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地球上に存在する国、『ノイタム・ロフスナート』。
そこではその世界を支配する魔王を打倒する冒険者など、様々な目的でこの地を訪れる人間が後をたたなかった。
その国には何百年にも渡りその地を守り続けてきた山があった。正確には、山が、というよりも、山の、守り神が、という意味だ。
そこは新緑が織りなす大自然に恵まれた地で、旅人が旅の疲れを癒しに、はたまた山の神による加護が受けられるということで冒険者の修業の場にもなっていた。
しかしその山も、王国政府の、都市を開発し拡張するという政策により失われることとなった。
一部の住民はそんな罰当たりなことをするなどとんでもない!と抗議したが、結局のところ権力には勝てず、抵抗虚しくその山の都市化開発計画は滞りなく進んだのであった――
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数ヶ月後。
いよいよその地、トゼロフ山開発のための作業が執り行われた。
そんな地に、山内部――トゼロフ森林の伐採の為何人かの作業員がその場を訪れていた。
その一人である男、斧を持った屈強な、作業員の一人であるところの男、ティボーと言う名の中年男性がぶつぶつと呟いていた。
「……これも王国の、いや、住民のためなのだ。この地で平和に暮らせる国民が増えれば、きっとこの山も本望だろう……だから、許してくれっ」
どうやら彼は、その神聖な山を侵すのは些かな恐怖心を抱いているようだった。
抗議団体から『あそこは聖なる地。そこを穢す者には祟りが起こるであろう』などという脅し文句、はたまた警告にも似た抗議の言句を何度も言い放たれていたのもあって、ティボーは少し尻込みしていた。
しかし職務を全うすれば、その新たな都市で家族と平和な暮らしを約束すると王国政府から言われている手前、後にも引けなかった。
彼には最愛の妻と、息子と娘が二人ずつ。合わせて三人の家族もいた。これを終わらせれば莫大な賃金と安定した暮らしが得られることを確定付けられているのだ。恐怖を払ってでも事を成し遂げなければいけないだろうとティボーは心の中で自分に鞭を打った。
「よし、俺はこの近くから始めるから、お前らは各自作業に向かえ」
「はい!」
他の作業員を他の場所へ移動させると、ティボーは斧を振りかざし木を切り倒しに入った!
ざくり、ざくりと何十回も同じ行動を繰り返した後、一本の大きな樹木がばりばりと音を立てて倒れた。
これを手作業で何回も何日も、最悪何年もかかるであろう作業をティボーは開始したのであった。ここで思い留まれていれば、おそらくこの先のティボーの運命は変わったのであろうが、この時点で彼は“選ばれて”しまった。
ばりばりばりばり! どしん。
ティボーは自慢の鉄の斧で木を次々とばたばたと切り倒していく。家族のため、生活のため、と自分すら殺して一心不乱に斧を振った。
何十本は切り倒したであろう。ティボーはいくつかの木が倒れた音を聞いた時そう思った。ふと空を見上げると日は落ち黒の空とそこに散らばる満天の星がティボーの目に映った。
「おっと、もうそんなに経っていたのか……時間が経つのは早いな……」
ティボーはそう思ったが、その瞬間こうも思った。他の作業員は既に作業を終えて撤収の準備に入っているのではないのかと。
本来ならば夕暮れまでには撤収するつもりだったのに、ついうっかり作業に夢中になり気がつかなかった。しまった。とティボーは思った。
「まずいな、ついやり過ぎてしまった。もう帰らなくてはな……」
ティボーは倒した木を片す事もなく急いで山を降りた。
ティボーは他の作業員と合流すると、緊急に建てられた作業員用の仮設コテージで労働に鞭打ったその身を癒していた。
冷水のシャワーを浴びるその肉体は農作業で培われた頑強な筋肉とむちむちの脂肪に覆われた屈強なものだった。本人はこの肉体を国民のために使えるのなら本望だ――そう思っていた。この鍛えられた体は自分の誇りでもあった。
「明日も過酷な作業になると思うが、気を入れてかかるぞ」
「ハイ!」
こうして、ティボー達は眠りについた。
しかし、ティボーの作業は、人生は、今日で終わりを迎えることになるのだった。
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◆ ◆ ◆
――……うーん……
