第40話「みんな集まれ!ドタバタカーレース」

  [chapter:プロローグ]

  ここはケモノ界のさいたま市[[rb:大上区 > おおかみく]]。

  太ったシマリスの[[rb:栗田 永雄 > くりた ながお]]くんは、友達と共に住宅街を歩いていた。

  同行者は[[rb:島野 > しまの]] くるみちゃん(シマリス)、[[rb:稲荷山 紺助 > いなりやま こんすけ]]くん(キタキツネ)、[[rb:金子 真里 > かねこ まり]]ちゃん(白猫)。全員ケモノ小学校埼玉校に通う4年生だ。

  行き先はスーパーVRシアター。2022年9月に突然現れた施設だ。

  1円を払ってタッチパネルに設定を入力すれば、現実としか思えないほど完成度の高いVRを体験できる。

  VR世界で長時間(最大1年)を過ごしても、現実では30分しか経たない。そのため、ここに来れば設定次第でどのような体験も(1年に収まる長さなら)可能だ。

  また、このシアターは上記の4匹にしか見えない。それ以外のケモノには、ただの空き地にしか見えないようだ。

  このシアターができてから、4匹はテレビや漫画を見なくなり、ゲームでも遊ばなくなった。ただ見るだけでは満足できなくなったからだ。

  それまでテレビやゲームに使っていた時間には机に向かい、ノートにVRのアイデアを書いている。

  シアターは何度かリニューアルされている。オープン当初は最大4匹が同時に利用できる部屋が1つあるのみだったが、現在ではそれ以外に1匹用のブースが4つ作られている。

  また、一度体験した世界をセーブできる機能も追加された。そのため、同じ世界を体験しようと思った時に再入力する必要がなくなった。

  栗田くんはここを訪れた初日に作ったお菓子の世界の他、自分が大富豪になった世界もセーブして、好きな時に体験している。

  一度体験した世界でも、「前に体験した事はすべて忘れる」という条件を追加すれば、新鮮な気分で体験できる。

  セーブデータは1匹につき100個まで作れるため、枠が足りなくなる心配はないだろう。

  [newpage]

  4匹用の部屋に入り、機械に1円玉を4枚入れるとタッチパネルの電源が入った。

  「いらっしゃいませ。どんな体験をお望みですか?」

  栗田くんは自分のデータでログインすると、アイデアノートを取り出し、あるページに書かれた文章の入力を始めた。

  「ぼくたちがギャグアニメのようなカーレース大会に出る。

  参加者はどんなにダメージを受けてもちょっと痛みを感じるぐらいで、ケガをしたり死んだりはしない。だからいつも通りの格好でレースに出られる。

  車は全部で13台。ぼくと稲荷山くん、くるみちゃんと真里ちゃんはそれぞれペアを組んでいる。

  ぼくたちの身近な仲間や、知らない相手もレースに参加する。

  参加者は全員プロ並みのドライビングテクニックを持っていて、子供でも運転できる。

  レースが終わった後には、参加者全員でレースの一部始終を撮影したビデオを見る。」

  その後もレースの結果やルール、コースや賞品などについて入力し、「ぼくたちはここに書いた設定のうち、レースの結果についてはVR体験中に忘れる」と締め、決定ボタンを押した。

  「はい、それでは行ってらっしゃい!」

  [newpage]

  [chapter:13台のマシン]

  栗田くんたちは、レース会場に立っていた。

  沿道に作られた客席は大勢の観客で埋まり、ノリの良い実況の声が響いている。

  「さあ、ついにこの日が来たぞ!世紀のカーレースが今、幕を開けようとしている!

  マシンは13台。コースは険しい山、雪の世界、砂漠の3エリアだ!」

  大スクリーンにコースが映った。1周に2時間はかかりそうなほどボリュームがある。

  「まずはルール説明だ。必ず自分のマシンに乗った状態でゴールする事。自分以外のマシンを使ったり、徒歩でゴールしたら失格だぞ!

  それから、コースはショートカットをしないですべての道を通る事。空を飛べるマシンでも、必ず道の上を飛んでくれ。

  それ以外なら何をしてもOKだ。妨害、トラップ、何でもあり!

  1位になれば超高級スイーツビュッフェ、2位はスペシャルデコレーションケーキが授与される。みんな、優勝目指して頑張ろう!」

  客席から拍手と歓声が上がった。

  「続いては、レーサーとマシンの紹介だ。」

  スクリーンにはマシンの画像が写った。

  「ナンバー1、トモダチオープン。こぢんまりとしてるけど、スピードは抜群のマシンだ!

