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プレミアム小説パックB①【FANBOX試し読み】

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  【目次】

  1.チェンジ・ゲーム(ギャンブルで負けたサラリーマンがピエロと入れ替えられてしまう話)→[jump:2]

  2.願いごと(女の子が中年男性になってしまう話)→[jump:3]

  3.霧の呪い(登山サークルの大学生3人が妖怪になってしまう話)→[jump:4]

  [newpage]

  [chapter:サンプル1]

  日本のとある場所。そこでは秘密裏にカジノが経営されていた。そこは政府の目に届かない裏賭博が行われておりその中で何千人という数の人間が大金を賭けギャンブルに熱狂していた。

  いや、彼らが賭けているものは何しも金だけではない。己の人生をも幾ばくもの大金や夢に換えていたのだ。

  中には怪しげなマスクをしたディーラーや極彩色の衣装を纏ったピエロがギャンブラー達と大金を賭けゲームを行っている。

  その中には賭けに勝利し栄光を掴んだ者もいる。が、しかしその大半はギャンブルに敗れ全財産を、挙句の果てには人生までも失ってしまった者たちなのだった。

  そしてここにもこのカジノのピエロに敗れ全ての財産を失った男がいた。

  さらにそれだけでは飽き足らず借金をしてまでコインを湯水のように賭けそれすらも全て失ってしまうという失態を犯していた。

  哀れな男の名は雲野将蔵。妻子持ちのサラリーマンである。

  そんな身でありながら夢想の人生を狙い一夜の過ちを犯してしまった雲野。そんな雲野にピエロが口を開く。

  「雲野さん。これでアナタは破滅の道しかありまセン。破滅するのはアナタだけではありまセンよ。アナタの奥サンも、お子サンも全てを失い路頭に迷うことになるのでス。

  まだ雲野さんのお子サン、小さいんですよネ? アナタの行為によって未来を潰されるお子サンの気持ち、わかってまス?」

  ピエロは言葉巧みに雲野の精神を追い詰めていく。その時に雲野はようやく頭に行った熱がサッと引いていくのを感じた。

  「お願いだ! それだけはやめてくれ! 俺はどうなってもいいから好恵とかなただけはどうか助けてくれ!」

  「あのネェ……ここは確かに危険な賭博も行う裏カジノでス。しかしあくまでもギャンブルは自己責任なんでスよ?

  引こうと思えば、アナタ、いつでも引けましたよネ? それをイコジになって続けたのは誰でスか?」

  雲野は必死に今の現状をどうにかしようと懇願する。しかしピエロはそれを聞き入れるつもりはなかった。

  ある一つの条件を除いては。

  「しかしデスね。これを回避できる方法がひとつだけあるとしたラ、どう思いますカ?」

  「あ、あるのか!? そんなことが!」

  ピエロが雲野に出した条件。それは最後のゲームを行うことだった。一発逆転か破滅かを賭けた究極のギャンブルゲームを。

  「このゲームはトランプを1セット使いまス。そのトランプをシャッフルされた山札から引いていき勝敗を決めル。それだけのシンプルなルールでス」

  トランプを取り出したピエロは慣れた手つきでトランプをシャッフルしだす。雲野は肝の冷えつつあるその目でそんなピエロを見つめるだけだった。

  「今からルール説明をしまス。よく聞いてくださいネ」

  ルールは簡単。

  ・このゲームに挑戦者側が勝利すれば賭け分のマイナスは帳消しになり大金が獲得できる

  ・トランプ54枚を山札とし、二人でお互いにそれを一枚ずつ交互に引いていく

  ・そして、引いた札がもしジョーカーならば引いた者の負けとなる。負けたものは“賭けるもの”を相手に渡さなければならない

  ・ジョーカーを引いたら「ジョーカー」と「他の引いたカード」を山札に戻し再びシャッフルする

  ・これを繰り返し片方の“賭けるもの”がなくなったほうの完全なる敗北となりそこでゲームは終了となる

  それだけならばちょっとしたゲームなのだがこのゲームはただのゲームではなかった。

  「ここからが重要なルールでス。まず、『負けたものは1ゲームにつき“賭けるもの”を必ずひとつ渡さなければならない』ということでス。

  当然強制的にでスよ。嫌だと言っても渡してもらいまス。次に、『“賭けるもの”は挑戦者側が選ぶことはできずディーラー側が決定する』。敗北者であるアナタには選択権などないということを理解しておいてくださイ。そもそもこのゲーム自体が最後の温情のようなものなのですかラ。

