「はあ、はあ……」
三畳一間の狭い部屋の中に、俺、獅塚 御前 (しづか みさき)の荒い息使いが響く。
一心不乱に腕を小刻みに動かしながら、俺は目の前の小さなブラウン管を食い入るように見つめた。
現実を忘れてそれにのめり込むために。
薄暗い夜明け前のその空間に唯一光を放つ古ぼけたテレビに映るのは、1人の兎人の女性だった。
彼女はまるで画面の向こうにいる俺を認識しているように、淫らな笑みを浮かべて誘うような痴態を繰り広げているのだ。
ごくり。
チープなエロビデオだというのに、俺の心は高ぶっていた。
テレビ越しに明かりに照らされた俺の姿は、さぞかし滑稽に見えることだろう。
万年床の薄っぺらいせんべい布団の上で、よれたランニングシャツに使い込まれたトランクスだけを身につけたおっさんの獅子人。
ご先祖様が百獣の王だなんて信じられないほどに、みすぼらしい格好で。
いや、それは服装だけではない。
肉体労働をしてるからかろうじて筋肉はあるものの、不摂生から取りきれない汚れのようにべっとりと身体に纏わり付いた脂肪。
そして、身嗜みなど忘れたような小汚い鬣は、整えられることなく放置されている。
それも仕方ない。
世の雌どもは、誰も俺のことなんざ見向きもしないのだから。
じゃなければ、52にもなって、朝っぱらから虚しくせんずりなんて掻くわけがない。
「はあ、はあ……」
俺の手がリズミカルに動くと、背筋にぞくぞくと痺れるような快感が走るのがわかる。
画面の中の雌が、俺を誘うようにそのおまんこを指で広げて見せた。
くぱあ……。
「……」
もう何十年も直に見ていない、雌の肉穴だ。
「ううっ……」
たまらずけだるい快感が、俺の睾丸を収縮させた。
呻き声とともに溜め込んだ雄の証が、黄ばんだタオルの中にどろりと吐き出される。
「……」
むっとするような匂いを放つそれの中では、孕ませる卵子を求めて俺の精子が蠢いているのだろう。
何の意味もないというのに。
「くそっ」
呪詛のように呟くその言葉は、ままならぬ自らの身の上に向けて発せられた。
別れた嫁と子供は、自業自得だと笑うだろう。
ギャンブルに明け暮れて、すべてを捨ててすべてを失った俺を。
それでも俺は、自らこの人生を捨てることなど出来なかった。
ギャンブルですべてを失ったからこそ、ギャンブルですべてを取り返すのだ。
俺は射精の済んだけだるい身体のまま、のっそりと立ち上がると身支度をする。
今日も日雇いの仕事が、俺を待っているのだ。
じゃらっ。
ポケットに手を突っ込むと、そこに触れた小銭を握りしめる。
これが俺の全財産だった。
こいつで朝飯と昼飯を買って、その足で仕事場に向かうのだ。
そして夕方までがむしゃらに働いてもらった賃金を握りしめると、パチンコに向かう。
それが毎日の習慣だった。
もちろん、勝てることなんてほとんどありはしない。
かろうじて飯代と部屋代を残す理性はあるが、それ以外に残るのは自己に対する嫌悪感だけ。
すっからかんでドヤ街にある三畳一間の薄汚い部屋に戻るたびに、俺はギャンブルを止めようと考える。
……若い頃を思い出せ。
……家族のために必死に働いた日々が、何より幸せだったではないかと。
だが、いつからか嵌まってしまったギャンブルは、底なし沼のように俺を捕らえて離さない。
結局、どれだけやめたいと願ったところで、懐に金が入れば、足が向くのはパチンコで。
そして同じことの繰り返しなのだ。
いや、繰り返しではない。
その底なし沼は、もがけばもがくほど、深みへと嵌まっていく。
取り返しがつかないほどに。
こんな生活を続けているのだ。
仕事のない週末ともなれば、稼ぎ以上の出費となる。
そのたびにいつもの金貸しから借金を重ねてしまうことになる。
返す意思は……ある。
意思はあるのだが、返済の額よりも借りる金額の方が多くなり……。
その底なし沼の水際が首元まで迫っていることに気づきながらも、俺はただもがくだけだった。
★
「こないだは楽しかったよな、シゲちゃん」
目の前の幼なじみが、わし以外には見せないであろう無邪気な笑顔で笑いかける。
「ああ、やっぱりコウちゃんと一緒に輪姦すのは最高だな。またやろうじゃねえか」
わし~兎樫 繁春 (とがし しげはる)~はその言葉に笑顔を返す。
まるで小学生が、学校で昨夜のテレビ番組について盛り上がるように無邪気に談笑する2人。
だが、見るものが見ればその光景は絶句してしまうようなものだった。
それは、先だってまで重鎮的存在として君臨していた兎人の元国会議員と、泣く子も黙ると言われた指定暴力団の龍人組長との組み合わせなのだから。
ここはその暴力団龍波組の事務所。
その社長室兼応接室のソファーに、わしは当たり前のようにどっかりと座っていた。
これが週刊誌にでもすっぱ抜かれれば、大変な事になるだろう。
党の参謀として長く国政に携わってきたわしが、暴力団と繋がりがあるなどと知られてしまえば。
しかも、無邪気に話しているその内容を聞かれれば余計に。
「しかし、楽しかったのはいいが、あいつすぐ壊れちまったよな」
「しょうがねえよ。シゲちゃんがタフすぎんだからよ。そのデカマラで掘り倒しちまったら、いくら丈夫に育てた性奴隷でもぶっこわれちまうぜ」
「すまんすまん」
わしは笑いながら謝ってみせる。
2人で話しているのは、つい先日一緒に遊んだ性奴隷の話だ。
目の前にいる龍人~龍波 鋼十郎 (たつなみ こうじゅうろう)~が提供してくれた雄の奴隷を、2人がかりで苛んだのだ。
抵抗出来ないように縛り上げ、泣き叫ぶ口とケツに逸物を突っ込んで。
ちいとばかりわし好みの雄だったため、興が乗って、ついやりすぎてしまった。
そのせいで、しまいには頭が壊れて廃人になっちまったと、龍波はぼやいているのだ。
「あのぐらいガタイがよけりゃ、本気でケツ掘っても大丈夫じゃねえかと思っちまってよ」
若い頃から人並み外れた性欲をもっているわしは、雄だろうが雌だろうが、使える穴は壊れるまで使ってきた。
そんなわしのことを、龍波はまるで先祖返りのようだなと笑うのだが。
「おいおい、俺達もう齢80だぜ。休み休みの俺はともかく、一晩中交尾しても萎えないなんざ、どんだけシゲちゃんは強いんだよ」
呆れたように呟く龍人。
「そのぐらい精力的じゃなきゃ、政治家なんざ務まらねえんだよ」
わしがそんなふうにうそぶいていると……。
『馬鹿野郎!』
突然隣の部屋から、怒鳴り声が聞こえて来る。
「ちっ」
その声を聞いて龍波の表情が変わった。
ガキのような無邪気な笑顔から、冷徹な極道の顔へ。
「……シゲちゃん、ちょっと待っててくれよ。大事な客が来てるってのに、躾が出来てねえ部下共をちいとばかり叱ってくるからよ」
「ああ。お手柔らかにな。あんまり部下をいじめるんじゃねえぞ」