  搭乗者はシマリスの栗田 永雄とキタキツネの稲荷山 紺助。ケモノ小学校埼玉校に通う4年生で、幼い頃からの親友同士だ。

  さあ、どんな走りを見せてくれるのかな?

  ナンバー2、パリッコクーペ。まるでヴェルサイユ宮殿のように豪華なマシンだ!

  搭乗者はホッキョクギツネの[[rb:雪見 > ゆきみ]]カトリーヌ[[rb:理沙 > りさ]]。こちらもケモノ小学校埼玉校…長いからここからはケモ小と呼ぼう…の4年生。

  ハンドルを握るのは、雪見家に仕えるスカンクの執事、グリムズ・スカンダー。サポート役はアライグマの専属シェフ、ラトン・ラブーシュだ。

  理沙ちゃんは大上区で一番の大金持ち。このマシンもお金をふんだんに使って作られているぞ!

  ナンバー3、マジックパンプキン。カボチャを模したおしゃれなマシンだ!

  搭乗者はドブネズミの[[rb:川村 絢子 > かわむら じゅんこ]]と白うさぎの[[rb:場丹井 姫子 > ばにい ひめこ]]。こちらもケモ小の4年生。

  2匹はかつて、学芸会でシンデレラットと魔法使いを演じた。その時の衣装で参戦だ。

  このマシンの強みは、姫子ちゃんが持つ魔法の杖。呪文を唱えて一振りすれば、どんな形にでもなれるぞ!

  ナンバー4、クロイネコスモウブ。黒猫をイメージした重装備なマシンだ!

  搭乗者は黒猫の猫山一家。4年生の[[rb:猫山 苗太 > ねこやま びょうた]]がハンドルを握り、1年生の弟の[[rb:折葉 > おりば]]、そして両親がサポート役だ。

  この家族はみんな相撲の経験がある。マシンにもそれを生かしたギミックが組み込まれているらしいぞ。

  ナンバー5、プリティーガールズ。女子力あふれるピンク色の可愛らしいマシンだ!

  搭乗者はシマリスの島野 くるみと白猫の金子 真里。5台連続でケモ小の4年生が参加している!

  クラスは違えど、仲の良い2匹。どんな風に活躍するかな?

  ナンバー6、スカンクGS。名前の通りスカンクをイメージした白黒のマシンで、後ろにはスカンクのしっぽが付いている!

  搭乗者はスカンキー王国から来たスカンクの魔法使い、ヴェルトン。姫子ちゃんと同じく、彼女も魔法の杖を持っているぞ。

  さあ、こっちはどんな魔法を見せてくれるのかな?

  ナンバー7、イタチセブン。イタチのしなやかな体をイメージした流線型のマシンだ!

  搭乗者はおねしょ島から来たチームワーク抜群の7匹、下着イタチ。イタチのイタ助、カワウソの川太郎、フェレットのフェレ吉、スカンクのカンク、オコジョのこじょ子、ラッコのラコの海、オオカワウソのオー太。グループ名の通りにみんな下着姿だけど気にするな!

  今はみんなで焼き芋を頬張っているぞ。レース前の腹ごしらえかな?

  ナンバー8、ポンポーラSL。一見するとSLだけど、ホッキョクグマの耳と狸のしっぽが付いてるぞ!

  搭乗者は狸の[[rb:原田 本太 > はらだ ぽんた]]と、ホッキョクグマの[[rb:保良 部亜 > ぽうら べあ]]。

  それぞれケモ小の6年生と、6年1組の担任。関係性は相撲部の部員と顧問だ!

  ナンバー9、ワンパクV9。自然の中の物を組み合わせたようにワイルドなマシンだ!

  搭乗者はニホンアナグマの[[rb:穴太郎 > あなたろう]]、カワウソの[[rb:川助 > かわすけ]]、豚のトントン、野うさぎのぴょん[[rb:太 > た]]。富山県の[[rb:土井中村 > どいなかむら]]に住むわんぱく小僧たちだ。

  いつもの元気さがレースにも生かされそうだ!これは期待できるぞ!

  ナンバー10、ドスコイスペシャル。ナンバー4と同様に重装備なマシンだ!

  搭乗者は虎の[[rb:島田 大河 > しまだ たいが]]くんと、ビーバーの[[rb:林 海里 > はやし かいり]]くん。

  共にケモ小の6年生で、相撲部の部員。島田くんは部長だから、かなりのパワーを持っているぞ!

