バレンタインカレッジ

  「とうとう来たね…」

  「来ましたね…」

  「……ふん」

  バレンタインデー。それは、日頃お世話になっている者に対しての感謝の気持ち、気の置けない友人に渡す信頼の証、そして心から愛するものへの愛を、菓子を渡すことにより表現する、思春期の若者にとっては見逃すことの出来ない大切なイベントであった。

  「もちろん、約束は覚えていますよね、皆さん」

  「当たりめぇだ!勝負に勝ったやつが今日一日…」

  「アルゴ殿を独占できる…でしたよね」

  「その通りです。思うところもあるでしょうが、これを破ることは誰であろうと許しませんよ。審判としてルールを冒した場合は、宿題5倍です」

  「な、なぁ、因みに聞くけど、俺はどうなるんだ…?」

  「貴方の場合は…一ヶ月教官全員の事務処理を一人で行ってもらいます。もちろん休憩もなしです」

  「……はぁ?!」

  「狡をしなければいいんです」

  「おい、そんな事より早くしようぜ!アルゴのやつそろそろ起きてくるぞ!」

  「ワシは、負けんぞ!!」

  「わかりました…では、行きますよ…!!」

  「「「「「「「ジャンケン、ポン!!!!!!!!!!!!」」」」」」」

  アルゴを待つ↓

  アルゴを迎えに行く[jump:2]

  ────────────────────

  「おーい、みんな、ここに居るのか…て、え?」

  鬼の形相でこちらを睨みつける猛獣達。あるものは涙を流し、あるものは地団駄を踏み、あるものは満面の笑みで喜んでいる。これは、一体…???

  「なぁ、みんな、どうしたんだ?」

  「アルゴ君、おはようございます」

  「セリオ教官…これはなんなんですか?」

  「少し勝負をですね…まぁ、ジャンケンなんですけど」

  「ジャンケン…なんでそんなことを…」

  「貴方は、気にしないで良いんですよ、それより…」

  ズンズンと俺の方に歩み寄ってくる影。

  「……おめでとうございます、せっかくのイベント、心ゆくまで楽しんでください」

  「……よく分かんないけど、まぁいいか」

  こうして、俺の楽しいバレンタインは始まったんだ。

  不格好なチョコと愛 [jump:3]

  騎士の矜持、護るべき友[jump:6]

  友達なんかじゃ満足出来ない[jump:7]

  [newpage]

  「おめでとうございます。アルゴ君はまだ起きてこないようですが、ご自分で迎えに行きますか?」

  こくんと頷く。

  「彼は今日一日、アルゴ君と満足行くまで遊べる…。残念ながら負けてしまった方は、次の機会を待つしかありませんね。とにかく、勝利を手にしたのは貴方です。精一杯楽しんできてください」

  私の分まで、ね。

  「行ってらっしゃい。後悔のない一日になるよう、頑張ってくださいね」

  彼は足早に部屋を出ていった。

  明日へ舵を切る[jump:4]

  当たり前の日常を[jump:5]

  蕾はやがて花となり[jump:8]

  誉ある大騎士達の過去[jump:9]

  [newpage]

  不格好なチョコと愛

  ver.グラントリー(虎)

  「よっしゃああああああ!俺の勝ちだァァァァァ!」

  思わず声を張り上げる。二ヶ月前から綿密な準備をしていたのだ。今までやったことの無い菓子作りも、考えたことの無いデートプランも、そこからアルゴとどうやってエロい雰囲気に持ち込むかも、全部計画済みだ。そして何よりも、他の奴らを出し抜けたのが一番でけぇ。

  「おい愚民…!俺と代われ、お前はあいつとは釣り合わん…!!」

  「ちょっとは先輩に華を持たせてもいいんじゃないか?」

  「ありえない…本当に、ありえない…」

  「うるせぇ!誰がなんと言おうと、勝ったのは俺だ!てことはだ!アルゴの一日は俺のもんだ!邪魔すんなよ!」

  そんなこんなで、起きてきたアルゴを連れて、俺は街へと繰り出したのだった。

  「なぁグラン、どこに行くんだ?」

  「せっかくの休みだろ?任せろ!プランは考えてあっからよ!」

  「プランって…他の奴も誘えばいいだろ、なんで俺だけ…?」

  「気にすんな!いいか、今日は他のやつの話題は禁止だ!」

  「お、おう…」

  俺達はずんずんと最初の目的地へ足を運んでいく。アルゴは終始戸惑った様子だったが、とりあえずは俺に付いてきてくれた。耳をピコピコさせながら首を傾げている。クソっ…可愛い…!

  「おう、着いたぞ!」

  「ここは…」

  俺が考えた最初の目的地はここ…

  「ぼ、牧場?」

  「そうだ、牧場だ!何日か前にここの管理人に許可貰ってきたんだ」

  「許可って何の?」

  「馬だ!」

  「馬…要するに、乗馬ってことか?」

  「おう、お前、前に乗ってみたいって言ってたろ?俺が教えてやるよ!」

  「マジで!?すげー嬉しい!サンキュー、グラン!」

  ……良かった、喜んでくれた。まぁ、ここは本人にリサーチ済みだったからな。ある程度の自信はあった。だけどここから先は俺だけで考えた計画だ…。

  「いやー楽しかった!また来ような、グラン!」

  アルゴは笑顔で近寄ってきて、俺に目いっぱいのハグをしてきた。全くこいつは…だけど、今の俺にとっては僥倖だ。

  「おう、また来ような」

  アルゴは上機嫌で次の目的地に向かう。よし、いいぞ、この調子だ…!!

  「アルゴ、着いたぞ」

  「へぇ〜、水族館か!この島にもあったんだな」

  「あぁ、この前一日中…いや、たまたま見つけたんだぜ、お前に教えてやろうと思ってな!」

  「そうなのか…俺は魚は見るのも食べるのも好きだからな!早く入ろうぜ!」

  こ…好感触!!

  「おっし、俺についてこい!ガイドしてやるよ!」

  「…ありがとうな、グラン」

  俺達はアシカショーにペンギンショー、海洋レストランなどを楽しんだ。水族館を出た頃には既に日が暮れかかっていた。

  「今日は楽しかった、最高だったよ、グラン!」

  「俺も普段はこういう所は来ないからな、楽しかったぜ」

  「うんうん、また来よう!」

  学び舎までの帰路を、沈みかけた太陽が俺達の影を伸ばしながら照らしてくれる。今日のプランはきっと成功したのだろう。やっとここまで来れた。後もう少し、ほんの少しだけ勇気を出そう。

  「お、おいアルゴ」

  「ん?」

  「これ、やるよ」

  「う、うん…これって…チョコ?」

  「おう、」

  「でもこれって…」

  「わ、悪かったな!形が悪くてよ…。でも一生懸命頑張ったんだぜ?料理なんて殆どした事無かったしな…」

  「…うん、分かるよ、そのくらい」

  「…」

  「だってさ、お前の手、ボロボロじゃないか。剣技の修行で付いたような傷にも見えないし、指に沢山傷が出来てるだろ」

  「…そんなんいいじゃねえか。そんな事よりアルゴ、今日、楽しかったか?」

  「…もちろん!本当に楽しかった!ありがとう、グラン」

  ゆっくりと道を進む。空を見ればすっかり夜。瞬く星が夜空を綺麗に彩っている。だがそんな星よりも、俺にはアルゴの笑顔の方がよっぽど輝いて見えた。

  「な、なぁアルゴ」

  「ん?」

  俺はアルゴに抱きついた。優しく、驚かせないように。俺の勇気が足りないせいで、伝わり切らないこの感情を少しでも分かってもらいたくて。

  「…お前こそ、よっぽど甘えん坊じゃないか」

  「うるせぇ、今日は特別なんだよ、」

  「…このデカいのも、『特別』だもんな?」

  「…」

  気持ちの昂りが抑えられない。その高まりが俺の股間に伝染し、みっともなく肉棒を腫らしてしまっている。

  「アルゴ、良かったらさ…」

  「…あぁ、いいよ、でも帰ったらな?」

  「グルルゥ…が、我慢する…」

  俺達は急いで学び舎に戻った後、直ぐにトイレに向かった。できるだけ離れにある、人があまり来ないトイレに…

  「アルゴ、も、もう我慢が出来ねぇ…同室のやつが潔癖でよぉ、全然シコレねぇんだ…」

  「しょうがないな…」

  アルゴは俺のズボンに手をかけ、パンツごと一気に肉棒を露出させる。ブルンっと雄臭い臭いを放ちながらアルゴの目の前に自慢の肉棒を向ける。

  「…く、臭い…お前、暫く風呂入ってないだろ…」

  「…お前が最近誘ってくれねぇからシャワーだけな」

  「グラン……今のは少し可愛かったぞ…」

  「ガルルゥ…うるせぇ、…それより、早くよ…」

  「うん…俺も…興奮してきた…」

  クンクンと俺の肉棒に鼻を付けるアルゴ。最近細かく洗っていないせいか、所々にチンカスがこびりついちまってる。そんな汚いカリ首に鼻を押し付け、精一杯臭いを取り込んでいる。アルゴの下半身を見ると既に膨れていて、俺の肉棒で興奮してくれているのが分かる。

