苛立ち混じりにベンチへと叩きつけた。
バチン! という音が虚しく部室に響く。
「クソ……ッ、何も知らねえくせに……!」
涙ぐむ声で椿は、そのまま柔道着の下も脱ぎ去って姿見の鏡の前に立った。震える手でその無骨なボクサーパンツのゴムに手をかける。
そして徐ろにずらした下着の中。本来、何にも隠されるはずのない成長途上の陰茎は、無機質なケージの中に囚われていた。
貞操帯。
椿は、その檻に閉じ込められた自らの陰部を撫でる。それは、数日前、ある男から強要されたものだ。
裸を弄ばれ、全身を舌で舐め回され、更に椿のプライドそのものであるこの柔道着も汚された、あの日。漸く開放してくれると思った男に装着された、この拘束は思春期の椿に取っては、ただ地獄そのものだった。
皮の中に押し込まれた亀頭は勃起しても、そこから出てくる事が敵わない。それどころか押し込まれる痛みで満足に勃起もできないでいる。夜も生理現象で勃起しそうになると激痛で起きてしまう程の苦しみだ。
そして、寝不足のまま悶々とした若い欲を発散もできずに、ただ苦痛だけが重なっている。
「抜き、たい……っ、くそ……なんなんだよ……ッ!」
何かの弾みで外れたりしないか。そう思って、鍵穴に針金を突っ込んでみたりもした。だが、その拘束は外れる事はなかった。
風呂の時も、トイレの時も、常に陰部を拘束し続けるそれは、毎日最低でも一度はオナニーをしていた椿にとって煩悶とした淫欲をただ昂らせるだけ。
それこそ、男同士の寝技の掛け合いで、人の体温に欲してしまう程。
きっとあの男にされた仕打ちが頭に残っているのだ。
顧問に呼ばれた時ですら、もしかしたらこんな拘束具を着けている事を見抜かれ、淫猥な要求をされるんじゃないかと考えてしまった。それだけならまだしも、それに股間が痛みを発していた事に、椿はただただ屈辱を感じていた。
こんな自分が許せない。
変態に弄ばれて、あまつさえ信頼する顧問にすら欲情してしまった自分が許せない。
「くそ、……死ねよ、何なんだよ……ッ」
鏡に映した貞操帯を付けた情けない自分を隠すようにボクサーパンツを上げて、自分のロッカーを開ける。着替えを手に取ろうとしたその時、制服の上に置いていたスマホの画面がぱっと光った。
「……ッ」
今、一番見たくない、その名前。
男が勝手に登録した『ご主人さま』という名前のメッセージが、通知に表示されていた。椿は震える手でスマホを手にして、メッセージアプリを開く。
そこには『今日、来い』という簡素なメッセージと、男のペニスを咥えている柔道着姿の椿の画像が送られてきていた。
どくんと、心臓を跳ね上げたその感情は、怒りと憎悪。そうに違いないと椿はロッカーに拳を思い切り叩きつけた。
◇◇◇
「おぉ、いらっしゃい、椿くん」
男は、まるで呼び出した事になんの後ろめたさも無いような口調で椿にドアを開けた。そして、ドアを開けたまま、部屋の奥へと入っていった。
椿が背を向けて逃げ出すなんて可能性を全く考えていないのだ。
「あ、そうだ。ちゃんと鍵掛けてチェーンも閉めといてくれよ」
奥から声が聞こえてくる。
一歩、玄関に踏み入ると、椿の脳内にあの数日前の出来事が如実に蘇ってくる。
(帰りたい……、けど、……動画……ッ)
椿が凌辱されたあの動画がある限り、ここから逃げることなんてできない。洗いざらい警察に話せば男は捕まるだろう、だけどその前にあの動画がネットに流されでもすれば、椿だけじゃない、家族や学校にだって迷惑がかかる。
手足がガクガクと震える。それでも椿はその強い精神力でその震えを抑え込んで、ドアを閉める。まるで自分自身で退路を断つような行為だ。今すぐに逃げ出したいという感情が頭を埋め尽くしながらも、椿は鍵を閉め、チェーンをかける。
