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【R-18】性悪飼い主の犬の番【亀頭球/強制交尾/視姦】
生物学者で無類の動物好きと名高いメイベラー男爵は、自邸の広大な敷地で様々な動物を飼い熱心に生体調査を行っている。
先月の暮れ。平民の娘シエラが召使いとして働き始めた。主な仕事内容は、そこで飼われている動物達の世話。まだ要領良く仕事は熟せないが、シエラも動物好きな為、丁寧に動物達の世話を焼いた。
シエラが男爵邸に来てから一カ月が経過した頃。主人である男爵にある場所に連れて行かれる。
主人に対し何処に向かっているのか問い掛けても良いのか分からず黙って後に続く。
邸宅内にある地下階段を下り、等間隔に壁に掛けられた蝋燭の灯りを頼りに進んだ先には一枚の扉が現れた。
主人が扉を開けば錆付いた丁番が不気味な悲鳴を上げる。
内部は意外にも広く、鉄格子が部屋を二つに仕切っていた。
「!」
鉄格子の向こう側にいるのは、手足を枷で繋がれた全裸の青年。全身に浮かび上がるのは無数の打撲痕。酷く痛ましい姿にシエラは両手で口元を押えた。
「だ……旦那さま? なんてことをっ」
シエラの脳裏では最悪な情景が流れた。誘拐、監禁、暴行、強姦。自分の主人が極悪非道の悪党であると思い込み背筋が凍る。
「彼は人間じゃないよ」
「……は???」
清々しいまでの人でなしの発言に呆気に取られる。
召使いの不敬な言動に主人は気を悪くするでもなく人の良さそうな笑顔を見せて続けた。
「本当に彼は人間じゃないんだ。ほら、よく見てごらん。彼はコヨーテの獣人だよ」
全裸の男をよく見てみろと言われても気まずくて凝視など出来ない。それでも目を細めて青年の身体的特徴を探す。
傷みの激しい黄褐色の髪。頭上には同じ毛色の獣の耳と背後で力なく床に垂れる尾が見えた。
獣人が存在することは聞いていたが、初めて目にしたそれは、やはり人間とそれほど変わらない。
先に主人の言い放った「人間じゃない」の後には「だから、痛め付けても問題ない」と続くのだろうが、その思考はシエラに常識から逸脱している。
主人が何を考えているのか分からず横顔を盗み見る。
「彼は少し気性が荒くてね。躾けの最中なんだ。ほら見てよ。僕の腕こんなにボロボロになっちゃったんだよ」
主人が袖を捲り腕を見せる。きっとズタボロにされたのだろう。腕に巻かれた包帯には至る所に血が滲んでいる。
「大人しい動物なら愛情を注いでやれば大抵従順になるんだけど、猛獣を手懐けるには上下関係を覚えさせることが何よりも大事なのさ」
至極真っ当なことを言っているように聞こえるが、異常者が何を言っても説得力に欠ける。
生物学者故により近くで生物を観察し研究をしたい欲求は理解出来る。
しかし、その腕の傷を見る限り彼も純粋な猛獣とさほど変わらない殺傷能力がある。そんな生命体を何処からか連れて来て手懐けようだなんて土台無理な話だろう。一周回って馬鹿の極みである。
「……き、聞いても宜しいですか?」
「んぅ?」
この状況で呑気な笑みを見せる男の不気味さにシエラは寒気を覚える。
「彼は何処から来たのですか?」
「その辺にいたから捕まえたよ」
「へぇ!?」
「あ、勘違いしないでね。僕は自分の研究欲求を満たす為に無害な動物を捕獲したりしないよ。彼を人里で見つけた時、かなり興奮していて今にも人を襲いそうだったのさ。領主として領民の生活を守る為にも彼を捕獲して、人間を襲わないように調教が済んだら森に帰すつもりだよ」
やはり、真っ当なことを言っているようで言っていないような気がする。
それはきっと青年の姿形が自分達人間とさほど変わりがないからだろう。否、例え純粋な獣であろうとも全身が赤黒くなるまで痛め付けるなんて幾らなんでも鬼畜の所業だ。
シエラは聡明ではあるが、平民ということもあり大した学はない。故にこの胸のうちに灯る正義感を言語化することが出来ずとても歯がゆい。