  「あっ…すげ…アルゴ…もっとグリグリって…」

  「グルゥ…ガァ…はぁっはぁっ…あぁ、」

  「な、舐めて…俺のチンポ早く舐めて…」

  「ウゥゥゥ…焦んなよ…もうちょっと…もうちょっとだけ…」

  玉をマズルで持ち上げたり、竿を頬に擦り付けたり、決して口には含んでくれない。ちょっとの刺激が俺の我慢汁を分泌させ、アルゴの顔を汚していく。

  「ガァ…ギュルルル…もう…もう我慢出来ねぇ!!」

  「!??!?!」

  アルゴの口を無理やり開かせ、肉棒を喉奥に叩きつける。

  ジュポッジュポッ…グチュグチュ…

  入り切らない大きさの肉棒を、舐めまわし、咥え、刺激を与えてくるアルゴ。

  「アルゴ…!アルゴ…!」

  「んぅ…んっんっ」

  いつの間にかアルゴはズボンを降ろしていて、自らの肉棒を扱いている。離れだからといって、いつ人が来るかわからない。その背徳感と興奮が、俺達を更に欲情させる。

  「アルゴ…好きだ……俺は、お前が好きだ…!」

  「!?……」

  「イグ…イグ…イグ…イクぞ…!飲み込め、飲み込めよ、全部!」

  「……!!」

  「グルルルルルルルァァァァ!!」

  ドピュルルルルッドピュッビュルルルゥゥゥゥ

  「うぁぁぁ、まだ出る…!!」

  精液が止まらない。自分でも怖くなってしまうほどに、出続ける。アルゴも一生懸命飲み込んでくれてはいるが、既に鼻から逆流してしまっている。ヤバい、このままだと窒息させかねない…!俺はすぐさま肉棒を引き抜いた。

  「グルル…はぁっはぁっもう、もう出ねぇ…」

  「………」

  「おい、アルゴ?」

  「……だから!!出しすぎ何だって!死にかけたぞ馬鹿!!」

  「悪かったって!しょうがねえだろ!抜いてなかったんだから!……なんだよ、お前もイッてんじゃんか」

  「え?……あ、ほんとだ、いつ?…」

  「お前も興奮してたんだな!」

  「うるさいよ…そんなことよりさ」

  「ん?」

  「お前、俺のこと好きって言ってたよな?」

  「……そ、そんなこと言ったか!?」

  「言った!絶対言った!」

  「……そうか… 言っちまったか…」

  「本気なのか?グラン」

  「…あぁ、本気だ、お前が好きだ、アルゴ」

  「ま、マジか…因みに…どこが…?」

  「そうだな、まずこんな俺にも優しく接してくれるところが好きだ、必死に周りに追いつこうと努力する姿もかっけぇ。それに俺のアレを舐めてる時のお前の可愛い顔も大好きだし、誰に対してもはっきり物事を言う勇気も尊敬してる。そして何より…お前の笑顔が見てぇ。これからもずっとな」

  「……………え、えぇ!?」

  「もっかいだけ言う、アルゴ、俺と付き合ってくれ」

  「……………全く、お前はよくそんな恥ずかしいことを…でも、嬉しかったよ。……よ、よろしくお願いします…?」

  「!!……いいのか!?」

  「うん、俺もグランが好きだ。だから…」

  「んぅ!?」

  突然キスをしてくるアルゴ。その目は恥ずかしさを帯びながらも、何処か男らしい覚悟のようなものを宿していた。

  「……へへっ…末永く、よろしくな」

  あぁ、泣いちまいそうだ。でもここで泣いたら情けなくて顔を向けられねぇ。耐えろ、耐えて言うんだ。ずっと前から考えていたセリフを…。

  「アルゴ、俺がお前を守ってやる。お前がどんなに強くなろうと関係ねぇ。俺は男として、お前の恋人として守り通す。だから、お前は俺を…し、慕ってくれな?」

  噛まずに言えた。我ながら大分臭いセリフだったがどうだ…?

  「…あはは、それ、どんくらい考えたの?その決めゼリフ」

  「わ、笑うんじゃねえ!必死に考えたんだよ!ちょっとは感動しやがれ!」

  「……うん、感動した、かっこよかったぞ」

  笑いながらトイレを出る俺達。告白の場所がトイレじゃムードもへったくれも無いが、今はそんな感じでいいかな…

  ────────────────────

  (後日談)

  「おいテオ!俺のアルゴにくっつくんじゃねえ!」

  「オスカー、ちょっと距離近いぞ、もうちょっと離れやがれ!」

  「教官……幾ら教官だからって、それ以上親しくするのは許しませんよ……」

  「お、おいグラン、ちょっと厳しすぎないか…?」

  「うるせぇ!お前を守るためなんだから仕方ねぇだろ!」

  あの日からグランは、過剰としか呼べないぐらいに俺の傍から離れず、俺の事を守ってくれていた。結局部屋もまた同じになり、毎晩お互いを泣かせたり泣かされたりしている。

  「おいアルゴ、今日は俺が挿れる側でいいか?」

  「えぇ……俺、お前のよがり狂う姿、また見たいなぁ」

  「よ、よが…!?」

  グランのものはデカすぎて、結構受け入れるのはきついんだけど、俺のはグランにとってちょうどいいサイズらしく、前立腺を突ついてやると、子猫のような悲鳴を上げながらよがってくれるのだ。その姿がとても可愛らしく、ついつい虐めてしまう。

  「グルルウ……俺が上だ…」

  「ダーメ、俺が上、その方がお前も気持ちいいだろ?」

  「……」

  すぐに否定してこないとは図星だからだ。

  「グラン」

  「な、なんだよ…」

  「俺、ほんとにお前のこと好きだからさ、気持ちよくなってもらいたいんだよ…わかるだろ?」

  「………///…う、うるせぇなあ//…そこまで言うんだったら、仕方ねぇ、認めてやる」

  「サンキューグラン!ほら、早く行こうぜ、授業遅れちゃうよ!」

  「たくっ……これってもしかして俺が雌かぁ?」

  可愛いグラン、かっこいいグラン。知っているのは俺だけだ。この関係を、いつまでも大切にしていこう…

  [newpage]

  明日へ舵を切る

  ver.ディーデリク(狼)

  「よし、俺様の勝ちだな」

  セリオの牽制、生徒の白い目、それら全てをくぐり抜けて今俺はここにいる。好きでもないし興味もねぇチョコを一から作り、俺の可愛い生徒を喜ばすために全力を尽くしてきた。もちろん、立場上恋仲になるのは簡単ではない。