ティボーはその身に感じた息苦しさでその意識を覚醒させた。
まだ少し眠いので寝直すか――そんなことを思っていたティボー。しかし、その身を確認することでそんな眠気は瞬く間に覚めてしまったのだった。
「な、なんだ……こりゃ……!?」
ティボーは作業服のまま眠っているのに気がついた。それよりも、コテージで眠ったはずなのに、今自分が山の中で寝かされていることに驚いたのだった。
そもそも寝るときに作業服から私服に着替えていたはずだったのに。それに、何故今自分はコテージの堅いベッドではなくさらに堅い土の上に寝かされているのかがわからなかった。
「なんでっ、俺、山の上で……」
『――目覚めたか。愚かな人間よ』
そんな声がティボーの頭の中に響いた。
幻想のような状況に直面し混乱するティボーの思考をさらに混乱させるには充分だった。
「だっ、誰だ!? お前が俺をこんなとこに――」
『いちいち騒ぐな、鬱陶しい』
叫ぶティボーの声は、重なる声にかき消されて消えてしまった。さらにティボーはその声が聞こえた途端、ひとりでに体を直立させ口を噤ませたのだった。
「んんっ……んんー!?」
『手短に話すぞ。お前らはこの神聖なる山を穢した愚か者だ。よってその中の一人には永久の罰を与えさせてもらうことにした。
人間誰にだって過ちはあるものだ。だからこそ今回はお前一人が運“良く”罰を受けるだけで許してやろう。感謝するがよい』
身動きのとれないまま脳内に響く重苦しい声をただ聞かされるしかないティボー。その声が話す宣告は、ティボーを恐怖に陥れるにはあまりに簡単だった。
「な、なんで俺なんだ! 俺以外にも……作業員は……」
『このトゼロフ山を守護する神である私は、お前ら人間がこの山を潰そうとしていたことは前から知っていた。もし行動に移すことがなければ黙って許そうとも思ったが……お前らはこの地に生きている数十、数百もの生命を無為に奪った。その中でも一番生命を奪った貴様に罰を与えるのだ』
「そんな! 俺は、家族の……みんなのために!」
『そうだ。人間はいつもそう、だ。誰かのため、みんなのためだと何かしらの理由をつけ他の生命を蔑ろにする。
それは一見は素晴らしいことだ。だが、それはただの身勝手でもある。結局は人間自身のエゴでしかないことだ。私にとっては、それはただの言い訳としか見受けられない。よって変わらず罰を受けてもらうぞ』
「い……いやだ……いやだぁ!」
ティボーは身をよじりどうにかその場から逃げようとするが不思議な力に体の動きを封じられ、どんなに力を込めても直立した体勢から動くことはできなかった。
『お前には、罰としてこの山の守護者となり永遠にこの地を守ってもらう。お前の持っているもの全てを代償にして聖なる力を授けようではないか』
山の神がティボーに課した罰。それは、彼にとって最悪のものだった。この山を永遠に守るということは二度と家族の元へは帰れないということだからだ。さらに自分の全てを代償にするというあまりにも酷すぎるペナルティのおまけ付きだ。ティボーが快く了承するわけがなかった。
「それは嫌だ……助けてくれ……俺には家族がいるんだ……」
『恨むのなら愚かな行為を行った自分を恨むかしない。神である私を恨んでもどうにもならぬ。では……始めるぞ』
その瞬間、ティボーの絶叫が空に響いた。ティボーの叫び声と共に着ていた作業服が細かい破片となり弾け飛ぶ。
ティボーはそれでもこの自分自身であるはずの肉体を指先たりとも操作できず、羞恥に苛んでその恥部を隠すことも叶わなかった。
『その格好では寒かろう。どれ、我が新しい服を用意してやろう』
神がそう言うとティボーの足は真緑色の光に覆われる。まばゆい光の後には原色の緑の色をした靴がティボーの足に履かされていた。しかしその靴はサイズが小さく今にもはち切れそうなほど窮屈なものだった。
「なっ、なんだよこりゃ! 俺はっ、こんなの……!」
『それは念じれば空中を飛行できる聖なる魔力が込められた靴だ。まあ、それ以外の効果もあるがな……』
ひとり勝手に話を続ける神にただただ困惑していると、ティボーに突然妙な感覚が襲った。
ずぐりと何かがカラダに潜り込むような、自分の中に何かが拡張されていくような感覚がした。その次の瞬間、ティボーは臀部および腸内に鋭い痛みが迸った。
「うぐっ!?」
木の枝、いや。根っこのような何かが触手のように動き出し、ティボーの尻穴を犯しているのだ。まるでティボーの体の中を下半身から支配していくかのように。
「あっ、ぐっ! んあっ!