何をされるんだろうか、前みたいに男のペニスを舐め、男にチンポを舐められ、弄ばれて……射精させてくれるのか。
「――ッ!」
そこまで考えて、椿は思いっきり頭を振ってその考えから目を逸らそうとする。まるで自分が、男にイカされる事を望んでいるみたいじゃないかと、己を鼓舞する。
(俺は……俺は、あんな変態の、言う通りになんて……なってやらない……ッ! そうだ、ここでアイツをボコして、動画を消させてやれば……ッ)
椿は、今が逆転の好機だと思い直し、決意の眼差しで男の後を追った。
そして。
「これで……いいですか」
椿は、ボクサーパンツだけを残して男の前に立っていた。男は殴打されてもいなければ、縛られてもいない。寛ぎきった様子でソファに深く腰掛けていた。
男に動画を消させるどころか、椿は男の言いなりにすることしかできていなかった。
(くそ……ッ、なんで……)
椿は悔しさに歯を食いしばりながら、部屋の机にあるパソコンに視線を送る。そこには、この前の椿がイかされている動画に並んで、両親と弟の画像が表示されている。
それを見た瞬間、椿は男に抵抗するという硬い意志に罅を入れられていた。あの動画が家族に見られでもすれば……そう考えさせられて、抑えていた震えがぶり返してきていたのだ。
「それじゃあ、椿くん……脱げ」
ソファに座った男が短くそう言い放った。椿は、その言葉に従って部活帰りの制服を脱ぐ去っていたのだ。だが、男はニヤニヤとした笑みを見せる。
「へえ? それで良いと思ってんだ、椿くんは」
「……っ、お……おれは……ッ」
「別に良いけどさあ、どうする? 帰る? 明日には学校中みんな、『アレ』知ってるってことになるかもだけど」
「そ……れは……っ!」
苦し紛れの抵抗で残した下着。男はそれも脱げという指示だったという事は椿も分かっていた。だが、男はそれで許してくれるような相手ではなかった。恐怖と緊張で息が荒くなる、滑舌が上手く回らない。それでも、あの動画をチラつかされた椿は、自分でその下着のゴムに指をかけた。
「パンツも……脱ぎ、ます」
「なんだ、分かってんじゃん、椿くん。……じゃあ、最初から脱げよ」
苛立ったようなドスの効いた声。その声にビビっている自分が悔しい。抑えきれない思いに唇を噛みながら、椿はその柔道で鍛えた重厚な身体を唯一覆い隠すその下着を足首に落として、制服の上に投げやった。
椿の身体を隠すものはもうない。そのお椀のように膨らんだ胸も、筋肉と脂肪で丸く膨らんだお腹も、男によって禁欲を余儀なくされた拘束具に包まれた性器も、全てが男の前に曝け出されていた。
「へえ、ちゃんと溜まってるか? おお、タプタプじゃねえか、なあ?」
「ぅ……っ、ぁ」
「ははッ、なんだ。感じてんのか、変態柔道部員?」
男はソファから身を乗り出すと黒いプラスチックの檻に囚われた肉茎の下。圧迫されて丸く膨らんだ睾丸を掬い上げ、指の上でバウンドさせるように弄ぶ。
指先で軽く擦られただけだというのに、椿は敏感に快感を感じ取り、思わず腰を引いてしまう。そんな情けない椿に男はケラケラと笑いながら、再びソファに背をもたれさせる。
そして、言い返すこともできない椿が男を睨みつけるのに満足そうに笑った後、こっちに来いと言わんばかりに指を曲げ。
「俺の口に舌入れろ……分かるよな?」
次の命令を口にする。
◇◇◇
「舌……ッ、を……」
椿は、その命令に思わず硬直した。男の口に舌を入れる、それはつまり、男とディープキスをしろという事だ。女子と付き合ったことも無い椿にとっては、それはまさにファーストキスに違いない。それを、こんな所で、こんな変態相手に。
「嫌だったらいいぜ?」