「シゲちゃんに言われたかねえや」
龍波は苦笑いすると、1人部屋を出て行った。
☆
それはいつものルーティンのつもりだった。
日雇い仕事の休日。
ポケットに手を突っ込んでも小銭もない現実に気づいた俺は、借り慣れている金貸しの元に、パチンコの原資を借りに行ったのだ。
そこは龍波組という暴力団のやっている、闇金だった。
俺のような輩に金を貸してくれるような場所はもうここしかなかった。
今日こそ元を取り返そうと意気込んで、俺は事務所へ向かう。
来客中なのだろうか、事務所の前には普段は停まっていない黒塗りの高級車が置かれていた。
サングラスをかけた怖そうな強面の男2人が車の中から辺りを注意深く見回しているのを目にしながら、俺は入り口をくぐる。
そしてなぜかいつもよりもぴりぴりした空気の中、俺は借金の申し込みをしたのだが……。
「え、もう貸せない?」
俺はそっけないその言葉に、顔を青ざめる。
普段なら渋い顔をしてでも貸してくれるのに、今日に限って金貸しはそんなことを言いやがるのだ。
「うちは慈善事業をやってるわけじゃねえんだ。だからよ、返ってくるあてのない金を貸す馬鹿はいねえだろ」
いつも対応をしてくれる若い豚人の男が呆れたようにそう言った。
「そんな……ちゃんと借用書だって書いてるし、返済だって少しずつしてるじゃないですか……」
俺は情けなくも媚びへつらうように哀れな声をあげることしかできない。
「ああ、本当に少しずつな」
豚人はため息をつく。
「でもよお、返すよりもはるかに借りる額がでけえじゃねえか」
「……」
「おい、獅塚。おめぇ、いくらうちで借金してると思ってんだ。一千万だぞ。おめえみたいな日雇い労働者にゃあ、臓器でも売らなきゃ返せない金額だろうが」
「……」
「俺らも鬼じゃねえから、今んとこそこまで考えてねえ。だが、これ以上金を貸せってのは無理だな」
その言葉に、俺の心臓は早鐘のようにバクバクと脈打つのがわかった。
パチンコどころじゃねえ。
ここで金を借りられなければ、生活だってままならなくなっちまう。
「お、お願いです。少しで……少しでいいんです……」
「ダメだダメだ」
「そんなこと言わずに、お願いします!」
俺の必死の懇願に、うっとおしそうな顔をする豚人。
「うるせえよ。貸せねえもんは貸せねえんだ」
「そんなこと言わずにお願いします! ここで断られたら、俺野垂れ死にしちまう……」
「馬鹿野郎!」
そんな俺の姿に堪忍袋の緒が切れた豚人は大声で俺を怒鳴り付けた。
「おめぇみてえなクズ野郎に貸す金はないと言ってんだ! いいからとっとと失せろ!」
怒鳴り声と共に、豚人がその拳を俺に向かって振り上げようとした瞬間だった。
がちゃり。
奥の部屋から、のっそりと姿を現す巨躯の龍人。
「あっ……」
その姿を見て、拳を振り上げたまま豚人は硬直する。
きっと男はこの金貸しの主なのだろう。
獅子人の俺よりも一回りはでかいそいつは、人の1人や2人など簡単に殺したことがありそうな凄みを見せ、俺の身体に震えが走る。
「おい豚山、うるせえぞ。客人が来てるって言ったろうが」
「す、すんません」
ぎろりと睨みつけられると、あれだけいきっていた豚人の顔が真っ青になっている。
それほどまでに龍人の持つ威圧感は凄まじかったのだ。
そんな龍人の視線が、豚人から俺に移る。
「ひっ」
俺は思わず小さく悲鳴を上げた。
だが、龍人はかまわず俺に話しかける
「で、豚山がうるさくしてる原因がおめえか。確か、獅塚とか言ったっけな」
「は、はい……」
じろり、とねめつけられるだけで、ガタガタと身体が震える。
「話は聞いてる。だいぶうちでの借金がかさんでるみてえじゃねえか」
「……」
「豚山の言う通りだ。今のおめえみたいな奴に金なんざ貸せねえなあ」
「そ、そこをなんとか……。俺、ここで金を借りられなかったら生きていけないんです……」
俺は恐怖を押し殺して必死に頼み込む。
だが。
「無理だな」
そっけなく死刑判決を下す龍人。
「金借りたいならよそで借りな」
「そんな……」
もう他に貸してくれそうな闇金なんか、どこにもないのに。
「お願い……お願いします!」
俺はきびすを返そうとした龍人の足にしがみついた。
惨めであろうとも、俺にはもう、そうする他はないのだ。
「……うざってえなぁ」
龍人な顔が一層凶悪な面相に変わる。
「おい、組長から離れろ!」
様子を窺っていた事務所の男たちが、慌てて寄ってきて、俺の身体を引きはがす。
「お前ら、そいつを放り出しとけ」
「「「はい!」」」
俺はそれでも、恐怖に震えながら叫ぶことしか出来なかった。
「お願いです! ここより他にないんです! 少しで……少しでいいから!」
俺がそう叫んだ時だった。
「……金なら貸してやろうか?」
……えっ。
そんな言葉を投げかけたのは、扉の向こうからひょっこりと顔を出した老齢の兎人だった。
☆
獅子人である俺よりも幾分小柄なその兎人は、値踏みするうように俺の顔を見ながら扉の向こうから姿を見せた。
身につけたスーツはいかにも高そうで、一目で上流階級だと感じさせる。
その顔はどこか記憶にあるもののような気はしたが、どうしてもそれが思い出せなかった。
「……シゲちゃん」
困惑したような龍人に、兎人は笑ってみせる。
「話を聞いてりゃ、こいつは事務所にとってえらくお荷物みてえじゃねえか。よけりゃわしが買い取ってやるぞ」
兎人の言葉に顔をしかめる龍人
「そいつは、ありがてぇけどよ。こいつ、ろくでなしだぞ。下手なギャンブルすることしか能がない、クズ野郎だ。シゲちゃんの役に立つとは思えねえぞ」
「ふうん。……いいじゃねえか」
兎人は笑う。
「世の中には適材適所って言葉もある。それにわしの顔を見てもわからねえなら都合もいい。……ちょうどこないだコウちゃんとこの壊しちまったからな」
「……ああ、そういうことか。それならいいぜ」
俺の理解できない会話を龍人とした後、老齢の兎人はこちらに向き直る。
「お前、名前は何と言う」
「獅塚……御前です」
「そうか。わしの名前は兎樫だ。……お前の借金、わしが肩代わりしてやろうか?」
「ほ、本当ですか!」
俺は思わず叫んでしまう。
この兎人が代わりに払ってくれるなら、また借金することが出来るようになる。
そうすりゃ今度こそパチンコで一発当てりゃあいい。
「ああ。もちろん条件はあるがな」
兎人はにやりと笑った。
「しばらくの間、お前はうちに住み込んでもらうことにする」
「住み込みですか?」
「ああ。心配すんな。ちゃんと三食食わせてやるし……なんならギャンブルなんざする気もなくなるようにしてやる」
その言葉に俺は首を捻る。
……そこは厚生施設か何かだろうか。
このおっさん、慈善団体の偉いさんか何かか?
