柴後輩とクロ兄ちゃん【彼パンツ】

  ─────いい匂い。

  あったかくて、ふわふわで、安心する匂い。

  少し体を動かすと、全身がそれに包まれているのが分かる。

  幸せだ。

  それが何なのか確認したい。

  でも目を開けてしまったら、この幸せが終わってしまうような気がして開けられない。

  もっとこの幸せに包まれていたい。

  俺はねだるように首を動かし、顔の前のふわふわをもふもふした。

  「あはは、くすぐったいよクロ[[rb:兄 > にぃ]]」

  俺よりほんの少しだけ低くて、耳をくすぐるような優しい声。

  耳馴染みのある声にクロ[[rb:兄 > にぃ]]と呼ばれて、俺は目を開けた。

  目の前にあるのは白いふわふわ。茶色も少し見える。もふもふしてたのは誰かの毛皮か?

  ・・・・・・[[rb:玄來 > げんき]]だったらいいなぁ。

  もっと情報が欲しくて体をよじると、ふわふわが離れてよく知った端正な顔が降りてきた。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]」

  そうそうこの顔だ。俺がよく知ってる大好きな柴犬のイケワン。

  そして、半開きの目が幸せな光景から栄養を吸収し始めたかと思った瞬間、脳が気付いた。

  「・・・げ、[[rb:玄來 > げんき]]!?」

  [[rb:玄來 > げんき]]だ。

  なぜだ。何があった。なんで[[rb:玄來 > げんき]]が俺のベッドで寝てるんだ。

  確か昨日は俺の誕生日で、銀で誕生日会をしてもらって、20歳のお酒デビューをして・・・。

  それからどうなったんだっけ。

  [[rb:優 > ゆう]]がビールでいきなり潰れて、後から復活してきたのは覚えてる。

  それから色々食べて、店長に日本酒をもらって、飲んで、飲んで・・・。

  ───────呑まれて?

  「って、なんでお前上半身裸なんだよ!」

  顔に気を取られていたが、[[rb:玄來 > げんき]]は上に何も着ていない。

  パジャマ着るタイプのはずなのに。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]が脱がせたんでしょ」

  ・・・・・・・・・は?

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]が俺のこと放してくれないから」

  そう言って[[rb:玄來 > げんき]]は再び俺の頭を自分の首元にもふっとして抱きしめる。

  「だからオレも放さないことにしたんだ」

  息が苦しい・・・。

  いや、苦しくない。

  [[rb:玄來 > げんき]]の匂いで頭も胸もいっぱいになる。

  俺よりも太い腕、広くしっかりした胸板が温もりと包容力を一層引き立てる。

  [[rb:玄來 > げんき]]に抱かれたまま溶けてしまいそうだ。

  「それにクロ[[rb:兄 > にぃ]]は全裸だよ」

  「!?」

  それを言うが早いか、[[rb:玄來 > げんき]]の手が俺の背中を撫でながら身体を滑り降りていく。

  着ていたと思っていたはずの服がない。

  歳の割に手もしっかりしていて、毛皮の上から絶妙な刺激を与えてくる。思わず声が出てしまいそうになるほどだ。

  そして、お尻まで滑り降りた手は、そこから尻尾の付け根を緩く拘束した後、滑るように撫で上げた。

  「ひうぅっ!」

  「ん? どうしたのクロ[[rb:兄 > にぃ]]。そんな声出して」

  言葉とは裏腹に、[[rb:玄來 > げんき]]はそのまま俺の尻尾を繰り返し撫で上げる。

  俺はその度に腰を引いて、刺激に耐える。

  呼吸は乱れ始め、息を吸い込んでは[[rb:玄來 > げんき]]の匂いで満たされ、頭が沸騰しそうになる。

  こんなの無理だ・・・耐えられない・・・。

  そう思った瞬間、[[rb:玄來 > げんき]]の手は尻尾を撫でるのを辞め、既にむき出しになっていた俺の核心に触れた。

  「んふあぁ!?」

  「あれ? クロ[[rb:兄 > にぃ]]、コレ何?」

  俺は一層腰を引くが、[[rb:玄來 > げんき]]は掴んだ証拠を放さない。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]は男のオレにこんなことされて、こんなふうになるんだ」