「ただ調教が難攻していてね。君に手伝って欲しいんだ」
「ヒッ!? い、嫌です! 出来ません! クビになっても構いませんからそれだけはお断り致します!」
虫も殺せない脆弱な精神のシエラに折檻せよと命じたところで出来やしない。人を痛めつけるぐらいなら職を失くした方がマシと訴える。しかし、主人は朗らかに笑い首を横に振った。
「違う違う。調教のアプローチを変えるんだ。体罰はもう辞めるから代わりに彼を優しくお世話してあげて。きっと僕の言うことはもう聞いてくれないだろうからね」
「……い、や……、でも――っ!」
断りを入れよとした瞬間。まるで極の違う磁石が出会うように青年と視線が交わった。
強い生気を帯びた銀灰の瞳がシエラを捉えて離さない。その瞳には敵意も警戒心も宿っていない。けれど、何か強い意思が孕んでいるのは確か。
その視線に囚われたシエラは瞬き一つも出来なくなっていた。
「大丈夫、大丈夫! 彼にとって君は特別だから危害は加えないよ。多分ね」
主人の声に我に返ったシエラは乾いた眼球を潤そうと繰り返し瞬きをし、口を固く閉じた。
結局、傷ついた獣人の青年を放置することが出来なかったシエラは、彼の世話係となった。
主人からは、青年に必要なものは何でも用意して構わないが、地下牢から出すことは厳禁だと忠告を受けた。
まずは傷の手当てと牢の清掃を行う。それから、青年の身体が冷えないように処分予定だったラグと簡易的な寝台を牢に運び込んだ。
手枷は外してやる勇気がなかったが、足枷は外した。
下着と服も与え毎日清潔なものと取り換えた。
最初はいつ襲い掛かって来るのかと警戒していたが、青年はシエラが近付いても力強い眼差しを向けるだけで爪牙を向けることはなく、次第にシエラの警戒心も和らいで行った。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
朝、食事が載った盆を手にしたシエラが青年に声を掛ける。
窓のない地下牢では、シエラが朝昼晩と食事を持って来ることで時間を把握する。
寝台の上で起き上がった青年は、笑みは見せないものの尾を振ってシエラを出迎えた。
シエラは青年の反応を「食事が来たことに喜んでいる」と解釈している。
牢の扉から中に入り小さなテーブルに食事を置いた。
「手枷を外しますので、今日からご自分で食べて構いませんよ」
ただ世話をしているだけで信頼関係が築けているとは思っていないが、少なくとも青年が此方に敵意がないことは分かった。
彼は口が利けないが、此方の問い掛けには応じるし、お願いにも従ってくれる。もう枷は必要ないと判断した訳だが、どう言う訳か青年は束ねられた腕と一緒に顔を背けた。枷は外したくないようだ。
「えっ……、ど、どうしてですか? 手が使えないのは不便ではないのですか? 枷を外して大人しくしている姿を旦那様に見せればきっと此処から出られます。だからほら、外しましょう?」
いつも煩いぐらいにこちらを見詰めて来る銀灰の瞳を覗き込もうとすると、唐突に大口が開けられシエラは後ろに飛び退く。
噛まれると思ったのだが、青年はただその場から動かず口を開け続けている。
「……食べさせれば良いのです、ね?」
青年はただシエラの手から給餌されるのを待っていた。これはいつものこと。青年は両手が塞がっている為、シエラが手ずからその口に食事を運ぶ。
まるで親鳥になった気分でいつからか情が移った。無事に此処から出してやることが今のシエラの使命だった。
幸いにも主人は、青年が人間を襲わない確証が得られれば森に帰すと言っていた。
だが、気は抜けない。気が変わらない保証はないのだ。だから行動を起こすなら早いことに越したことはない。それにも関わらず、本人は枷は外さないと言う。
まぁ、枷があってもなくとも無害で従順な様子を見せれば否が応でも主人が枷を外す。