だが、今の俺に選択の余地などなかった。
「よ、よろしくお願いします!」
「そうかそうか」
兎人は満足そうに頷くと、電話をかけ財布を持ってこいと誰かに指示する。
すると待ち構えていたかのように、サングラスと高そうなスーツを身につけた若い男が、大きなボストンバッグを持って事務所に入ってくる。
下で見かけた、車に乗っていた片割れだ。
「おお、ご苦労」
兎樫と名乗った兎人は、無造作にボストンバッグを開くと……。
……あ。
そこには帯がついたままの札束がごっそりと詰め込まれていた。
兎人はそれを20ばかり取り出すと、テーブルの上に並べた。
「おい、シゲちゃん。ちょいと多いぜ」
多いどころか、それは俺の借金の倍額なのだ。
「こないだの詫びも兼ねてだ。これだけ積めば文句はねえだろ?」
「そりゃ、こっちとしちゃありがてえが……」
ちらりとこちらを見る龍人。
その瞳に哀れみの感情が見え隠れしているように思えたのは、俺の勘違いだろうか。
「じゃあ、わしは早速こいつを連れていくぞ。ほれ、獅塚。お世話になった事務所の連中に挨拶しろ」
当たり前のように指示を出す兎人
「は、はい。今までありがとうございました」
よくわからないまま、俺は頭を下げる。
そして兎人に付き従いビルを出て、停まっていた高級車に乗り込む事となる。
「……」
青天の霹靂というか……世の中何が起こるかわからない。
だが、なんにせよさっきまでのどん底に比べれば、これ以上の不幸なんざないだろう。
そう開き直った俺に、1冊の本を手渡してくる兎人。
「なんですか、これ?」
タイトルは『兎樫家屋敷内心得』と書かれていた。
「そこにわしの家で生活するための規則が記されている。屋敷に着くまでに熟読するように」
「はあ……」
俺は本を開く。
思いのほか小さい文字だ。
俺は本に顔を近づけると、その内容をしっかり読み込もうと……。
「あ……」
本のページからうっすらと感じ取れた刺激臭。
それを嗅いだ途端に意識が朦朧になり……気がつけば俺は意識を失っていた。
それが俺の人生を狂わせる序章だとも、わからないまま。
☆
……な、何なんだよ、これ。
薄暗い部屋の中、気がつけば、俺はありえない態勢で身体を拘束器具によって固定されてしまっていた。
その姿はうずくまる雌に襲いかかる、獣のような格好にも見えたはずだ。
小さな子供用の滑り台に反対から覆いかぶさるような姿。
そのままの状態で固定されているのだ。
しかも全裸で。
ケツを突き出し雄を誘うような姿は、まるで種牛の搾精機のように見えたにちがいない。
そのあまりにも無様な様は、壁一面に掛けられている大きな鏡で、嫌でも俺の目に入るのだ。
なぜかケツは濡れているようで、風が当たるとひんやりした感覚を覚えた。
……うう。
きれいに掃除されているにも関わらず、どことなく粘っこいような雄の匂いの漂う木造の拘束器具は、きっと人の脂や汗を吸いつづけてきたのだろう。
照りのある表面はどす黒く変色してしまっていた。
しかも動かないのは身体だけではない。
頭もベルトで固定されているのだ。
「んがっ、んがっ」
わけがわからず叫ぼうにも、それすらも許されなかった。
俺の口は限界まで開かれた状態で開口器がつけられていて大声など出せないのだ。
命の危険すら感じるその状況。
俺は必死に身をよじり逃げだそうとする。
「無駄だ」
がちゃり。
聞き覚えのある声と共に、正面のドアが開く。
そこから足を踏み出したのは、複数の男達だった。
荒事に慣れていそうな男達の中に、1人、裸の身体を晒したままの兎人がいた。
兎樫と名乗った男のその異様な姿に、俺は一瞬逃げることも忘れてまじまじと見つめてしまった。
……でけえ。
体躯は俺より少し小さいぐらいなのに、その股間から生えた逸物は凶悪なほどデカかった。
大人の腕ほどもあるといえばわかるだろうか。
それが天を穿つように、びくびくと震えながらそびえ勃っているのだ。
……これって。
俺の顔が蒼白に変わる。
ケツを晒すように拘束された俺の目の前に、デカマラをばきばきに隆起させた全裸の雄が現れたのだ。
しかもその男は、俺の借金を肩代わりしている。
いくら鈍い俺でもわからないはずがない。
……俺は犯されるのだ。
「いあだっ! いあだいあだっ!」
俺は拘束器具を振りほどこうと、死に物狂いで身体を動かす。
これほどまでに一生懸命になったのは生まれて初めてだった。
……俺は雄だ。
……雄なんだ。
ホモ野郎なんかとは違う。
男に犯されてたまるもんか。
だが、憎らしいことに、俺の身体を固定する、これまた雄の汗を吸ってそうな脂光りするベルトは、俺を逃してはくれなかった。
暴れたところで痛みを感じるだけなのだ。
「なんだ、威勢がいい奴だな」
兎人は嬉しそうに笑う。
興奮しているのだろう、いきり勃った逸物から、ぼとぼとと先走りが垂れた。
「……」
恐怖で顔を歪める俺に、兎人は安心させるように言う。
「大丈夫だ。今日はまだわしのは突っ込まねえよ。わしのは、な」
「……」
「だが、使うためには、拡げてやらねえといけねえだろ?」
教え諭すように、おぞましいことを平然と言う兎親父。
「差し当たっては、ここで眠るとき以外は、そのケツは拡げて掻き回してやるからよ。ちゃんと道具は用意してあるんだ」
見せびらかすように俺の目の前に突き出すのは、細いぺニスの形をしたディルドだった。
「ゆ、ゆうしてくらはい……」
口を動かして許しを得ようとしても、開口器はひどく頑丈でびくともしないのだ。
かつん。かつん。かつん。
コンクリートで全面を塗り固められた部屋を歩き、俺の後ろに位置した兎人は。ピタビタとディルドで俺のケツを叩いた。
「ああ、ちゃんとケツは洗浄してるからな。汚れるかどうかなんざは心配しなくていいぞ」
その言葉と共に、ひんやりとした感覚が俺のケツを濡らしていく。
……ローションだ。
どろりとした感触に俺は覚えがあった。
だがそれはオナホに使うためのもので、当然己のケツに使うものなんかじゃない。
「ふうん、初々しいもんじゃねえか。壮年でも、使ってなきゃやっぱりここはピンク色だな」
「うう……」
ケツに当たる生温い吐息。
兎親父に息を吹きかけられて、まじまじと見られるのがわかる。