  このマシンにも相撲関連のギミックが組み込まれているとの噂だ。発動が楽しみだ!

  ナンバー11、ファンタスティカキャリッジ。なんとこの車は機械を使わない。野生時代の馬が引いているのだ!

  搭乗者はファンタスティカ王国から来たニンゲンのエイミー姫とジェームズ王子。馬を操るのは王子の従者、ピーター。さらに野生のシマリス、ジェフも乗っている!

  このレース唯一のニンゲンと野生の動物。機械たちに勝てるかな?

  ナンバー12、エレメンタルフォックス。赤、青、緑、白の模様が描かれたスタイリッシュなマシンだ!

  搭乗者はケモ小に通う[[rb:狐塚 > きつねづか]]家の子供たち。

  4匹の九尾の狐…[[rb:花江 > はなえ]]、[[rb:海 > かい]]、[[rb:笛吾 > ふえご]]、[[rb:風子 > ふうこ]]の4匹はそれぞれ、草、水、火、風の能力を持っている。その能力が存分に発揮されそうだ!」

  ナンバー13、ウイゼルマシン。4や10を上回る重装備なマシンだ!

  搭乗者はイタチの[[rb:鼬川 卯井是瑠 > いたちがわ ういぜる]]ちゃんと、柴犬の[[rb:柴山 健治 > しばやま けんじ]]くん。最後もケモ小の児童だ。

  卯井是瑠ちゃんは女の子だけどかなりの肥満体と出べそ、そしてわがままな性格の持ち主!

  このレースのヒール役で、どんな手を使っても勝てばいいと思っている!あのマシンは妨害に特化しているぞ!

  さあ、1から12のレーサーたちは卯井是瑠ちゃんに気をつけろ!

  そして柴山くんはあまり乗り気じゃないみたい。大丈夫かな?」

  卯井是瑠ちゃんと柴山くんは、次のような会話をしていた。

  「いいわね、あたいの言う通りにするのよ!逆らったら最後っ屁だからね。」

  「わかったよ…でもなんでぼくなんかを誘った…と言うより無理やり連れて来たの?」

  「あんたしかいい相手がいなかったからよ。さあ、しっかり働いてちょうだい!」

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  [chapter:レースの始まり]

  紹介も終わり、いよいよスタートの時間が近づいてきた。

  参加者は13台のマシンに乗り込み、スタートラインに並ぶ。客席も大盛況だ。

  操縦担当の栗田くん、スカンダー、絢子ちゃん、猫山くん、くるみちゃん、ヴェルトン、イタ助、原田くん、穴太郎、島田くん、ピーター、花江ちゃん、卯井是瑠ちゃんは、全員が真剣な表情だ。

  張り詰めた空気の中、シグナルが青に変わる。時刻は11時半ちょうど。

  「スタート!」

  その合図で、マシンは一気に走り出した。

  ※次ページから地の文は実況に交代します

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  [chapter:山のレース]

  さあ、13台のマシンはそびえ立つ山に向かっている!

  現在のトップはエレメンタルフォックス。その後にトモダチオープン、プリティーガールズ、マジックパンプキン、パリッコクーペ!

  一方で重装備なクロイネコスモウブやウイゼルマシンなどは、まだ後の方。

  最下位はファンタスティカキャリッジ。やはり野生の馬は機械に勝てないみたいだ!

  「ピーター、もっと早く頼む!」

  「王子様、これが限界です。」

  「そんな事を言わないでくれ!賞金がかかっているんだぞ!」

  「ジェームズ、俺に任せてくれ!」

  おっと、ジェフが飛び出して馬のお尻に噛みついた!

  馬は大ジャンプ!はずみで車ごとジャンプして、前の方に着地!これで一気に3台抜きだ!

  「まあジェフ、やるわね!」

  「リスの前歯にはこんな使い道もあるのさ!」

  どのマシンも全力疾走中。順位がどんどん変わっていくぞ!

  「だいぶ抜かれちゃった。みんな、加速するから位置について!」

  「了解!」

  イタチセブンでは、イタ助の合図で残り6匹が後ろに移動した!何が始まるのか?

  ブブゥ~ッ!!!!

  6匹分のおならのパワーで加速したぞ!焼き芋を頬張っていたのはこのためだったのか!

  あっという間にトップになるイタチセブン。でもすぐ後ろのエレメンタルフォックスはおならの臭いに苦しんでいる!

  「耐えられない…風子、お願い!」

  「わかったわ!」

  風子ちゃんが風を起こして、おならを吹き飛ばした!

