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[chapter:サンプル]
夏休みも真っ盛りの今日この頃。
海では毎日のように海水浴に来る家族やカップルで賑わっていた。
「わーい!」
「あんまり遠くに行くなよ! 深いところは危ないからなー!」
「うん!」
この小学5年生、砂川駆も両親とともに海水浴にやってきていた家族の一人だった。
夏休みになる前の時期から父と海水浴に行く約束をしていたので、駆はこの日をとても楽しみにしていた。
照り付ける日差しや海の冷たさもなんのそのと言わんばかりに駆は海水浴を全力で楽しんでいた。
「おいしい!」
「そうか、うまいか」
「たくさんあるわよ。もっと食べなさいね」
「うん!」
昼過ぎになり、駆は家族と食事を楽しんでいた。持参した弁当には駆の好きなものがたくさん入っていて、駆は親の言う通りに弁当をお腹がいっぱいになるまで食べたのだった。
「きてよかったね、お父さん!」
「駆が喜んでくれて何よりだ。父さんも来た甲斐があったってもんだ」
「駆が一番楽しみにしてたものね、海水浴」
「ねえ、僕また泳いでくるね!」
駆はしばらく休憩した後、再び海へと走って行った。
「あまり危ないところには行くなよ!」
「分かってる!」
元気な声で青い海へと向かう駆。
しかし駆の楽しかった夏休みはひとつの出会いにより一変することになる……
「やっぱり海はいいなぁ、また来年も行きたいなぁ」
広大な海を泳ぎながら駆はそう呟く。1時間は泳いでいただろうか。元気だった駆にも疲れが見えてきていた。
「そろそろ戻ろうかな」
駆は泳ぎを止めると、家族の下へ戻るため砂浜へと向かう。しかし、砂浜には人の気配は誰一人としていなかった。
「あれっ? 確かここらへんだった気がしたんだけど、おかしいな……」
どうやら泳いでいるうちに両親のいる位置から遠く離れてしまったようだった。仕方がないので駆は泳いでいる時に着けていた浮輪を手に持ち砂浜を歩くことにした。
泳いでいた方向は確か東だったから、その逆の方向を歩けばいい。駆はそう思い西へ向かって歩き出した。
そんな時だった。
駆が彼と出会ったのは。
ドンッ!
「うわっ!」
「うおっ!」
両親が待っているであろう遠くを見ていたせいか、駆は目の前を歩く大きな影に気がつかなかった。駆は鼻をぶつけた痛みを顔を押さえながらぐっと堪えている。
「スマン、大丈夫だったか!?」
「あっ、大丈夫です。こちらこそ……!?」
駆の目の前にいた者は、駆がいつも見慣れた者ではなかった。厳つい筋肉、それを包むむっちりとした脂肪、そして鈍色の肌。背中に大きなヒレを持ち口にはぎざぎざの歯が並んでいる。
「……うわあああああっ!?」
駆が目にしたのは、駆がぶつかったのは、人間と鮫を掛け合わせたかのような男。まさしく鮫人間と呼ぶにふさわしい者だった。
駆は現実離れしたその存在を目にした瞬間無意識に叫んでいた。
「ホントは見られちゃいけなかったんだがな……こーゆー風に面倒なことになるから……」
そして片やその鮫男は頭を掻きながら困ったようにそう呟く。目の前の子供は驚きのあまり腰を抜かしてしまっていて、男はその子供の手を取ってこう言った。
「大丈夫か、ボウズ」
「……う、うん」
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