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<ねぇディッキー。何で最近あたしの家に来て下さらないの? もしかして病気にかかっていらして? あなたのことが心配です。早く返事を下さい>
マリー=ヤグリーから電報が来たが、私はそれを無視して夜の街へ出かけることにした。
二度とお前のような尻軽女と付き合うものか。
私が仕事でローマ滞在中に、お前が私と違う男と娼館を訪れていたことはすでに私の耳に届いている。写真にも2人が写っているから、疑う余地なしである。
嗚呼、ディック・オクタビオ・グレシャムは51の齢でありながら、未だに婚姻関係を持ったことがない英国紳士である。私は地方の大地主の次男として生まれ、大学卒業後に軍隊に入って世界大戦では陸地で活躍し、ドイツ軍を破るのに貢献した。
ここまでは順調であったが、忘れもしないタギスカブルクでの戦いにより右足を負傷し、軍人として戦えなくなった。未だに右足は上手く使えず、杖に御世話になっている。
その後、国会議員に当選した私は、大ブリテンの今後に光明をもたらす議会に参加し続けている。だが、あの時の戦いの躍動感と恐怖感が愛おしくて堪らない。
今の日常は退屈で、たまに恍惚を与える女性もマリーのような尻軽女やずっと前のエレカのようなあばずればかりだ。
どこかに私の心を奪う乙女はいないものか。
かのボッティチェリのヴィーナス風の派手な女ではなく、ダ・ヴィンチのモナリザのごとく謎めいた笑みをたたえる女性でないと、今の私には満足できない。
カイゼル髭を整えた私は、紺の燕尾服と黒のシルクハットに身を包んで我が家を出た。行く場所はすでに決まっている。顔なじみのマスターが経営しているバーだ。いつも私の心を落ち着かせるハープによる演奏と、ロンドン一多いワインの種類を誇るマディソン・バーは上流階級御用達の店で、稀に麗しい貴女を見かけることがある。
マリーもここで出会ったがとんでもない…、いやマリーはもういい。
私は新たな出会いを求めなけれなならない。
英国の威信を守り抜いた義勇士・ディック=グレシャムに相応しい貴女を見つけるのだ。
[newpage]
「いらっしゃい。おうグレシャムの旦那! 何にしますか?」
全身に鎧をまとったがっちり体格のマスターが、店に入って来る私に注文を聞いてきた。私はカウンターに座ると食前酒としてキールを選ぶ。
「キールで頼む」
「了解。キール一つ!」
マスターが奥の厨房に声をかけると、色白で細身の青年が出てきた。彼の手にはシェイカーが握られているので、それでキールを作るのだろう。
彼は私の座席の所まで来て、巧みにシェイカーを動かす。その動きは蚊より速く、じっと見ると目が眩みそうなほど鮮やかであった。
「完成です」
彼は一言だけ発し、元からテーブルの上に置かれていたグラスにキールを注ぐ。私はゆっくりとグラスを取り口の中へ運ぶ。甘酸っぱい味が程よく口中に広がる。抜群の配合だ。
私はマスターに彼について尋ねてみた。
「マスター。あの青年はいつから雇ってるんですか?」
「スペンサーは、1ヶ月前にひょっこり来てね。中々いい奴で、うち一番の働き者さ。ただ自分のことをあまり語らないんで、謎の美少年と呼ばれてますぜ」
確かに、古代ギリシアの彫刻の洗練された美しさがある。しかし、私は謎の美少年でなく、謎の美女を求めているのだ。
今夜は客が少ない。若い夫妻と豚の軍人、カウンターの端には長い金髪の男がうつむいている。いや女だ、よく見ればカチューシャを付けている。
すすり泣くようにしゃっくりを繰り返す彼女は、テーブルに突っ伏したままだ。
酔いつぶれているのか、それとも泣いているのか。私は彼女の横へ移動し、優しく声をかけた。
「お体は大丈夫ですか?」
彼女は体を震わせると、恐る恐る顔を上げて私を見た。その顔は何ということか、充血したために赤い花弁と化した大きく美しい瞳が私を映し、真紅の林檎の唇が物言いたげに少し開いて震え、盛んに私を誘惑する。
私の今宵の相手は彼女で決まった。涙の乙女は私以外の何人(なんぴと)たりとも触れさせてはならない。地位は低いけれど、高貴な精神を持つ紳士、すなわち私のみが彼女の崩れかけた心を再び繫ぎ合わせ、太陽の沈まぬ暮らしに導いていけるのだ。
「心配は無用です。私はあなたの味方ですよ」
「味方…、あなたは?」
「この方はグレシャム卿。前の大戦で活躍した人でさ」
マスターがご丁寧に説明してくれたが、ここは2人きりにしてもらいたい。私は少し首を傾げてひげを指でつまみながら、眉をひそめる。私の意志に気付いたマスターはそそくさと厨房へ向かう。
「貴族のお方は初めてですわ」
彼女は涙をハンカチで拭って話しかける。
「このバーに来られたのは初めてですか?」
「ええ。実はドイツから亡命したばかりで、右も左もわからない状態ですわ」
ドイツではちょび髭のヒトラーが総統に就任し、ユダヤ人弾圧を実行している。この弾圧から逃れるため、多くのユダヤ人が他国へ亡命している。
今年はベルリンオリンピックを開催予定だが、ユダヤ人の財閥が多いアメリカは不参加を検討しているそうだ。
「大ブリテンはインドやアフリカからの移民を受け入れておりますから、そういう方々の援助は充実しています。直にあなたも慣れますよ」
彼女は軽くうなずき空のグラスを持って、追加注文を告げる。
「シェリーをお願いします」
だが、彼女の小鳥のさえずりは厨房にいるマスターに届かない。ここは私が代理で言うべきだ。
「マスター! 彼女にシェリーを!」
マスターは飛び出して、彼女と私を交互に見るとすぐに彼女のグラスにボトルのシェリーを注いだ。彼女は軽微に笑みをたたえて、私を見つめる。私の胸に電撃が走ったが、あくまで平静を装う。
彼女は目をつぶったままシェリーを飲んで、半分残して一息つく。
「そう言えば、あなたのお名前をまだ伺っていなかったですね」
「あら、ごめんなさい。あたくしはチェレーナ・ヴァインヴァーグといいます」
「ヴァインバーグさんはキリスト教徒ですか?」
「いえ。父はユダヤ人ですが、あたくしはユダヤ教徒でありませんの。ドイツ人の母方の家系が代々自然崇拝を続けていて、あたくしもそれを引き継いでますの」
自然を愛する彼女にとって、この大ブリテンは相性が実に良い。北部に行けば田園風景を当り前のように見られるし、ここでも森林公園で鳥と戯れることが出来る。
「自然の木や植物に魂が宿るという考えは昨今愚の骨頂とされていますが、私はどうも納得出来ませんね。野原や山を歩けば疲れているはずなのに、元気になるという現象は、科学的に証明されていませんからね」
「グレシャム卿の言う通りですわ。知識人達ときたらすぐに古い風習を馬鹿にする。物事を穏やかな目でどうして見られないのかしら?」
彼女はグラスを持った手でテーブルを叩く。グラスの中のシェリーの一部が飛び散る。一瞬店内が揺れたが、恐らく気のせいだろう。彼女は中々どうして、議論を交わすのが好きな人と見えた。
出会った当初に泣いていたのは、誰とも話せない辛さだろうか?