  「貴方…アルゴ君に手を出すのだけは、無しですからね?」

  「あぁ、わかってるぜ。あくまで遊ぶだけだ」

  『遊ぶ』…ふふ、いい響きだ。海賊時代も散々遊んできたが、今俺が興味あるのはアルゴだけだ。

  「よぉしお前ら、邪魔すんなよ!今日一日アルゴは俺のものだ!」

  まぁ、邪魔したくとも、出来ない場所に行くんだけどな。

  さて、アルゴを呼びに行くか…。

  「アルゴ〜!起きてやがるか!」

  「わっデリク教官!ちょっ今は…」

  「んっ?…ハハァン」

  アルゴを呼びに部屋に入ると、布団に蹲る姿が目に入った。こいつ、朝っぱらからオナニーしてやがったな。

  「アルゴ、思春期なのはわかるが、こんな早くから抜くのはどうかと思うぜ?」

  「ほ、ほっといてくださいよ!いきなり入ってきて…もぉぉ…」

  「ほれほれ、見せてみろ」

  「あ!」

  布団を剥がしてみると、ギンギンに勃起したアルゴのちんぽが目に入る。ヒクヒクと動いていて、射精の準備は既に完了といった感じだ。

  「前みたいに俺が抜いてやっても良いんだが、今日はちょいとお預けだ。お前を連れていきたいところがあるからな。我慢しろ。」

  「……わかりましたよ。ちょっと待ってて下さい」

  恥ずかしそうに服をきながら、出かける準備をする。正直ムラっときたが、ここで襲っちまったら今日の計画が台無しだ。俺も我慢しなきゃ意味ねぇからな。

  「準備出来ましたけど…何処に行くんですか?」

  「おう!今日は久々に海に行くぞ」

  「海!久しぶりですね!もう海が恋しくて恋しくて…」

  「だろ?俺もうずうずしてんだ。行くぞ」

  「はい!」

  学園を出ようとすると、セリオ達がアルゴに話しかける。

  「手を出されても受け入れちゃダメですよ」

  「襲われたらすぐに逃げるんだぞ」

  「いつでも呼んでください。すぐに向かいます」

  「失礼だなお前ら!なんもしねぇよ!」

  まぁするんだが。

  「大丈夫、楽しんでくるよ」

  敗北者達が見送る中、俺たちは、目的地の船へと向かった。

  「これって…授業で使った船じゃ無いですよね?」

  「そりゃそうだ。これは俺の船だからな」

  「え!?これが教官の船?」

  「あぁ。おいテメェら!準備は出来てるか!」

  「おうよ!久々だなキャプテン!」

  「寂しかったぜ〜船長!!」

  「おう、久しぶりだな、お前ら」

  「あ、あの…教官、これって…?」

  「あぁ、俺が海賊やってた頃の仲間達だ」

  「そうなんだ…うわぁ…皆かっこいいなぁ」

  アルゴの羨望の目を受けて恥ずかしそうにする仲間達。顔を赤らめたり尻尾振ったり、いい歳してなに照れてんだこいつら。

  「いいか!今日の客はVIP中のVIP、俺の生徒のアルゴだ!丁重にもてなしやがれ!」

  「「「「イエッサー、キャプテン!」」」」

  「迫力が凄い…!」

  アルゴは目をキラキラさせて船に乗り込んでいる。俺がこいつに用意してやれるのはこんぐらいだから、喜んでくれて良かった。

  「なぁアルゴ、飯食うか?」

  「はい、もうお腹ペコペコで…」

  「わかった。おうお前ら!BBQの用意しろ!そっちは刺身だ!十五分以内に全て終わらせろ!」

  「了解!!」

  急いで肉を焼き、魚を捌く仲間達。少し時間があるから、アルゴに船内を軽く案内してやることにした。

  「うわぁ…結構広いんですね」

  「うちは船員が多かったからな、でけぇ風呂もあるぜ。そしてここが…」

  「おお…」

  「俺の部屋だ」

  アルゴを俺の部屋に連れてきてやる。船の中で一番広い部屋だ。もちろんオモチャも色々ある…。

  「お前が今日俺と寝る部屋だ。覚えとけよ?」

  「寝るって…変な意味じゃないですよね?」

  「さぁな」

  そろそろできた頃だろう。

  「お頭!準備万端でっせ!」

  「お疲れさん。お前らも食えよ、今日はパーティーだ!」

  「「「「うぉおおおお!!!!」」」」

  「やっぱかっこいい……!」

  ん?なんか変なところで興奮してないか?こいつ…まぁ、楽しいならいいか。俺達は、昼過ぎまで肉や魚を食いまくった…。

  「おいアルゴ、船長はどうだ、いい男だろ?」

  「かっけぇよなぁ…俺らの憧れなんだ、キャプテンは」

  「夜もすげぇんだぜ…一晩で何回イかされたことか…」

  「あはは…皆さん、教官の事が大好きなんですね」

  「「「「おうとも!」」」」

  あいつら、恥ずかしい事をアルゴに吹き込みやがって…。だが、前の仲間と今の最愛の生徒が仲良くなってくれんのは、俺としても嬉しい限りだ。だが、アイツらが変な感情を持っちまうかもしんねぇのは危ねぇな。

  「おいお前ら、アルゴは俺の大切な生徒だ!手出ししやがったら、ただじゃ置かねえぞ!」

  「教官…」

  「なんだよ分厚いな〜!もしかして船長、惚れちまってんのか?」

  「んなわきゃねぇだろ!あんなにホイホイ手を出す船長がまさか恋なんて…」

  「……」

  「…え、ほんとに?本気で惚れちゃったの?」

  「ち、違いますよ、俺達は別にそんな関係じゃないです」

  「未成年…強姦…」

  「成人です!強姦もないです!ですよね、教官?」

  「……まぁ、今日の夜にはっきりさせてやるよ」

  「え?…それって…」

  「おら、話は終わりだ!俺達の休みは今日しかねぇんだ!騒いで歌って盛り上げろ!」

  「は〜い」

  「あの船長がねぇ…」

  夜。一日騒いだ俺達は風呂を上がり、二人で俺の部屋にいた。

  「教官、とても楽しかったです…。でも、学園に帰らなくていいんですか?」

  「構いやしねぇさ…適当に理由つけとく」

  「適当って…」

  「それよりアルゴ、お前に渡したいもんがある」

  「渡したいもの…?」

  「これだ」

  俺が懐から取り出したのは、丁寧にラッピングされたチョコ。俺が丹精込めて作った、自信作だ。

  「チョコ…俺に、くれるんですか?」

  「あぁ、ちなみに他の奴には一人もやってねぇ。お前だけだ」

  「それって…もしかして」

  「あぁ、お察しの通り、『本命チョコ』ってやつだ」

  「……!」

  「アルゴ、俺の目を見ろ」

  「は、はい…」

  「お前が好きだ、俺と、付き合ってくれ」

  「……ダメですよ、そんなの」

  「なんでだ」

  「だって…俺も出来ることなら教官とずっと一緒に居たいです…でも、俺が一番嫌なのは、教官が学園をいなくなることです。そんなことになる可能性がちょっとでもあるなら、俺はOKを出す訳には行かないんですよ…」

  「アルゴ…」

  こいつは何処までも優しく、俺の事を考えてくれるやつだった。久々に仲間にも会え、アルゴと二人きりでいられたことに浮かれて、そんな簡単な事にも気づかなかった。

  「そうか…そりゃそうだよな、お前が、OKを出すはずがねぇ」

  「すみません、教官…」

  「いや、俺の事を考えてくれてるんだろ?俺が悪かった」

  「教官…でも俺、本当に嬉しいです。だから、もし良かったら…」

  「ん?」

  「……俺が卒業するまで、待って貰えませんか?」

  「……!そ、そりゃほんとか!?」

  「はい、もしよろしければですけど…」

  「わかった、待つ、待つぜそんなの!お前が手に入るなら安いもんだ!約束だからな、破んなよな!」

  「…はい」

  ただ待てばいい。隣でこいつの成長を見守りながら、こいつと恋仲になれる日を待てばいいんだ。慌てることは無い、ゆっくりと時が経つのを待とう。

  「…へへっなんか照れるな、こういうの」

  「ほんとですよ…もう寝ましょ、教官」

  「あぁ…でもその前に…」

  俺のムラムラを、何とかしてもらわなきゃな?

