第10話 鞭打ち緊縛尋問に喘ぐイチ 虜囚イチ救出作戦 1
バルティゴ都市国家連邦11月19日黄金の日。
イチは奇妙な果実のように揺れていた。
「あっ________う、くっ________うああああああああ」
イチの身体は天井から縄で緊縛され吊るされている。
下着の着用こそ許されているが上はほとんどボロ布と言ってよい肌着を着せられ女性としての尊厳は殆ど無視されていた。
バルティゴ国防軍の尋問法規に基づき、身体に致命的な負荷をかけないよう緊縛をほどこされているものの、程よい大きさの乳房は締め付けられ、股間にも縄が深く食い込み、酷く屈辱的な状態で身体の自由も奪われたまま振り子のように揺れて薄暗い尋問室にギシギシという鈍い音を響かせている。
「もう一度聞くぞ。何故我々の基地に列車を突っ込ませた」
「知らない! 私じゃない!」
「しらばっくれるな!」
制帽を被った尋問官が手をかざすと、構えていた仕置き人がイチ目掛けて[[rb:笞 > むち]]を振り下ろした。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、っっっっっっ!!」
イチは背中を激しく打つ笞の衝撃に、ギリギリと歯を食いしばり顔中から苦痛の汗が滴っている。
すでに素肌のいたるところが朱く腫れあがり彼女の白い肌を染めていた。
3人の男に尋問を受けているのだ。
なぜそうなったかと言えば、前章に書いた列車強奪事件の主犯であると疑いを掛けられているのである。
無論、無実でしかない。
「言え! 目的は!? なぜ列車を基地に突っ込ませた!?」
尋問官はイチの髪を掴んで凄む。
イチは「あうっ」と短く叫び、怯えた目で尋問官を見た。
「知らない!! 私じゃないって言ってるだろ!! 何回も!!」
「強情を張ると苦しむだけというのを解らせてやれ!」
尋問官の合図で、黒い棒状の笞を手にした仕置き人が風を切る鋭さでイチの尻に強烈な一撃を加えた。尻の肉が波打ち、骨を抉るような痛みにイチの身体が縛られたまま跳ねる。
「ぐああああああああああっっっ、し、違う!! 私じゃないんだ!! 私じゃない!!」
イチの身体は苦痛を少しでも逃がそうと死にかけた海老みたいにビクビクと小さく跳ねている。
笞の痛みもそうだが、縛られ吊るされている痛みも深刻である。人体は長時間の緊縛に耐えられるようにできていない。
食い込む縄の圧力と滞った血流のせいで何をされてなくとも耐えがたい疼痛が襲う。
イチは山吹色の髪を振り乱して「違う、違う」とうわ言を繰り返している。
「違うわけがあるか!?」
尋問官という人間は相手から自分好みの答えを聞き出すまで決して満足しない人種なのだろう。
イチの嘘偽りない悲痛な弁明に聞く耳さえ持たず、仕置き人の笞が二度イチの背中と尻を打った。
「うあああああああ”あ”っっっっっっっっ!! 違う!! 違う!! 違うんだ!! 仮面の怪人ふたりが、列車を乗っ取ったって言ってるじゃないか!?」
イチは痛みに幾度となく叫ぶ。
仕置き人が振り回す笞は樫木とゴムで作られた尋問の為のもので、これも尋問法規に乗っ取り犠牲者に致命的な怪我を負わせぬよう弾力を持つよう作られているが、痛みを与える役割も考慮されており、この笞で打たれたものは骨に響くような重い痛みを味わわされる。
しかもそれだけではない。
「列車にいたのはお前だけなんだぞ!? もうひとりはグチャグチャになってもう何も話さん。言え!! なんの意図で、誰の差し金だ!!」
「あうッッッッ、ッ、づあっ、あううううううううううううう!!」
仕置き人は一度笞から手を離し、イチの肩に手を力をかけると縄が身体に食い込むようギイギイと揺らした。
乳房に、太ももに、そして果肉に守られた割れ目に縄が更に深く食い込み、イチは今までとは違う苦痛に思わず顎を突き出して喘ぐ。
既に吊り責めを受けて1時間が経過しようとしている。
縄の周囲の肉は紫色に変色しはじめ、顔色は既に失われ唇が変色をはじめている。口からはうわ言が漏れ、目の焦点が揺らぎ始めている。
それでも尋問官は容赦せず、笞を手に取るとその状態のイチを連続で打った。
「ぎゃっ! ぐっ! う、ぐ、う、うぁっ、____あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!」
無理矢理絞り出されたような悲鳴が響く。
既にイチは限界に近い。
このままでは不可逆的な肉体の損傷を受け、生命すら危うい。
例え鍛えているとは言えまだ幼さの残る少女なのだ。
あまりにも過酷な仕打ちではないか。
「…………これ以上は危険です。中断しましょうか」
犠牲者の容態を確かめる為に付き添っていた軍医が懐中時計とイチの状態を確かめ判断を下した。
軍医の言葉はほとんど気絶しかけているイチの姿が証明している。
「ふん。バカな冒険者だ。次はもっと過酷になるのを覚えておけ」
尋問官の言葉はイチの耳に届いていない。既に気を失っていた。
イチが軍に囚われて2日。
受難の運命はイチに更なる苦痛の責苦を与えようと残酷に待ち受けていた。