  「っ!!」

  ・・・もう逃げられない。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]ってさ、つまりそういうこと?」

  「─────っ!!!」

  [[rb:玄來 > げんき]]は既に価値を失った証拠を玩具のように手で遊び始める。

  「んっ、あっ、ふぁぁあ!」

  俺は逃げることも出来ずに、その一方的な遊びを受け入れるしかなかった。

  「まあ、オレは別にいいんだけどね」

  そして、[[rb:玄來 > げんき]]は遊びを辞めないまま、ぐるりと体勢を変えて、仰向けに俺を押し倒し、四つん這いで覆いかぶさった。

  「触ってよ、クロ[[rb:兄 > にぃ]]」

  されるがままの俺を大人びた表情で見下ろしながら、[[rb:玄來 > げんき]]は言葉を続ける。

  「こんなふうにクロ[[rb:兄 > にぃ]]に触ってるオレがどうなってるのか、触って確かめてみてよ」

  「・・・!?」

  意味を理解して息を飲んだ。

  俺は[[rb:玄來 > げんき]]の終わらない遊びに熱くさせられながら、[[rb:玄來 > げんき]]の胸板に手を置き、ゆっくりと下へ下へ滑らせていく。

  お腹の白い毛皮の上を滑る手のひらに、腹筋のカタチが伝わってくる。

  俺の手が[[rb:玄來 > げんき]]の答えに近付くにつれ、[[rb:玄來 > げんき]]の顔がゆっくりと俺の顔に近付いてくる。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]、分かってるよね?」

  キスを迫られているような距離まで近付いた時、[[rb:玄來 > げんき]]が再び口を開く。

  「触った瞬間、オレに何されるか分かってるよね」

  「は・・・ぁあっ・・・!」

  [[rb:玄來 > げんき]]の一方的な遊びが、より激しさを増して無防備な俺を追い立てる。

  「一生戻らないクロ[[rb:兄 > にぃ]]の全部、オレがもらっていくよ」

  俺の手が、[[rb:玄來 > げんき]]の口が、触れそうになる瞬間、限界を悟って俺はギュッと目を瞑った。

  [chapter:柴後輩とクロ兄ちゃん]

  目を開けると頭を鼻まで埋めて、布団の中でうずくまっていた。今視界に映っているのは布団と壁だけ。

  自分のベッドの上じゃない。色と、何より匂いが違う。

  どこか安心するような、それでいて興奮するような雄の匂いがする。匂いのせいか、身体も少し気だるく火照っているような感じだ。

  さっきのはただの夢か。良かった。

  いや、兄ちゃん的には夢だろうが全然良くないのだが、実害は与えてないようで良かった。

  そして、ボーッとしていたのもつかの間。

  後ろでトスッと誰かがベッドに座ったのに気が付き、俺はビクリと顔を向けた。

  「あ、起きたんだ。おはようクロ[[rb:兄 > にぃ]]」

  そこには上半身裸の[[rb:玄來 > げんき]]が座っていた。

  「おは・・・えっ! な、なんれ!? い、色々なんれだ!?」

  寝起きの頭が与えられた情報を処理しきれず、そんな言葉しか出てこなかった。

  あと、微妙に舌が回らない。

  [[rb:玄來 > げんき]]はそんな様子の俺を困った顔で笑っている。

  「昨日の誕生日会で酔いつぶれたんだよ。クロ[[rb:兄 > にぃ]]覚えてない?」

  誕生日会は覚えているが、日本酒をグビグビ飲み始めた辺りから記憶がおぼろげだ。

  まさか潰れた俺を運んでくれたのだろうか。

  お酒デビューでいきなり潰れて、可愛い後輩兼弟分にこんな迷惑をかけてしまうだなんて、完全にダメ兄ちゃんじゃないか。やらかした。

  「[[rb:玄來 > げんき]]が運んでくれたのか? ごめんな、疲れてたろうにこんな迷惑かけて」

  「全然。めいっぱい楽しんでくれてオレは嬉しいよ。それよりクロ[[rb:兄 > にぃ]]もシャワー浴びてきたら? 昨日はオレも浴びれなかったから、ちょうど今浴びてきたとこ」

  ああ、それで上裸なのか。良かった。

  ・・・何が良かったんだろう?

