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魔界貴族の復活【FANBOX試し読み】

  [chapter:サンプル]

  宇宙の中にあるひとつの星、地球。そこには動物や人類がそれぞれの暮らしを持って生活している。しかし、彼らは、この有象無象たちは知らない。この世界には、彼らの知り得ない様々な世界があることに。

  “そこ”は、その世界のひとつである魔界。そこには人々とは姿も精神性も異なる種族が確かに存在していた。

  その魔界で、とある一人の人間――ここでは定義的に『魔族』と称することとする。その『魔族』が一人ふと消え失せた。そしてその物語は、そこから始まる。

  ――舞台は変わって、地球、日本、その某都市。

  「……あれ? なんだこれ?」

  何の変哲も無い中学生、平良夫はいつものように退屈な学業に勤しむべく、学校へと向かう途中だった。いつもと変わらない通学路を通っていた彼はあるものを目にした。それは小さなバッジのような何かで、模様らしきものは何も描かれていなかった。

  良夫はなんとなくそれを拾う。太陽に照らしてみるとそれは光を反射して淡い光を放った。

  「バッジみたいだけど……誰かの落し物かな?」

  結構綺麗だなと見とれつつもそれを地面に置き直して再び通学路を歩き始めた。

  「そうだ、学校行かないと」

  しかしそれは光を放ったまま、なんと良夫へと一直線に飛んでいったのだ。普通は有り得ないその現象に、良夫は気づくことができなかった。

  「あっ!?」

  良夫が声を上げた。そのバッジは、良夫の胸部へと張りついていた。するとバッジはみるみるうちに着ていた良夫の制服と一体化してしまった。

  「うわっ、なんだこれっ……」

  良夫は服に張り付くそれを剥がそうとするが模様のように定着してしまい、引っ掻いても引き伸ばしても外れることはなかった。

  「とっ、取れない……うっ!?」

  そんな中、良夫は小さな声を上げて呻いた。彼のトランクスの中にぶら下がっていた逸物が急に直立をはじめていたためだ。性欲が急速な勢いで増していく。

  謎の体の変化に、良夫は戸惑った。

  こんなところで射精してはいけない――良夫はそう思ったが、止めようとしても溢れてくる性欲に圧され、良夫はとうとう我慢の限界に達してしまう。

  「だ、ダメだ! 出るうっ!」

  良夫の逸物から勢いよく溢れ出る精液。戸惑いも強制的に欲望が吐き出されたことで困惑のまま終わることとなった。その瞬間、良夫は精液や力ごと何かが抜けていってしまうような感覚に捕らわれた。

  それと同時に良夫は視界が低くなっていくのに気が付いた。ふと手に目をやると、ごつごつとした手はみるみるうちに縮みあがり、いつしか幼児同然のかわいらしい掌に早変わりしていっている。

  「な、なんだこれっ!?」

  良夫はふと慌てて下を向いて服を見たが制服はそのまま着れている。はじめは錯覚か何かと勘違いしたが、その嫌な考えは当たっていた。やはり体が子供のように縮んでしまっていたからだ。ただ着ていた制服はその小さな体にぴったりと合うようにサイズが整えられていた。まるで誂えられていたかのように。

  「か、体が縮んで……どうなって……」

  学校指定の制服のはずなのに、推定7〜8歳程度の自分の体に合わせたようなその制服を着ている自分を確認すると同時に、良夫はパニックに陥った。

  良夫は無意識のうちにどこか人の見えない場所に隠れようと必死にその場を離れていた。しかし短くなった手足では思ったようには走れず何度も地べたに体をぶつけた。

  ふと服を見ると、張り付いたバッジには描かれていなかった二つの文字が浮かんでいるのに気がついた。それは紫色の文字で書かれていたが、その字はよく分からない不思議な書かれ方をしており、それが一体どこの言葉なのか良夫には分からなかった。

  「なんだこの文字……?

  ……うっ!」

  唯一変化のなかった、小さくなった体に似つかわしくない良夫の逸物が手も使わずにひとりでに持ち上がる。

  「そんな、また俺のチンコが……やめ、うっ!」

  その瞬間、未知の快感が良夫を襲い再び良夫の逸物から精液が噴き出す。その時、あのバッジが良夫の射精に呼応したかのように赤く光りはじめた。するとなんと良夫の全身の毛という毛が抜け始めていく。当然頭髪も抜け落ちていき、良夫はの頭はモヒカン状になってしまっていた。

  そんなショックに浸る暇もなく良夫はぞくぞくと寒気を感じて震える。体が変わりゆくことによるショックはその寒気によりかき消えてしまった。

  寒気を感じた途端、良夫の全身の肌の色が紫色に染まる。現実離れしたその状況に、良夫の思考は停止寸前の状態となっていた。

  もう一度、謎の文字が書かれたバッジが赤く光ると、急に良夫の頭上に現れた漆黒の艶やかなシルクハットが、良夫の頭に被せられた。それと同時に、身に着けていた学生服がみるみるうちに溶けながら無数の糸となり良夫の体にギュルギュルと巻きつく。良夫はその奇妙な感覚に快感を味わいつつそのたびに逸物から精液を吐き出した。

  糸は幾重にも折り重なると、固定化しひとつの服を紡ぎだす。しかしその服は良夫が着ていた学生服とは似ても似つかぬものだった。

  金色に光り輝く蝶ネクタイ、漆黒の紳士服、銀色の革靴。どれもこれもこの世には存在しないような異質なもので、さらに体に張り付いていたバッジがその服と完全に一体化して、右胸にキラリと光る。まるではじめからその服の一部だったかのように。