そんな若い葛藤に水を差したのは、他でもない目の前の男だった。嫌だったらいい。その意味する所は分かり切っている。
椿は、両拳を硬く握りしめたまま男に近づいていった。このままこの男の首を締め潰してやりたい。そんな怒りを抑えながら、ソファの男に背を屈める。
男が待つように口を開ける。
「ぅ……っ」
口を開けて、唇が男の口に触れないように舌を突き出して近づけていく。だが、そんな事をしても触れ合わない筈がなかった。男の柔らかな感触が唇に触れた瞬間、それを拒む間もなく椿の後頭部が男に抑えられ、深く、深く互いの唇が重なり合う。
「んん゛ッ……!?」
咄嗟に頭を引こうとする。だが、椿の視界に男の目が映る。じっと見つめるその目は、椿に直前の命令を思い出させる。
できるだけ男の感覚を排除しようと息を止めたまま、椿は男の口の中に舌を伸ばしていく。ぬちゃり、と生暖かい男の舌に触れたと思えば、それは椿を待っていたかのように絡みついてきた。
「ん゛ッ、ぉ……ふ、ぁ」
舌先が絡み合い、ざらついた舌の表面で唾液を混ぜ合わせる。上顎や歯茎に舌を這わされる感覚に肌を粟立てながら、椿は押し込まれてくる溺れそうな量の男の唾液を嚥下するしかなかった。
そのまま十数秒、息を止めるのも限界になってきた頃に、男は椿の口を開放する。
「ぷぁ……ッ、はぁ、はぁ……っ」
「おら、座れ」
椿は男の口を解放されて、思いっきり酸素を吸い込んだ。ヒグマ獣人の体が激しく上下して呼吸する。その肩に男が足を上げて踵で軽く押し込ませると、ソファの前に椿を座り込ませた。
自然、男の股の前に座った椿が口に残る男の感触に涙を浮かべる様を、ニタニタと見つめる男はその足を椿の顔の前に差し出していた。
深呼吸する椿の吸い込んだ息に、男の足裏の匂いが一気に流れ込む。
「――ゔ、ェッ」
「しゃぶれ。……ちゃんと、隅々までな」
思わずえづいた椿に、男が短くそう命令する。その足裏に舌を這わせろと。
「ここ最近、洗ってねえからな。椿くんがキレイにしてくれて助かるぜ」
(くそ……っ、なんで……ッ)
その足は、一日履いた靴下よりも凶悪な香りがした。数日洗っていない、というのは信じがたいが本当なのだろう。
今まで嗅いだ事も無いほどの悪臭を感じながらも、反射的に溢れてくる鼻を啜りながら舌を伸ばす。そこに染み付いた汗の味が椿の味覚を蹂躙し、椿の体が全力で拒絶反応を示す。
「……ぉ、……ぶ、ん……ッ」
込み上げる吐き気を無理矢理に押し殺し、そして男の足を己の舌で綺麗にするように舐めていく。塩気と酸味と苦味が口の中に広がっていっては唾液に溶け出していくのが分かる。その唾液を床に吐き出す事もできない、そんな事をすれば男が何を言い出すか分かったものじゃない。
ぐぎゅり、と音を鳴らしながら椿は、汚い男の足垢が溶けた唾液を呑み込んでいく。そして、十分に舐め回しただろうと口を離した椿が、唾液の糸を垂らしながら男の顔を見上げれば。
「隅々までって言ったろ。指の股も、爪の間も舐めんだよ」
「ぅ、ぁ……、……ッ、は、ぃ……」
ぐりぐりと踏みつけるように、椿の唾液に濡れた足が椿の頬に押し付けられる。数日洗っていない柔道着のような匂い、それが自分の毛に染み込んでいくような嫌悪感に苛まれながらも絞り出すように頷いた椿は、再度その足に舌を這わせていった。
舌先で男の指の間を擦る、指一本一本に赤子が父を吸うように吸い付いていく。口と鼻に充満する男の匂いよりも、自らそうしているようにすら見えるだろう自分の姿が情けない。そして何よりも、こんな状況だと言うのに痛みを発する股間に憤りを覚えていた。
椿の若い性の漲りは、男の強烈な匂いに数日前の快楽を思い出して、その欲を満たそうと貞操帯にその身を食い込ませている。
(……ッ、くそ……クソ……ッ!)
