正義穢して、握り潰して(前編) 〜 猪ヒーロー・エレキゴールドVS熊怪人・ランドグリズリー 〜

  激化するタイラント帝国の攻勢に備えるためヒーロー部隊ティア・ガーディアンズが各地に築いた防衛機構。市街地を取り囲む形で岩石を積み上げて建築した巨大な石壁により敵の侵入を防ぐ原始的ながらも強力な防衛網であった。ティアースの全土を守護するにはヒーローの才覚がある「なり手」が不足していたこともあって特にヒーロー本部から離れた地方都市の防衛については10年に及ぶ戦争の中でも早急な対策を要していた。

  構想自体は以前からあったものの建築作業の難度から長年実現に至っていなかったが、大地の力を操るガイアを持つヒーローが約1年前に登場したことで多々あった問題が解決し、彼の協力の下で各地に石壁が築き上げられた。大地のガイアの加護を受けたためか、その石壁はタイラント帝国からのどんな強力な攻撃も防ぐ堅牢さを有していた。彼らはその石壁を「ガイアイージス」と名付けた。

  タイラント帝国と対峙する北東エリアの最前線に位置する街──フロントタウンは戦線へのアクセス利便性からヒーロー達の作戦中継地点にも利用されていたが、その立地ゆえに何度もタイラント帝国の侵攻を受け続けていた。その街に駐在する猪獣人のヒーローがなんとか守り続けてきていたが、1人のヒーローの力には限界はあった。タイラント帝国との交戦における重要ポイントとしてフロントシティの四方八方にガイアイージスが築かれて1年が経つが、タイラント帝国からの侵攻は鳴りを潜めていった。仮初の安寧ではあることを理解しつつも、そこに住む人々は戦前と変わらない生活を送れるようになってきていた。

  

  「ああ、つまんねーな」

  猪獣人の少年が草むらに寝そべりながらも自らの5倍ほどの高さの壁を眺めている。空虚な瞳で壁を見つる彼を、隣に座り込む もう1人の猪獣人の少年がジロリと睨む。

  「[[rb:柔一 > じゅういち]]にいちゃん、子供だけで外はダメって父ちゃんに怒られたばっかりだろ」

  「別にいいだろ、[[rb:剛次 > たけつぐ]]。 父ちゃんは今日ヒーロー本部に出張してるだろ」

  「だからって……」

  剛次と呼ばれた少年は不服そうに鼻を鳴らす。それを横目で見ながら柔一はため息を深くした。彼らこそ、この街に駐在するティア・ガーディアンズのヒーローの目に入れても痛くない息子達だった。柔一は壁によってもたらされた平和な日常に飽き飽きしているのか、時折こういったボヤきを漏らし父に何度も叱られていた。

  「こんな戦場すぐ近くの危ない田舎に住むより、ヒーロー本部の近くに引っ越した方が父ちゃんだって楽できるだろ?」

  「でも、ここはヒーロー達の最前線基地だし、父ちゃんがいないと『もしも』の時に街のみんなが危ないし、それに……」

  剛次が言い淀みながらも言葉を紡ぐ。

  「母ちゃんはここで眠ってるから……」

  剛次の言葉に柔一はハッとする。彼らの母は数年前に病で命を落としている。ヒーローである父は悲しみに暮れながらも妻の故郷であるこの街に墓を建て、自らが駐在ヒーローとしてこの地を一生守り抜くことを誓ったのだ。

  『安心しろ、柔一、剛次。母ちゃんがいなくても、俺がおまえらを……この街を守ってやる』

  何かにつけて息子達にそう語りかけていた父はその身一つでタイラント帝国の侵攻に立ち向かい傷ついていった。その姿を見る息子達にも思うところがあったのだろう。柔一は父に何度もこの街から離れることを進言したが、聞く耳を持ってもらえなかった。ガイアイージスが築かれたことで父の負担は大幅に減り街の平穏も保たれているが、同時に彼ら家族をこの街に縛りつけることになってしまっていた。