  まあ、とにかく良かった。それに、一緒にプールに行った時より身体がガッチリしているような気もする。カッコいい。眼福だ。

  「昨日はずっと調理場で頑張ってくれてたもんな。流石の[[rb:玄來 > げんき]]も疲れて寝ちゃったか」

  「・・・ん?」

  俺の言葉に[[rb:玄來 > げんき]]は疑問符を浮かべ、それを見て俺も首を傾げた。

  「ああ、違う違う。そうじゃなくて、昨日はクロ[[rb:兄 > にぃ]]が放してくれなかったから」

  ・・・・・・・・・・・・はい?

  再び[[rb:玄來 > げんき]]は困った顔で笑いながら、ちょいちょいと俺の手元を指差した。

  ゆっくりと下を向いて手元を確認すると、俺は両手で[[rb:玄來 > げんき]]の抜け殻を握りしめていた。というか、足の間にも挟んで[[rb:縋 > すが]]ように抱きしめていた。

  ────血の気が引いた。

  「す・・・すみませんでしたぁあ!!」

  「えええ!?」

  俺はほとんど脊髄反射の勢いで飛び起き、ベッドの上で土下座した。

  「俺、ホントに何も覚えてなくて! 言い訳のつもりじゃないけど、悪気は一切なくて! つまりその・・・なんでもしますからぁあ!!」

  必死だった。

  「待って待って! クロ[[rb:兄 > にぃ]]は何にもしてないよ。ただオレの腕にしがみついてただけ」

  「でも俺[[rb:玄來 > げんき]]の服ひん剥いてるんだぞ!」

  「それはオレが自分で脱いだんだよ。起きた時もクロ[[rb:兄 > にぃ]]がしがみついてたから、起こさないように脱いで抜け出しただけ」

  それを聞いて少しホッとした俺は、顔を少し上げて[[rb:玄來 > げんき]]を見た。

  「ホントに?」

  「うん。クロ[[rb:兄 > にぃ]]は腕にしがみついてただけで、他には何も・・・」

  不意に[[rb:玄來 > げんき]]は言葉を止めた。

  そして、少しの間だけボーッと俺を見つめた後、何かに気付いたように目を逸らし、耳をヒコーキ耳にして再び口を開いた。

  「何も無かったよ・・・」

  終わったかもしれない。

  「その反応はやってるだろ!? 一体何をやったんだ! 教えてくれよ!」

  俺はベッドの上で膝立ちして、[[rb:玄來 > げんき]]の肩を掴んだ。

  「え!? いや、ただその・・・ちょっと撫でただけで・・・」

  「なーでーるぅぅう!? ドコを!?」

  「あーそうじゃなくて! それはオレが・・・」

  そこまで言って、[[rb:玄來 > げんき]]は何かに気付いたように鼻をスンスンし始めた。

  俺もそれを見た瞬間にやっと気付いた。

  自分の下腹部の違和感に・・・。

  「えっと・・・とりあえずシャワー浴びてくる?」

  俺はベッドの上に崩れ落ちた。

  ◆◆◇◇◆◆

  「はぁぁぁ・・・」

  俺は[[rb:玄來 > げんき]]の部屋のバスルームで、何度目かのため息をついた。

  あの後、逃げるようにここへ飛び込んだが、よく考えたら自分の部屋に戻るべきだった。

  着替えも無いし、[[rb:玄來 > げんき]]と顔を合わせられない。

  ヒトのベッドで20歳の成人男性がおもらししたようなもんだぞ?

  しかも夢の相手は[[rb:玄來 > げんき]]だ。本人からしたらドン引きものだ。

  きっとあの瞬間も引いてただろうなぁ・・・。

  このままでは良い兄ちゃんを貫くどころじゃなくなる。

  お酒はほどほどに頭がふわっとしたらもう飲まない、寝る時は必ず自分の部屋の自分のベッドで。コレを徹底しよう。

  後悔と羞恥心に潰されないように、俺はそれを頭の中で何度も繰り返し唱えた。

  ◆◆◇◇◆◆

  「あれ?」

  乾燥機で身体を乾かしてバスルームから出ると、俺の服が全部無くなっており、洗濯機が回っている音が聞こえる。

  そして、俺が服を置いていた場所には畳んだ[[rb:玄來 > げんき]]のパジャマが一式置いてあった。

  ・・・・・・・・・着ろと?