私は議論を交わすのが好きだから、彼女のような人は一向に構わない。前のマリーのように、他人に流されてコロコロ自分の好みを変える「自己」の主義・主張を持たない女性は、こちらから願い下げだ。
「グレシャム卿と呼ばれるのは恥ずかしいから、やめてもらえるかな?」
「申し訳ありませんでしたわ。ならば、どうお呼びすればよろしいですか?」
「ファーストネームのディック、ディッキーで構いませんよ」
「ディック・グレシャム…、いい名前ですわね」
「だから、あなたのこともファーストネームのチェレーナでよろしいかな?」
「ええ。チェレーナは呼びにくいでしょうから、チェリーと呼んで頂いても構いませんわ」
彼女は頬を染めてうつむき加減にそう言う。甘い名前は彼女に相応しい。
「ではチェリーさん、ここのバーのフィッシュ&チップスは格別に美味しいですから、遠慮なくどうぞ」
「フィッシュ&チップス以外におススメはありますの?」
「フィッシュ&チップスが一番なんですよ」
この店にステーキ料理はあるが、硬くて食えたものでない。彼女の気分が良くなっているのに、そのような物を食べさせるべきでない。
フィッシュ&チップスが運ばれて2人はそれを手に取る。ワインを間に飲むと、食感をより楽しめる。彼女は音を立ててチップをほおばり、私に度々視線を送る。
「ディッキーさんは本をお読みになりますか?」
「読書は食事の時間より好きですよ。最近はプルーストの『失われた時を求めて』を読んでいますよ」
「その作品は読んだことがありますわ。出だしが独特でしたわね、確か。ある食べ物を口に入れた瞬間に、記憶がよみがえる話ですわね?」
「そうですそうです。チップを食べる今この瞬間にも、私はあることを思い出すという訳ですよ」
「どんなことを思い出しますの?」
こんな具合で2人の会話は進んでいく。異性とここまで話に夢中になれたのは初めてだ。私はもう、彼女なしの日々は考えていなかった。ずっとずっとこうして2人でいたい。
最後の審判の裁きが下るまで、私は彼女と共にいよう。
例え全知全能の神が邪魔して、私達を人と異なる姿に変えたとしても、ずっとそばにるのだ。
彼女はどう思っているのかわからないが、私を度々見てクスリ笑いを浮かべていた。やはり彼女は私に気を許しているのだ。
ただ1つ不満なのは、バーの名物であるハープの演奏が全く無かったことだ。ロマンティックな情景を作り出すに充分である演奏が無いのは、実に残念だ。
「マスター、ハープの演奏はやめたんですか?」
「ハープのシモアンヌがちょっと熱を出してね。代役としてスペンサーに弾かせてるんでさ。旦那が来るまでは弾かせてたんだが、あのディンビー卿が音楽嫌いなもんで中止さ」
マスターがあごで差したのは、太っちょ軍人だ。芸術に無縁の彼は汚らわしい豚のように肉に食いついている。
「じゃあ、あのディンビー卿が出て行ったら、ピアノ演奏をスペンサーにさせてもらえるかい?」
私はマスターに小声でお願いする。マスターは歯を見せて笑い、了承してくれる。
その十分後にディンビーは汚く食い散らかした後を残して、店を去った。
「ピアノはあたくし達の間近にありますわ」
「目の前で生演奏を聴けるのは光栄ですね」
カウンターの向かい、つまり私達の席の後ろにピアノがある。スペンサーは私達に背を向けて、ピアノの椅子に腰掛ける。
「モーツァルトの「トルコ行進曲」を演奏します」
彼はそっけなく言ってから演奏し始めた。その演奏は川の流れのなめらかさと、激しく回る機関車の車輪の力強さがあった。
しばらくワインを飲むのをやめて演奏を見守る。高速演奏が出来る彼の指は、タコの脚に見えるほど細かに波打ちながら動いている。
演奏が終わると、老夫婦と私達は立ち上がって拍手した。スペンサーは顔色一つ変えずに厨房へ戻って行く。
「マスター、今日のチップはいつもより多く払いますよ」
「スペンサーの演奏代かい?」
「そうですね。あと彼女の代金も払います」
「あら、あたくしのことは気になさらず。お金は充分ありますから」
彼女は財布の中から紙幣を出そうとする。
「この国では、紳士が淑女の分まで払うことになっているんですよ」
マスターはニヤニヤと私を見てくるが、一切構うことはない。チップに相手への御礼が入っているなら、彼女の分の支払いは彼女と出会えたことへの感謝であるからだ。
私は代金の紙幣をテーブルに置き、彼女を連れて颯爽と立ち去った。となれば恰好が良いが、生憎私は足が悪いので、杖を突いてゆっくり出口へ向かう。彼女が前に歩き、私が後からという紳士らしからぬ光景だ。
「もしよろしければ、あたくしがディッキーさんの体を支えて一緒に歩きませんか?」
「チェリーさん心遣い有り難うございます。私は大丈夫ですから、お先へどうぞ」
彼女は先に扉を開けようとしたが、ふと立ち止まって私の顔を見てプッと吹き出した。
「ウフフ。ディッキーさんたら、おひげに食べかすがついていますわ」
彼女は私の手入れを丹念に重ねたカイゼル髭をハンカチで触り、食べかすを拭ってくれる。すると、彼女は少し気恥ずかしそうに顔を赤くさせてこう言う。
「あ、あのー、ディッキーさんのひげって、その、とても素敵ですわ」
彼女はもじもじしながら、私を吸い込むように見つめる。
「よろし、いや、こんなことお願いするのはちょっと……」
「お構いなく、何なりと」
「あなたのおひげを触らせて頂けますか?」
私の自慢のひげを触りたいと言ってきた女性は彼女が初めてだ。素直に嬉しいが、公衆の面前でその行為は恥ずかしい。