  「ありがとう、風子ちゃん!これでレースが続けられるわ!」

  妨害と助け合いが続いた一幕。これがこのレースの見所だ!

  次々と山に入るマシン。山の周囲に作られたコースを螺旋状に登っていくぞ。

  だいぶ登るときれいな景色が見られるけど、ゆっくり見ている暇はない。みんな急いでいるからね!

  抜きつ抜かれつの大混戦。重装備なマシンも前の方に出てきたぞ!

  おーっと、谷間にかかった橋が現れた!みんな順調に通過して…あれ、渡り終えたパリッコクーペで何か起きてるぞ!

  「スカンダー、そろそろお願い!」

  「わかりました、お嬢様。London Bridge is falling down!」

  スカンダーがリモコンのスイッチを押した!

  ドカーン!

  大変だ、橋が爆破されたぞ!どうやらスカンダーはあらかじめ爆弾を仕掛けていたようだ!

  後続車はマジックパンプキン、スカンクGS、イタチセブン、ファンタスティカキャリッジ!どうやって切り抜ける?

  「ラビティ・バニティ・ホップ!」

  マジックパンプキンは魔法で飛行機に変形!

  「それじゃ、私も!」

  スカンクGSには羽が生えた!

  「みんな、思いっきり踏ん張れ!」

  イタチセブン、おならのパワーで谷間をジャンプ!

  「うげっ、鼻が曲がる!」

  「助けてー!」

  「ああ、もうだめだ!」

  ファンタスティカキャリッジは飛行能力がない上、おならを思いっきり喰らった!操縦不能だ!

  ガラガラガッシャーン!

  ファンタスティカキャリッジ、谷間に落ちてクラッシュ!このレース初の脱落者だ。

  「やっぱり、機械には勝てなかったわね…」

  「クリクリ、お先に失礼!」

  「穴太郎、負けないぞ!」

  ワンパクV9とトモダチオープンはトップ争い。でもお互いどこか楽しそうだね。

  その後ろでは、プリティーガールズがクロイネコスモウブを追い抜いた!

  「猫山くん、お先にー!」

  「くるみちゃんと真里ちゃん、頑張って!」

  「おい苗太、女の子に負けるな!もっと加速しろ!」

  「お父さん、いくらレースでもぼくは真里ちゃんのチームに勝たせたいんだ。」

  「だめだ、賞金が懸かっているんだぞ!お父さんに運転させてくれ!」

  「お父さんは太り過ぎだから、運転席に入れないと思うよ。」

  「あ、そうだったな…とにかく苗太、頑張れ!」

  「柴山、このボタンを押しなさい!」

  「わかったよ…」

  ウイゼルマシンでは、柴山くんが嫌そうにボタンを押した。一体何が起きるか…

  ヒューッ…ガラガラガラ!

  車の後ろから飛び出した槍が、山肌を壊した!通路に岩が降り注ぐ!

  「まあ、大変!」

  ヴェルトンが魔法で岩を消し去った!後続がスカンクGSで良かったね。

  「ああ、あたいの邪魔をするなんて悔しい!でもまだトラップは仕掛けてあるんだからね。」

  「絢子ちゃん、行くわよ!ラビティ・バニティ・ホップ!」

  ここでマジックパンプキンが超音速ロケットに変身だ!他のマシンをどんどん抜いていくぞ!

  あっという間に山を抜けた!雪の中も華麗に通過!でもちゃんと道の上は進んでいるから、違反じゃないぞ。

  さあ、砂漠に突入した。これはもうマジックパンプキンの優勝かな?

  あれあれ?だんだんスピードが落ちて、マシンが小さく…

  「ああ、姫子ちゃん!なんとかして!」

  「だめ、もう無理よ!時間切れだわ!」

  時刻は12時。マジックパンプキンはただのカボチャになっちゃった!魔法でカボチャをマシンに変えていたようだ!

  「ゴールはすぐ前に見えているのに!魔法をかけ直して!」

  「ラビティ・バニティ・ホップ!」

  「何も起きないわ!」

  「ごめん、魔力が切れちゃったみたい。家に戻ってチャージしないと…」

  「ああ、せっかくここまで来たのに…」

  マジックパンプキン、ゴール目前で脱落!これは悔しいぞ!

  [newpage]

  [chapter:雪の世界のレース]

  残りの11台は頂上まで登り、そこに作られた急斜面を一気に駆け下りて第2エリアへ。

  今度は雪の積もった平原。でもみんな毛皮のある種族だから、寒さも平気だぞ!