  「あっ…ちょっと、教官…デリク教官!」

  俺は、アルゴに抱きついて、こいつの匂いを嗅ぐ。若い青臭い匂い、それ以外に、汗の匂いがほんのりと感じて、とてもいい心地がした。

  「……アルゴ、ヤろうぜ?」

  「……だから、ダメですって」

  「ここには俺達以外いない。前にも軽くヤったろ?大丈夫だって」

  「でも…」

  「それに…ほら、見てみろ」

  「……あぁ…」

  「お前のズボン、こんなに盛り上がってるぜ?」

  「…教官こそ」

  「当たり前だろ、お前のチンポに触ってんだ」

  「は、恥ずかしいです…」

  「ほら、腰上げろ、脱がせてやる」

  「はい…」

  素直に服を脱がされるアルゴ。あぁ、我慢出来なくなっちまいそうだ。今すぐぶち犯してやりてぇが、俺のデカさじゃ無理だろうな…。

  「おいアルゴ、今日はお前が俺に入れろ」

  「え…でも」

  「まぁ、お前のケツは今度ゆっくり開発してやるよ。とにかく、お前と繋がりてぇんだ」

  「…分かりました。あんまり慣れてないですけど…」

  俺も服を脱いで、裸で抱き合う。ビンビンに勃ったチンポ同士が擦れ合い、微弱な快感を生む。

  「あん…教官、重いです…」

  「グゥ…グルルゥ…」

  「き、教官?」

  あぁ、思考がぼやける。俺の中の雄が牙を向き始め、目の前の獲物に食いつこうと野生の本能が目覚め始める。

  「がァ…アルゴ、咥えるぞ…」

  「あ、デリク教官…、がっつき過ぎですよ…」

  「うるへぇ、らあっえくわえられへお」

  「あ、そのまま喋んないで……うぁぁ、あぁ」

  舌で皮をほじくり、強い味を求めて舐め回す。成熟仕切った雄の臭いが我慢汁のしょっぱさと混じり合い、脳がクラクラする程の味と臭いが鼻に入ってくる。

  「ふぅ……まぁ、こんなもんか…」

  「ふーっ、ふーっ、教官、俺、俺もう我慢が…」

  「待てよエロガキ、焦んなって」

  俺は部屋に常用してあるコンドームをアルゴに付けてやる。

  「あ、お"お"!出る、イグ!!グルルルオオオ!!」

  「!?」

  まだ付けきれていないゴムの中に、大量の精液が溜まっていく。こいつ…。

  「おいおい、付けるだけで射精してんじゃねえよ…」

  「す、すみません…結構、限界だったんです…」

  「しょうがねぇなあ…」

  俺はコンドームを外して、中の汁を口に含む。

  「うお、すっげぇ濃い。お前、溜まってたのか?」

  「え、そんな事は…昨日も抜きましたし…あ、でも朝に寸止めされたから…」

  「そんなに興奮してるってことか…嬉しいぜ」

  二つ目のコンドームを取り付ける。よし…今回は大丈夫そうだな。

  「アルゴ、俺の尻を解してみろ」

  「え、俺が…?いいんですか、上手く出来るか分かりませんよ?」

  「馬鹿、練習だ練習。冷えちまうからさっさとしろ、そこのローション使えよ」

  「えーと…これですね、分かりました、頑張ります」

  冷たい感覚が肛門に伝わったかと思うと、直ぐにアルゴの指が入ってくる。

  「おい、もっとゆっくりやれ!」

  「すみません…でも、結構簡単に入りますよ…指、増やしますね」

  「あ、待ちやがれ、んおぉ♡」

  い、いきなり三本入れやがったァ♡

  「教官、ちゃんと気持ちよさそうですね」

  「うるせぇ…久しぶりだから、なんかムズムズしちまう…それより、もっとやってくれ」

  「はい……ん、ここは…」

  「グ、グルルルゥ…ガァ、グウウウウ…♡」

  我慢しようにも、イイとこツンツンされて声が出ちまう♡こんな、年下のガキに…ケツの中気持ちよくさせられてる♡

  「き、教官、もう入れていいですか、俺、見てるだけで射精しそうなんですけど…」

  「あぁ、いいぞ♡ガッツリぶち込んでくれ♡」

  「いきます…!」

  「ア゙ア゙ア゙!!」

  入ってきた…、やっぱり、こいつの太い…!

  「へへっ…やるじゃねえか、アルゴ…海賊にも、お前レベルのデカさはそこまでいねぇぜ」

  「あ、ありがとうございます…それより、腰が止まんない…♡」

  「ガァ、んな奥まで…♡あ、あぁ、うぉぉ…♡」

  「はぁ、はぁ、教官、教官、好きです…俺、教官が好きです…!」

  「…!」

  …あの日の夜を思い出す。俺達が初めて互いの思いを伝えあった日。初めてこいつが俺のチンポを舐めてくれた日…アレから、より一層こいつが愛しくなり、とうとうこんなことまでするようになっちまった。

  「アルゴ…俺も、お前が大好きだぜ…」

  「……はい、ありがとうございます」

  「へへっ…そら」

  「うぁ…♡」

  力を入れて、ケツを締めてやる。圧迫感が増して、より快感が強まったはずだ。

  「教官、俺、もうイきます…」

  「あぁ、いいぜ、俺ももう…!」

  「あ、イク、イクゥ!!」

  「ガルルゥ…!」

  どうやらイったようだ。俺も、顔まで飛ぶぐらい沢山出しちまった…。

  「……あー、気持ちよかった」

  「…はい、俺もです…」

  「ははっ…そりゃよかった……疲れたな、こんまま寝ちまうか」

  「はい……俺も……もぅ……」

  「………アルゴ?」

  寝ちまったか。最後にキスぐらいさせろってんだ…。まぁ、許可なんて最初から取るつもりないけどな…。

  「くぅ……くぅ……」

  頬に軽くキスをする。気づかないようだが、俺は大満足だ。アルゴを受け入れることも出来たしな。

  「…俺も寝るか」

  朝、顔を赤くした仲間達が俺達を起こしに来た。

  「せ、船長……昨夜はお楽しみだったみたいで…声、すげぇ聞こえてましたよ。俺ら、ムラムラして眠れなかったっすよ…」

  「あぁ?…あぁ、そりゃ悪かったな。昔だったらお前ら纏めて抜いてやったが、今はこいつ一筋なんだよ」

  「へぇ…わかってやす。船長も、大事にしてやってくださいね、人使いが荒いんだから」

  「うるせぇ、さっさと風呂沸かしてこい!」

  「了解!」

  部屋から出ていく元同僚。ズボンを膨らませていたことは突っ込まなくてもいいだろう。

  「おい、アルゴ、起きろ、アルゴ!」

  「……おはようございます、教官」

  「おはようさん、よく眠れたか?」

  「はい…でも、毛がパリパリです…」

  「風呂を用意させてある、入りに行くぞ」

  「はい!」

  陽気に服を着るアルゴ。朝勃ちが目に入るが、今また襲うのは流石に厳しいだろう、これから授業もあるしな。

  「……行くか」

  「了解です、船長!」

  「何言ってんだ、ガキンチョ」

  こいつを手に入れるまで、まだ少し時間がかかる。でも、焦る気持ちなんてこれっぽっちも持っちゃいねえ。また明日、さらに明日を過ごしていけばいい。俺はこいつを信じてるし、こいつも俺を信じてくれているからだ。さぁ、今日も一日頑張るか…。

  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  船長の部屋を覗き見する二つの影。筋骨隆々の獅子獣人と、片や少し劣るが十分筋肉質な虎獣人である。

  「うわ、やっべぇ、お頭達、おっ始めやがった…」

  「おい、バレたら不味いって!早く部屋戻ろうぜ!」

  「まぁまぁ、もうちょっとだけ……おいおいマジか、お頭が受けかよ…!」

  「なに…!?うわ、ほんとだ、アルゴが船長のケツ解してる…」

  「見ろよお頭の顔、お前が掘られてる時の顔と同じぐらい気持ちよさそうだぜ…」

  「うるさいぞ!……でも、気持ちよさそうだなぁ…」

  「……おい、なにちんこおっ勃ててんだよ」

  「うぉ!?急に触んな!」

  「でけぇ声出すとバレちまうぞーー」

  「あ、やめ、やめて…そんなしたら俺…」

  「ヤりたくなっちまう……だろ?」

  「……(コクン)」

  「わかった、部屋戻るか、今日はたっぷり犯してやるぜ」

  「頼んだ……疼きが止まんねぇ…」

  「任されよ!」

  その夜、船内のあちらこちらで、嬌声や呻き声が上がったが、デリクとアルゴはその声に全く気付かずにセックスをしていたのであった。

  [newpage]

  当たり前の日常を

  ver.テオ(黒豹)

  「ふん…当然だ。俺が負ける筈がない」

  「さ…流石です…テオ様……はぁ…」

  「お前は無人島でずっと一緒だったじゃねえか!譲れ!」

  「断る。俺が掴んだ勝利だ。貴様らには大人しくしていてもらおう」

  ようやくこの日が来た…。思えば、随分と丸くなったものだ。プランを成功させるために様々な書物を読み漁り、それらは今ベッドの下に積まれている。同室のオスカーには絶対に見せられない。そこまで役に立つ内容ではなかったがな。まぁ、頭の出来はいい方であるから、、大した時間をかけなくて済んだのは幸いだった。

  「待っていろ……必ず、お前を物にしてやる」

  そう決心して、テオは敗者の嘆きを無視してアルゴの部屋に向かうのであった。

  「アルゴ、起きてるか?入るぞ」

  「ん?…テオ?……いいよ、どうぞ」

  「あぁ」

  俺は寝惚け眼のアルゴを見て察する。きっとこいつは、また一人で夜遅くまで勉強していたのだ。何とかスタート地点の遅れを取り戻すために。

  「……眠そうだな」

  「いや、そんなことないよ。ところで何か用か?」

  「喜べ。今日は特別だ。俺がお前をエスコートしてやる」

  「は?エスコート?……あぁ、バレンタインだから?」

  「貴様にしては察しがいいな。早く準備をしろ。出かけるぞ」

  「うん、それはいいけど…なんで俺?ていうか俺男だし!」

  「関係ない、後にわかるさ」

  アルゴは寝癖を直し、服を着替え準備に入った。今のうちに頭の中で復習しておこう…。

  ①アルゴに主導権を握らせない。

  ②常に堂々と、王族の威厳を持って接する。

  ③必ずチョコを渡す

  「よし…」

  「なんか言った?」

  「いや、言ってな……!?」

  「…?…あぁ、ごめん。朝勃ちが治まんなくてさ…」

  「……べ、別に構わん。俺も…よくあるからな」

  「なんだよ照れちゃって……よし、治まった。行こうぜ」

  「う、うむ…」

  主導権を……握らないと…。

  街に出た。天気は晴れ、気分は良好、財布もちゃんと持っている。……完璧だ。

  「アルゴ、腹は減っているか」

  「そうだな…どっか行こっか」

  「店を予約してある。着いてこい」

  「お、おう…」

  「な、何これ?」

  「ふっ…驚くのも無理はない。ここは平民のお前では一生縁のないレストラン『レジェンド・オブ・フロンテイル』だ。我が母国、ハーシュライヒにも噂は伝わっていた。お前のために今日は貸切だ。好きなだけ食べるといい」