だが、彼女はエサを待つ犬みたいに目を輝かせて、私の返事を待っている。
ここでお預けをしては彼女が悲しむ。紳士の私は彼女の前で右ひざをついて、ひげを差し出す。
「どうぞ。心のゆくまでお触り下さい」
彼女は私のひげの根元から、そっと撫でるように触る。彼女のひげを触った途端、目と口が大きく開いて遊具を楽しむ子どもになった。
その刹那、使われていない暖炉の火が点き、皿が割れた。彼女の喜びの爆発を表しているかのようだ。
「おいおいスペンサー。お前にしちゃ珍しいな」
皿を割ったのはスペンサーだ。彼は皿の破片を拾いながら、冷徹な眼差しを私に向ける。もしかして、彼もまた彼女を狙っていたのだろうか?
「マスターさん、こっちの火も消してくれ。暑くてたまらんわい」
「はいはい、ただいま」
店内は慌ただしくなってきたため、私達は店を出た。外はすっかり暗くなり、人の往来は少なかった。
「あたくしはヒトラーのようなちょび髭より、ディッキー様のような立派なカイゼル髭が好きですの」
「気に入ってもらえて光栄です、チェリーさん」
ひげを好む彼女は面白い。謎めいたと言うより、変わった雰囲気を持っていることが私の琴線に触れた。どうかこのまま、彼女を我が家まで持ち帰りたい。
しかし、出会ってから初めてでいきなりそれは危険だ。私は変態と間違われないために、紳士として彼女を家まで送ることにした。
「最近は連続強盗が出ているそうですから、施錠の確認を怠ると危ないですよ」
「ええわかっていますわ。しかもその強盗は、身の毛もよだつ恐ろしいことを住人にするらしいから、あたくし怖いですわ。」
「身の毛もよだつとは、人殺しですかな?」
「まだ殺されるほうがマシですわ。男女問わず姦淫をするらしいんですの」
金と体を奪うとは、何と卑劣な盗人だ。私が警察ならそいつをとっ捕まえて、50年ぐらい牢屋に入れてやりたい。
「ここ数日それが怖くて、満足に眠れていませんわ。ですからディッキー様! もしよろしければ、今夜あたくしの家に泊まっていただけますか?」
「いや、それはちょっと……」
有難い彼女からの誘いにもかかわらず、私は躊躇する。よく考えてみれば、50の国会議員と年端もいかない移民の女性が夜に泊まったことが明らかになると、野党議員からそのことを追及されるだろう。
やはり恋の初めは、哲学的恋愛(プラトニック・ラブ)が相応しい。
「寝室は別々にしますから、気になさる必要はありませんですわ」
自分の心中を読まれたようで、少し驚く。
[newpage]
彼女の家は郊外にあるので、結構な距離を歩く。私は実質的に片足で歩いているので、何度も立ち止まって彼女を待たせてしまった。彼女は微笑んで私のペースに合わせてくれて、実に有難い。
「見た目はボロ家ですが、中身は快適ですわ」
彼女の家は長い間捨てられた風の木造で、入口の細長い金属の表札は黒字に赤文字でチェレーナ・ヴァインヴァーグと書かれている。扉は新しく茶色の塗料が手に引っ付きそうなぐらいベタベタしている。彼女が電灯を点けると、茶色に変色した古本の束が見える。
「あまりにも多かったので、本棚に収まらかったですわ。ウフフ」
くさび形の文字の題名、魔法陣が入った本があり、実に気になる。彼女はこれらの本を先祖代々受け継いできたのだろうか?
「さぁ、この椅子におかけ下さい」
木製の椅子は所々が虫に食われて、さっき出会ったディンビーが座ったなら、たちまちただのガラクタになりそうなぐらい古臭かった。
「紅茶をお入れしますわ」
「そこまでしてもらわなくても結構ですよ。私がやりましょう」
わたしがそう言って立ち上がろうとすると、彼女は手で制止した。
「いえいえ。ディッキー様は足がお悪いのにここまでいらしたのですから、ゆっくりお休み下さい」
「ではお言葉に甘えて」
彼女は鼻歌を歌いながら、ケトルに水を入れてガスで沸かす。
「ちょっと部屋の中が薄暗いですけど、これが限界ですの。雰囲気を良くするためにレコードをおかけしますわ」
蓄音機にレコードが置かれると、ゆったりしたスメタナの「モルダウ」が流れた。この落ち着いた雰囲気の中で、私は眠りに落ちそうになっていた。
ケトルがカタカタと音を出して揺れたため、彼女はガスを止めてお湯をカップに注いで茶葉を入れると、甘い紅茶の香りが漂う。
彼女をふと見れば、聖母の穏やかな笑みを浮かべている。
一口飲むと、紅茶ののど越しの良さと口中に広がる甘味で、私は幸せな気持ちに包まれる。しかも美しいチェリー嬢と一緒にいられるとはなんと幸せだろうか。
「この紅茶で、私の疲れは瞬時に消え去りますよ」
「それは喜ばしいことですわ。おかわりはたくさんありますから、ご自由にどうぞ」
一杯目を飲むと、妙に体が火照ってくる。燕尾服が分厚くて暑いからだろうか? さらに全身に力が入らなくなり、だらしなく椅子の背にもたれ大きく口を開ける。こんな醜態を彼女に見せる訳にいかないのに、何故か体が言うことを聞かない。
「ウフフ。薬が良く効いてきましたわね、ディッキー様」
「ま、まさか、あなたが連続強姦魔?」
胸のふくらみやくびれはまぎれもなく女性のものだが、中身はおぞましい連続強姦魔法の男性なのだろうか。
「いいえ。あたくしは連続強姦魔と関係ありませんわ。もっとも、その連続強姦魔より恐ろしい存在とも言えますわ」
彼女は悪魔の笑みを浮かべて、すっかりふにゃふにゃになった私をいともたやすく両手で赤子を抱くように持ち上げる。
私の体重は70kg近くあるから、華奢な彼女が持つと相当な負担がかかるはずだ。なのに一体どうして?