  「さ、寒い…」

  「我慢しろ、トントン!」

  トントンは毛が短いから、ちょっと大変そうだ。

  さて、彼らの乗るワンパクV9はタイヤにチェーンが巻かれている。雪がよく降る富山県出身なだけあって、雪対策もばっちりだ!

  「ラブーシュ、雪をなんとかして!」

  「わかりました。アン・ドゥ・トロワ!」

  ラブーシュがボタンを押すと、パリッコクーペの前から大きなフライパンが登場。フランベで雪を溶かしながら進むぞ!

  エレメンタルフォックスは、笛吾くんの狐火で雪を溶かしている。

  「雪道は大変だ。トランスフォーム!」

  ガシャンガシャンガシャン!

  クロイネコスモウブは黒猫の力士型ロボットに変形だ!二足歩行だから雪の中を楽々進めるぞ。

  それを見たドスコイスペシャルも変形!こっちは虎の力士ロボットだ。

  強そうなロボットが雪の中を進んでいくなんて、こんな光景が見られるとは思わなかった!

  現在のトップはトモダチオープン、続いてプリティーガールズ。ロボットはその2台も追い抜いていくぞ!

  「あっ、追い抜かれた!栗田くん、スピード上げて!」

  「くるみちゃん、アクセル全開でお願い!」

  その2台はトップ2に戻った!

  雪の世界も半分を過ぎて、順位もずいぶん変わってきた。卯井是瑠ちゃんがまた何か企んでいるようだ!

  「ほら柴山、そのボタンを押しなさい!」

  「何が起こるかわからないけど、押すよ。押せばいいんでしょ…」

  ボタンを押すと、ウイゼルマシンからビーム砲が2つ現れた。そこから水色の光線が発射され、2体の力士ロボットに直撃…

  ああ、2体とも凍りついたぞ!あれは瞬間冷却光線だったんだ!

  ビーム砲がしまわれ、その次は…巨大な大砲だ!

  ドカーン!ドカーン!

  クロイネコスモウブとドスコイスペシャル、大破!重装備も砲弾には勝てなかった!

  「ああ、部長に猫山くん…ごめんなさい…」

  [newpage]

  [chapter:砂漠のレース]

  雪の世界も終わり、最終エリアの砂漠に入った。残りのマシンは9台。

  「さあ、次はそっちのレバーを引いて!抜かれないうちにね!」

  今度はウイゼルマシンの後ろから砲台みたいな物が現れた。これは一体…

  ブウウウウウッ!

  イタチの最後っ屁砲だ!猛烈な悪臭と濃い黄色の煙がコースに襲い掛かる!

  後続車はパリッコクーペ、スカンクGS、イタチセブン、ポンポーラSL、ワンパクV9の5台!果たして…

  スカンクGSとイタチセブンは平然と突き進んできた!やはりスカンクやイタチ科は悪臭に耐えられるみたいだね。

  パリッコクーペとワンパクV9も、煙の中を突き進んできた!パリッコクーペのドライバーがスカンダーで良かった!理沙ちゃんはシールドで覆われているから大丈夫だ。

  ワンパクV9も、ドライバーの穴太郎と助手席の川助はイタチ科だから大丈夫!アナグマは熊に見えるけどイタチ科だ!

  ああ、でもトントンとぴょん太は気絶している!しかしドライバーが無事だからセーフだ!

  おっと、あれは…ポンポーラSLが横転している!煙に巻き込まれてコントロールを失ったようだ。

  ポンポーラSL、ここで脱落!

  パリッコクーペの両側からアームが現れた。最後っ屁を喰らった車体に、フランス製の香水を惜しげもなくかけていく!

  「お嬢様、もう大丈夫ですよ。」

  「ああ、スカンダー…感謝しますわ!」

  おーっと、エレメンタルフォックスが追い抜いたぞ!

  「ラブーシュ、お願い!」

  「アン・ドゥ・トロワ!」

  またもやフランベが発動!花江ちゃんはミラーで後ろを確認しているぞ。

  「海、お願い!」

  「喰らえ!」

  海くんは水を呼び、フランベの火を消した!

  「こっちも火で対抗しないと。笛吾、お願い!」

  笛吾くんは狐火を発射!

  「負けていませんわ!ラブーシュ、火力倍増で!」

  「アン・ドゥ・トロワ!」

  フランベと狐火で争う2台。奥からはスカンクGSが追い上げてきたぞ!