シエラは匙を掴み食べ頃まで冷めたスープを掬った。
†††
「シエラ、旦那様が地下牢でお待ちです」
邸宅の動物専用の厨房で猟犬達の食事を用意していたシエラに家令が声を掛けた。
手際良く猟犬達に食事を運びその足で地下牢へと急ぐ。
「お呼びでしょうか、旦那様――」
「あぁ、来たね。君の報告通り彼とても良い子になったね。君に彼のお世話をお願いして良かったよ」
シエラの目に飛び込んで来たのは、鉄格子の向こう側でラグに倒れ込んでいる青年。苦しげに奥歯を食い縛って頭を強く床に擦り付けている。
「ど、どうしたのですか!?」
シエラは駆け出し鍵の開いている牢の扉を潜り青年に駆け寄った。
「ち……かっ……ちか、よ……なっ」
「あ……、あなた、口が利けたの? どうして今まで」
「それは僕が呪い(まじない)を掛けたんだ。口調が荒くて聞くに堪えなくてね。これも調教の一環だよ。もう必要ないから解いて上げたからね」
主人が魔術の類を齧っている話は、他の使用人からも聞いていたが声を奪うような恐ろしい呪いを扱えることに慄き額に汗が滲む。
「そっ、それで彼は今どう言う状態ですか? まさか旦那様が何かしたのですか?」
「うん。だって、もう自然に帰す時だって君が言うからさ。うちを出て行く前にどうしても教えて欲しいことがあったんだ」
「なにを……ですか……?」
主人は徐に開け放たれた牢の扉に近付き、まだシエラが中にいるのにも関わらず扉を閉めて鍵を掛けた。それから隅に置かれていた椅子を鉄格子の前まで引き摺り出して腰を降ろす。手に持っていたスケッチブックと鉛筆を構えながら答える。
「イヌ科の獣人の勃起した陰茎が見たいのさ」
「――は???」
主人が何を言うのかなんて全く想像も付かなかったが、それにもしても異常な発言に絶句する。
「彼の身体的特徴は概ねスケッチ済みなんだけど、勃起だけはしてくれなくてね。だからシエラ君、手伝ってくれるかい?」
「……い、意味が分かりません。て、手伝うって」
「彼には催淫の呪いを掛けたから君が少し手伝ってくれればすぐに反応する筈だ。今さら恥ずかしいことなんてないだろう? 君は最初に全裸の彼のお世話をしているんだから」
あっけらかんとした主人の態度に呆然とするシエラの肩が強く掴まれる。
「逃げ、ろっ……あいつ……正気の沙汰じゃ、ねぇ……っ」
そんなことは言われなくてもとっくの昔に知っている。けれど、牢に閉じ込められた今の二人に成す術はない。
「それじゃあシエラ君。まずは起こしてあげなさい」
「い……いっ……。余計な、真似はっ」
「シエラ君。確か故郷に病気の妹さんがいるんだってね? 仕送りの金額増やしたいだろう?」
主人は人当たりが良く接しやすいが、やはり貴族。金が人を操れると思っている。
双方の望みの板挟みに翻弄するシエラに追い打ちが掛けられる。
「出来ないのなら二人揃ってそこで飢え死にするしかないね」
死に関わる脅しにシエラの意思が固まった。
「触り、ますよ」
「っ……やめ、ろ」
横たわる重たい身体を細腕でなんとか起こして壁に背を預けさせる。
「有難う。じゃあ次は出してくれる?」
「だ……す、とは?」
「陰茎だよ。ちんちん。あ~、暴れたら駄目だよ。君が良い子にしないとシエラ君も此処から出られないんだから」
シエラを盾にされた青年は、獰猛な牙を剥き出しにして殺意の籠った眼差しを主人に向ける。
「別に悪いようにはしないから安心しなさい。気を取り直して頼むよ」
シエラは気まずそうに視線を床に落としながら命令通りに青年の股間に手を伸ばす。
前を縛る紐に触れた途端にそこが隆起し、シエラの耳介が真っ赤に染まる。
「やめ……ろっ……」
青年も頬を赤らめシエラから顔を背けた。
しかし、シエラはそのまま紐を解く。現れた下着の腰紐を引けばそり勃つ陰茎から下着の生地をずり落ちた。
「ほぉ! ほぉ! なるほどね。まさに人間と犬の掛け合わせだ。スケッチするから暫くそのままで頼む」
