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紫陽花を食べる彼女

  ※扉の開く音

  あ、おかえり。

  んー?別に。なんか体が気だるげでね、ちょっと涼みたいなーと思って、窓開けてね。そしたら、雨音がすごく心地よくてぼーっとしてた。

  ん?あ、紫陽花だ。

  おー、大量大量。ありがとう。

  ん?どうしたの?そんな顔して。

  もうやめようって?

  どうして?だって、言い始めたのは君でしょ?

  おかしい?おかしくないよ。

  だって、こんなことで君への愛が伝わるなら、私は構わないよ。

  例えば、毒にあたって呼吸こんなになって死んだとしても、私はそれでも構わない。

  大丈夫。遺書は毎日書き換えてるから、君が捕まることなんてないよ。

  ……どうして謝るの?謝る必要はないよ。君は何も悪いことはしてない。たとえ言い始めたのは君だけど、途中でさっきみたいに私を止めようとしてくれたでしょ?でも、私はやめなかった。だから、悪いのは私だから。君が罪悪感を抱くことはないよ。

  これは、君の浮気に目を瞑るために私がやってくこと。

  辛抱強く、君への愛情を抱き続ける儀式。君はそれを見届けて、また別の女の子と関係を持つ。

  君が私から離れていいのは、私が死ぬときだけ。

  それ以外で私から離れていくことは許さない。

  君はずっと私のそばにいる。この儀式が続くまで、私は君の浮気に目を瞑る。

  ……うん、ありがとう好きだと言ってくれて。

  それじゃあ、今日も私に紫陽花を食べさせて。儀式を始めよう。

  今日もまた、君と一緒にいるのかな……それとも、ここでバイバイするのかな……

  【完】

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