「キレイになったか?」
「んぷ……ッ、ぅ……」
小指の爪の間までを舌で擦り上げた椿が口を離せば、男は漸く満足げに鼻を鳴らした。ソファから立ち上がった男を見上げる、その男の股間はズボン越しにも膨れ上がっているのが見えた。
それを、口で奉仕しろと言われるのか。その陰部の蒸れた雄の匂い。それが鼻の奥を掠める椿に、しかし、命じられた言葉は別物だった。
「ケツ出せ、ちんぐり返しって分かるか?」
「ケツ……? ちん、ぐり……?」
わけが分からず思わず聞き返す。そうすると「ウブだねえ、言わねえと分かんねえか」と卑しく表情を歪めながら男に、椿の肩に足を置かれて後ろへと蹴り倒される。
「……ッぐ……?」
「受け身取るみてえに床に背中つけたら、膝抱えてテメエの汚え尻広げてみせろってんだ」
「え……ぁ……」
「それとも、貞操帯着けてる癖に勃起しそうな椿くんの可愛い変態チンポ踏み潰してやろうか?」
その言葉を言われた瞬間に、椿の全身が真っ赤に燃え上がるような感覚を覚えた。貞操帯の下で窮屈に膨らんでいるその雄欲が見抜かれていた、それを知って、視界が真っ白になるほどの羞恥に頭が茹だりそうになる。
「……っ」
仰向けの椿は股間を隠すように両足を抱えて首の後ろで体を支えると、腰を天井へと向けた。重力に重い体が圧迫される。膝の裏に腕を通して、椿は自分の尻を両手で掴み、そして、誰にも見せたことのない、自分でも見たことのない、その秘部を男へと曝け出した。
「案外キレイじゃねえか。ウンコした後ちゃんと拭けれて偉いなあ、椿くん」
「ん、ぐ……っ」
「まんじゅうみてえなケツ肉に処女アナルがピクピクしてやがる、はあ……堪んねえな……」
体が折れ曲がって、貞操帯に包まれた股間が目の前に降りてくる。そんな光景を直視できず硬く目を瞑った椿に、男は鼻息が触れる程の近くで、その薄紅色の襞の集まりをまじまじと観察していた。
「あ、……やめ、ッ、見るな……」
「うるせえよ」
椿が顔を羞恥に歪めながら言葉を漏らす。だが、男はそんな椿の言葉に耳を貸す事なく、その収縮を繰り返す孔に指を添える。そして、その皺を伸ばすようにグイと軽く引っ張ってきた。
「ひっ……ぃ!?」
そして、ヌルっとした感触に、椿は思わず声を上げる。生暖かくて、柔らかい何か。それが何かなんて、分かり切っている。ただ、それを認めたくなくて椿は、目を開けられないまま首を横に振っていた。
「なに……、ッ、んな、とこ……ッ」
「ん、ちゅ……っ、んあ? なんだ、気持ちいいか?」
「気持ち悪いって、言ってんだ……っ」
「そうかい、そうかい」
「ん、ぉ……っ?」
拒絶する椿に、男は更に椿の予想を超えてくる。その舌が、表面を撫でるばかりではなく、その穴の中へとぐぐ、と押し込まれてきたのだ。
短い熊のシッポに男の顎に生えた無精髭が擦れる。
「んん゛……ッ、や、め」
椿の尻を掴む指に力が籠る。男を突き飛ばすのは簡単だ。だが、そうすれば全部が終わり。葛藤と嫌悪感に苦悶の声を上げる、その間も、その穴の中に男の舌がどんどん侵入してくる。
「んぐ……っぅ、ぁ……!」
にゅく、にくちゅ、と唾液を塗り込むように舌を動かしている男の呼吸が徐々に荒くなっていくのを感じながら、早く男が満足するように自分の尻を広げて男が舐めやすいように調整しながら、只管に耐えていた。
どれくらい男がそうしていたのか。そんなに長い間じゃなかったが、椿にとってはまるで数時間そうされていたかのような体感だった。
男の舌が、ずるりと椿の中から出ていく。最後に、吸い付くように唾液で泡立った窄まりにキスをしてから、完全に舌を引き抜いた男に、椿はもう終わったんだと、耐えるために閉じていた目を開ける。