これまでの人生で味わったことのない酷い屈辱感に青年は怒りに震える。
ただ局部を観察されるだけではない。発情し勃起した様を惚れた女の前で絵にされいるのだ。
横にいるシエラを盗み見る。赤面し唇を震わせながらあるものに視線を奪われている。
青年の男根。赤く艶めいた張のある亀頭。段差のある雁首。赤黒く血管が浮き出る太い竿。そして、人間の男にはない睾丸とは違う瘤が竿の根元で膨らんでいる。
それはイヌ科の雄の特徴である亀頭球と呼ばれる部位であり、雌の妊娠率を高める為に挿入時に男根が鞘から抜けないようにする役割を担っている。一度根元まで挿入すれば、雌が拒否しようが勃起が収まるまでは引き抜くことは出来ない。
間近で感じた視線に弾かれるように視線を上げたシエラを捉えたのは、青年の熱の籠った眼差し。銀灰の瞳は薄い涙で潤み、燃え滾る劣情を宿している。
若く気丈で情熱的な青年にシエラの身体も熱を帯び始める。
「ご……ごめんなさいっ」
シエラは咄嗟に顔を背けて謝罪をした。お互い望んだ状況ではないにも関わらず、不躾に男の局部を凝視した下品な行いを猛省する。
シエラの初心な様子に主人は相変わらず人の良い笑みで次の指示を出す。
「やり辛いかもしれないけど、射精させてくれる?」
「なっ!? な、何を仰るのですか!?」
「獣人の精力は凄いって聞いたんだ。きっととんでもない量の精液が出るよ。これも研究の為だ。頼むよ」
そんなこと言われても……っ。
シエラは平民の娘だ。貴族ほど色恋に固くない為、かつて惚れた男に純潔を捧げている。だから、多少の免疫はあるものの男に奉仕した試しはいまだにない。
因みに男を見る目がなかったせいでたった一度の行為後に破局して今に至る。
主人は引き続き筆を走らせる。
当惑し瞬きも出来ないシエラの胸が唐突に重くなった。
柔らかな胸に頭を預けたのは青年。獣の耳を水平にし、太い喉からはピーピーと子犬のような情けない鳴き声を上げている。
僅かにシエラの庇護欲が掻き立てられる。愛らしいものが好き。それには子供や動物も含まれるが、立派な大人の男である青年はそれには含まれない。筈だった。
面倒見の良い性格が災いしたのだろうか。縋り付く青年が愛しく見えて仕方がない。
主人から悪癖を移されたか。シエラは苦渋に顔を歪めながら優しく青年の頭を片腕で抱き締め男根に手を伸ばす。
「ンッ~~」
「い、痛かったら言ってください」
優しく握り込んだ男根はさらに膨らみを増す。
視覚でもよく解る膨張具合に主人は「ほぉ!」と感心したように声を漏らした。
「ごめんなさい……。こんなことに、付き合わせてしまって」
獣の耳に唇を寄せて主人に聞こえないように謝罪をする。だが、それは青年にとっては大きな快楽で腰が僅かに浮き上がる。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
そのことに気が付いていないシエラは、続け様に囁きながら男根を優しく手で扱き始める。
「~~~~ッ」
必死に食い縛ってシエラの胸に頭を擦り付けながら射精に向かう青年の姿は、下品で情けなく淫靡だ。だが、主人の頭には邪な思考などなく真剣にその姿――というよりも陰茎を絵にし続ける。
「シ、シエラッ……、も、イッ~~~、イッ~~~、い、やだっ! 俺を見るなっ……俺を見ないでくれ、シエラッ」
女にも負けない淫靡な顔で鳴く青年にシエラの胸と子宮がときめいた。
青年の目に何も映らないように自ら青年の顔に胸を押し付けて視界を奪う。
「はい、見ませんよ。だから安心して、楽になって……」
「――ンンッ! ~~~~~~~~~~ッ~~~~~~~~ッ~~~~~~ッ~~~~ッ……っ~~、っ……、っ……」
青年はあっけなく射精に至った。
射精時の白濁の飛躍は凄まじく、数メートル先の鉄格子まで飛び散った。
量も尋常ではない。白濁のたまり場が出来てしまうほどの量に主人は興奮気味に立ち上がる。
