VR空間デート

  『ログインしました』

  無機質な音色にフルダイブ型VR装置の機動を確認する。

  アバターの姿で待ち合わせ場所に急ぐと噴水の前で彼女が待っていた。

  「今日は遅刻しなかったね」

  嬉しそうに微笑む。

  今日はどこへ行こうか?この空間にいられる時間は限られている。健康上の配慮がされているからだ。

  だから僕は時間いっぱい彼女と目的地に向かって走った。

  「楽しいね」

  ただ走っているだけで彼女は幸せそうに笑った。

  『ログアウトしました』

  無機質な音色が夢の終わりを告げる。僕は装置から出ると隣の部屋へと移動した。

  そこにいたのはVR装置に繋がれた僕の愛犬。

  彼女は事故に遭い、自分の足で歩けなくなった。

  そんな彼女をVR装置に繋げたところ、仮想空間で会えるようになった。アバターが人の姿をしていたのは予想外だったけど。

  僕は彼女を抱きかかえると外に出る。

  今度は現実の世界を散歩しようか。今日は風が気持ちいいよ。