  いや、パジャマはまだ良い。ギリギリだが。まだ良い。

  しかしだ・・・・・・。

  俺はパジャマの上に置かれているソレを右手で掴み取った。

  パンツだ。

  今度は掴み取ったソレを両手で広げてみる。

  パンツだ。ボクサーパンツだ。

  中央の大事な部分が少し憎らしくなるほど歪んでいる。

  間違いなく[[rb:玄來 > げんき]]のパンツだ。

  ・・・・・・・・・・・・履けというのか?

  周りから見たら、今の俺は全裸の成人猫がパンツを広げて立ち尽くしているように見えるだろう。

  しかし、脳はこの事態を処理すべく急速回転していた。

  これは[[rb:玄來 > げんき]]のパンツだ。歪み方からして、何度も使われたことがあるパンツだ。

  俺はホモだ。[[rb:玄來 > げんき]]のことが好きだ。そしてさっき彼のベッドでやらかしたばかりだ。

  履きたいか履きたくないかで言うと超履きたい。でもこれ履いたら変態になるんじゃないか?

  例えば彼氏が着替え無いからって彼女のパンツを履いたとしたら?

  彼女激おこだよな。変態だ。

  逆はどうなんだ・・・・・・想像できんな。

  いや、そもそも付き合ってないし男同士だ。それに俺は以前も[[rb:玄來 > げんき]]の使用済みパンツに対して嗅がず、履かず、使わずを貫いた。兄として。

  そんな俺に[[rb:玄來 > げんき]]は無言で履けと迫っている。

  試されているのか?

  しかし代わりの服が無いのも事実だ。俺の服は全て洗濯機に食われた。今も耳には咀嚼音が響いている。

  もしかして全裸が正解なのか?

  自らの不義を戒め、全裸で洗濯機の前に座して待つ。これが1番男らしいんじゃないか?

  なんかそんな気がしてきた。きっとそれがカッコいい。邪な気持ちで大事な弟分のパンツを履くなんてとんでもない。

  このパンツは畳んで元に戻して───────

  「ハッくしゅん!」

  いや寒いな!!

  そりゃそうか。今は2月だ。エアコンはついているが、洗濯機は玄関の近く。超寒い。

  全裸で震えながら洗濯機の前に座る俺を見て[[rb:玄來 > げんき]]はなんて言うだろうか。

  きっと、お願いだから服着てよって言うだろうな。

  弟に服を着ろと懇願される兄ちゃんってどうなんだ。

  ・・・・・・・・・変態だな。

  同じ変態なら少しでも迷惑をかけないほうがいい。つまりこのパンツは履くべきだ。

  結論は出た。

  俺は[[rb:玄來 > げんき]]のパンツを──────────履く!!

  ◆◆◇◇◆◆

  「いただきます」

  「いただきます・・・」

  シャワーから上がると[[rb:玄來 > げんき]]が朝ごはんを用意してくれた。

  ごはんに大根の味噌汁、納豆、目玉焼き。目玉焼きには塩が振ってある。俺が塩派なのを[[rb:玄來 > げんき]]は知っている。ちなみに[[rb:玄來 > げんき]]は醤油派だ。

  まともな朝ごはんは久しぶりだ。いつもは食べないか、バナナ1本とかで済ませてしまう。

  だから、すぐにでも食べたいのだが・・・。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]、どうかした?」

  「ん!? な、なんでもない」

  気まずい・・・・・・!

  歳下に粗相をしでかしたパンツを洗ってもらって、朝ごはんをご馳走になっているこの状況が物凄く気まずい!