  「(星……10!?……一体幾ら払えば!?)」

  「どうした、早く入るぞ」

  「緊張する…」

  「気にするな、お前は俺の連れだ。堂々としていればいい」

  「テオ…お前、今日はかっこいいぞ!」

  「俺がかっこよくないわけがないだろう…」

  「顔デレッデレだぞ」

  「煩い!」

  王族の威厳を持って接する…接するのだ…!

  アルゴは信じられないぐらいの量を腹に収め、店を後にした(俺はコーヒーとパン三つである)。

  「俺…二度とこんな美味いもの食べれないだろうな…」

  「何を言う。俺達は『友達』なのだろう?この程度、幾らでも奢ってやるさ」

  「(友達ってそんな奢ったりしないんだけどな…)」

  「さて、何処か行きたい場所は思いついたか?」

  「俺はお前が一緒なら何処でもいいよ」

  「…はっ、生意気を…なら俺の行きたい場所に連れていくぞ」

  「おう!」

  目的地へ歩き出す。だが、改めて意識してみると気付くことが多々ある。まず歩幅である。俺は大きな一歩で歩数が少なく進んで行く傾向があり、アルゴはちょこちょこ早足で進んでいく傾向がある。さらにこいつは常に上を向きがちで、俺は下を向いて歩いている。根本の性格が日常生活に反映されている気がして、少し悲しくなってくる。

  「テオ、どうした?下なんか向いて」

  「……何でもない、それより着いたぞ」

  「え、ここ?でも…」

  「あぁ、前から行ってみたいと思っていたのだ…」

  「ここってゲームセンターだよな?」

  「……そうだが」

  「いや…そりゃ俺も田舎だからゲームセンターなんてほんとにちっちゃいのしかなかったけど…」

  「コインゲームにUFOキャッチャー…噂は聞いていたが、これ程までに甘美な響きだとは…」

  「甘美って…まぁ、入ってみるか」

  「あぁ…」

  世俗的なものにあまり触れてこなかった反動か、かなり興奮してしまった。しかし、俺以上に興奮していたのはアルゴだ。予想を超えていたのか、目を離せばすぐどこかに消えて、気が付いたら隣で耳をピコピコ動かしている。田舎出身が丸見えだが、俺自身も同じようなものなので、突っ込む事が出来ない。考えてみればおかしな話だ。片や田舎者、片や王室育ち、全く逆の立場の人間がゲームセンター如きに惑わされている。

  …考えていても仕方が無いか、まずはメダルゲームとやらを試してみよう。

  「おい、なんか光ってるぞ!ボールが、ボールが、ごろごろ転がってる!」

  「と、戸惑うな、落ち着け…!あの穴を見ろ、あそこに入れば恐らく…!」

  「メダルが出てくるのか、出てくるんだよな!?もう俺達十枚しかないぞ!」

  「ふ、俺を舐めるな。この程度の修羅場、幾らでも潜り抜けてきたわ!」

  「ど、何処かで聞いたセリフ…でも、何故か信頼出来る!」

  ボールが止まる…!さぁ、どうだ!?

  『あちゃ〜残念!惜しかったね!また挑戦してね〜』

  「……」

  「……」

  「……次行くか」

  「…………もう少しだけやって」

  「やめろ、また馬鹿にされるだけだ。クソ、俺を舐めやがって…」

  「はぁ……あ、あれ見てみろよ、写真取れるんじゃないか?」

  「ん?……知っているぞ、あれは『プリクラ』というものだ」

  「へ〜〜…行ってみようぜ!」

  「いいだろう」

  暖簾?のようなものを捲り中に入る。すると…

  『こんにちは〜!楽しんでるゥ〜??写真で素敵な思い出を作らない?』

  「うわっ、喋り始めた!」

  「ふむ…どうやら、ガイドのようだな」

  『お金を入れて、スタート!』

  「ほいっと」

  『それでは、指定された場所に立ってください!』

  「……」

  『可愛いポーズで、友達、恋人と最高の写真を撮っちゃおう!』

  「恋人か…悪くない」

  「何言ってんだよ、恥ずかしい!」

  「俺は真面目なのだが」

  「……いいから、あ、ほら!ポーズポーズ!」

  『犬の貴方は胸の前、猫の頭の上に両手を掲げてね!』

  「こ、こうか…?」

  『指を曲げて、最高の笑顔で3・2・1…はい!』

  「なに(え)!?」

  カシャっカシャっ!

  「お…おい!今のを撮られたのか!?」

  「あはは…そうみたいだな」

  「ふざけるな、こんな格好が写真に残るなど…」

  『はい、次撮るよ〜!次はこのポーズ!』

  「く、クソ…止まらんぞ…!」

  『3・2・1…はい!』

  「ええいままよ!」

  「楽しいな〜!」

  全て取り終えた俺達は、撮影した写真に文字や模様を加える奇々怪々な作業を終えた後、出てきた写真を見て顔が引き攣ることになった。

  「……テオ、お前、子供泣くぞ…」

  「う、煩い!貴様こそ……む、いい顔じゃないか…」

  「笑顔だ笑顔!何事も楽しまなくちゃな!」

  「むぅ…確かに………たまにはいいかもな」

  「おう!」

  その後暫く様々なゲームで遊んだ後、俺達はゲームセンターを出ていった。

  「ふっ……なかなか面白かったじゃないか」

  「お前一回も勝ってないけどな」

  「……次は勝つ」

  「また来ような!」

  「当たり前だ、召使い」

  「誰が召使いだ!」

  帰り道にあった公園のベンチに座る。夕焼けが俺達を照らし、今日の余韻を二人で満喫していた。

  「楽しかったな、テオ!」

  「うむ、だがもう時間だ」

  そろそろ帰るか…そう思った時、アルゴが突然手を引いてくる。

  「おい、どうした?」

  「いや、俺、渡したい物があるんだけど…」

  「なに?」

  「はい…これ、なんだけど」

  アルゴが手渡してきたのな、ラッピングに包まれた少し形の崩れたチョコ。

  「俺、お前みたいにお金持ってないし、あげられるものも無いからさ…手作りしてみたんだ。昨日ギリギリまで頑張ったんだけど、あんまり上手く出来なかったんだよな…ごめんな」

  「……俺のために、作ってくれたのか」

  寝不足だったのは、これのためか。

  「あ、勿論毒なんて入ってないぞ!ヘルマンなら俺にやりそうだけど…もし嫌だったら、返してくれていいからな!これより美味いチョコなんて幾らでも買えるだろうし…」

  「……!」

  「うわ、おい、テオ!?」

  耐えられなかった。こいつの健気な態度に、優しい心に、そして俺を見つめてくるその瞳に。気付けば俺は、アルゴに抱きついていた。

  「人、人いるから…」

  「何も気にする事はない……アルゴ、聞いてくれ」

  「は、はい」

  「嫌な事なんてあるわけない。今まで貢物としての菓子なら腐るほど貰ったが、お前が渡してくれたような温かい菓子はもらったことがない。見ていろ」

  俺はラッピングを解き、チョコを口にする。毒なんか疑っていない、アルゴの気持ちに答えるように。

  「……味は、まあまあだ」

  「そこは美味いって言ってくれよ…」

  「悪い、世辞は苦手なんだ。だが、もう一度食べたくなる、不思議な感覚だ。きっとお前が作ってくれたからなんだろうな。もし毒が入っていて俺が死んでも、後悔は無いだろう」

  「……だから、入れて、ないって…」

  「ありがとう、アルゴ。最高のバレンタインだ」

  「う…うぅ………こっちこそ、ありがとな…」

  「……その涙は、俺以外には見せるんじゃないぞ」

  「………お前、結構恥ずかしいな…」

  「お前にだけだ」

  アルゴが泣き止むまで暫く待ってやる。落ち着いてくると、既に寮の夕食の時間を過ぎていて、完全に規則違反だった。

  「あはは、規則破っちゃったな」

  「俺に規則なんて通用するか」

  「傲慢…」

  「だからお前と居られる」

  「んな事ポンポン言って…明日後悔するぞ」

  「明日は明日だ」

  「やっぱ変わったよお前」

  「誰のせいだろうな」

  言葉を交えずとも自然に席を立ち、二人で寮に戻っていく。アルゴの頬を撫でてやると、嬉しそうに耳を垂らす。

  こんな穏やかな気持ち、こいつ以外と味わえるのだろうか。

  「それじゃ、また明日な!」

  「あぁ、遅刻するなよ」

  「おう!」

  アルゴを見送った後は、風呂に入り、ヘルマンに今日の自慢をしてやった後にベッドに入った。今日の思い出を振り返りながら、楽しい夢を見て眠りにつくのだ。

  「………あっ」

  チョコ渡すの忘れた……。

  [newpage]

  騎士の矜持、護るべき友

  ver.ユリウス(獅子)

  「ムハハ!ワシの勝ちだぞ!」

  圧倒的な勝利!これは運命がワシを選んだのだな!今日まで頑張ってきたかいがあった!ムハハハハハハ!!