「重くないのか、チェリーさん?」
「あたくしの魔法によって、今のあなたの体重は子犬ぐらいになっていますの。ちっとも重くありませんわ」
嗚呼、これだと私は彼女のおもちゃだ。このまま私は彼女にもてあそばれて、ボロ雑巾のごとく捨てられるに違いない。彼女を倒そうにも体に力が入らなくては、どうしようもない。
だが、まだ心だけは彼女に操られていない。心だけは飛翔する鷲のように自由で、大ブリテン
の紳士としての誇りを保ち続けていくのだ。
「さぁこのベッドでお休み下さい」
私は彼女の寝室のベッドに置かれた。目を動かして全体を見渡せば、祭壇がしつらえてあり、ヤギと人が合体した見た目の悪魔が祭られている。机の上に菓子や果物、ワイン瓶が置かれていたが、恐らく悪魔への供え物だろう。床には大きな魔方陣が描かれている。
これまでの彼女における情報を集約すると、彼女の正体は間違いなく魔女だ。
「おのれ魔女め。誇り高き勇壮なる大ブリテンの紳士にこのような辱めを与えて、平穏無事に過ごせると思うなよ。生きながらにして地獄に堕ちるぞ」
彼女はせせら笑って、私の脅し文句を聞き流す。今や私は死刑を待つばかりの囚人だ。私の命は全て彼女の手に委ねられているのだ。よく考えてみれば、マリーと別れてからすぐに魅力的な女性に出会うなんて、都合が良すぎる話だ。
罠があることをちっとも疑わなかった私が愚かだった。
「ディッキー様が今いるベッドは面白い仕掛けが施されていまして、今からありのままの状態になりますの」
ありのままとはどういう意味だ? 何だか体が粘り気のある物に包まれている気がする。少し首を上げて自分の体を見れば、燕尾服がどんどん溶けて布の切れ端になっているではないか。
「もう服はいりませんわ。裸のままでいるともっと楽になれますわ」
彼女は私の体をなめ回すように見ている。膨れた腹を見られて実に恥ずかしい。食前ならば引き締まった体を見せることが出来て、威風堂々としていたが。
いや、私は何を考えているのだ。彼女のおもちゃにされているのに、恥を覚えない訳がない。彼女の魔法によって、頭がおかしくなっているのか?
「下着もあと少しで溶けますわ」
股間が漏らした時のように濡れている。アメリカで購入したブリーフが溶けていくと、森の中から生える肉棒が露わとなる。
「あらあら。ふやけたウインナーになっていますわ。ここだけ力が入るようにしますわ」
彼女は肉棒を握ると何かの呪文を唱える。すると、肉棒だけ私の意志が通じるようになった。
「あたくしも裸になりましょう」
彼女はそう言うと全ての服を脱ぎ捨てて、ボッティチェリのヴィーナスのごとき肉体を私に見せてくる。
若くみずみずしい肌とカボチャ大に膨れた胸は、私の肉棒をビッグベンに変えるに充分であった。興奮を隠そうと試みても、私の肉棒は正直である。
「興奮し過ぎですわ、ディッキー様」
「これは違う。私はお前に裸にされた屈辱で興奮しているのだ」
「素直に認めないところも素敵ですわ。でもこうするとどうかしら?」
彼女はベッドに乗ると、私に覆いかぶさるように四つんばいになって迫ってくる。このまま成す術も無く、悪魔に犯されるのか?
「あたくしのおっぱいを感じて頂けるかしら?」
彼女は胸の谷間に私の顔を挟んで、小刻みに震わせてきた。その柔らかい感触が私の頬に伝わり、魔女に対する嫌悪感も消え失せて更なる快感を与えてくれる。
私のビッグベンは我慢汁をたらし、巨乳で塞がれて声が出せない代わりに歓喜を表現した。このまま胸の谷間で挟まれていたかったが、急に彼女は起き上がってしまう。
「ディッキー様、あたくしのおっぱいはいかがでした?」
「ああもちろん最高、いや最悪な気分だ」
危ない危ない。異教徒の魔女に魂を売る所だった。快楽に身を任せて彼女に身を委ねれば、私も地獄行きになってしまう。
「口ではいくら抵抗しても、お体は正直ですわね。ほら、褐色のウインナーが汁をこぼしていますもの」
彼女にビッグベンを握られると脳内に電撃が走る。俗に言う「感じる」状態になってしまったのだろうか?