やめろ…………うっ!?」
あまりの痛みに涙さえ浮かべるティボー。
しばらく痛みに耐えていると突然ひんやりとした液体のようなものがティボーの腸内を満たした。
しかし液体らしきものは一切ティボーの尻穴からは漏れ出すことはなかった。なら、これは一体何なのだろうか。
『これは私の持つ“魔力”のようなものさ……まあ、目にも見えなければ触ることさえも叶わないがね』
神の云うその魔力がティボーの体内を満たしたその時、尻を犯されていたティボーは痛みを訴えなくなった。それどころか顔を赤くし、よがっているようにも見える。
「ぐあ、あっ……あんっ……や、やめっ……ろ……んあああっ!」
悲鳴と……そして矯声が混ざり合うようになった頃、ティボーはとうとう声をあげて絶頂を迎えた。ギンギンに勃起した逸物からは今まで濃く大量の精が発射された。
「はぁ……はぁ……くそっ……ケツの穴掘られてイっちまうなんて……
がっ!?」
あまりの気持ちよさに息を荒げる。そのティボーの肉体にとある変化が起こり始めた。
『始まったか』
「なっ、なんだっ!?」
まず最初に、180もあった背が縮んでいった。20年以上もの間仕事で鍛えてきた筋肉もそれと同時に初めからそんなものなかったかのように萎んでいく。その感覚が快感になったのか、その拍子にもう一度ティボーは射精していた。
「んぐおおおおおおっ!?」
ティボーの新鮮な精が山の土に還元される頃、ティボーの体は思春期の青年と言った姿へと変貌していた。パツパツなほどに鍛えていた見事な筋肉は完全にそのなりを潜め、腹もつるつるで色白なものと化していた。当時すらここまで衰えてはいなかったのに。と、ティボーは心の中で嘆いた。
『この靴には人間の穢れた魂を精に封じ込める力があってな……邪婬を働き聖なる精を捨てるようなことをするとたちまちその魂は抜けていってしまうのだ。
その魂は、人間にとっては人生そのものでな。それが無くなると……もう分かるな? お前の体全てでそれを実感しているはずさ』
「じゃ……じゃあ俺の体は若返って……いってるっていうのか……射精、するたびあああっ!!」
ティボーの全身が再び光に包まれる。
光が収まると靴と同じ色の薄手の上着がティボーの体に着せられていた。それは光を反射しキラキラと輝いている。まるで小人や妖精の服のようだ。
『そろそろ体が良き頃合いに縮んでいたのでな。新たな服を授けてやったぞ』
「そんな、もの……いらな、ああっ!」
『余計な口を叩くな。まだ儀式は終わってはいないのだぞ』
「やめろっ! それを、あっ! やめ、ろ……!