  後ろに付いているスカンクのしっぽの先からは、ヴェルトンのおならが発射されている!スピードアップ用の機能だったんだね。

  イタチセブンもおならパワーで加速し、ゴールラインに向かっている!パリッコクーペとエレメンタルフォックスをほぼ同時に抜いて…

  ドッカーン!!!

  一体何だ!? そうか、ガスと火が一緒になったから爆発したんだ!

  これで一気に4台脱落!

  [newpage]

  [chapter:ラストスパート]

  レースももうすぐ終わりだ。残りのマシンはトモダチオープン、プリティーガールズ、ワンパクV9、ウイゼルマシンの4台。

  ゴールラインが遠くに見えてきたぞ!さあ、優勝は誰だ?

  「ここまで来たんだ。勝ってみせるぞ!」

  「ラストスパートね。くるみちゃん、頑張って!」

  「クリクリたちには負けないからな!」

  「最後まで抜かりなくやるのよ、柴山。」

  みんな真剣そのもの。結果は最後まで読めないぞ!

  ワンパクV9がトップに出た!卯井是瑠ちゃんがまた何か考えているぞ。

  「柴山、そっちのボタンを押して!押さないと最後っ屁よ!」

  嫌そうにボタンを押す柴山くん。今度は何が…ミサイルだ!

  飛んだミサイルは、ワンパクV9を爆破した!

  「さあ、残りの2台も破壊するわよ。それであたいだけがゴールして、1位と2位の賞品をまとめてゲットするのよ!」

  ウイゼルマシンはスピードアップして、トモダチオープンとプリティーガールズに近寄った!

  「さあ、ここに手榴弾が2個あるわ!あの2台に向かって投げるのよ!」

  「嫌だ!そんな事はできない!これ以上友達に手は出せないよ!」

  「うるさいわね!さあ早く!」

  「そうだとしても、ぼくはやりたくない!」

  柴山くんは手榴弾のピンを抜いたけど、投げないぞ!一体何を考えているのか…

  「友達の車を爆破するぐらいなら、この車を爆破した方が何倍もましだ!」

  「何やってるのよ!早く投げて!早く!」

  「栗田くん、優勝は君たちに譲るよ。」

  ドッカーン!

  ウイゼルマシン、まさかの柴山くんの裏切りで自爆!

  残りのマシンは2台!どっちが先になるんだ?

  [newpage]

  さあ、もうすぐゴールラインだ!トップは…

  トモダチオープン!続いてプリティーガールズ!

  優勝は栗田くんと稲荷山くん!準優勝はくるみちゃんと真里ちゃん!おめでとう!

  ※次のページから地の文は普通に戻ります

  [newpage]

  [chapter:表彰式と賞品]

  表彰式が始まった。栗田くんと稲荷山くん、くるみちゃんと真里ちゃんは表彰台に立ち、スイーツビュッフェのチケットとデコレーションケーキの入ったケースを受け取った。

  レースの参加者たちも、観客席から手を振ったり歓声を送っている。ただ、卯井是瑠ちゃんだけは悔しがっていた。

  「ああ、もう少しで勝てる所だったのに!次からは私だけで参加するわ!」

  その後、レースを撮影したビデオを大画面で見た。

  思い思いの感想を言ったり、脱落した参加者は反省会をしたり…卯井是瑠ちゃんは柴山くんを責めてばかりいた。

  それから、栗田くんたち4匹はスイーツビュッフェを楽しんだ。店はレース場のすぐ隣に建っている。

  また、デコレーションケーキもその場で食べた。

  「どれもこれもおいしいね!くるみちゃん、口開けて。」

  「ありがとう、栗田くん。今度は私からね。」

  お互いに食べさせ合う2匹のシマリス。稲荷山くんも夢中で頬張っている。

  「もう最高!これが全部VRだなんて信じられないよ!」

  「稲荷山くん、その話は元の世界に戻ったらね。今はここが現実だから。」

  「ああ、そうだった。ごめんごめん。」

  [newpage]

  [chapter:エピローグ]

  満足するまで食べた時、VRが終了。4匹は元の白い部屋に戻っていた。

  「みんな、楽しかったよね!」

  「うん、爽快だったよ!」

  「本当にすごかったし、ケーキもおいしかったわ!」

  「次は私たちが1位になる展開も体験したいわね。」

  「設定を入力し直せば、そうなるよ。今度はそうしようね!」

  4匹は会話を楽しみながら、それぞれの家へ帰った。

  [chapter:おしまい]

  執筆期間:2023/5/12~6/9