  「ティア・ガーディアンズの奴らも勝手なんだよ。父ちゃん1人にこんな場所任せやがって」

  「でも、にいちゃん。この壁を作った熊のヒーローさんのことは好きだって言ってたじゃん」

  「……あの人は優しかったよな。父ちゃんに叱られながらも頑張ってくれて」

  2人はあの新人ヒーローのことを思い出す。彼は壁を築くためにヒーロー本部から派遣された。ヒーローになって初めての任務だったこともあり失敗も多く、先輩ヒーローでもある父に何度もどやされながらも可愛がられていた。大地のガイアを持つ彼にしかできなき大仕事である「ガイアイージス」建造のための1週間ほどの滞在期間であったが、暇を見つけては街の子供達と遊んでくれていた。

  『おいらヒーローになる前は学校教師やってましたからね。子供が好きなんですよ』

  『ボウズ達、猪爪のおやっさんのこと大好きみてぇだから、いつか父ちゃんみたいなヒーローになりたいって言い出すんじゃねえかな』

  『柔一! 剛次! 強くなりてぇなら、おいらが柔道教えてやろうか?」

  2人の脳裏に彼の言葉が、姿が浮かぶが肝心の名前が思い出せない。黄色いヒーロースーツ、たぷんと突き出た大きな腹、大きくて丸い目に向日葵のような黄色い瞳を浮かべた熊獣人ヒーロー……。

  「「そうだ、ランドイエローだ!」」

  兄弟2人は彼の名前を同時に思い出し、口に出したその時だった──

  「グオォォォォオオオオオ!!!!」

  壁の向こうから禍々しい咆哮が聞こえたのは。街の人々が何事かと身構えた次の瞬間、地鳴りと共に大地が烈しく揺れた。猪兄弟は立つことすらままならず草むらに倒れた。

  「な、なんだよ、これ!? 地震!?」

  「うわ、うわわ!! にいちゃん、アレ! 壁が崩れて、それにアレは……?」

  「タイラント帝国の……戦闘員!?」

  剛次が指を刺した方を見た柔一は言葉を失った。どんな攻撃にもびくともしなかったガイア・イージスの一角に大きな亀裂が入り音を立てて瓦解していくではないか。崩れた壁の向こうに見える外の世界から黒ずくめの戦闘員が数十体も入り込み、ずらりとその場に整列をする。

  そして、その後ろから大きな体躯をのしのしと揺らしながら巨大な熊の怪人が壁の内側へと入り込んできた。黄色みがかった茶色い毛皮に包まれた獰猛な顔、その瞳は澱んだ黄土色をしており、口元にはどこか満足げな笑みを浮かべていた。

  「久しぶりに来たナァ、フロントタウン……。グヘヘ、おぼろげだが記憶があるゼェ。さて、オイラが直々に邪魔な壁を壊してやったんだ。あとはテメェらの仕事だゾ、獣戦闘員ども」

  「「「イ"イ"ィ"ィ"ィ"ィ"ィ"」」」

  「サァ、イビルフロッグ様の実験材料となる獣人どもを捕まえて来い!」

  熊怪人の号令と共に獣戦闘員が街中に散らばり、獣人達に襲いかかる。先ほど地震により崩壊した街の中で、逃げ惑い泣き叫ぶ人々の悲鳴と、彼らを無慈悲に襲う獣戦闘員達の耳障りな奇声が聞こえる度に草むらに隠れた猪爪兄弟は体を震わせた。

  「に、にいちゃん……」

  「静かにしろ、あいつらが来るぞ」

  柔一が目くばせをした先には1体の獣戦闘員が草むらで何かを探すようにうろうろとしていた。体のシルエットとマズルの先から出た黒い鼻から元は犬獣人だったと思しき戦闘員が鼻をスンスンと鳴らしながら、こちらに向かって歩いてくる。見つかった……そう思いながらも恐怖で身を硬くし動けなくなった彼らに獣戦闘員が手を伸ばしたその時、兄弟達の視界に一筋の閃光が走った。