更に彼女は舌で先端をなめてくる。そのくすぐったさで思わず笑い声を出しそうになったが、必死でこらえる。
「我慢すると体に毒ですわ。もっと感じなさい」
彼女が命令しても、私は絶対に出さない。出した瞬間に大ブリテンの紳士がドイツの魔女に敗北するからだ。
「そう。中々手強いですわねディッキー様」
彼女は私の体を持ち上げて、ひじとひざが両方ついた四つんばいの姿勢を取らせる。これは屈辱的な犬の姿勢だ。体勢を変えようと思っても、手足がベッドに乗りでくっつけられたかのように微動だにしない。
彼女は私の背後に回り、また何かの呪文を唱え始める。そして何か硬い物を尻にぶつける。私はうめき声を上げて彼女を睨む。
「何をしてるんだお前は?」
「この棒をあなたの穴の中に入れるところですわ」
彼女は私の目の前に鉄の太い棒を見せてくる。その棒が彼女は私の目の前に鉄の太い棒を見せてくる。その棒が尻穴の中に入るとはとうてい思えない。
「やめろやめろ。その棒が人間の穴の中に入るものか」
「ウフフ。あたくしの魔法は不可能を可能にしますのよ」
彼女は鉄棒を強引に私の尻穴に挿し込み、後ろからゆっくり押してくる。固く閉じる意志と裏腹にどんどん鉄棒が入って来る。
その鉄棒は氷並みの冷たさをもって私の中に入って来るのものだから、妙に気持ち良くなっていく。いつの間にか私のビッグベンは最大の長さになり、号砲を待ちかねている。
彼女は鉄棒を完全に挿入してくれると、今度は左右に動かしてきた。私の尻は走る馬のように揺れ動き、後ろの衝動が前に伝わってくる。
我慢しろ。
まだ出すな。
もういいだろ。
汁なら許す。
いや無理だ。
体に悪いから。
感じるな。
もう出すぞ。
後は野となれ山となれ。
私の巨砲から精液が飛び出して、ベッドのシーツを汚す。ずっと我慢したためか通常より濃くなっている。
「やっと出してくださったわね、ディッキー様!」
「嗚呼。これで私は地獄堕ちだ」
私は大きくため息を吐いて汚れたシーツを見る。
[newpage]
「あたくしは故郷で薬草を調合したり、人の傷を癒したりする母のお仕事の手伝いをしていましたの」
彼女は鉄棒を動かすのをやめて語りだす。
「でも、ドイツで例のユダヤ人を迫害するほうが出たから、あたくしだけがこのブリテンに来ましたわ。母はドイツ人で、ユダヤ人の父はすでに死んでいたから迫害の対象にならなかったですの」
「何故君だけ? 母と一緒に来たら良かったじゃないか」
「旅費があたくし一人分しかなかったからですわ。母は修行のつもりで行ってこいと背中を押して下さったわ」
彼女は鼻をすすって一瞬黙る。よっぽど悲しい別れだったのだろう。年頃の娘が親を祖国に置いて、遠い異国へ旅立つのは並々ならぬ覚悟がうかがえる。
だからと言って、大ブリテンの紳士への強姦(?)が許されることはない。
「ここに来てわかったことは、あたくしの魔力が強かったということですわ。抑制を試みても、自然に不思議な現象を起こしてしまうの。今夜マディソン・バーの暖炉が急に燃えたのも、あたくしのせいですわ」
魔女は再び私の肉僕を握って話し続ける。
「この力を抑えるのに必要なものは何か? あたくしは古文書を読み漁って、やっと答えを見つけましたわ。それは――」
私の耳元に唇が触れるぐらい近くで魔女は囁く。
「男を自分好みのケダモノに変えること」
「ケダモノ? どういう意味だ?」
魔女は何も答えず、私の肉棒の先端を指で軽く触る。一瞬の出来事なので、何の意味があるのかさっぱり分からない。
「ディッキー様は実に力強い体つきをされていますわ。家を守るのに相応しいですわ」
妙に肉棒がムズムズする。魔女が何かを施したのかと考え、肉棒をのぞいてみれば、赤黒く変色して太く長くなっていく。
「お前! 一体私に何をした?」
「落ち着いて下さいディッキー様。あまり吠えないで」
魔女は私のあごを両手で持ち上げて、優しく囁いてくる。魔女の瞳は清く潤んで美しい。この状況でなければ接吻を交わしているだろう。
魔女の指が私のあごをなぞると、あごが前にグッと突き出す。鼻と一緒に突き出た私のあごは、人間と異なるものへと成長を遂げていく。顔じゅうの毛が一斉に生えて毛むくじゃらに、耳が徐々に頭頂部へ移っていく。
鼻が鋭敏になったせいか、魔女の芳しい香りや供え物の果物の甘酸っぱい匂いに気付いてより興奮する。
「あらあら。また出しちゃったんですねー」
お漏らしをした赤ちゃんに言い聞かすかのように、魔女は甘い声で喋る。
顔の変化が落ち着くと、魔女は背中を優しく撫でてくれたため、背中からも毛がたくさん生えてくる。
「おなかも温めましょうね」
魔女が胸や腹をなで回すと、瞬く間に毛が生える。私の体は黒や茶色の毛で包まれていた。
「手足も冷えるでしょう?」
魔女は私の両手を、体を洗うみたいにさすっていく。目の前の手はたちまち獣毛に包まれて、人間の肌を隠していく。手の平に違和感を覚えたため左手をよく見ると、黒い丸みのあるものが付いている。これは肉球だ!?