「素晴らしい精力だ! これほどの大量の精液を私は見た事がない。目測二百mlぐらいかな? 馬並みだよ! はははっ!」
射精の勢いは既にないが、いまだに大きく開いた鈴口からは白濁が溢れ出し、竿を握るシエラの手を汚す。
「お疲れ様。彼の手枷外しても良いよ」
「は、はい」
シエラはそっと竿から手放し白濁で汚れた手は自身の前掛けで拭った。それからスカートのポケットから枷の鍵を取り出しついに青年の拘束は解かれた。
「大丈夫ですか?」
完全に脱力してしまった青年の肩を掴み起こそうとするが、重たくて起こしきれずシエラが下敷きになる。
「これで最後だよ。これが終わったら彼は此処を出て行っても良い」
「ほ、本当ですか? それでは、早く次のご指示を」
「うん。そしたら、交尾を見せてくれ」
「――は?」
何かの聞き間違いであってくれと願う。
「交尾。性交渉さ」
「……だ、れ……と、誰、の?」
「君達以外にいないだろう」
この男、やっぱり狂っている。
他人の性行為を見たいなんて正常な神経をしていれば考えつく筈がない。善人で無害そうな顔をして特殊性癖の持ち主。主人とは言えど軽蔑の睥睨は我慢出来ない。シエラの鋭い眼光に主人は首を振って弁解をする。
「安心して。私には性欲はないし不能なんだ。女性の身体を見ても興奮すらしないから君に変な気は起こさない。約束するよ。それに君が妊娠する確率も極めて低い。異種間同士だからね。妊娠なんてほぼしないさ。でも仮に妊娠するようなことがあったら是非とも君達を支援させて欲しい。その代わりと言ったらなんだけど君達の子供を少しで良いから見せて欲しいな」
主人の異常性は、気色悪さを通り越して性根が腐っている。
これを機に此処を辞めることを決めたシエラに影が掛かる。
青年がふらつきながら上体を起こしたのだが、銀灰の瞳に生気はない。けれど、果てを迎えた筈の男根はいまだに雄々しく勃ち上がり、鈴口から色のない汁を垂らしている。
完全に色欲に呑まれ理性を失っている男を前にシエラは悟った。
犯される。
「お、落ち着ていて? あの人の言うことを聞く必要はないわ。わ、私がなんとかして此処から出してあげるから」
「どうやって?」
「へ?」
青年は思っていたよりもずっと冷静な声音で問い掛けた。
「一緒に閉じ込められているんだ。どうやって此処から出してくれるんだよ?」
青年の言う通りであった。策はない。
シエラは尻を引き摺って後退するがその分だけ青年が這って距離を詰めた。その様子に見兼ねた主人が口を出す。
「君ねぇ、相手が君と同じ獣人なら良いかもしれないけど、シエラ君は人間の女性だよ? 床で襲い掛かったら嫌われちゃうんだから寝台までエスコートしなさいよ」
青年は余計な横やりに舌打ちをするが、シエラはそれに被せるように主人に縋った。
「旦那様! どうか考え直してください! こんなのって、あんまり――」
大きな手がシエラの顎を頬ごと掴んだ。顔を固定されたことを理解した瞬間には青年に唇を奪われた。
互いの唇はすぐに離れ、青年は唸るようにシエラに忠告する。
「他の男を見るな。俺を見ろ。でないと酷くしちまう」
強い独占欲を向けられた途端にシエラの胎が痛いぐらいにときめき、無意識に片手で胎を押える。
「!」
青年はシエラを抱き上げ寝台に押し倒し、制服のスカートに手を差し込み迷いなくショーツを奪い去った。
あまりにも一瞬の出来事に抵抗一つも出来ないまま脚の間に青年の身体が滑り込む。
「――」
熱杭が陰裂に押し当てられ水音が立った。
青年の体液だけではない。触れ合った瞬間に理解した。シエラの股座は控えめながらも濡れていた。
唖然とするシエラは暫しされるままで青年は遠慮なく自身の裏筋を陰裂に繰り返し擦り付ける。
「あっ……あっ……、だ、だめっ……だめよっ? これ以上は、絶対に駄目っ――ひあっ!?」
服に隠された双峰を両手で鷲掴みにして我儘に揉みしだく。