……や、やめてくれ
自分自身でも、覗き込んだことがないそこを俺は見られるのみならず……。
ぐにゅり。
「ひぐうっ!」
指まで差し入れられたのだ。
それは暴漢が無理矢理処女を犯すように、無遠慮な動きだった。
「あぐっ!」
ローションをまとった指とはいえ、引き攣るような痛みを俺は感じる。
「いいじゃねえか。50のおっさんとは思えねえ締め付け具合だ。特に奥に行けば行くほど、心地好く吸い込まれちまう。そこらの雌より、よほど子種を欲しがってるように見えるぞ。きつすぎず、緩すぎず……こいつは掘り出し物だったな」
ぐにぐにと指を動かしながら、称賛しているであろうその言葉は、俺にとっては侮辱そのものでしかない。
「この感触を指で味わうだけで、わしのマラがギン勃ちしちまうよ」
その声色からは興奮したような様子が窺われて、それが俺にとっては何よりも恐ろしかった。
あんなぶっとい逸物を入れられちまったら、俺のケツなんか壊されちまうに違いない。
「う、うう……」
「心配すんな」
恐怖に震える俺に、兎親父は言い聞かせるように優しく言う。
「せっかく買った玩具だ。すぐに壊したりはしねえよ。ちゃんと使えるように拡張してから、わしのデカマラで掘ってやる」
ねっとりとまとわりつくような声。
「こうやって、少しずつ少しずつケツ穴を拡張してな……」
ぐりっ、ぐりっ、ぐりっ、ぐりっ……。
情け容赦なく掻き回される指先。
俺の腸壁が、その指先の感触をはっきりと伝えてくるのだ。
「さあて、指ばかりじゃ飽きちまうだろ。こいつを使って少しずつ拡げていこうなぁ」
ずるり、と引き抜かれると、ケツがぽっかりと開いたような喪失感を感じて、俺は戸惑う。
だが、その気持ちをすぐに埋め尽くすように、冷たく無機質な硬い何かが、緩んだケツ穴に埋め込まれていくのだ。
ずぶ、ずぶ、ずぶ、ずぶ……。
「おおおっ!」
そこには異物感しかなかった。
すでに開かれた肉穴は痛みはわずかだが、それが埋め込まれていくたびに、自分の尊厳が奪われていくのがわかるのだ。
雄としての尊厳が。
くちゅん、くちゅん。
まるで俺を躾けるようなその動き。
否応なしに押し広げられたケツ穴は、少しずつ異物を飲み込む感覚を教えられてしまう。
……い、いやだ。
俺は必死に押し出そうとケツに力を入れるが。
「おお、いい締め付けじゃねえか。拡張のしがいがあるな」
その行為は無駄に兎親父を喜ばせるだけだった。
「この先、お前のケツをこいつが楽楽出入りするまで広げてやるからな」
兎親父は傍らで控えている男たちから受け取ったディルドを俺に見せつける。
それは俺自身の腕ほどもある太さで。
「ひぃっ!」
俺は固定されて動かないとわかっていても、思わず左右に首を振ろうとしてしまう。
それほどまでに恐ろしかった。
口を自由に動かすことが出来れば、舌を噛んでいたかもしれない。
でも、それさえも許されていないのだ。
今までの人生で感じたことのないほどの絶望感が、俺を襲う。
「んがあっ、んがあああっ!!」
俺は限界まで達した恐怖感に、死にもの狂いでもがいてみせる。
……逃げなければ。
……ここから逃げなければ。
ここじゃなければどこでもいい。
俺の雄としての尊厳が守られるなら、タコ部屋だろうとなんだろうと、どこでもいい。
だから、だから俺を逃がしてくれ!
だが、そんな俺の悪あがきは、単に兎親父の心を駆り立てただけだった。
ケツに硬いものを突き立てたまま、兎樫は正面に回ると、とろけそうな笑みを浮かべて俺に言う。
「たまんねえ顔しやがって。そんな顔されちゃあ、おさまりがつかなくなっちまうよ」
「……」
その言葉通り、ただでさえデカい太マラが、おぞましいほどのサイズに膨れ上がり、俺をその一つ目で威嚇していた。
老年とは思えないような、むっとする雄の匂いが俺の鼻まで漂ってくる。
そんな兎親父にとって、開口器で口を開けたままだらだらとよだれを垂らし続ける俺の姿は肉棒を欲しがる雌に見えたのか。
その棍棒のような肉竿で、ピタピタと俺の頬を叩いて見せた。
俺は必死の形相で睨みつける。
「たまんねえな。……おめえがわしを昂らせるからいけねえんだ。……ケツが使えねえなら、口でするしかないだろう?」
ソフトな物言いとは真逆な乱雑な動きで、兎樫はその太長い肉槍を、俺の口に押し付けたのだ。
ずぶ、ずぶずぶずぶ……。
「んあがぁぁぁっ!」
開口器越しに、肉厚な逸物が潜り込んでくるのがわかる。
熱も感触も遮られているはずなのに、雄の臭気が口の中にあふれて、自分の中が満たされるのがわかるのだ。
「ぐるるるるっ!」
ほとんど野生に戻ったかのように俺は吠えた。
それが何の意味も為さないと知りながら。
「おお、いい……」
淫らに歪んだ笑みを浮かべたまま、兎親父は腰を押し進める。
ずり、ずり、ずり、ずり……。
その長大な逸物は開口器を抜け……。
ぴちゃり。
ついには俺の喉の粘膜へと到達していまう。
硬くて熱い感触が、俺の粘膜に触れたのだ。
雄に……犯されている。
「う、うがああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
俺は血走った目のまま、渾身の力で口を閉じようとする。
その肉棒を食いちぎったってかまわない。
もう一瞬たりとも、雄の逸物など口に含んでいたくなかった。
だが。
がちんっ!
屈強な開口器は、そんな俺の願いなど叶えてくれはしなかった。
百獣の王を先祖に持つ獅子人の噛み付きにも、簡単に耐えてしまうのだ。
「……」
呆然とする俺をしり目に、兎親父は楽しむように腰を動かす。
くちゅり、くちゅり。
「んごっ、んごっ!」
その先走りで濡れた先端と俺の粘膜とがくっついては離れ、またくっつくのがわかった。
何度も何度も乱暴に突かれ、俺はえずきそうになってしまう。
だが、それよりも先に……。
「くそ、処女口を犯すのたまんねえな。……まずはたんまり喰らわせてやるからな! いぐぞぉぉっ!」
兎親父が精を吐き出す。
まるでホースから水をぶちまけるような勢いで。
びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!