  「ワ"ォ"ォ"ォ"ォ"ン」

  閃光に包まれた獣戦闘員は全身を痙攣させて悲鳴を上げながらバタリと倒れる。それは彼ら兄弟が最もよく知るヒーローの電撃だった。

  「「おとうちゃん!!」」

  「柔一、剛次、無事か!?」

  金色の輝きを宿した瞳をバイザーで覆い、筋肉で固められた肉体をピッタリとした金色のヒーロースーツで覆った猪獣人のヒーロー。猪獣人の特徴である手足の短さと加齢と共に突き出た腹がどこか滑稽な印象を与える彼こそが猪爪兄弟の父・猪爪[[rb:柔剛 > じゅうごう]]であり、この街のヒーロー・エレキゴールドその人であった。雷のガイアを持つ彼は電撃を発生させ、息子達を襲おうとする獣戦闘員を感電させたのだ。

  「おとうちゃん、今日はヒーロー本部に行ってたんじゃ?」

  「悪い予感がして途中で引き返したが正解だったようだ。おまえら、父ちゃんが来たからにはもう安心だぞ」

  「うっ、うぅぅ……おと〜ちゃん」

  「剛次、な、泣くなよ……ひぐっ、ぐすっ」

  「おお、おお、2人とも怖かっただろう。よしよし、もう大丈夫だぞ」

  エレキゴールドの牙が生えた口元を弛ませ、大きな両手で息子達の頭を撫でた。先ほどまで不安を覚えていた柔一と剛次だったが父が側にいる安心感に泣きじゃくり始めた。息子達をあやしながら周囲に注意を配っているエレキゴールドはマズルの先の豚鼻をヒクヒクと動かす。いつの間にやら周囲を敵に囲まれていることを察した彼は体を屈めると息子達と同じ目線で話し始めた。

  「いいか、今から父ちゃんが周りの戦闘員どもをぶっ飛ばしてやる。その後に街のみんなを助けに行く」

  「ぼ、ぼくらも手伝う……!」

  「だめだ、おまえらは街の外れにある避難シェルターまで走れ」

  「でも、父ちゃん1人じゃ」

  「俺を誰だと思ってる。この壁ができる前から何年もフロントタウンを……おまえらを守ってきたヒーロー・エレキゴールドだぞ。こんな奴ら一捻りに決まってるだろ」

  不安がる息子達を安心させるようにニカっと笑顔を浮かべたエレキゴールドが立ち上がると同時に周囲を取り囲んだ獣戦闘員達が彼らに飛びかかってきた。四方八方から飛び出してきた戦闘員に動じることなく、両手を天に掲げた彼の全身にバチバチと電流が纏われていく。バイザーの奥から殺気を放った視線を周囲に向けた彼は先ほどまでとは打って変わった阿修羅のような表情となり雄叫びを上げた。

  「はあぁぁぁぁぁああ!!」

  「「「イギィィ"ぃぃぃぃ!?!?」」」

  エレキゴールドを中心として大気中に電流が走れば、獣戦闘員達は体を痙攣させながら直角に地面に落ちていく。獣戦闘員達は1体残らず感電して失神していた。自分の傍にいる息子達を巻き込まないようにガイアの力を調整する術は熟練のヒーローならではの妙技であった。

  「おとうちゃん、かっけぇぇ」

  「やっぱり父ちゃんはつえぇな!」

  「ガハハ! 当たり前だ。家族を守るヒーローが負けるはずないだろ?」

  張り詰めていた空気が弛緩しかけた、その時。エレキゴールドは今まで感じたことがない暗く澱んだ─しかし、どこか懐かしい─気配を感じて周囲を警戒する。

  「グオォォォォオオオ!!」

  と、壊された壁の方からずしん、ずしんと大きな足音を立て、咆哮を上げながら巨大な何かがこちらに向かって走り寄ってくることに気づく。

  「父ちゃん、あいつが壁を壊したんだ!」

  「タイラント帝国の怪人とかいう奴らか……なるほど、さっきまでの戦闘員どもとは殺気が段違いだな」

  「おとうちゃん、勝てる?」

  剛次の心配そうな声に、いつもの笑顔を浮かべたエレキゴールドはただ一言。

  「当たり前だろう。おまえらは向こうの建物の影に隠れていなさい」

  「う、うん……わかった。いくぞ、剛次」

  柔一は剛次の手を引いて、建物の影へと身を潜めた。もう父とは会えないんじゃないか……そんな漠然とした不安を胸に抱えながら。

  [newpage]