「……ぇ、……」
そこには、男のペニスがあった。
ズボンから取り出したその赤黒いいきり立った雄茎を手にする男の姿。
「いや、我慢できねえわ。するつもりも無かったけど」
そう嘯きながら、男はゆっくりとそのパンパンに張った亀頭の先を椿からは見えない、その一点へと宛てがっていく。ぴとりと触れ合う感触に、椿は脳が拒否していた認識を認めざるを得なくなる。
「い、……やだ……ッ、なあ、頼む……っ!」
「おし、椿くんの処女は俺がもらってやるからなぁ」
男は聞く耳を持たない。それでも、椿は自ら尻を広げながらも首を振って、懇願する。
「しゃぶ……しゃぶるから……ッ! 俺、チンコしゃぶる……ザーメンも飲むから……ッ! お願い、それは、ッ……いや、だ……ッぁ、ァガアああッ!?」
「おおー……っ、締まる締まるッ。良いマンコしてんじゃねえか、椿くん」
懇願虚しく、その槍は椿を貫いていた。尻肉を引き裂かれる激痛に叫ぶ。
男の矜持を一緒に引き裂いているような、そんな絶叫を聞きながら男はその欲の塊を椿のナカへと一気に沈み込ませていった。
「おれ……マンコ、じゃ……ッ、ね……ぇぐ、……っ!? おァあ……ッああッ、痛あッ……やめ゛……ッ」
「おお、絡みついてくるッ、いい具合のマンコだぜ、椿くん」
「い、……ッ、でえ……ぇッ! 抜いで、……ッァア!」
尻に感じる異物感。みち、みち、と割り裂くように侵入してくるその感触は今まで感じたことの無い圧迫感だ。痛みに目尻に涙を滲ませながら懇願する椿の必死の言葉も聞かず、男は自身の快楽だけのために容赦なく腰を椿の分厚い尻に叩きつけていく。
ばちゅん、ばちゅんッと乱暴に体の中を抉られる激痛に叫び続ける椿だったが、次第にその声色に、困惑の色が混ざり始めるのを男は見逃しはしなかった。
「んっぐ……ッぁあッ! ぐぅう……ッ、痛ぇ……ッぁ、ん……ッ!? がッ……あ、ぅ!!」
「椿くん、どうした。おしりがビクビク震えてるけど……もしかして、気持ちよくなってきたか?」
「ちが……ッ、俺……は、ッ……ぁあッ、んぁああ……っ、ソコ……ッ、やめ……っ」
「……ここ、かッ」
「ひ、っ、ぐ……っぅうゥぁ、ウウっ!」
ズシンとナカの一点を抉るように重く突き挿れられた衝撃に椿の体がわかりやすく跳ねる。その声は、明らかに快楽によって放り出される嬌声が混じった悲鳴だった。
「んうぅ……っ、う……ッぐ……ぅう……!!」
「マンコで感じる雌熊になっちゃったなあ……ああ、そうだ。ならもう、これも要らねえか」
抽挿が遅くなった。そう思った瞬間、椿の耳に飛び込んできたのはカチリ、という硬質な音だった。
男のペニスで電流が走るような快感を与えられて麻痺している椿の脳みそでも、それが何の音か理解出来た。貞操帯の鍵が外される音だ。
待ち望んでいたその音。だと言うのに、椿の胸中は絶望に満ちあふれていく。
「ぁ……ッ、ぁあ……!」
鍵を開放した瞬間、一気に血流が流れ込んだ海綿体が膨らみ、その勢いで貞操帯の分離部分が床に飛んで転がる。精通を迎えてから、これだけ長い間欲を抑えたことの無い屹立は、ほんの数秒で最大限にまで腫れ上がり、皮が半ばほど残るその先からはカウパー腺液が男の腰のリズムに合わせて揺れて、椿の顔から腹までを汚していく。
今だけは、その開放を望んではいなかった。
男の抽挿が再開される。激痛と快感。その強烈な相反する感覚に体が埋め尽くされていく。そんな中で、自分の体を繊細に調整することなどできるはずもない。
椿は、腹の中に男の熱を感じながら、別の熱が腰を震わせ一気に溢れ出てこようとするその予感を食い止められずにいた。
「いやだ、……ッ、おれ……俺……っぁあ!」
どちゅん!!