まるで粥混じりのような白濁液が俺の喉へとぶち当たり、そのまま胃の腑へと落ちていく。
吐き出すこともままならないまま、俺はそれを受け止めることしかできなかった。
それは恐ろしいほど大量で、しかも粘っこい代物だった。
これだけ濃ければ、雌など簡単に孕ませることが出来るだろう。
そう思わせてしまうような雄汁。
「が、ががが……」
それを流し込まれて、口を閉じることもできず、呻く俺。
小さくはないであろう喉全体が青臭い白濁液で満たされて……。
……苦しい。
「がっ、がはぁっ……」
俺は目の前の景色が明滅するのがわかった。
息が……出来ない。
必死に呑み込んでも、酸素が肺に入っていかないのだ。
半固形の恐ろしく粘っこいザーメンが喉の奥にへばりついて、食道だけではなく、気道の入口までも塞いでいるのだ。
「ぐぐっぐぐぐ……」
……死ぬ。
……死んじまう。
顔が真っ赤になって、目玉が飛び出しそうに苦しむ俺の顔を見て、兎親父は笑った。
「なんだ。ザーメン詰まっちまって息ができねえのか。無様だなぁ」
「は、はすけへ……」
これだけは動く目を兎樫に向けて、俺は必死に懇願する。
「仕方ねえなあ。そのザーメン流してやるよ」
次の瞬間、未だ勃起したままの逸物から、新たな臭気と共に生温い液体が溢れ出した。
じょろじょろじょろじょろ……。
「っ!」
それは兎親父の……小便だった。
ザーメンを流すために、兎樫は俺の喉に、小便を流し込んだのだ。
俺の顔は屈辱で真っ赤になる。
だが。
もう、方法はなかった。
俺は自らの意思で喉を動かす。
そう、小便を飲み込むために。
ごくり、ごくりごくりごくり……。
必死だった。
それを飲み込むことでしか、生き延びることは出来ないのだから。
流し込まれる小便の勢いで、気道を蓋するねばついたザーメンが剥がれ、食道に流れ込んでくる。
俺はそれを求めるように喉を鳴らした。
はたから見れば、好き好んで小便とザーメンを飲み下しているように見えるのはずだ。
なんとも形容しがたい生ぬるい液体の味を、その屈辱を俺は一生忘れられないだろう。
……己の口をオナホ代わりに使われて、しかも小便を流し込まれているというのに、それを受け入れることしかできないなんて。
そんな俺の姿を、満足そうに見る兎親父。
……殺してやりたい。
……この身体が動けば、八つ裂きにしてやりたい。
しかし、そんな俺を見て兎樫は嬉しそうに笑う。
「3ヶ月だ」
「……」
「今日から3ヶ月、ここで眠る以外はそのケツを掻き回して、しっかりわしの逸物をくわえ込めるようにしてやるからな」
それは地獄の宣言だった。
☆
その日から、俺のケツは拡張するために嬲られることとなる。
俺の意思など関係なく。
兎樫の言葉通り、俺は身体を拘束器具に固定されたまま、調教され続けるのだ。
ケツ穴は拡張のため、たっぷり潤滑剤が塗られたディルドが無理矢理入れられる。
そしてマシンに接続されているそれは、スイッチを入れると無慈悲に動き、俺の中を掻き回し続けるのだ。
ただの排泄器官を、兎親父の快楽のための装置に変えるために。
がちゃんっ。がちゃんっ。がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ。
機械的に引き抜かれ、そして押し込まれる無機質なピストン運動。
「やへてくれへぇっ!」
俺がいくら泣き叫んだところで、機械は運動をやめない。
マシンが止まるのはディルドを取り替えて、より大きなものにするときか、睡眠の時間のみ。
そんな睡眠中でさえ、ディルドを抜くことは許されないのだ。
俺の身体はすぐにディルドを肉体の一部と認識するようになる。
俺の中で硬い棒が暴れることが当たり前となってしまうのだ。
交換のためや中の洗浄のために引き抜かれると、そこには今まで感じたことのないような喪失感さえ感じてしまった。
それが何よりも俺の雄としての矜持を傷つけた。
開発されたのはケツだけではない。
逸物には貞操帯が取付けられ、その先端には太いカテーテルが入っている。
小便はそこから、床に設置された排水溝に漏らすようにできているのだ。
もちろん口には開口器がはめ込まれ、兎樫のオナホとして、ただ口を開けていることしか出来ない。
鼻にはチューブを通され、高カロリーの栄養剤をそのまま喉へと必要過多なほどに流し込まれる。
そして水分は……兎親父がそのデカマラから流す液体のみだった。
ザーメンと、小便のみ。
一度、自ら小便を飲み込んでしまったこの身体は、喉の乾きを覚えてしまえば、浅ましく口便器になることを望むことしか出来ない。
死にたかった。
開口器さえなければ、舌を噛むことが出来るのに。
俺はもう、人ではなかった。
単なるケツを弄ばれるだけの、道具だった。
その事実に俺の心は擦り減っていく。
初めはなんとか逃げだそうと暴れたのだ。
調教する男たちが居ようがいまいが。
だが、この拘束は決して外れることはないのだ。
開口器を嵌められた口を必死に動かして懇願したところで、誰も俺の言葉など聞いてはくれない。
それはそうだ。
だれが玩具の懇願など、聞く耳を持つだろう。
それがわかった瞬間だった。
ポッキリと音を立てて、俺の心にある芯が折れたのは。
抵抗する気持ちが消えうせた。
その代わりに絶望が俺を覆いつくす。
……もう、逃げることなど出来ないのだ。
☆
俺は養豚所で飼われている、豚のような姿のまま生きていた。
いや、豚の方が何倍もマシだろう。
男たちは飽きることもなく、作業のように俺の身体を調教をする。
それは死ぬほどの屈辱を俺に味わわせたが、それでもまだマシだった。
兎樫に嬲られてしまうよりは。
いつもは俺に水分を供給するために男たちと訪れるが、まれに1人で俺の部屋にやってくる。
それこそが俺を恐怖のどん底にたたき落とすのだ。
「おうおう。今日もいい様だなあ」
1ヶ月が経った。
高齢の兎親父はにちゃにちゃと嫌らしい笑みを浮かべ、拘束されたまま動けない俺を見つめる。
「ちょっとは太ってきたみてえだな」
まるで競りに出す肉牛のチェックするように、俺の身体を触りながら満足そうに頷いた。
必要以上に流し込まれる栄養剤のせいで、俺の身体はぶくぶくと肥え太りだしていたのだ。
「身体の開発も順調そうだな」
そう耳元で囁く兎親父は、俺の股間に設置された貞操帯を取り外す。
がちゃんっ。
「おお、いいじゃねえか。こんなぶっといカテーテルをくわえ込めるようになっちまったか」
「……」
拘束台に抱き着いた現状では、鏡越しでも自分の逸物の様子など伺うことも出来ない。
だからだろう、どれだけ拡張されたかを知らしめるように、兎樫はカテーテルを引っこ抜く。
ずるずるずる……すぽんっ。
「ひいっ!」
久しぶりに引き抜かれたそこは、空気に触れてその空洞の大きさを俺に伝える。
「……」
そこは本来閉じた場所なのに、一向に閉まることはなかった。
縮こまったちんこを掴まれ、ぐぱぁと鈴口を押し広げられる感覚。
「赤黒い中身が、ちゃんと鈴口から見えるぞ。よく頑張ったなあ」
称賛なのか揶揄なのか。
兎親父はそう言いながら、ぽっかりと開いた穴に、その細長い指を差し込んできたのだ。
ずぶり。ずぶり。ずぶり。
「あああああっ!」
見なくても、開いた尿道の中に飲み込まれていくのがわかる。