  自分よりも2周りほど大きい熊怪人が近づいてくるのをエレキゴールドはまんじりともせず待ち構えていた。彼自身は怪人と対峙したことはなく、獣人がタイラント帝国に改造された成れの果てという認識しかなかった。哀れな存在ではあると思うが、自分が守るこの街をここまで壊したのだ、手心を加えるつもりは全くたりともなかった。

  丹田に力を込めて息を大きく吸えば全身が帯電していきバチバチと金色のヒーロースーツに電流が流れ始めていく。

  『おそらく奴の力は俺と互角か、それ以上……ならば、一瞬で勝負を決めてやろうぞ』

  対象との間に障害物はない。有効射程範囲内に入った瞬間に全エネルギーを放出して熊怪人にぶつける。それが彼の作戦であった。熊怪人とエレキゴールド間の距離が100m、80m、60m……と詰められていく。まっすぐに突進してくる熊怪人からの殺気を受け止めながらもエレキゴールドは瞳を閉じて神経を集中させた。50m、40m、30mまで詰められた瞬間、カッと黄金の瞳を見開き両手を前に掲げ──

  「くらえ、[[rb:電磁砲 > エレキバースト]]!!」

  エレキゴールドに帯電していた電子が指向性を持ち、彼が手を掲げる方へと流れていけば凄まじい閃光とともに現れた電撃の奔流が熊怪人を飲み込んでいった。熊怪人の体を電流が流れることで電気ショックが起き、それにより発生した熱で怪人の毛皮が、肉体は焼けて丸焦げになる……はずだった。熊怪人は電撃などなかったかのように進撃を続けており、エレキゴールドの間合いまで飛びかかってきた。

  「ウガアァァァアアア!」

  「馬鹿な、無傷だと!?」

  全エネルギーを解放して放った一撃がまったく効いていないことに動揺しながらも、熊怪人の突進を受け止めるエレキゴールド。自分よりも大きい怪人と取っ組み合うことになり不利な状況に陥るヒーローを嘲笑うように熊怪人が組み合う腕に力を込めていく。

  「ぐおっ……!」

  「グヘヘ……怪人になってから初めて会うヒーローがアンタだとはな……」

  「おまえ、なぜ俺の電撃を受けて平気でいられるんだ……?」

  涎を垂らし舌舐めずりをする熊怪人が下卑た声を発したことに驚いたエレキゴールドは押し負けながらも先ほど感じた疑問を口にする。圧倒的な力で推し勝っている熊怪人は大きな牙を生やした口を歪ませながら、その問いに答えた。

  「アンタの電撃が当たる瞬間にオイラの力で土の壁を作ったンダよ。それがアース代わりになって電流が地面に流れて消えたってワケだ」

  「大地を操ったというのか……そんなことができるのは、うっ、うおぉぉぉ!?」

  自然を操る力を怪人が使える訳がない。それができる大地のガイアを持つヒーローの顔が脳裏に浮かんだ瞬間、エレキゴールドの体は宙を浮いていた。熊怪人が突然体を引いたことで前につんのめる形になった彼を、180度体を回転させた熊怪人が背中に乗せ、次の瞬間にはドシンと音とともにエレキゴールドは背中から地面に叩きつけられていた。

  「がはっ!? うぅ、これは柔道の背負い投げ……?」

  大地の力を操り、柔道の技を繰り出す熊怪人の姿と、彼がよく知る熊ヒーローの姿が重なった。この街を守るガイアイージスを建てた、心優しく、子供が好きな、未熟ながらも将来有望なヒーローの名が思わず口からこぼれた。