  次、『このゲームはリタイアができない』でス。つまり全てを失うまでこのゲームは続き辞めることは不可能ということデスネ。もう一度言っておきまスがこのゲームは逆転か破滅かの二択ですからネ」

  ピエロの口から次々と出てくるのは雲野にとって不利なルールばかりだった。

  負ければ強制的に何かを賭けなければならず、それはピエロ側が決定。さらに途中で辞めることもできない。しかしこれを断れば確実に彼に明日はないのだから、やるしかなかった。

  「まあ、基本的にこれだけですかネ……あ、あと『このゲームに負けた人間に対して我々カジノ運営は一切の責任を負いません』から気をつけてくださいネ。負けたあと喚かれてももうワタシたちは何もすることはできません。確実に全てを失ってもらいまス。

  このルールでよいのなら、やってあげてもいいですヨ。決定はアナタの自由です。ワタシたちはどちらでも構いませんからネ」

  「くっ……!」

  やるしかなかった。

  自分が撒いた種は自分で摘まなければならない。そう思わなければやってられなかった。

  [newpage]

  [chapter:サンプル2]

  それは、何ということはない家族の光景だった。

  「じゃ、父さんは仕事に行ってくるからな」

  「パパ行ってらっしゃーい」

  夫の長田武四、妻の優美、そして一人娘の蛍子の3人で構成されているごく普通の家族は、今日もいつものように和やかな朝を過ごしていた。

  「ほら、蛍子も学校の準備しなさい」

  「はーい」

  武四が仕事で家を出た後、蛍子も朝食を済ませ小学校へ急ぐ。優しい両親と友達に囲まれて、蛍子は何一つ不自由ない生活を送っていた。

  しかしその生活は、ひょんなことから一変することになる……

  「あっ、流れ星だ」

  「ほんとだ。珍しいな」

  夜、蛍子と武四は星を眺めていた。その時二人はひときわ大きい流れ星が落ちるのを見た。それは金色に瞬きまるでこの世のものではないような輝きを放っていた。

  「蛍子、流れ星になんか願いごとしたか?」

  「うーん……綺麗だったからよくできなかった!」

  「そうか……父さんは家族みんな幸せに過ごせますようにって願ったぞ」

  「そうなんだ。じゃあ、蛍子もそうする!」

  「いやいやもったいないぞ。蛍子は蛍子の願いごとをしなさい」

  「はーい」

  そう言う蛍子だったが、彼女は無意識に流れ星にこう願っていた。

  ――『パパの願いが叶いますように』と。

  それだけならば、蛍子の言っていたことは間違いではなかったのだが……

  流れ星を見た次の日に、二人にとんでもない出来事が待ち受けているとは、このとき誰も想像がつかなかった。

  ――次の日。

  「行ってきます」

  蛍子はいつものようにランドセルを背負って学校へ向かった。それはいつもと変わらない光景。いつもの変わりない生活。

  しかしその途中、突如蛍子に異変が起きた。

  「えっ?」

  蛍子の体がぱあっと光ったと思うとその光は大きくなり蛍子の体を包んだ!

  「うああああっ」

  蛍子はその光の中でとんでもない事になっていた。まるで光の中を浮遊するように漂う蛍子の体は、突然ありえない変化をはじめた。

  未発達な肉体が急速に成長しはじめたのだ! しかもその成長は順当なものではない。明らかに女性が肉体の成長で発達するような体の変化をしていなかったのだ。

  ゴキゴキと嫌な音を立てて身長が伸びていくが、それは10cm、20cmのレベルではなかった。急速に成長し180cm相当の巨体へと変わっていったのだ。

  それと同時に細々としていた四肢が丸太のように膨らみはじめる。筋肉と脂肪が子供の細腕に無理やり詰め込まれ、まるで長年鍛えていたかのような立派な腕が形成される。すべすべとした肌もごつくなり上から毛がざわざわと生えていった。脚も腕に負けず劣らず丸太のように太くなっている。

  ぽこりと少し膨らんでいた腹はボコボコと音を立て腕や脚と同じように筋肉が詰め込まれていく。変化が終わる頃には六つの屈強な丘となりその上から黒々とした毛が散りばめられた。

  ボコン! と奇妙な音がすると胸部も急速に発達しだし、将来ふたつの柔らかな山になるらずだった場所は、剛毅な大胸筋となり屈強な肉体のシンボルと言わんばかりにそびえ立っている。