いくら兎人のものとはいえ、それなりの太さのある成人の雄の指なのだ。
それがさして痛みも感じずに、ずるずると逸物の中に押し込まれていく。
「…っ!」
俺の全身の体毛が逆立った。
挿入される不快感とともに、そこに痛みを感じないという違和感に。
俺の身体は知らない間に、想像もつかないようなまったく別の物へと変えられてしまったのではないだろうか。
……怖い。
……怖い。
涙が出るほど怖かった。
もう後戻りが出来ない身体に変えられてしまったようで。
だが、兎親父は動きを止めない。
「いい具合じゃねぇか。これなら中から可愛がってやれるぞ」
根元まで押し込まれた指がグリグリと動かされると、その根元がじんわりと熱くなるのがわかる。
そんな俺の変化に気づいたのか、兎樫は指を曲げて、違和感のあるところを集中的に刺激するのだ。
「おおおおおっ!」
ちんこの根元を探られるような違和感。
それは今まで感じたことのない、むず痒いような感覚を生み出していた。
「中から前立腺をえぐられる感覚はどうだ? 気持ちよかろう?」
俺は目をつぶって首を横に振った。
その未だ曖昧な感覚を否定するために。
よく分からないその感覚が、快感だと認めてしまいたくはなかった。
「なんだ、まだ自分の立場が分からんのか」
言い聞かせるようにささやきかける兎親父。
「お前はもう、すっかり雌としての教育が施されちまってるんだぞ」
「……」
「ほら見ろ。このケツだって、ただの雌穴に変わっちまってるんだ」
そう言うと、兎樫は傍らに置かれたディルドを、ずん、と俺の肉穴に差し込んだ。
「ごぉぉぉっ!」
無造作に突っ込まれたそれが肉壁をえぐると、俺の口から家畜のような声が漏れる。
既に開ききったそこは、苦痛を感じることなどなかった。
先ほど攻められた尿道のような、曖昧で不可思議な感覚が俺の身体を襲うだけ。
その感覚をはっきりさせるように、兎樫はくちゅりくちゅりと肉穴を掻き回した。
まるで腸壁を耕すように優しくほぐしていくその動きに、俺は内臓の奥深くから未知の感覚がせりあがってくるのを感じる。
「やっぱりそうじゃねえか。雌穴いじられて興奮するようになっちまったなぁ。お前のマラが、デカくなっちまったぞ」
「ほ、ほんな……」
ウサギ親父の言葉の通りだった。
ケツと逸物の痛みと恐怖に萎縮していたはずの己の肉棒に芯が入り、拘束器と自身の腹肉の間に挟まれ大きくなっていたことに俺は気づく。
いや、ずっと気づかないようにしていたのだ。
ケツを刺激され続けることで、己が勃起しているという事に。
それはつまり……俺が快感を感じているという事だから。
「ひがうっ! ひがうんだ!」
俺はパニックを起こしたように、開口器を噛み千切る勢いで喚きたてる。
……違う、そんなはずはない。
ケツを、尿道をいじられて快感を覚えるなんて。
「何が違うんだ?」
ねっとりとねばつくような口調で、その時兎樫は俺に囁きかける。
「現にお前は、ケツをいじられて、浅ましくおっ勃ててるじゃねえか」
「……」
「お前の身体はもう雌に変わっちまったんだよ。ケツで感じちまう雌にな」
「あ、あ……」
それはもうどこにもたどり着くことのない、絶望だった。
ギャンブルによって、ささやかな地位も名誉も、そして妻も子もすべてを失った俺に、唯一残されていた雄としての矜持。
だが、それさえもたった今失ってしまったことに気づかされてしまったのだ。
「ひがうっ! ほんなのはなにかのまひがいだ! ほれは……ほれはほすなんだぁぁぁぁっ!!」
悲痛な叫びが、コンクリートで囲まれた部屋に響き渡る。
認めることなんてできない。
ケツで快感を覚えるなんて、絶対に認めることは出来ないんだ!
そんな俺が泣き叫ぶ様が、何よりのご馳走とでも言うように、相好を崩す兎樫。
「そうかそうか。そこまでしてもお前は雄だと言うのか。ケツで感じたりはしないと訴えるのか」
兎親父は場違いなほどやさしく微笑む。
「ならば一つ、賭けをしようか」
「は、はへ……」
「そうだ。今からケツをワシのマラが直々に可愛がってやろう。……もしもワシが先にお前の中で果てた時は、今すぐお前を自由にし、この屋敷から出ていく事を許してやる」
「……」
「だが……もしお前が先に果てた時は……ケツのその感触を快感と認めた時には……ワシ専用のケツマンコとして一生奴隷として生きることになる。それでもいいのか?」
逡巡は一瞬にも満たなかった。
……この辱めが終わる可能性がある。
それに、俺が飛びつかないわけがなかった。
俺に最後に残された、雄としての存在価値。
それを示すことが出来れば、ここから出られるんだ。
ケツを掘られても、イカなければいいのだ。
確かに1ヵ月もの間、俺はディルドでケツを掘られてきた。
そのせいでケツをいじられることで勃起するような体に変えられてしまったかもしれない。
だが、あくまでそれだけなのだ。
ケツを掘られて、果てるわけがない。
この勝負は、俺の勝ちだ。
「はひ。ほねがいしまふ……」
☆
「ああああああああああああっ!!」
俺の口から悲鳴がほとばしる。
それは苦痛ではなく、歓喜の声だった。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ……。
拘束器に押さえ付けられ、晒されたケツに押し込まれるのは兎親父のデカマラ。
今まで受け入れたことのないほど巨大な逸物だというのに……俺が感じているのはまさしく快感だった。
「ひあああああっ!!」
壊されるのではないかと怯えてしまうほどデカい雁首は、めりめりと音を立て、情け容赦なく腸壁をえぐり抜いていく。
ぞりっ、ぞりぞりぞり……。
「っっ!!!」
その圧迫感と快感に俺は息を詰まらせた。
24時間ずっとディルドで刺激されつづけるという、1ヶ月の調教は、望むと望まないに関わらず、俺の肉穴を快感を汲み取ることのできる雌膣へと変えてしまっていた。
交尾に快感を見出だすことを生き甲斐とするような、爛れた娼婦の持つ雌穴のように。
それだけじゃない。
そんな俺の肉穴を穿つのは、百戦錬磨のデカマラなのだ。
俺は知らなかった。
心の通わないマシンのディルドと、無数の雄雌達を手玉に取り、狂わせ続けた逸物との差がどれほどまでにあるのかということを。
ずるり、ずるり……ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ……ぬちゅんっ、ぬちゅんっ、ぬちゅんっ、ぬちゅんっ……。
「があああああっ!!」
その抜き差しに俺は泣き叫ぶことしか出来なかった。
俺を翻弄するようにゆっくりと抽挿されるデカマラ。
その動きが遅々としていればいるほど、肉壁を擦られる感触はありありと感じさせられた。
敏感になっている襞の1つ1つをすり潰すように押し広げられると、引き攣ったように腹の筋肉が硬直した。
「おおおおおっ!!」
腹の底から漏れ出る声。
身体の奥深くから溢れ出す快感は、今まで生きてきた52年の人生の中では味わったことがないものだった。
それは俺の快感の閾値を書き換える。
……こんな快楽が俺の人生に存在したのだ。
今までの幸せを……妻との初夜も、息子の誕生も……そしてそれらを駆逐するほどの絶頂感を与えたギャンブルさえも、その幸福感には及ばなかった。
……お、おかしくなっちまうぅぅぅっ!