  「おまえ……ランドイエローなのか?」

  「ククク、それは昔のオイラのことか? 今のオイラは獣怪人18号、地震怪人ランドグリズリーだ!」

  「ぐはっ!?」

  高らかに名乗りを上げたランドグリズリーは自らが打ちのめしたエレキゴールドに覆い被さると、鋭い牙で彼の首元に噛み付いた。皮膚を、肉を噛みちぎられる痛みに耐えようと目を瞑ったエレキゴールドだったが、ランドグリズリーは鋭い牙でヒーロースーツだけを破り始めた。

  「はぁっ、はあっ! なんのつもりだ、ランドイエロー。おまえはそんな残虐な怪人ではない、誰よりも心優しいヒーローだったはずだ。こんなことはやめるんだ!」

  「うるせぇナ、オイラはこの怪人の力で破壊の限りを尽くすんだ。それに……グヘヘ、怪人になって初めてわかったけどよぉ、エレキゴールド……アンタ、うまそうな体してるじゃねえか。オイラ、興奮してきちまったよ」

  残虐だった表情が好色なものへと変わっていく。先ほどまでの命の危険とは異なる危険を察知して体を暴れさせて逃げようとするエレキゴールドだったが、ランドグリズリーが寝技の要領でエレキゴールドの首と肩を固めて、足を絡ませれば縦四方固めを極められてしまう。

  「うごっ……体が動かん、息が……」

  「おうおう、苦しがっちまってヨォ。へへ、汗臭ぇ加齢臭がプンプンしやがる。どれっ、いただくとするゼ」

  破られはだけたヒーロースーツから垣間見える獣毛がもうもうと茂った胸板からは子持ち中年獣人の雄臭い匂いが立ち込めており、そこに顔を埋めたランドグリズリーは美味しそうに肉厚の舌をめいっぱい伸ばして胸元から首筋を舐め上げていく。

  「んちゅっくちゅっ……ぷはっ! 中年雄獣人の汗、うめぇな……♡ はぁ♡ はぁ♡ んちゅっ、じゅるちゅる……♡」

  「や、やめろ……よせ、ランドイエロー。おまえとは雄同士だろ、このような淫らな行為、許せる訳がなっ……んぷっ!?」

  エレキゴールドの喚く口にランドグリズリーの牙の生えたマズルが近づき荒々しく塞いでいく。ぬるりと獣臭い唾液をまとった舌を侵入させれば、蹂躙するように彼の舌を絡め取っていく。

  ぴちゃ、じゅる、くちゅぅ、ぴちゃ、じゅる、じゅるる

  周囲に淫らな水音が響いていく。最初こそ抗おうとしていたエレキゴールドだったが、妻を失って以来性的な交尾を行っていなかった動物の本能がその艶かしい感触を次第に受け入れ始めていたが、肉体が絆されつつあっても人々を守るヒーローの精神は決して屈していなかった。荒々しい接吻を受けながら、抵抗のチャンスを探していたエレキゴールドはふと自分の太ももに何か硬いモノが当たっていることに気づく。それは同じ獣人では見たこともない程に大きく硬くなったイチモツであった。

  「はぁ、はぁ、グヘヘ……なあ、怪人になったおかげでオイラこんなにデカくなったんだぜ♡ コレ、コレをよぉ、エレキゴールド……猪爪のオヤッサンのケツに挿れてもいいヨナ?」

  「ふざけたことを言うな! 雄同士でこのような行為、あってはならん!」

  「いいダロ。どうせ、オヤッサンも俺と同じように……怪人になるんだからヨォ!」

  そう言ってエレキゴールドの左腕を掴んだランドグリズリーは、変身アイテムであるブレスレット「ガイアチェンジャー」を手首から引き剥がし、片手の圧力だけで簡単にその形を歪ませてしまう。ガイアチェンジャーが壊されたことでエレキゴールドの身を纏っていた金色のスーツが解除されて全裸の中年猪獣人のみが残されてしまった。猪爪柔剛がチラリと息子達が隠れた建物の方に目線を向ければ、彼らはまだ逃げもせずに物陰から父と怪人の戦いを見守っていた。そんなことを意に介する様子もなく、ランドグリズリーは縦四方固めの態勢から体を起こしながら体を下に滑らせ、その巨躯を柔剛の脚の間に無理やり入れ込み、柔剛の脚を、尻穴を開かせていく。