一際強く、男のペニスが椿の腹の奥を貫いた。その衝撃が椿の脳を震わせるよりも早く。
椿の切先から白濁が飛び出していた。
数日間、溜め込んだ獣欲を晴らすように、水鉄砲のように勢いよく発射されたその迸りが椿自身の顔を直撃し、その熊毛に跳ね返る。むせ返るような栗の花の匂い。
「……うわ、えっろ……トコロテンかよ」
「ぅ、ぁ……ッ」
「やべ……俺も、これもう……ッ」
男のピストンが早まっていく。射精直後の椿の体を気遣う素振りすら見せずに、その太い腕でしっかりと椿の腰を固定する。椿は、男がしようとしている事を察して、思わずその手を掴む。
だが、男の腰は止まってくれない。
「中……ッ、中だけは、頼む、お願いです……ッ、何でも、するから……っ、それだけは……!」
「ッ、中ってなんだッ……ぁ!? ちゃんとお願いする時は……ッ、明確にだな!」
「ケツの中は……ッ」
「はッ! 俺が、突っ込んでんの、マンコだからよッ! 知らねえ……ッ、なあ!」
男の息が上がっていく。小刻みにその悦楽に酔いしれる声色が、もはや一刻の猶予も無いと椿に教えていた。羞恥に震える己を奮い立たせ、椿は最後の一線を守るため、認めたくない言葉を口にする。
「俺の……ッ、おれの、マンコにザーメン、ッ出さな――」
「あ、わり、イクわ」
「な――ッ、ァ……っ」
椿のそんな必死の覚悟すらも嘲笑うように、男は簡単にその救いを求める手を払い除けた。
その腰を小刻みに前後させながら、最後に一気にパンッと音がなるほどに腰を打ちつける。
ごぷっ……ッ! とその瞬間、椿は自分の腹の中に大量の粘ついた液体が放出されるのを確かに感じていた。男の精液。熱く粘ついたその感触が、男のペニスが引き抜かれた後も腸の中にじんわりと広がっていく。
「……ッ、ぅ……ぁ」
「ふうー、出た出た……金玉空っぽになるぜ」
汚された。男であるという矜持も、強い雄であろうとした憧れも、全てだ。
起き上がる事もできない椿は、自身の精通で汚れた顔に涙を流しながら弱々しく呻くことしか出来なかった。そんな椿に男はただ一言。
「じゃあ、今日は帰っていいぜ。またなぁ、椿くん」
それだけ言い放ったのだった。
◇◇◇
ふらふらと、暮れかかる道を椿は帰っていく。
服は着直している。その服は汚されてはおらず、部活で疲れている普通の高校生の姿に見えるだろう。誰も、彼が今しがた男に犯され、汚された後だとは思うはずもない。ガタイが良い彼が大人しく犯されるなんてことがあるはずもないと。
「……」
赤く染まる空に椿はふと立ち止まった。道端の側溝の蓋が外されている。どこかの子供が蓋を開けてそのままにしていったのだろうか。
直していこう。と歩み寄ったその時、椿の脳裏に男の声が木霊する。「いい子だねえ、椿くんは」と嘲笑う声が聞こえた。何が正義だ。憧れた所で、何の力にもなっていない。
今日は汚されなかった柔道着。それが只管に腹立たしかった。
「……ッ!」
椿は柔道着の袋を振り上げ、藻の這う側溝へと叩き落す。バジュンと残っていた僅かな水が跳ねる音。それと同時に袋と柔道着がその水を吸っていくのが見えた。蹴りつけた。何度も、何度も、柔道着が汚くなるまで蹴り続け、そして。
肩を荒く上下させながら、強烈な後悔の念に襲われる。
「ぁ……ッ、ちが……!」
そんな事がしたかったんじゃない。椿は動転しながら、その袋を掬い上げて両腕に抱え込んだ。制服が汚れるのも気にせず固く抱きしめると、側溝の蓋を元に戻して家へと走り出す。
涙が止まらない。
この体たらくをどう家族に誤魔化すか。それを考えつかないまま、椿はただただ自分の家に帰りたくて、夕暮れの道を駆け抜けていくのだった。
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