靴のおまじない

  「素敵な靴は、あなたを素敵な場所へと連れて行ってくれる」

  フランスの有名な諺。私の座右の銘でもある。

  学生時代、バスケ部だった私はバッシュに拘った。体育館を走るとキュッキュッと小気味よい音がする。

  この靴となら、どこまでも行けそうな気がする。その気持ちを胸に、気が付けば全国大会に出場していた。

  残念ながら優勝には至らなかったが、この靴が最高の舞台まで私を連れて来てくれた。

  就職活動中はパンプスに拘った。歩く度にコツンコツンと音が鳴る。

  その音に誰もが振り向く。注目されている私は背筋を伸ばす。パンプスは私に”見られている”という意識をしっかり植え付けた。

  お洒落は足下から。靴に履かれる人間ではなく、履きこなす人間であれ。

  歩く度にそう言われている気がしてくる。

  靴の声が私に意識を切り替えさせる。私をより高みへと連れて行ってくれる。

  私は今日も素敵な靴を履きこなす。素敵な人であろうと意識する。