  「おお、さすが子持ちヒーロー様の尻穴ダナ。まだ使われてねぇキレイな色してやがる」

  「や、やめろ……こんなこと、やめろ、やめてくれぇ……!」

  ランドグリズリーの太い腕が柔剛の足を掴めば、さらに無理やりに開かせていけば、ぱっくりと尻穴が開いてしまう。自分が敗北する姿だけに飽き足らず、こんな惨めに犯される姿を息子達に見せる訳にはいかない。その思いで情けない懇願の声を漏らす柔剛だったが……

  「獣戦闘員以外の獣人との交尾は初めてだからなっ……グヘヘ、んっ、やっぱりせめぇな」

  ランドグリズリーの凶悪にいきり勃った怪人チンポの先端が柔剛の狭い尻穴にこじ挿れられていく。改造と何百と繰り返していた雄交尾で尻穴が緩みきった戦闘員や怪人と異なる硬い感触を味わうように浅いところでの抜き差しを繰り返していく。

  「おっ! おぉ、だめだ、そんなもの……!入る、訳が……!ぐあっ……うぅぅ!」

  熱く硬い感触が肛門をノックする度に痛みを覚え、悲痛な声を漏らす柔剛。じゅぷっ、ぬちゅっ、くちゅっと淫猥な粘膜と粘膜がこすれる音を立てながら次第に奥へ奥へと入っていき始め……

  「そろそろいいヨナァ。おら、よっと!」

  「うぉ、うぉぉ、うっ…………ぐがぁぁぁあああああ!!」

  獣人だった頃の彼の口癖はそのままに、ランドグリズリーは腰を一旦大きく引き、怪人チンポのカリ首が肛門から抜けそうになるその瞬間、ぐっと腰を押し出し勢いのままに硬い肛門を貫き、排出する穴を挿入する穴へと変えていった。

  バチん!!

  互いの突き出た腹同士がぶつかり合う どこか間抜けな音とともに最奥を貫いたランドグリズリーは怪人チンポにまとわりつく温かい肉の感触に酔いしれ理性を薄れさせていた。だらだらと口元から涎を垂らしながらも、腰を前後に小刻みに動かして肉杭を打ち込むように怪人チンポで直腸を刺激していった。

  「うがっ! あがっ! いでぇぇ! や"め"、やめでくれ"ぇ"!」

  一度も使われたことなく、解されてもいない尻穴に自身の腕くらいに太い怪人チンポを挿れられたのだから柔剛は耐えることなどできなかった。抜き差しをされるたびに肛門が裂けるような痛みに襲われ、金色の瞳からは涙を溢れさせていた。その様を見下ろしながらランドグリズリーは歪んだ笑みを口元に浮かべていた。