後ろの足も魔女の手によって獣の足に変えられて、私の体はもう人間離れの怪物と化した。体格は人間なのに、見た目は獣になっているのだろう。
「これで完成かしら? あっ忘れてましたわ」
魔女は私の尻に入ったままの鉄棒を抜いてくれる。やっと後ろがすっきりしたと思ったのも束の間、背中の付け根から何か長いものが出て、私の意識とつなげた。振り返れば、ふさふさの尻尾が左右に揺れている。
「今のお姿を確認してみますか?」
「私を野獣にしてどうするつもりだ!?」
「まぁまぁ。目的は後でお話ししますから」
魔女が隣室に行く間に私はベッドから離れようと努力したが、全く意味が無かった。
「さぁ鏡でご覧下さい」
魔女の手鏡には、鼻づらが黒く他は茶色の犬・シェパードが映っている。髪の毛は全て獣毛に代わっていて、どこにあるかも分からない。人間としての面影はほとんどないが、ただ一つ長い鼻づらの両端に、ピンと伸びたカイゼル髭が残っている。
敵国の犬になってしまうとは、ああ何と情けない。私は魔女の犬として一生を過ごすことになるのか。番犬として一生を過ごすことになるのか。
「番犬として最適なジャーマン・シェパードですわ、ディッキー様。いいえディッキーちゃんがいいかしら?」
「何とでも言え。今の私は負け犬だ」
私はクゥンと蚊の鳴くほどの声を出して、鏡から顔を背ける。
「ディッキー君は甘いのが好きかしら?」
「知らんな」
「ちゃんと答えて下さらないと、人の言葉を喋れないようにしますわ」
魔女の命令に背けば人語を失うようだ。どうせこのまま魔女の犬にされるぐらいなら、人語はいらない。この思考も無くして、完璧な「犬」にしてくれたらいい。
私がだんまりを決めると、魔女は肩をすくめて首を横に振る。
「思った以上に手強いわねディッキー君。それならこれはどうかしら?」
魔女は供え物の中から黒い箱を取って、蓋を取る。中にはバターが入っていて、魔女はそれを人差し指ですくって、自分の股間と秘所の周りにつける。
「ディッキー君たんとなめてね」
魔女はバターまみれの秘所へ手招きする。誰がそんなものをなめるものか。私は身が獣になろうとも、心は大ブリテンの王・エドワード8世に忠誠を誓う誇り高き紳士だ。
私が一向に近付かないので、しびれを切らした魔女は私の首根っこをつかんで鼻を股間のバターに押し付ける。鼻を刺激するバター臭さと人間の脂が混じって、とても嫌な臭い…、のはずだが嗅いでいる内にとてもいい匂いに思えてくる。
美味しそう。
食べたい。
ご主人の体と一緒に味わいたい。
馬鹿者! 一体何を考えているのだ。
私はそんな犬畜生ではない。
でもちょっとだけなら。
やめるんだ。
もう人じゃなくて魔女の犬だから。
その考えは捨てて誇りを持て。
誇りなんて何の役にも立たない。
いい加減にするんだ。
黙れ!お前の意見はもう聞きたくない。
欲望のままに動け!
私の中で大ブリテンの紳士という呪縛が解き放たれた。
私はご主人のバターをむさぼるようになめて、その味を楽しむ。今まで食べたものの中で一番美味い。バターと女性の体はこんなに相性が良いのか。
尻尾を振りながらバターをなめる私の頭を、ご主人は優しく撫でてくれる。
「あたくしの可愛いディッキー君。もっとなめ、アッアンくすぐったい」
私のひげがご主人の股をくすぐっているみたいだ。その喘ぎ声が素敵だから、もっとくすぐってやれ。
自分の顔を左右に振ってご主人の股をくすぐる。ご主人は喘ぎまくってアヘアへ言っている。実に面白いな。割れ目の中から液体が飛び出て私の顔にかかる。舌で拭き取ったらこれが美味いんだな。
「淫らな子ですわー。なら、次はこの中に入れてみる?」
ご主人は割れ目を指差している。私は構わないけど、ご主人は痛くないかな? だって私のチンポったらギンギンに固まって、こぶがラグビーボール並みに膨れているんだから。
「私のチンポが入ったら、ご主人の体が壊れますよ」
「ウフフ。心配してくれてありがとう。でもあたくしの体にも呪文がかかっていて、ワンちゃんのイチモツも収められるようにしてますの」
「へーそうなんだ。じゃあ中に失礼します」
私は我慢汁でトロトロになった亀頭をご主人の割れ目に近付ける。ご主人が痛がらないよう慎重に入れていく。全然きつくならず、全部がスッポリ収まる。
チンポのこぶが割れ目にロックをしたから、全部出し終わるまで抜けることはない。思う存分出して気持ち良くなろう。
「ご主人イッちゃっていいですか?」
「どんどんやっていいですわ」
私は勢い良く精液を中出しする。その勢いでご主人を床に押し倒しちゃったけど、ちっとも怒らず喜んでくれている。おっぱいをもんだらもっと喜ぶかな? やってみよう。
私がご主人のおっぱいを前足の肉球で押すと、「あーんやめて」といやらしい声で言ってくる。ついでに首筋を甘噛みすると、目を閉じて嫌がる素振りを見せたけど、舌を丸めてもっともっとと挑発してくる。
「ご主人気持ちいですか?」
「うんうん。あっご主人じゃなくて、姉さんでいいですわ。あたくしは前から可愛い弟がほしかったの」
「弟がほしいなら、何で犬にしたんだい姉さん?」
「あたくしは人より犬の方が好きですから」
自然を愛する人なら、私を鹿や狼に変えるのが適当だと思ったけど、まぁいいや。私は姉さんの犬としてずっと生きていけるから、それでいいのだ。
姉さんの腹を少し膨らませたところで、私の燃料は尽きた。私は床にうつ伏せになって、寝る姿勢を取る。
「もうあたくしに逆らいませんねディッキー君?」
「はい! そんな無礼なことはしません。私は紳士だから!」
私は腹を見せて、姉さんに服従の姿勢を取る。姉さんはひまわりの輝く笑顔で腹毛を撫でてから、私の首に赤い首輪を付けてくれる。
首輪を付けた途端、私の体は縮んで手足の骨格が曲がり、鋭い牙と鉤爪も生えて本物のシェパードになった。ただ、自慢のカイゼル髭はちゃんと残っている。
「この首輪を外すと獣人に戻れますわ。首輪が嫌いなら外しますけどどうかしら?」