  おまけに今履いているのは貸してもらった[[rb:玄來 > げんき]]のパンツ。ずり落ちる程では無いが、ちょっと緩い。特に大事な前の方は、布が余って俺の俺が鬼灯みたいになっている。好きな人が立派で嬉しい半面、男として、兄ちゃんとして悔しい。

  パジャマも緩くて彼シャツみたいな感じになっている。もちろん嫌じゃないが、兄ちゃん的には敗北感がある。

  でも・・・こんな経験することはこの先無いだろうし、怪我の功名ってやつなのかもな。

  [[rb:玄來 > げんき]]の布団もパジャマも、[[rb:玄來 > げんき]]に抱きしめられてるような心地良さがある。バレなければ本人を不快にすることもない。今は[[rb:玄來 > げんき]]の優しさに甘えて、この状況を噛みしめよう。

  「クロ[[rb:兄 > にぃ]]、もしかして二日酔いで気分悪い? それなら味噌汁だけでも・・・」

  「ああ、ごめんな。ちょっと考え事してたんだ。改めて、いただきます」

  俺は橋を取り、味噌汁をすすった。

  「あぁ〜染みる〜」

  お酒で疲弊した身体に、味噌汁が染み渡っていく。さながら飲まず食わずで荒野をさまよい歩いた後に飲むコップ1杯の水だ。さまよったことないけど。

  みずみずしいイチョウ切りの大根も、お酒によって蓄積された身体の毒素を追い出してくれるかのようだ。

  うまい。うますぎる。

  「[[rb:玄來 > げんき]]の味噌汁うますぎる。飯屋で出される味噌汁の何倍もうまい」

  「あ、やっぱりクロ[[rb:兄 > にぃ]]分かるんだ」

  「へ?」

  「味噌はちょっと良い味噌使ってるんだ。混ぜ物無しの天然醸造のやつ。市販のは大体熱が加えられてるし甘味や風味も全然違うから」

  「そうだったのか。すまん、そこまで分かって言ったわけじゃなくて、家で飲む味噌汁ってうまいから、そのくらいの感覚で」

  「だってウチもクロ[[rb:兄 > にぃ]]ん[[rb:家 > ち]]もこの味噌だもん」

  「そうなのか!?」

  知らなかった。確かに家で飲む味噌汁うまいというのは実家と[[rb:玄來 > げんき]]の味噌汁の話だ。一人暮らし始めてから自分で味噌汁を作った試しがない。

  「ウチは父さんが和食好きでちょっとこだわりあったんだって。クロ[[rb:兄 > にぃ]]ん[[rb:家 > ち]]もお父さんが好きだからって言ってたよ」

  「マジか。全然知らなかった」

  [[rb:玄來 > げんき]]はウチで料理の手伝いもよくしていたから、その時に知ったんだろう。

  その前にウチの父さん・・・味とか分かる人だったのか。

  「[[rb:琉貴 > るき]]も父親譲りで舌が繊細で苦労するわって[[rb:智江 > ともえ]]さん言ってたよ」

  「俺そんなに好き嫌い言った覚えないぞ!?」

  自分で言うのもなんだが、結構良い子だったと思うぞ。幼少期と勉学関連以外。おのれ母め。

  「んで、話全然変わるんだけどさ」

  「うん」

  [[rb:玄來 > げんき]]は箸を止めて少しニヤケ顔でこちらを見る。普段そんな顔あまりしないから何となく嫌な予感がして身構える。

  「昨日どんな夢みたの?」

  「なっ!?」

  言えるわけねぇだろバカヤロー!!

  「それ聞くか!? 俺のあの様を見てそれ聞くのか!?」

  「いやー聞くしかないでしょ。あれ見て聞かないのは逆に無いって」

  ああもうノンケうぜぇぇえ!!

  ノンケ関係あるか知らんけど!!

  「お前は鬼か・・・」

  「犬だよ。わんわん」

  俺が片想いしてる犬は歯を見せて笑いながら尻尾を振っている。

  一宿一飯一パンツの恩義がある分、強く拒絶もできない。

  俺はこの日、可愛さ余って憎さ百倍という感覚を身をもって経験した。

  [chapter:柴後輩とクロ兄ちゃん]

  過去一お待たせしました!

  作者はゲーム好きなのですが、幸せなことにやりたいタイトルが重なりまくりまして。

  作中には書きませんでしたが、[[rb:玄來 > げんき]]は[[rb:琉貴 > るき]]が起きる前にバスルームで済ませてます。ナニをとは言いませんが。

  このお話は一応全年齢対象のつもりで書いてます。

  アカンかなぁ・・・。

  いつも柴クロをお読み頂きありがとうございます。

  蒼空ゆうぎ