  「はぁ♡ はぁ♡ オイラ、あんなに強かった猪爪のオヤッサンのことを犯してるんだ♡ すげぇ、やっぱり怪人の力はすげぇナァ♡ オラよっ!」

  「イッあァぁぁああ!」

  一際奥まで突けば、一際大きく鳴く、かつての先輩ヒーローは今やおもちゃ同然だった。邪悪な征服欲を満たしていけば怪人睾丸から怪人精子が込み上げてくるのがわかる。

  「オラオラ、そろそろオイラの怪人精液を打ち込んでやるゼェ、猪爪のオヤッサン!!」

  「いやだっ……ヒーローの俺が、そんな、そんなぁ……」

  「うがぁぁ♡ おおぉぉ♡ んあっ……? グヘヘ、なぁ、猪爪のオヤッサン、周りを見てみろよ」

  一方的な陵辱を受けている柔剛にそんな余裕などなかったが周囲から聞こえる雄の嬌声や雌の悲鳴に反応して目線を周囲に向ける。

  「イ"イ"ィ"ィ"ィ"♡」

  「うあっ♡ あうっ♡ ああぁぁ!!♡♡」

  「メスは拘束シテ運べ。実験材料トスル」

  「いやぁぁ! 助けて、エレキゴールド」

  「「イイィィィィ!!」」

  「うわぁ、囲まれたぞ! 早く来てくれ、エレキゴールド」

  エレキゴールドは目を疑った。先ほど倒したはずの戦闘員達が復活しているように見えたが、そうではなかった。ランドグリズリーが壊した壁の一部から第2陣が進軍してきたのだ。街に侵入した獣戦闘員達は雄獣人達を陵辱し、雌獣人達を拘束していた。

  「ああ! あぅ! あぁ……うわぁぁぁ、そんな、俺の守ってきた……みんなが……フロントタウンがぁぁ……!!」

  「グフフ♡ 悪ぃなぁ、猪爪のオヤッサン。アンタが守りたかったもの全部……壊しちまって……うぐぅぅ♡ グへへ、絶望した瞬間、尻穴が締まりやがった♡ さあ、オイラの……怪人精液を喰らいやがれ♡♡」

  最後通牒を告げるようにランドグリズリーが腰を前に突き出し、怪人チンポを直腸へと差し込んだ瞬間、その先端がぶくっと膨らみ──

  どびゅっ、びゅるるるるる!

  鈴口から大量に放出されたドロッとして熱いマグマのような怪人精液が柔剛の腸内へと注がれていった。

  「あがぁぁぁあああ! あ"づい"ぃぃぃぃ! あ、ああっ……♡ あぐぅぅ♡」

  絶望の悲鳴とも諦観の嬌声とも聞き分け難い絶叫を上げた柔剛の肛門からは収まりきらなかった粘性の高い白濁液がどろりと溢れ漏れていく。

  「はぁ♡ はぁ♡ あぁぁ、最高だったゼ、オヤッサン♡ グヘヘ、まだ中で締めてやがるじゃねえか」

  「あふっ、あっ、あうぅ……」

  肩で息をしながらも余韻に浸り満足げなランドグリズリーに対して、まるで自らが電気で痺れているようにびくびくと体を痙攣させながら白目を剥いている柔剛。勝敗は決定的だった。悪の怪人により正義のヒーローが倒された。

  「おい、オヤッサン……? なんだ、気絶してんじゃねぇか。こんなもんで意識を飛ばすなんて獣人ってのは弱ぇ体してたんダナ。ヨッコラセ」

  吐精して萎んだ怪人チンポを柔剛の尻穴から抜けば黄ばんだ白濁がさらに溢れて地面に水溜りを作っていく。立ち上がり自らが犯し抜いた柔剛の体を軽々と抱えたランドグリズリーは周りを見渡す。

  交戦地帯の最前線に位置しながらも平和を維持してきたフロントタウン。ヒーローだった彼も何度も訪れたことがあったこの場所で初めて「ガイア・イージス」を建造した時、街の人々達から受けた温かい感謝の言葉はヒーローだった彼にとって心の糧でもあった。

  しかし、今──獣戦闘員により陵辱される雄達、実験材料されるために拘束された雌達、地震により崩れた家、そして自身により一部を破壊された壁……かつてこの街を守ろうとしていた[[rb:ヒーロー > ランドイエロー]]の成れの果てが、この街から平和を奪った怪人である、という事実に今の彼は陶酔すら覚えていた。

  「猪爪のオヤッサン、アンタが長年守ってきたフロントタウンもこれでおしまいダナ……。安心しな、基地に戻ればイビルフロッグ様がアンタに新しい役目を与えてくれるだろうゼ」