デカマラを包み込む360度の肉壁すべてが、狂おしいほどの快感を与えられてわなないていた。
熟練の手管は、俺の感じる場所を敏感に感じ取り、的確に刺激する。
時に優しく、時に激しく。
ぬこっぬこっぬこっぬこっ……がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ!
「ひゃらああああっ!!」
いや、それだけではない。
ディルドでは開発されきれなかった性感帯を当たり前のように掘り起こし、育てていくのだ。
ごりっ、ごりごりごりごりっ!
「うおおおおおっ!!」
俺は獣のように咆哮する。
咆哮することしかできなかったから。
それは凌辱などでは決してなかった。
洗脳だった。
俺を快楽漬けにする洗脳。
まさに俺は壊されていく最中なのだ。
身体と心をずたずたに引き裂かれて。
それでも俺は必死に抗った。
……ここから。
……ここから逃げるんだ。
快感は絶頂寸前にまで達していた。
俺の逸物は限界まで膨れ上がり、だらだらと先走りを垂らしている。
いつイッてもおかしくはないはずだ。
それでも俺は歯を食いしばる。
耐えろ……耐えるんだ……。
みしみしと開口器が軋むほど、俺は歯を食いしばって堪えつづける。
玉はきゅっと上がり、その中に溜め込まれた煮え立ったザーメンを竿に送り込もうとしているのがわかった。
きっと少しでも逸物に触れてしまえば、精を吐き出してしまうにちがいない。
だが……イクことはなかった。
絶頂寸前に押し上げられたまま、俺は快楽地獄を味わい続けているのだ。
……なんで。
……いや、おかしい。
むしろ、イカないことがおかしいのだ。
これだけ抜き差しされて感じさせられているというのに。
いや、それでも致命的な一撃は加えられてはいないのだ。
……あ。
その瞬間、俺は気づいてしまう。
イカないのではない。
ただ、イカしてもらえていないだけなのだと。
「……」
兎親父は俺をイカさないつもりなのだ。
そのデカマラで俺を嬲りながら、その様子を腰を振りながら楽しんでいる。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、がつんっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ……。
射精することも許されず、脳が焼き切れて快楽に狂ってしまうのを。
「あああああっ!!」
俺は叫ぶ。
恐怖と快感に塗れて、まさに俺は恐慌状態になってしまう。
恐ろしいほど凶悪な快楽は、俺の心を壊してしまいそうになるのだ。
がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ、ごりっ、ずるずるずるずる……ばちゅんっ、がつがつがつがつ……。
……イキたい。
……イキたい。
快楽を求める本能が、射精を求める本能が、理性を駆逐する。
いや、本能だけでなく、理性すらもイキたいと望むのだ。
……イカなければきっと、俺は壊れてしまう。
「ひき……ひきたひ……」
不意に口から漏れた言葉。
「なんだと?」
腕で汗を拭いながら腰を振る兎親父に、俺は啼いて懇願する。
「ひかせへ……ふださひ……」
「そうかそうか」
兎親父は淫猥な笑みを浮かべた。
「お前の負けを認めるのか。じゃあ、宣言してもらおうか」
兎樫はそう言うと、脱ぎ捨てた服のポケットとからスマホを取り出して俺の前に突き出す。
「わし専用の雌奴隷として、一生尽くすと誓え。誓えば最高の快感と共にお前をイカせてやる」
……あっ。
その言葉に、俺の高ぶりが少しだけ冷める。
……そうだ。
負けを認めるということはそういうことなのだ。
確かにここにいれば、悍ましいほどの快楽に浸り、生きていくことができるかもしれない。
だが、それは嫌だった。
俺は……雄なんだ。
それが最後に残された唯一の矜持じゃないか。
「……」
「どうした?誓わねばイカしてやらんぞ。このまま狂うまで犯しても、ワシはいいのだぞ」
「……」
「そうかそうか、わしと我慢比べがしたいというのか」
兎親父はにやりと笑う。
それでも俺は、目をつぶりただひたすら堪えた。
きっと我慢すれば報われると信じて。
そうすれば、我慢すれば、兎樫は俺の中に強かに吐精して、俺はこの地獄から解放されるのだと。
だが……そんな現実なはどこにもなかった。
がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ、ずるっずるっ、ぬちゅっ、ぬちゅぐちゅぬちゅぐちゅっ、がつんがつんがつんがつん、ごりごりごりごりごりごりごりごりっ、ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、ぬこっ、がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつっ、ぐちゅりぐちゅりぐちゅりぐちゅりぐちゅりっ、ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっ、ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっばちゅんばちゅんばちゅんばちゅん、ごりごりごりごりごりごりごりごりっ、ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅっ、がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ……。
10分……20分……1時間……。
脳が焼けるような快楽に死に物狂いで耐えていても、一向に兎親父の抽挿は終わらなかった。
そこにあるのは高まる快感と、壊れる寸前までヒートした頭だけ。
快感は体を破壊して飛び出しそうなほど高まっているのに、最後の一押し、一押しにはどうしても届かないのだ。
……もう……ダメだ。
俺は完全に理解する。
この地獄からは逃れることはできないのだと。
「ほ、ほれはっ!」
俺は泣きながら宣言する。
すべての矜持を投げ捨てて、雄であることを放棄した。
雌でいい。
雌でいいから……イカせてくれぇぇぇぇっ!!
「ほれは、とがひさませんようのせいどれいとして…いっひょうつくひまふっ! だから……だからひかせへくだはい!」
「いいだろう」
最高の昂ぶりを感じているのか。
まるで捕食者のようにぎらついた目で笑うと、兎樫……いや、兎樫様はスマホを床に置いた。
「じゃあ、約束通りイカせてやろう。……ただ、ワシが満足してからだがな」
「ほ、ほんな……ああああっ!」
それからの交尾は凄惨だった。
今までの抽挿が手加減されていたとわからせられるような、激しい攻めを俺は受けつづけた。
「ああっ、ああああああっ!」
人はこんなに激しく深い快楽を得られるなんてことを俺は想像だにしなかった。
焦らせれながら、俺は射精することを許されなかった。
それが何時間続いただろう。
俺は唐突に自分の中で限界まで高まった性感がなおも高まるのを感じる。
限界を超えればそれは……。
「ひがっ、ひがしてもらへるっ!」
俺は歓喜に泣いた。
「ひぎたひっ、ひがせてっひがせてくれええっ!!」
兎樫様は何も答えない。
ただ、とどめを刺すように、そのデカマラを深く突き刺した。
ずぶりっ!!
「はあああああっ!!!!」
身体が雑巾絞りでもされているような感覚が、快感とともに俺を襲う。
「ひっちまううううっ!!!」
獅子の咆哮とともに、俺は吐精してしまう。
どろっ。
死ぬほどまでに焦らされて吐き出したそれは、極太のカテーテルのため、鈴口からほんの少し漏れただけだった。
「イッたようだな」
兎樫様は俺の姿を見て笑う。
「これからは毎日、ワシの濃い汁をお前のケツにたっぷり仕込んでやるぞ」
「ほしひ……ほれのなかにほしひ……」
「よしよし。では食らわせてやろう。イクぞぉぉぉっ!!」
ブグジュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルっ!!!!!!