  「こ、こんな服じゃ学校行けない……じゃ、なくて……何でこんなことが……」

  ほんの一瞬の間に、良夫は体の小さな紳士と称するのが似合う何とも奇怪な姿へと変貌していた。ぱりっと“のり”のきいた紳士服からはミントのようないい香りが漂ってくる。その香りが鼻腔を突くと、また先程出して萎えたはずの男性器がぴくりと反応してくる。

  「やばい、この体……なんか、すげぇ興奮してくる……」

  前かがみになりながらひとり興奮に悶える良夫の姿はなんとも滑稽であった。

  普段なら学校へ登校してくる学生で溢れかえるはずの道には、今の彼に誂えたかのように人っ子一人おらず閑散としていた。

  つまり今の彼の痴態を誰も見る人間はいないということだ。ぐるりと周りを見渡した良夫は少し安堵した。

  「そうだ、学校行かないと……でも、こんな姿じゃ俺だとわからない……し、学校にすら入れてもらえないかも……」

  そんな事を口走っていながら幼児同然に小さくなった掌でスーツ越しに股間を摩っている。そんな自分を反芻するたび、良夫は自分が一体どうなってしまったのだろうと思っていた。

  『……こ……ら……たし…………らだ』

  そんななか、良夫の耳にどこからともなく声が聞こえてくる。それははじめは微かにしか聞こえていなかったが、神経を集中させるたび、その声は大きく響くようになっていく。

  『学校などという場所に行く必要などない、なぜなら……』

  「えっ……お、お前、誰だよ」

  その声は、良夫の質問には答えない。ただ同じ科白をループするだけ。耳をつんざく怪しげなノイズは、良夫の脳を少しずつ侵食していった。

  「うるさい黙れ! 黙……あっ!?

  い、嫌だ、俺の、俺のチンコ、なんか出る、出る!」

  そう言いつつ股間を摩る手は一向に止まらない。ただ欲望に任せ快楽を享受する。紳士服越しでも逸物は鋭敏に反応し、彼の射精へのボルテージを確実に高めていった。

  「さっき何べんも出したのに……やめろぉ……あっ、あっ! 出るっ! 気持ちいいぃ!」

  必死の懇願も虚しく、良夫は紳士服のスラックスの中に大量の精液を捧げる。子を宿すこともなくただぶちまけられた良夫の精液は、細胞の素だけでない、彼を構成する大切なものまで混ぜ込んで排出していた。

  「はぁ、はぁ……!? なんだ、これ……」

  貫通した精液に塗れた自らの掌を眺めながら、良夫は困惑する。張りのある、まるで赤子のようであった肌に無数の皺が刻まれていったからだ。

  あたかも早回しで己の人生が勝手に進んでいくかの如く良夫の肌は、いや肉体は、若さを失っていっている。

  「ああ……あああ……んっ、グッ、ゴホッ!」

  その変化は声帯にまで及んでいた。声変わり前のボーイソプラノが青年を通り越して年月を重ねた中年の声に瞬時に変わっていく。急激な声変わりをしたにも関わらず今までのような声を発しようとした良夫は、勢いよく咳き込んでしまった。

  「こ、声まで……これじゃ、まるでおじさんみたいじゃないか……」

  その増えた皺は顔にも刻まれており、彼はその出で立ちと声がよく似合う、中年の紳士という風貌になっていた。その子供のような小さな身体を除けば、だが。

  「あぁ……ん?」

  その時、良夫は服のポケットに何かごつごつした物が入ってることに気がついた。中には高級そうな革製の財布が。財布の中にはトランプのようなデザインをした真っ黒なカード数枚が入っていた。そしてもう一つポケットの中には折りたたみ式の手鏡があった。

  すぐさま良夫は己の姿を確認するため手鏡を覗いてみる。そこには、かつての自分とは似ても似つかない、中年の顔が映っていた。

  「嘘……だろ、これが、俺なのか?」

  紫の肌に無数に刻まれた皺と、白髪混じりの眉はとても彼を14歳の男子中学生とは思わせないだろう。頬や顎には髭まで伸びており威厳すら感じさせる。

  その変わり果てた姿に良夫は驚愕した。そして、もう戻れないのかと自らの運命を嘆いていた。

  どうしてこうなってしまったのか。それは彼の射精にあった。

  実はあの排出された精液には、彼の人間としての“若さ”が詰まっていた。あの彼の右胸に張り付いているバッジが、この姿に相応しい体に彼を作り変えているのだ。そして、この姿に相応しくないと認識したもの全てを精液として出してしまう。それがあのバッジの機能だった。

  背丈も、学生服も、これから彼が成る存在には相応しくないため、バッジの力で精液を引き換えにして変換されたのだ。

  今や彼は、紫の肌をした中年の紳士でしかない。彼自身の精神を除いて。

  しかし、その平良夫の精神も、バッジは不要だと判断した。つまりは――

  「どうしてこんなことに……俺は、ただ学校に……んっ!」

  『そんなもの、必要ない。お前は、何も考えなくていい。なぜなら、お前は……』

  良夫の頭の中に響いてくる声は、新たな単語を紡ぎ出す。その度に、あらかた射精して萎えていたはずの彼の逸物が活力を取り戻していく。まるでこの声に呼応されるが如く、逸物と精液袋が次の射精の準備を活発に続けていた。

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