  意識のない柔剛に語りかけたランドグリズリーはもはや出入口と化した崩壊した壁の方へ歩き出した、その時、コツンと何かが彼の後頭部に当たった。

  「アン?」

  「おとうちゃんを」

  「返せ!」

  振り返った先には2人の猪獣人の子供……猪爪兄弟が足下の小石を拾って自分よりも遥かに大きなランドグリズリーに投げつけていた。

  「フン、馬鹿なガキ共め……。隠れていればいいものを。オマエらもイビルフロッグ様への手土産としてやる」

  「えいっ、えいっ! 全然きいてないよ、柔一にいちゃん」

  「くそっ! 父ちゃんを置いてけ、くそぉ! くそっ! うっ……うぅぅ」

  投げつけられる小石など意にも介さず、のしのしと兄弟に迫るランドグリズリー。怪人が腕を伸ばせば彼らに届くほどまで近づかれれば、無防備に浴びされる威圧感と邪悪な覇気に兄弟達は恐怖し、ついに泣き出してしまった。ランドグリズリーが片腕で柔剛を担ぎ、兄弟達2人を捕えようと手を伸ばしていく。

  「「う、うぅぅ……助けて、ランドイエローの兄ちゃん……!」」

  「アッ……? ウガッ……グルル……?」

  泣きながら彼らが最も身近だったヒーローに助けを求めた時、ランドグリズリーの動きがピタリと止まった。下卑た笑みを浮かべていた彼の表情に逡巡の色が差し込んだように見えた。兄弟の泣き声だけしか聞こえない中、彼の脳裏に様々な記憶がフラッシュバックしていく。しばしの静止の後、ランドグリズリーは伸ばしかけていた手をゆっくりと引いて踵を返した。

  「ケ、オマエらみてぇなガキ2匹を連れてってもイビルフロッグ様は喜ばねえだろうからナァ。とっととコノ場から消えろヨ」

  「うわぁぁん、おとうちゃーん!」

  「ひっく……ぐすっ……ちくしょう……!」

  どこか後ろ髪を引かれる思いを感じながらもランドグリズリーは今度こそ街の出口へと向かうのであった。

  ──────

  ────

  ──

  フロントタウンの外側にて獣戦闘員達により捕えた獣人の搬出作業が進められていた。開いたワープゲートの先はタイラント帝国の捕虜収容所であり、無慈悲にもそこに運ばれた彼らの行く末が怪人や戦闘員への改造、もしくは実験材料となるのみであることは自明のことであった。この街を守り続けていたヒーローである猪爪柔剛は別のワープゲートへと運ばれていた。その先は言うまでもなくイビルフロッグの研究所へと繋がっていた。

  そんな中、ランドグリズリーはイビルフロッグから受けたもう1つの命令を遂行しようと地面に両手を着き、大地のガイアの力を集中させていた。

  『ゲロロ、ヒーローだったオマエが各地に建てた……あの石壁が邪魔で仕方がないゲコ。オマエの力で作ったのだから、オマエの力で壊して来いゲコ』

  『了解しやしたゼ、ボス』

  自らが1週間かけて建てたガイアイージス。[[rb:大地のガイア > 守るため]]の力で作られたが故に、その壁はタイラント帝国の攻撃を跳ねのけ堅牢であり続けた。では、その壁に[[rb:大地のガイア > 壊すため]]の力をぶつけたらどうなるのか? これはイビルフロッグによる1つの実験であった。

  「ウガァァァァァォォオオオ!!」

  大地のガイアを全開放すれば、地面を伝わり、その力はフロントタウンを囲っていたガイアイージスに及ぶと途端に全体を覆うような亀裂が入っていく。そして、あれほど鉄壁を誇っていたのが嘘だったかのように脆く崩れ去っていく。邪悪に染まった大地のガイアはこれほどまでに強力となっており、イビルフロッグの実験はまたしても成功したのであった。

  「グヘヘ、できたぜぇイビルフロッグ様。やっぱりアンタは最高だゼェ……!」

  この作戦の成功を機にランドグリズリーは自らが作り上げたガイアイージスを破壊する役割を担うことになるのであった。

  そして、この日より地図上からフロントタウンの名前は消滅した──

  (後編につづく)