  「うるせぇ…」

  「喧しい…」

  「鬱陶しい…」

  周りの視線が痛いがこれも嫉妬と言うやつ…別に気にせんぞ!

  「と、とにかく、勝者はユリアス君です。おめでとうございます」

  「ありがとうございます!お、アルゴ、ようやく来たか。今からワシと出掛けるぞ!」

  「へ?」

  「はい、行ってらっしゃい、楽しんでくださいね」

  快く送り出してくれるのはセリオ教官だけ…ちょっと悲しいが、これもアルゴの人気が原因だな!そんなアルゴを一人占め出来る…うむ、素晴らしいな!

  「ちょっと、どういうことです?」

  「今日一日お前はワシの恋人だ!まぁ、一日じゃなくなるかもしれんがな!」

  「こ、恋び…?」

  「ムハハハハ!さぁ行くぞ!ワシがエスコートしてやる!」

  「い、意味が分かりませんよ…うわっ手ぇ引っ張らないで!」

  少し強引過ぎるか?でもアルゴも満更ではなさそうだ…よし、このまま行こう!

  街に出てすぐ後、アルゴの腹がなっていたので、ワシが島にいる時によく行っていたレストランに向かう。大きくなく、豪勢ではないが、心のこもった味を大事にする素晴らしい店である。

  「よし、なんでも好きなものを頼め!ワシの奢りだ!」

  「え、でも俺お金持ってきてますけど…」

  「ここは先輩の顔を立てて乗っかっておけばいいのだ。貴様はワシの姫だからな。十分に奉仕させてもらおう」

  「…それ、店内でも言ったら怒りますからね?」

  む、何か変なことを言ったか…?でも、尻尾はブンブン振られているな。よっぽど腹が減っているんだな!

  アルゴはオムライス、ワシはステーキを食べた後、今日の目的を定めるためにアルゴに質問する。

  「よし、アルゴ、何処か行きたい所はあるか?」

  「いえ、いきなり連れてこられたんで…何も無いですよ」

  「わかった、では貴様に騎士としての矜恃を教えてやろう!ワシに着いてこい!」

  「は、はい」

  向かうはこの島の中心部分に存在する博物館『騎士の歴史ミュージアム』である。ワシが足繁く通いつめ、多くの学びを得た大切な場所。アルゴも立派な騎士を目指すべきなら、この博物館を見学するべきだろう。

  「さぁ、入るぞ、アルゴ。ここは何度来ても心が踊る。先人達が残してくれた遺産や記録をこの目で見ることができるのだからな」

  「先輩は何度も来てるんですよね…なら、ガイドお願いしますね」

  「任せろ!……いや、『お任せください、姫様』」

  「ちょっ…!だから、それやめてくださいってば!」

  「ムハハ!まぁ気にするな、行くぞ!」

  「……はい!」

  二人でチケットを買い、館内に入る。あ、もちろん金はワシ持ちだぞ?…何時もアルゴはワシを慕ってくれているからな、お礼でもあるのだ。

  「見てみろ、アルゴ、この甲冑を」

  「これは…何だか、とても古く見えますね。どんな人が来ていたんですか?」

  「うむ、この着衣者はヴェルド・シーク。『救済の騎士』と呼ばれる、ワシが尊敬する騎士の一人だ」

  「ヴェルド・シーク…」

  「彼は自らの危険を顧みず、多くの危険な場所に出向き、数え切れないほどの人々を救ってきた」

  「なるほど…」

  「だが、ヴェルド・シークは強いE.Pを持たなかった。彼の能力は、『人より少しだけ遠くが見えるようになる』能力だった」

  「え…でもそれじゃあ危険な能力を持った相手がいた時は危ないんじゃないですか?」

  「そうだ、強い能力に目覚めなかった彼は、最初は成果も役目も果たせなかった弱小騎士だったのだ。だがな、アルゴ。彼はそれでも立派な騎士になった。何故だと思う?」

  「それは…周りの仲間と協力して?」

  「違う、彼はより確かな強さを求めたのだ。人の数倍、数十倍の努力を積み重ね、誰よりも強靭な力を手に入れ、目に入る人々を全て救ってきた。そうして英雄になったのだ」

  「…」

  「ワシはそんな彼の姿に憧れを抱いている。彼の最後は巨大グループの本部に単身で乗り込み、壊滅させた後に死亡したらしい。とても誇らしいことだとワシは思う。いつかそんな騎士になれたら、そんな最後を迎えられたらいいと思っているのだ」

  「なるほど…ありがとうございます、とても分かりやすかったです」

  「そうか?なら良かった!」

  「でも俺、先輩がそんなことになるのは絶対に嫌なんで、いつか守れるぐらい強くなりますね!」

  「……ムハハっ…その意気だ、アルゴ」

  ワシを守る、か…頼もしい後輩だ。

  …ワシはアルゴに頼りにしろと言ったにも関わらず、本当に助けを求めていた時に何も出来なかった。せめてその分、先輩として出来ることをしてやろう…。

  「よし、次へ行くぞ!」

  「はい!」

  解説と自らの体験を交えながら先へ進んでいく。アルゴは笑いながら、時に真剣に話を聞いてくれる。気づけば日も暮れ始め、時計は午後五時を指していた。

  「勉強になりました、それに楽しかったです、先輩」

  「うむ、ワシが教えられることはある程度教えたぞ。ものに出来るかどうかはお前次第だ」

  「頑張ります、ありがとうございました!」

  「あぁ、そうだ。帰る前に渡したい物があるのだ」

  「渡したい物…?」

  「これだ、受け取ってくれ」

  ワシが準備してきたのは、可愛く象られた犬の顔を模したブラックチョコレートだ。バレンタインが近づいてくると、色々や店にチョコが売られるだろ?このチョコが売られているのを見た時に、アルゴにあげようと思ったのだ。

  「チョコ!ありがとうございます、先輩!」

  「ムハハ!なんせお前は恋人だからな!当然のことをしたまでだ!」

  「……俺、ちょっと満更でもないです」

  「む?…そうか?」

  「あ、後でゆっくり食べますね!もう日も落ちてきたし!」

  「それじゃあもう学園に戻るか、いい時間だ」

  「はい!あ、ちょっとお願いがあるんですけど」

  「なんだ?」

  「いえ、今日九時ぐらいに俺の部屋に来てくれないですかね…?」

  「…?うむ、わかった。九時だな?」

  「九時です!」

  なんだ…まさか、アルゴもワシになにかしてくれるのか…?だとしたら、かなり嬉しいのだが。

  夕食を食べ終え風呂に入ったワシは、約束通りアルゴの部屋に向かった。

  「アルゴ…おいアルゴ、来たぞ」

  「いらっしゃい先輩、来てくれてありがとうございます!まぁ、まずは入ってください!」

  「うむ、それでどうしたというのだ?」

  「いや、今日のお礼に、お酒を一緒に飲もうと思いまして…先輩、お酒飲めますよね?」

  「あぁ、飲めるが…何処でそれを手に入れたのだ?」

  「デリク教官から…内緒ですよ?」

  「…ククっ悪い後輩だなお前は」

  「セクハラ魔には言われたくないですって」

  「…ん?同室のやつはどうしたのだ?」

  「あぁ、パウルのことですか。パウルは『これも自分の不徳が原因…鍛え直してきます』とか言って、どっか言っちゃいましたよ」

  「なるほど…まぁ、飲むか」

  「はい!」

  テーブルを出し、菓子を摘みに酒を飲む。ポテトチップスなどの、甘くないやつを中心に用意してくれているところが、気が聞いていると思った。そこから散々飲み倒し、いつの間にか日を跨いでしまっていた。