息が詰まるほどの勢いで、兎樫様の熱い子種汁が俺の中に流れ込む。
それはどれだけの間続いたのだろうか。
俺は雄汁に満たされる幸福感を全身で感じていた。
ずるんっ。
そしてその逸物が引き抜かれると、一段と太いディルドの付いたマシンが据付けられ、またケツの中で動き出す。
がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ、がちゃんっ!
これまでにない激しい動き。
だが、俺は幸せだった。
俺は兎樫様に、快感を与えてもらえる人生を受け入れてしまったのだから。
「ほれ」
兎樫様はそんな俺の正面に周り、そのデカマラを見せつけた。
先ほどイったばかりだというのに、それはまったく萎えることもせず、雄々しくそそり勃っている。
「……」
その様子をじっと見つめていると、逸物を顔にこすりつけられる。
自らの汁と、兎樫様との雄汁とでべとべとになるが、それは今や俺にとって喜びでしかなかった。
……この逸物に口で奉仕させてほしい。
そんな俺の願いに気づいたのか、兎樫様は開口器を外してくださる。
がちゃり。
俺は口を開く。
「その逸物が欲しい……俺の口にください……」
しかし、兎樫様はうんとは言わなかった。
「奴隷が。口の利き方がなっとらん!」
激しい叱責。
「よいか? これからお前は意志など必要のない性奴隷として、死ぬまでワシに仕えることになるのだ」
そして俺の顔の前に再び逸物を差し出し、こう聞いたのだ。
「どうして欲しい?」
「……お、お願いします。……兎樫様のデカマラでどうか私の口を犯してほしい……です……」
次の瞬間、そのデカマラは俺の口に押し込まれる。
「んぐぐぐぐっ!」
その長大な肉棒は、食道まで潜り込むと、遠慮なく動きはじめる。
がつんっ、がつんっ、がつんっ……。
無体な抽挿に息も出来ずに俺は苦しさのあまり涙を流す。
だが、ちらりと目をやった鏡には、好物を与えられて喜ぶ子供のような笑みが浮かぶ獅子人の姿が映っていた。
★
ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ……。
粘膜がこすれる音が2つ、龍波の事務所から響いていた。
3ヶ月。
そう、わしの宣言通り、獅塚は3ヶ月で立派な奴隷に変貌した。
毎日その身体と心を躾けられた獅子人は、わしに犯されることを生き甲斐にする玩具へと変わったのだ。
「ああ? この口マン、ほんとに具合いいよなあ。喉使って、俺のマラを締め付けるとこなんざ、たまらねえや」
この事務所の主である龍人は、嬉しそうに四つん這いになった獅塚の鬣を掴んで腰を振る。
ずごっ、ずごっ、ずごっ、ずごっ……。
ワシほどではないが、十分デカマラのそれを根本まで飲み込む獅塚の顔は喜びでとろけきっていた。
何度も何度も喉を突かれているというのに、そこには苦痛の表情は見られない。
毎日の喉調教のせいで、伸びきった声帯は大きな声を出すこともなくなった。
漏らすとすれば、快楽のかすれた呻きか、犯されることに対する感謝の言葉だけ。
ワシはその姿に満足感を覚えながら、そのケツに腰を叩き付けた。
がちゅんっ、がちゅんっ!
そのたびに歓喜に震える獅子人の身体。
そのマラの先には以前にも増して太い、親指サイズのカテーテルがつけられ、決して小さくはない逸物自体は、極小の貞操帯に押し込められ無理矢理下に向けられていた。
「ヒグっ、ヒギますっ!」
喉とケツを犯されながら、獅塚はかすれた声で何度もイッた。
そのたびに貞操帯はブルブルと震えるが、カテーテルと貞操帯のせいで子種が漏れることはなかった。
ただ、欲求不満を誤魔化すように睾丸は何倍にも膨れ上がっていた。
それでも、この奴隷は射精することを求めたりはしない。
……我ながらよく調教したもんだ。
ワシは褒美にと、手を伸ばしてそのカテーテルを引っこ抜き、膨れ上がった玉を揉んでやる。
「あっ、親方様……ああああああっ!」
ぶじゅっ、ぶじゅっ、ぶじゅっ、ぶじゅっ……。
堰き止められていたザーメンが、止めることもできないまま勢いよく放たれる。
「無様だな」
ぽつりとワシは呟くが、それすらも快感なのだろう。
「あっありがとう……ありがとうございますぅっ!」
イキながら感謝の言葉を呟くのだ。
獅子人は変わってしまった。
ギャンブルのために借金を重ねていたろくでなしから、わし専用のセックスマシンへ。
命令には何でも喜んで従う奴隷になったのだ。
「くそっ、イグぞっ!」
その喉の良さに我慢出来なくなったのか、龍波が精を放つ。
それを見て、ワシもしたたかに奴隷の中に吐精した。
★
「さて、そろそろおいとましようかの」
ワシはそう言うと、放ったばかりの雄汁をこぼさぬよう、獅塚のケツにディルドを嵌め込む。
そう、以前その大きさに怯えを見せた、腕ほどもあるディルドを。
ずぶずぶずぶずぶ……。
しかし、今の獅塚はそれを当たり前のように飲み込んだ。
そのまま抜けないように、ハーネスをつけてやると、今度は獅子人はがワシの身支度をかいがいしく手伝う。
「じゃあ、コウちゃん。また来るぞ」
共に帰り支度を済ませ、事務所を後にしようとすると……。
「おい、獅塚」
龍波が獅子人に声をかける。
「なんでしょうか?」
振り返る獅塚に奴は尋ねる。
「……お前は今……幸せなのか?」
その変貌ぶりは、やくざの組長をもってしても理解できないのだろう。
異物を見るような視線を浴びながら、獅塚は嬉しそうに笑う。
「私は親方様が満足していただく為だけの存在です。私で満足していただければ、それが最上の幸せです」
奴の思考はすべてワシの為のものへと書き換えられているのだ。
だからこそ、半笑いの表情のまま、声にならないような小さな言葉で話す獅塚の目には光はなかった。
そんな獅子人に、嫌悪感をあらわにする龍波。
自らの我を通すために人を殺めるとも厭わないこいつには、相容れない考えなのだろう。
「お前はもう、人以下の存在だな」
軽蔑するように吐き捨てる龍波。
だが、その言葉は獅塚にとって、褒美にしかならない。
その証拠に……。
どぷっ。
股間を震わせた獅子人のズボンから青臭い匂いが漂いだしたのだから。
★
「この恥知らずが!」
「も、申し訳……んぐっんぐっ」
無様な痴態を見せた罰として、ワシは帰りの車の中でも獅塚の奉仕を強要する。
胃の腑まで犯せそうに長いデカマラを根本まで飲み込ませながら、尺八をさせるのだ。
誰かが車を覗き込めば、その姿は見えてしまうだろう。
それでも興奮をおさめることのできない獅子人は、謝罪しながらもその逸物を貞操帯の中でパンパンに膨らませていた。
「……可愛い奴め。帰ったら今夜もワシの玉が空っぽになるまで、口にもケツにもぶち込んでやるからな」
「あひがほう、ございまふ……」
そんなワシの言葉に獅塚はまた、うめき声をあげながら絶頂するのだった。
完