マイクロカセットの思い出

  「パパ、これなあに?」

  息子が押入れから小さなカセットテープを見つけた。

  懐かしい。マイクロカセットだ。昔はこの中に留守番電話が録音されていた。

  確か再生機もウチにあったはずだ。ちょっと中身を聞いてやろう。

  『もしもし?俺だ?誰もいないのか?はぁ…また後でかけ直す』

  「これ、パパの声?」

  聞こえてきた声に首を傾げる息子。

  これは俺の親父…お爺ちゃんの声だな。

  こうして聞いてみると、今の俺の声とそっくりだ。違うのは、俺の声には渋みがないってところだな。

  『も…もしもし!たっ、貴子さん!こここ、今度のデートの事ですが!』

  「あれ?このテープは壊れているの?」

  息子の問いかけに俺は苦笑いを浮かべる。

  これは俺が妻の家に電話をかけた時のものだな。今でもしっかりあの時の事は憶えているよ。

  そう。あの時のデートは遊園地だったな…

  「今度の休み、遊園地に行くか」

  俺の提案に、息子はあの時の妻みたく大はしゃぎした。