  「ムハハ…少し飲みすぎたな…」

  「はい…先輩、今日は俺の部屋で寝てください」

  「む、だが…」

  「もし帰る時に教官がいたら匂いでバレちゃいますよ…」

  「…確かに、有り得るな。わかった、ここで寝よう」

  「はい!」

  よろける体でベッドに入る。パウルが帰って来た時に驚かないように、アルゴが書き置きを残して、後から同じベッドに潜り込んできた。

  「ふふっ…狭いですね、先輩」

  「お互い体が大きいからな…すまないな、アルゴ」

  「いえ、もう寝ましょう。お休みなさい」

  …今、何時だ?パウルは、帰ってきただろうか。寝息は…二つ聞こえる。恐らく、どちらも既に寝入っているな。しかし…なんだ、この匂いは…。それにしても。

  「アルゴよ…よくワシと一緒に無防備で寝れるな…」

  我が後輩ながら不用心にも程がある。後頭部に、アルゴの鼻息がかかる。よし…。

  「…!なんだ、随分元気ではないか…」

  手を伸ばし、アルゴの股間部分に触れてやる。すると硬い感触が伝わり、アルゴの逸物が勃起していることが伺える。だが、いつも以上に意識してしまうのは何故だ?

  「どれどれ…」

  アルゴを起こさないようにズボンをゆっくりと脱がせる。パンツには既に我慢汁が染み出ていて、先端がヌルヌルと濡れていた。

  「この前のお礼をしてやる…」

  前回はセリオ教官、今回はパウルとアルゴの両方にバレずに行動を起こさなければならない。

  「(ワシ、かなりの変態なのでは…?)」

  気付いても、既に止められないのが若い男の性である。証拠に、既にワシのチンポは半勃ちしていてムズムズし始めている。股間部に鼻をつけてみると、青臭い我慢汁の臭いと尿の臭いが漂ってくる。

  「ん…んぅ…」

  酒が入っているから、この程度の刺激では起きはしないだろう。しかし…この臭い、アルゴの臭いだと思うとやはり興奮してくるな…ワシも脱ぐか。

  「気持ちよくしてやるぞ、アルゴ…」

  パンツも脱がし、生でチンポを触る。ぴくぴくと動いていて、鈴口からは更に我慢汁が漏れてくる。

  「どれ…」

  パクっと口で咥えてやる。

  「ん、んぉ…?」

  だ、大丈夫か?それにしてもこの味…。

  「はぁっはぁっ……あむ」

  猫科の習性なのか、溢れ出てくる汁を次々と舐めとってしまう。ザラザラした舌で亀頭を擦ってやるとチンポがビクビクして、時々カリをつついてやると体全体が揺れる。それに何だか味も…。

  「あっ…あぅ…」

  お、味が濃くなったぞ?そろそろか…よし、一回中止だ。

  「ワシも気持ちよくなりたいからな…許せよ、アルゴ」

  寝ているアルゴの唇に自らのチンポを近づける。あっ…鼻に我慢汁が落ちてしまった…。まぁいいか…。

  「ほら、エサだぞアルゴ。口を開けろ」

  あーんと口を開けるアルゴ。…寝ているんだよな?

  「まぁいいか…よっと」

  口の中に既にフル勃起した肉棒を突っ込む。粘膜に包まれ刺激を感じ、腰を振ってフェラさせる。そうしたら、突然裏筋に刺激を感じる。今の感触は下で舐められた感触だ。

  「…貴様、起きているな?」

  「…ば、バレました?」

  「シーーっ声がデカい!パウルにバレたらどうする!」

  「先輩から手を出してきたんでしょう…」

  「むぅ…しかしなぁ、何故かムラムラが抑えられんのだ」

  「まぁ、それはそうでしょうね」

  「どういうことだ?」

  「先輩が寝た後、これを自分に塗っておいたんですよ。体とちんこに」

  アルゴが枕の下から取り出したのは…こ、これは!

  「マタタビだと!?」

  「あ、う、煩いです先輩、静かに!」

  口を塞いでくるアルゴ。…よし、まだ寝ているな。寝息も一定だし、起きていないだろう。

  「…貴様、ワシに襲われたかったのか?」

  「だっ…だって、一日恋人とか言ってたから、最後に一番恋人っぽいことをしてあげようと…」

  「…そういう事か…」

  「いや、俺も悩みましたよ?これで先輩が来なかったら俺、ただの恥ずかしいやつですし…」

  「もうだいぶ恥ずかしい格好をしているぞ?」

  「煩いですよ…先輩がやったんでしょう」

  「まぁ、俺もマタタビだけが原因じゃない、お前に興奮していることは事実だからな…」

  「先輩…」

  「食っていいのか?お前を」

  「…いいですよ。但し、今日だけですよ?」

  「わかった」

  愛撫を再開すると、アルゴは声を抑えながら顔を隠し、身を悶えさせた。お互い全裸になり、チンポをくっ付けて、腰を振り合い快感に溺れる。

  「ところで…アルゴ、貴様、ワシに入れたいか、入れられたいか、どっちだ?」

  「あ、出来れば入れたいんですけど…」

  「む、姫なのにか?…まぁ、後輩の頼みだ。いいだろう、受けてたってやる」

  「なんですかそれ…」

  笑顔になるアルゴ。本当に可愛いな…これでは人気がある訳だ。

  「ちょっと待て、今準備する」

  「あ、先輩ローションありますよ」

  「本当か?助かる」

  うむ…受けなんてやった事ないが、大丈夫だろうか?

  「んじゃ先輩、四つん這いになってください」

  「こ、こうか…?」

  「はい、力抜いて、ちょっと冷たいですよ」

  「うむ……うぉ!?」

  「あー…これで口抑えといてください」

  アルゴの方を見ると、布に大量のマタタビをかけている。まさか、それで…?

  「ま、待つのだアルゴ。自慢じゃないが、ワシはそれにあまり強くない…。別にかけなくても…」

  「まあまあ、この方がきっと気持ちよくなれますよ」

  本当に大丈夫か…?