首を絞められる違和感が最初にあったけど次第に慣れて、スーツを着ていた時よりスッキリしていることに気付いた。いつもより動きやすいし、びっこになっていた右の後ろ足も治っている。
「何だか若返ったみたいだね」
「そうね。あたくしの魔法によって、ディッキー君は若い犬になったのですわ」
今の自分なら公園を駆け回ったり、大きく吠えてみたり、雌犬と触れ合ったり、色々と出来そうな気がする。
「ずっと一緒にいようね姉さん」
「もちろんよディッキー。末永く楽しく暮らしましょう」
姉さんは私を持ち上げてギュッと強く抱きしめる。おっぱいに体が当たって、とても幸せだ。
[newpage]
ベッドで姉さんと一緒に寝ていると、何かの気配を感じる。幽霊かと思って聞き耳を立てると、荒い息遣いだ。
そいつは寝室に入って来ると、猫みたいに足音を小さくして私たちのベッドに近付いて来る。お酒とレモンが混じったこの匂いは、どこかで嗅いだことがあるぞ。
私が吠えると、そいつは尻もちをついて音を立ててしまう。姉さんがすぐに起きて電気をつけると、そこにいたのは下半身が裸のスペンサーだった。
「スペンサーさん? 何故ここにおられるのかしら?」
彼は体を震わせて、ずっと黙っている。恰好からして、こいつは例の連続強盗強姦魔だろう。
「ヴ、ヴァインヴァーグさんが忘れ物をしたので、お届け物です」
「そんな恰好で来る訳ないだろ、この強姦魔!」
「い、犬が喋った?」
腹が立ったので彼に怒鳴ってやった。姉さんは私の頭を軽く撫でてから、彼に話しかける。
「ねぇスペンサーさん。あなたが犯人とバレたら、一生刑務所暮らしになりますわ」
「警察に通報するのか?」
「いえいえ。あたくしはあなたのことを警察に教えません。その代わりに、このグレシャム卿のように可愛い犬になって下さるかしら?」
「犬になるだと……?」
彼は私の顔をいぶかしげに見つめ、カイゼル髭を触る。ひげが生えたシェパードがいないことに気付いた彼の顔は、一気に真っ白になる。
「あんた、ま、魔法使いか?」
「そうですわ。あなたが選べるのは、警察に行くか犬になるかの2つだけ。どっちも選ばないというのはナシですわ」
「選ばない。俺はどっちも選ばん!」
彼は慌てて出口へ向かうが、扉は固く閉ざされている。姉さんの魔法によって、この部屋は密閉空間になった。チンポをブラブラさせながら必死に扉を開けようとする彼の姿は、かなり面白いね。
「犬になってもピアノが弾けるように、手の形はそのままにしてあげますわ」
「ピアノが弾ける?」
「もちろん、その手であたくしやディッキー君の性器もいじれますわ」
彼は腕組みをしてじっと考えている。人として牢屋に入るより、犬として性交しまくった方がいいと思うな。
「わかった。あなたの犬になろう」
彼は服を脱いで姉さんの前に立つ。その体は貧弱で、12人の男女を犯した体と思えない。ただ一つ、チンポだけが王者の貫録を見せていた。
「ディッキー君はあたくし好みの犬に変えましたが、あなたはどうしようかしら?」
姉さんは首を傾げて悩んでいる。
「ところで、あなたは今まで何ポンド盗みましたの?」
「ほとんど貧民街の子に分け与えたから、はっきり覚えていない。手元にあるのは200ポンドだけだ」
強姦魔の義賊だったんだ。行為自体は認められることでないけど、心掛けはいい。金持ち連中は庶民の犠牲の上で、偉そうに踏ん反りがえっていることが多いから。
「貧しい子羊を守るために泥棒。さすがですわ」
姉さんは彼の足元から変化させていく。彼の体は私より長い毛に包まれて、もふもふだ。手足の先は白、体は茶色の獣毛が生えて、彼は恍惚の表情を浮かべている。
首周りは白い獣毛が綿毛のようにふっくら生えて、顔は細長く尖って鼻周りが茶色、後頭部から背中そして尻尾までが黒色の獣毛に包まれる。
その姿は牧場にいるシープドッグだ。私は納得してこう言う。
「なるほど。シープ(泥棒・羊)だから、シープドッグなんだ」
シープドッグになったスペンサーは彼女の前に膝まづく。
「実は一目見た時から好きでした」
スペンサーから愛の告白をされた姉さんは、私の顔をチラリと見てから、はしゃぐ子どもみたいに調子良く喋る。
「そうでしたの? とても嬉しいですわ。だからあたくしを襲ったり、あたくしの犬になってくれたりしてくれたのですね」
「だから、あなたがこのインテリ貴族と一緒に帰るのが許せなかった。強引にあなたを奪って、一緒に暮らしたかった」
「ウソだウソ! 単に女とやりたかっただけだろ!?」
本当に姉さんに気があるなら、あの場で姉さんに告白したら良かったんだ。もちろん、姉さんは私のひげを気に入ったから、逆転は難しかったかもしれない。
けれど、黙って強姦する変態よりはマシだ。
「どうとでも言うがいいさ、グレシャム卿。俺はあんたよりも性交力が上手いことを彼女に示したかっただけだ」
「何だってー!? 私が姉さんを満足するのに力不足だと言いたいのか?」
「俺が捕まらずにすんでいるのは、犯された人がみんな気持ち良くなっているからだ!」
「やられた人はみんなセックスレスだったんだろ。お前がSEX上手い証拠にならないぞ!」
「2匹ともやめて! だったら証明すればいいじゃないかしら?」
姉さんは私と彼の口喧嘩を止めて、私の尻を右手で触り、彼のチンポを左手で握る。
「スペンサー君は男を犯すのも上手ですわね? それをあたくしの前で実践して下さるかしら?」
「男もいけますが、このドイツ犬とやるんですか?」
「見た目はドイツ犬、中身はイギリス人!」
「ええ。30分間以内にディッキー君をイカせたらスペンサー君の勝ち、ディッキー君が持ち応えたらディッキー君の勝ちでよろしいかしら?」
男、しかも元強姦魔の雄犬に侵されるのは不満だけど、姉さんの頼みとあっては仕方ないね。私は犬になって若返ったけど、もともとは半世紀を生き抜いた世界大戦の英雄だ。20歳かそこらの若者なんかに負けないから。