  「あっ、ああっ、うがああっ!」

  声はすっかり低くなっており、最後は叫び声はうなり声になっていた。太くなった首には蚯蚓のような血管が巻きついており大きな喉仏もしっかりと見えていた。

  まとめてポニーテールにしていた長髪は光に包まれたと思いきやばっさりと抜け落ち、チクチクとした髪が切り揃えられた角刈りへと変わってしまった。

  白い柔肌も浅黒く変化してしまいそれに続けて可愛らしかった顔がその姿に似合う厳つく濃い顔になっていく。

  すらりとしていた鼻はぼってりとした丸い鼻になり顎は前に突き出してしゃくれてしまう。がっしりとした顎にはトッピングをするように青髭が生えていき少女だった面影をかき消してしまった。

  着ていたシャツとスカートは光の塵となって消滅し、その代わりに白いタンクトップとストライプのステテコ、そして白足袋とサンダルが再構築されて変わり果てた蛍子の身体に着せられる。

  「うごっ!?」

  そして蛍子のステテコの中では、締めとなる変化が起こりはじめていた。

  [newpage]

  [chapter:サンプル3]

  地方の辺境に位置する山は、時に霧が激しく立ち込める不思議な山だった。その霧は、空が白み始める朝に立ち込めることもあれば、血のように真っ赤に染まる夕焼けを覆うように立ち込めることもあった。その風景は幻想的で、人々はその山を霧の山とも呼び、時に崇め時に畏れた。

  ――9月18日、朝6時07分。

  とある3人の青年がその山を登っていた。彼らは都内の大学の登山サークルに所属する大学生であった。サークル活動の一環として各県の有名な山や知る人ぞ知る山に挑戦する。そんな大学生活を繰り返していた。

  去年まで所属していた先輩も卒業し、今年は大尾忍、穂楠葉介、天川供幸の3人のみで活動していた。新入生の勧誘や布教活動などしてみたはいいものの、今年の新入生はあまりそういうのに興味がない人間が多いようで、結局今年は既存メンバーの3人で活動することとなった。だがそれでも彼らは何ら問題ないようではあったが。

  彼らがここにやってきたのはあくる日のこと、天川がネットで次に登る山を探していたところ、霧が立ち込める不思議な山があるという情報を発見した。これには穂楠と大尾も興味があったようで、満場一致で次の登山地はその山に決まった。その後下調べなど数ヶ月の準備期間を経て、現在に至る。

  カメラのシャッターが切られる音がする。天川が新緑が生い茂る風景をバックに写真を撮っていた。写真撮影が趣味の天川は、登山のたびに持参のデジタルカメラで山の風景を撮っている。今回も登山アルバムのギャラリーが豊富になりそうだな、と大尾は思った。

  「大尾、そういや今日はやけに早いな。昨日はホテルに泊まるなんて思いもしなかったぞ」

  穂楠がそう大尾に問う。

  「ああ、この山霧が出てくることがあるだろ? 昼頃に行ってもし暗くなる頃に霧が出てきたらまずいから、できるだけ早くに下山できるようにしようと思ってさ」

  「なるほどな。確かに遭難とかしたらまずいしなぁ」

  そんな他愛のないことを話しながら足を進める三人。山の新鮮な空気を吸いながら土を踏みしめる感覚は、こういう時でしか楽しむことのできない体験だ。だからこそ彼ら登山サークルは山という未知の領域へと足を踏み入れていくのだろうか。

  しばらく森を歩いていると、木が少なくなりいつしか隙間から光が抜けているのがわかった。

  「おっ、どっか広いところに出んのかな」

  そう言いながら天川がバックからデジタルカメラを取り出す。既に未開のエリアを撮影する気でいるらしい。

  奥から吹いている涼やかな風が頬をかすめる。いつしか山を歩く足音もやや早くなりはじめていた。

  そしていくつもの木々を抜けたそこは、清らかな水がごうごうと流れる滝だった。滝の下には水が溜まりちょっとした湖となっている。ここを見た誰かは、まるで仙人か何かがここで修行をしていてもおかしくない、と思うだろう。

  「すげえ……こんな立派な滝見たの初めてかも」

  天川はすかさずカメラのシャッターを切る。大尾は「よし、折角こんな所に来たんだからここでメシ食ってくか」と言いながら地面にバッグを置いた。

  天川と穂楠もバッグを置き中から食事を取り出した。穂楠は弁当を持ってきていたのだが初日は泊りがけだったため前日に近くの公園でそれを頂くことになった。結局、食べるものがないので朝にコンビニで適当な食事を購入したのだった。

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