「あぁぁ、ちょっとちょっと! それってもう入っている? もう入ってるの!?」
青年の後ろで主人が慌てている。
正常位の体位では、主人の視点では青年の背中しか確認が出来ない。
「っ……~~っ、や、やっ……っ~~」
「声を抑えろ。その声……あの男に聞かせたくない」
「!」
再び重なる唇。先の口付けよりもずっと深い口付けにシエラは藻掻き苦しむけれど、己を必死に求める分厚い舌に絆されて大した拒絶も出来やしない。
ちう。じゅっ。ちゃっ。
唇の角度を変え、唇の吸い方を変え、わざとらしいリップ音が奏でられる。
まだ二人は繋がっていないが、素股による律動が次第に激しくなり、互いの劣情が迫り上がる。
鈍くなる思考の中でいまだにシエラは獣の手から逃れる術を探す。けれど解っていた。力では敵わない。泣き叫んでも誰も助けに来てはくれない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
考えているようで考えていない。否、そもそも逃走手段は既にない。
しかし、青年に一瞬の隙が出来る。
ハーッ……ハーッ……。
上体を起こした青年は、乱雑に服を脱ぎ始めた。
シャツを首から抜き、ズボンに手を掛けた。今なら逃げ出せると思い込んだシエラは飛ぶように起き上がり寝台から足を降ろす。しかし、全裸になった青年の腕が華奢な身体に絡み付き再び寝台に押し倒す。
「嫌ッ――へぇあっ???」
膝裏を掴まれて開脚を強いられ十分濡れそぼった蜜口に亀頭が嵌まる。
「っ……っ……っ、だ、め……よ???」
大した愛撫もされていないのだ。隘路が硬いままでは絶対に入らないとシエラは頭の何処かで高を括っていた。だが、青年は構わず腰を進めた。
「――~~~~っ? ~~~~っ? ~~~~っ?」
肉襞を掻き分けられる圧迫感に頼りない背中を浮き上がる。
迷いなく前進した亀頭は最奥の少し手前で止まった。
愛撫が施されなかった隘路は蜜液で溢れ返り不思議と痛みはない。
感じるのは異物感とときめき。そして、生々しい熱と男根の形。
犯された。酷い、酷い、酷いっ。
怒りと恨みに泣きじゃくるべきなのに、シエラの身体は歓喜に震えて抵抗を忘れている。
「んあっ――、アッ……アッ、アッ~~」
抽送が始まる。律動は緩やか。だが、腹の裏側のざつきのある部分を亀頭が入念に擦り上げる。
執拗に性感帯を虐められ快楽が蓄積する身体は、淫靡に跳ねて鳴き声を上げる。
「アァッ――ッ、ッ、ッんん!」
一際大きな鳴き声を上げようとすると青年の手がシエラの口を塞いでしまった。
先にも言ったがシエラの嬌声を他の男に聞かせたくないのだ。
身体が揺れ、寝台が軋み、シーツとシエラの服が擦れる音が牢の中で良く響く。
「~~~~~ンンッ! んんぅぅ! ――ッ! ――ッ!」
「っ……シエラ……シエラッ」
シエラの絶頂が近くなり、密壺は断続的な痙攣を起こして締まりが一段と増す。
極上の隘路に青年も射精に向かう。細脚を肩に掛けて完全にシエラの上に覆い被さった。
結合部が露出する体位に主人は満足気にしながら局部を描く。
「~~~~~~~~~~~~~~ッ~~~~~~~~~~~~~~ッ~~~~~~~~~~~~~~ッ」
遂にシエラが絶頂に震え足先をきつく丸める。
青年も射精しようと一層激しい律動でいまだに絶頂の渦にいるシエラを攻め立てた。
「ちょっとちょっと君。もっと奥まで挿入して亀頭球で膣の入り口を塞いで種付けしないと! それじゃあ、シエラ君を孕ませてあげられないよ」
主人からの口出しに青年は苛立ちから額に青筋を走らせる。
そんなことは解っている。そうしないのは、なけなしの理性がこれ以上シエラに無体を強いてはならないと手綱を引くからだ。けど、もう無理だった。
「ンンンッ!? ――ッ! ――ッ! ――ッ! っ、っ、っ~~~~~~~~~~~~っ」
腰に体重を乗せて強引に男根の根元。亀頭球を押し込んだ。