公平を期すために、私は獣人体型になって彼に犯されることになった。彼は舌でゆっくりと四つんばいになった私の肛門をなめ回す。
「何だその程度? 私は満足できないぞ」
「まだまだこれからだ、グレシャムさん」
彼は指を2本、肛門の中に突っ込む。そして卵をかき混ぜるがごとく激しく回して、穴の幅を広げようとする。
「ちょっ待って。速すぎるって!」
「待ったはナシ」
彼はアナルから血が噴出するかの所まで、やりやがった。落ち着いた所で、今度は自分のイチモツを私の中に入れてくる。いつものアナルなら跳ね返す大きさだが、どんどん奥まで入って来る。犬特有のこぶでガッチリ出口を塞いで、合体は完了する。
後ろが痛むけどそこまできつくはない。これで中出しされても、姉さんとやった時ぐらい興奮することは無さそうだ。
「さぁ早く出せよ、大強姦魔さん」
挑発する私に対して彼は歯を見せて笑った表情を作る。そして前後に揺さ振りつつ、私の乳首をつまむ。乳首をつかまれた私はくぐもった声を出して嫌がるが、彼は一向に離さない。
「この程度で嫌がっていたら、簡単にイクな」
彼は意地悪く言うと、私の首筋に自らのもっさりした胸元の毛をすり寄せてくる。それがくすぐったくて、私は笑いそうになる。
「ハッハハハ、アッアッ」
「もうすぐ、もうすぐだ」
私のチンポはすっかり硬くなり、発射間近になって我慢汁を垂らしている。それでもまだ我慢できるはず。
しかし、彼はちっとも手を緩めてくれない。私のチンポを強く握りしめて前後左右に激しく揺り動かす。実に認めたくないが、その腰つきって、かのストリップショーのダンサーよりも上だよ。
さらに彼は私の頬をなめて、獲物を睨むかの冷徹な眼差しを向けてくる。
「俺が中出ししたら、お前も出す」
「出さないよ! まだまだいける」
不動の姿勢で私達を見守る姉さんと顔を合わせたら、首を傾げて口笛を吹く。姉さんも私のことを信じてないの?
「さぁいくぞ」
彼はそれを合図に私の中に出してきた。
それは初めての感覚だった。
快楽が全身に行き渡り、雄犬が相手とか、SEXが下手とか、そういう細かいことはどうでも良くなる。
今まで自分は紳士という名目で自尊心の鎧を着ていけれど、それを脱いだらただの雄の淫獣で性的刺激をずっと求めていたんだ。
姉さんにチンポを挿入するのもいいけど、相手に入れられるのも心地良い。
どっちも楽しいし、面白い。
もっともっとたくさんやりたい、いややらせてほしい。
「もうだらしないですわー、ディッキー君たら」
「恐ろしいほど大量に出すなぁこいつ」
いつの間にか一発出しちゃったみたいだ。
「スペンサー君ありがとう。お礼の代わりに、今度は私が君を突いていいかな?」
「負け犬のお前が俺を満足させるなんて、一世紀早いな」
シープドッグは鼻息を立てて首を横に振る。
「スペンサー君があたくしのここに入れてる間に、後ろを犯してもらったらいいと思いますわ。一応ディッキー君が先輩だから、言うことを聞いてあげて。そうでないと、あなたを人に戻して警察に突き出しますわ」
「わかった。ただしあまりにも下手だったら、あんたの自慢のひげを片方抜くからな」
「うう、それはご勘弁を」
私は髭を整えながら弱々しい声で答える。本心はスペンサーに脅されて嬉しかったが、それは表に出さない。
大ブリテンの国会議員の紳士は死んでしまったが、魔女の犬として変態紳士は生きている。戦争よりも普通の性交渉をよりも遥かに面白いことが毎日できる。
さぁ、もっと長い夜を過ごそう!
[newpage]
<1年後>
マディソンは夕暮れ時に、粗末な2つの墓石の前に花束を置く。墓碑銘はそれぞれ、ディック=グレシャムとジェイコブ=スペンサーと刻まれている。
彼は武骨な手で涙を拭いながら、のどの奥で押しつぶされたかのような低い声を出す。
「何であっしを置いて先に逝ったんでさ、グレシャムの旦那にスペンサーよぉ。そろそろ戦いがまた始まりそうだから、先に向こうに逝った方がお得かもしれねぇけど、そりゃないぜ」
天に向かって彼は大きなため息を吐いてから、彼は墓地を出ようとする。哀しみに暮れる彼に、後ろから小鳥のさえずりの甘い女声が聞こえてくる。
「あのぉマディソンさん? これからよろしいかしら?」
彼が振り返ると、すっかり大ブリテンの貴婦人となり日傘をオシャレに差したチェレーナが、ひげを付けたシェパードと手袋を前足につけているシープドッグを連れて立っている。彼女の雅やかさに彼は目を奪われる。
「これからって、何のことでさ?」
「マディソンさん、大きくて立派な犬がほしいと、前におっしゃっていましたでしょ? その犬が見つかりましたの」
「えっ、本当ですかい? それは良かった。いやぁ、最近は女房と子どもに逃げられて、バーも業績不振で、悪いことばっかりでねぇ。心の癒しが欲しかったんですよ」
「ウフフ。それは良かったですわ。では、あたくしの家に来てくださいね」
彼は心を震わせながら、彼女と並んで歩いていく。
彼は実を言うと、彼女の飼っているシェパードかシープドッグのどちらかを譲ってほしかったので、その犬をしばしば見ている。
飼い犬の毛並みは良く、盛んに尻尾を振っているし、愛嬌がある。もし彼らを飼えたなら、毎日が楽しいだろうと彼は思っている。
「何にも知らないで。自分が飼い犬になるのにな」
「ジェイ君よりもアソコが大きいかなぁマスターは? すっごく楽しみ」
彼の耳に聞きなじみのある声が届いたが、あまりにもか細いし内容が良く分からなかったため、彼は空耳と判断した。
彼は数時間後、その声の主と盛んにやりあうことになるとは知る由もなかった。
[newpage]
<あとがき>
初めて変態小説(チャージング・インコはノーカン)を書いたので、至らない所が多々あります。
ですが、もっと変態度を高めて皆さんのおかずになれますよう、どんどん書いていきますのでどうかよろしくお願いします。
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