きもっ……ち、チガウ! 俺は! 俺はぁ……」
神はさらに木の根の触手の勢いを早める。服がキラキラと輝くことに比例してティボーの快感は高まっていく。
そしてついに再び精を放ってしまった。ティボーが培ってきたなけなしの年月を混ぜ込みながら。
「やだ! 嫌だ嫌だいやだ! やめろ、ああ!」
ティボーの体はとうとうその服に見合うような姿へと変貌してしまった。40年以上前の、子供時代そっくりの肉体に逆行を果たしたティボーはもう妻や子供と会ったとしても自分だとはわからないだろうと絶望した。
『おやおや、随分と可愛らしい姿に成ったではないか。それでは次のプレゼントだ』
ティボーの頭に三角帽子が被せられる。黒々とした髪は太陽の様な金色に、耳は尖りまるでエルフの容貌を思わせるようなものへと変わっていた。
しかしそんな可愛らしい容姿とは裏腹に、未だ穿かされてない最も重要な部分は、かつてのティボーそのままの“もの”がぶら下がっていた。
陽の光のように透き通った白い肌には似合わない使い込まれた真っ黒な巨根が鬱蒼とした陰毛ごと残っているのだ。それが熟れた果実のようにぶらんぶらんと揺れている。
「おっ、俺のチンポ……俺のっ、デカイマラ……」
『見ろ、これがお前の気持ち悪い穢らわしい魔羅だ。今のお前の穢れなき肉体には相応しくないものだ。
そしてこの黒ずんだ怪物こそお前の心そのものなのだ。その心じゅうを満たす淫の魔力こそ最後にお前が手離すものなのだ』
「やめてくれ! これは、俺の……最後の誇りなんだ……
妻、レベッカと愛を育み、愛する息子チャールズをここに呼び出してくれた大切なものなんだ……いくら穢れたと言われてもこれは!」
『五月蝿いぞ』
ズグリ。
「あおっ!」
ティボーの訴えは穴を犯す木の根――神の“手”によって遮られた。
それを皮切りに、ティボーを犯す神のピストンは最高潮を迎えようとしていた。淫靡な水音が山中に響く……
グチュ。
「ああっ!」
クチュクチュ。
「んああっ!」
ズボッ。
「うおお」
グリッグリュ。
「ぐおおぅ!」
プチャ。
「やめろ! やめて、誰か」
ニチチ、ヌチチチ。
「スザンナ……チャールズ……」
ズチュッ!
「だっ……だめ! …………そこっ、はっ!」
神の手はとうとうティボーの全てを削り取る部位を掠めた。そしてそれがティボーという中年の人生の終焉だった。
「ぐおおおおおうぅっ!」
その瞬間、ティボーはボーイソプラノを発する喉が潰れかねないような地響きのような唸り声をあげ、その黒光りする巨根から大量の精をぶっ放した。
精を出しながらぶるぶると震える生殖器と精液袋。その年月を感じさせる色をしたそれらは、その穢れが抜けるかのように黒から白へと変わっていった。推定4、5歳程度のものだと思われるような短小包茎へと。
最後にそこを覆うように半ズボンが穿かされて彼の変身は終了を迎えた。
「ボ……ボクはいったい……
ここはどこ……ボクは、誰?」
長きに渡る射精の後、ハアハアと息を荒げるだけだったティボーは、何事もなかったのように元気に声を上げて神の前へ跪いた。既に今までの面影は微塵も感じられなかった。
山中に撒き散らされたおびただしい量の精液とティボーの体毛は、山の土に吸い込まれるかのようにあっという間に消えて無くなった。こうしてティボーのティボーとしての“もの”は永遠にこの世に消え去った。
『はじめまして。お前はこの山を守る小人。お前は今日から働いてもらう。名前は、そうだな……「フェアル」というのはどうだろう』
「フェアル……ありがとうございます。それがボクの名なのですね。
ボク自身は何者なのかは分からないですが、ボクは貴方のために生まれてきたような気がいたします……」
フェアルと名乗ったその子供は、先ほどまで自分が何者であったかなど微塵も思ってはいなかった。何も知らず何も疑わない、穢れなき純粋な瞳で空を見上げているだけだった。
「ボク、山の守り人であるフェアルは、これからこの山を侵す悪を浄化しに参ります」
『ああ。期待している』
夜が明け、再び朝がやってくる――
そして、トゼロフ山の守護妖精フェアルとして生まれ変わったティボーは、山を守るべく山の危険を侵す男達を浄化するため山を降りるのだった。
それらがかつて自分の元同僚出会ったことなど知らぬまま――
『しっかり働くのだぞ、ティボー……いや、フェアルよ……』
Fin.
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