最奥が限界まで圧し上げられ、亀頭球が蜜口を完全に封じてしまった。
亀頭球は男根が抜けないようにする役割がある。つまり、抽送も不可能になる。
「ンッンッンッンッンッ~~ッ~~ッ~~ッふぅ、ぅぅ、ううっ、んぅ、ふ、ぅぅぅっ~~~ッ」
だから、最奥を揺さぶり隘路の締まりだけで射精に向かう。
既に射精間近だ。全く問題はない。
「い、いやっ……いやぁぁっ、み、みられ、みられた、くっ~~~な、いっ!」
「っ……す、まない」
口付ける為にシエラの口から手を離すと他人に見られたくないと鳴く。
可哀想で可愛いシエラの姿に青年は眉を下がる。心からの謝罪をした後、鈴口を子宮口に合わせて多量の白濁を吐き出した。
「あぅっ~~~~~~~ッ~~~~~~~ッ~~~~~~~ッ」
二度目の絶頂に上り詰めたシエラは、望んでいなかった筈の子種で胎が満ちる心地に当惑しながらもその表情は恍惚と蕩け切っていた。
射精を終えても獣の男根はいまだに熱を帯びたまま。
馬並の白濁が結合部から漏れ出ていない様を確認した主人は、スケッチブックを閉じて立ち上がった。
「はい、ありがとう。此処、開けておくから好きに出て行って良いよ」
主人は牢の鍵を開けてその場を去った。
「シエラ……すまない」
「えっ――ひぅぅっ!?」
今度の謝罪は一度で辞めてやれないことに対してだった。
再び全身を揺さぶられる。今度は最奥を突破しようとする激しい律動にシエラは声も出せずイき潮を吹いた。
「もう、あいつはいない。だから、声聞きたい……っ。シエラ、シエラ、シエラッ……。ずっと、ずっと好きだったんだ」
青年の告白の意味が解らないままシエラはただ揺さぶられる。
幾度も果てを与えられ、幾度も子種を植え付けられた。時間の感覚も疾うに失い、シエラの意識が朦朧とし始めた頃には、胎が丸みが帯びていた。
†††
牢を後にした主人は邸宅の廊下を鼻歌混じりに歩く。
「獣人の陰茎と繁殖についての論文の参考資料が手に入ったし、ついでに恋のキューピットにもなっちゃった。良い仕事したなぁ」
名前のない野良の獣人である青年とシエラの出会いは、この男が仕組んだものであった。
男が領地内で青年を見付け時、青年は離れた場所から当時はまだ男爵邸に来る前のシエラを見詰めていた。
その時の青年は、決して襲い掛かるような獰猛な様子ではなく、恋心から来る熱い視線をただ静かに送っていただけだった。
丁度獣人の生態には興味があった男爵は、青年に声を掛けた。しかし、警戒心の強い青年は男の話を聞く前に逃走しようとした。しかし、男爵は軽く吹き矢で痺れ薬を青年の首に打ち込んで捕獲した。
それから男爵邸の地下牢に閉じ込めて会話を試みたが、頑なに何も語ろうとしない。やっと口を開いたと思えば生意気にも罵詈雑言を浴びせて来るから致し方なく体罰を与え、声を奪う呪いを掛けた。
せめて身体的特徴や生殖に関する情報を手に入れようとして、青年が想いを寄せるシエラを邸宅に召し上げ世話係に任命した。と言う訳だった。
しかし、もう青年には興味はないし、シエラの役目ももう終わり。次の研究対象を探すことにする。
翌日、二人がどうしているのか気になった男爵は早朝に地下牢の様子を確認しに行くと、当然二人の姿はなかった。
あとがき
最後までお付き合いありがとうございました!
その後の構想もありまして、気を失ったシエラを獣人の青年が運び出し、シエラを自宅に帰し(男爵邸には出社制だった)、自分は姿を消します。
そこから紆余曲折があって再会するも青年はシエラに会わせる顔がなく逃走しようとするが、シエラに引き留められて……と言った感じでしょうか。
少しでも皆様に楽しんで頂ければ幸いです。
良ければFANBOXの方も遊びに来てください!
それでは、今後もお付き合いのほど宜しくお願い致します!
銀鹿
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