  「えい」

  「!!」

  いきなりアルゴは、ハンカチを口に押し付けてきた。勿論、匂いも強烈で次々と鼻に入ってくる。

  「が…あ、あぁ…」

  頭がぼんやりとしてくる。アルゴが触れている箇所が気持ちいい。もっと気持ちよくして欲しいと、欲望が腹の底から吹き出してくる。

  「あ、あうおぉ…おっおああって…」

  「なんて言ってるか分かりませんよ…それじゃあ解しますよ」

  「う、うぁぁ…」

  あ、入ってきた…ワシの汚いケツに、アルゴの指がほじほじしながら…

  「……♡♡」

  「あれ、先輩?……意識ありますよね、指増やしますよ?」

  ゆびふやす?…なんでもいい、気持ちいいならして欲しい。

  「それ」

  「ん!?んぉぉぉぉ♡♡♡」

  「あ、もしかして気持ちいいとこ擦っちゃいました?…うわ、俺のベッドがベトベト…」

  イった…イった筈なのに、未だにデっカいままだ…。

  「か、痒いぃ…奥が、痒い…」

  「指にマタタビ塗ったのが効いてるのかな…」

  「あ、アルゴ、もういいんじゃないか?大丈夫だ、声は抑えるから、入れてもいいぞ…」

  「無理じゃないですかね?」

  「まぁ見てろ…『ユリウス、セックスが終わるまで喋るな』…」

  「あ、そんなこと出来るんですか…」

  「んーー、んーー」

  「分かりませんって…それじゃあ、入れますね…よっと」

  「ん、…ん、んぅぅぅ…♡」

  「うわぁ、トロトロ…」

  「んーーーっんーーー!」

  「うわ、またイったんですか?マタタビのせいなのかな…それとも、先輩の体質?」

  「んー、んーー!」

  「どっちでもいいですよね…それより、俺も限界なんで動きますよ…!」

  「!!!!♡♡♡!♡?」

  いきなり突くなぁ♡……と思うだけで言うことが出来ない。

  「うおぉ…気持ちいいぃ……♡やば、やばい…」

  「………♡」

  もう、喘ぎ声すらも出せない。ギシギシとベットが軋む音と、アルゴの声だけが聞こえてくる。

  「だ、出しますよ…中は、やめときますね…!」

  『別にいいぞ』…聞こえないか……

  「あ、やべ、出る!♡グオォォォン!♡♡」

  背中に熱い濁流がかかる。栓を抜かれた尻はぽっかりとアルゴのかたちになっていて、ワシが犯されたという事実を鮮明化する。

  『……「あ」』

  「アルゴ……貴様、沢山出したな…」

  「あ、先輩、声戻ったんですね。ごめんなさい、直ぐにイッちゃった…」

  「気にするな、とても気持ちよかったぞ」

  「ほんとですか…?」

  「あぁ、本当だとも。よく頑張ったな、アルゴ」

  「……はい」

  「さて、バレないように片付けるか。後、この臭いを避けたい。また発情してしまうかもしれん」

  「このハンカチどうぞ」

  「あぁ、ありがと……な、き、貴様ァ!♡」

  「……先輩も、だいぶチョろいですね…」

  その後、互いに三回ずつ射精した後、息も絶え絶えに片付けを始めた…。

  「……輩!ユリウス先輩!」

  「む…この声は…パウルか?」

  「はい、おはようございます、先輩。すみません、昨夜はお構い出来なくて」

  「あ、あぁ、大丈夫だ…アルゴはどうした?」

  「それが、『急いで買わなきゃいけないものがある』って言って出掛けていきましたよ」

  「そうか…」

  何処へいったのだ…アルゴよ。置いていかれた気がして、少し寂しいぞ。

  「では自分は、お茶でも入れてきますね」

  「礼を言うぞ、パウル」

  パウルがお辞儀をした後、部屋を出ていく。そうすると、直ぐに入れ替わりでアルゴが入ってきた!

  「はぁっはぁっ…先輩、おはようございます」

  「おはよう…って、何をそんなに疲れておるのだ?」

  「いえ、これを買いに行ってて…」

  手渡される包み。ワシが送ったチョコと同じようだが…

  「む、これは…」

  出てきたのは、獅子の形をしたホワイトチョコ。

  「朝一番で買いに行ったんですけど、最後の一個でした…危なかった」

  「…そうか、ワシのために」

  「勿論ですよ、ホワイトデーまで待てないでしょ?先輩」

  「…ムハハっ、その通りだ。ありがとう、アルゴ」

  「いえいえ、こちらこそ」

  「しかし、一言言ってくれれば…起きたら既にいなかったから、少し寂しかったぞ」

  「…すみません、でも、今まで隣にいた人が、突然いなくなったら寂しいですよね?」

  「う、うむ…」

  「だから、一人で色々抱え込むんじゃなくて、俺に相談してくださいね、先輩がいなくなるのは、本当に嫌ですから」

  「……わかった、このユリウス、騎士の誇りにかけて、必ず貴様の元からいなくならないと誓おう」

  「はい!」

  朝の陽射しが照りつける。ワシは、目の前の後輩の頬を撫でながら、自らを見つめ直す。

  「(告白…は、まだお預けだ、ユリウス。ワシがアルゴを安心させられるような騎士になるまでは、な)」

  生きる意味をもう一つ得たユリウス。後に彼は、たとえ敵であろうと死なせず、自分を含め全員を生かすことを優先する、『慈愛の騎士』として、名を馳せることとなる。

  [newpage]

  友達なんかじゃ満足出来ない

  ver.オスカー(犬)

  「やっ…やった……やったぁ!!僕の勝ちだぁ!!」

  僕は祈る気持ちでチョキを出した。そしたら見事に他の全員がパー。いつの間にかアルゴも来ていて、目を丸くしてこちらを見ている。

  少しはしゃぎすぎた…。

  「……オスカー殿、おめでとうございます」

  「だ~~~!!負けた負けた!!」

  皆の羨むような目が突き刺さる。でも勝ったのは僕なんだ。今日ぐらいはアルゴを独占しても文句はないだろう。

  「……おいオスカー、これってどういう…」

  「アルゴ、今日は僕と街に行こう。君を連れていきたいところがあるんだ」

  「は、はぁ…でもせっかくの休みなんだし他の皆も」

  「いいから早く行くよ!」

  戸惑うアルゴの手を引っ張って、最初の目的地へと向かう。バレンタインのせいか、他の生徒も心無しか浮かれている。僕だって例外なくそうだ。だってしょうがないでしょ?僕の大好きな人の為に作ったチョコが無駄にならずに済んだんだから。

  「ねぇアルゴ」

  「なに?」

  「君は今まで好きな人とか出来たことはある?」

  「好きな人か…いや、ないかな。村に同年代が殆どいなかったから…ていうか、オスカーがそんな話するのは珍しいな」

  「だって今日は……いや、なんでもないや。そろそろ目的地に着くよ」

  「目的地って……なんだ、本屋じゃないか。本買いたかったのか?」

  「そういう訳じゃないよ。とにかく、中に入って入って!」

  「押すなよ……って、うわぁぁぁぁ!?」

  「どう!?すごいでしょ!すごくない!?」

  そう、僕が連れてきたのはただの本屋じゃない。アルゴが本屋に来ただけで満足するやつだとは全く思ってないから。でもここは…

  「すげぇ!!なんで『リコ』のグッズがこんなに!?」

  「しかもこれだけじゃないよ。……店長さん!」

  「おう、来たのか……ちょっと待ってろ」

  「え?……な、なんだよこれ!?」

  現れたのは三十代前半の筋肉質のジャッカルのお兄さん。アルゴが目を疑うのも無理はない。店長さんがよく分からないレバーを下ろした瞬間、レジの中に下へ続く階段が現れたのだから。

  「坊主、特別だぜ、見せてやるよ、俺の秘蔵コレクションを!」

  僕らは下に降りると、そこには本屋の中よりもさらに広い一室が、地下室となって出現した。しかも…

  「へ、部屋一面に…『リコ』のグッズが…」

  「ま、まさかここまでとは…ちょっと僕も予想外だね…」

  本店よりもさらに広い空間。壁一面に飾られた勇ましい騎士の絵、紋章が彫られた土器、そのうえペナントなど…僕らが見たことも無いグッズが大量に並べられていた。

  「オスカー、すげぇよ!ほら、これなんか…これ、シリーズ累計二千万部突破記念にごくわずかしか作られなかった限定品!」

  「こんなものまであるなんて……店長さんはよっぽどのファンなんだね」

  アルゴはどんどん先へ進む。僕もそれを少し後から追いつつ、リコのグッズと、浮かれるアルゴの姿を見て、顔を綻ばせてしまっていた。

  いつの間にか時間は経っていて、そろそろでないと次の目的地に行けない時間になってしまった。

  「アルゴ〜、そろそろ次の場所に行くよ〜」

  「う、うん…名残惜しいけど、また来れるしな!」

  「うん、先に上行ってるね」

  僕が店の前で待っていると、二分後ぐらいにアルゴと店長さんが一緒になって出てきた。

  「おう、それじゃあお前ら、今度は本を買いに来いよ!」

  「すみません、ちょっと本見る時間が無くて…」

  「気にすんな!それより、坊主…」

  「?」

  「大事にしてやれよ」

  「……はい」

  僕はアルゴたちのよく分からない会話に疑問を感じつつも、時計を見て早足で次の場所に向かった。もう暗くなってきたし、ちゃんと天気も晴れだ。これなら…

  「アルゴ、着いたよ」

  「大分高い所まできたけど、ここは…」

  「ほら、上見て、上」

  「上?………うわぁ…」

  空を照らすのは、数多の星々。沈みかけた夕日と、色とりどりの星が、美しく調和していて、太陽が完全に沈んだ時では見られないような、幻想的な光景が広がっていた。

  「前に船の実習で、皆で空を見たでしょ?…僕、今まであんまり外で友達と遊ばなかったからさ…とても楽しかったんだ。だから今度は、君と二人で見たいと思った」

  「オスカー……うん、俺も、嬉しいよ。この島で、お前と二人でこんな景色を見れるなんて思わなかったからさ」

  「ほんと?」

  「うん、でも、よくこんな場所見つけたな。結構探したんじゃないのか?」

  「全然そんな事ないよ。それよりほら、もっと見ようよ、次いつ来れるか分からないんだしさ」

  アルゴは暫く僕の顔を見た後、また空を見て、僕と一緒に感嘆の溜息を漏らしながら、時が過ぎるのを感じた。

  「……そろそろ帰ろっか、時間だしね」

  「うん、遅れちゃうな」

  「でもその前に……はい、これ」

  僕が取り出したのは、青いラッピングに包装された箱。他の誰でもない、君の色を選んだんだよ。……喜んでくれるといいんだけど……

  「……空けていい?」

  「う、うん」

  箱を開けアルゴが見たものは、様々な形を型どったチョコレート。ハートに星型、球体など、色んな種類のチョコ。その上には、青と白の箔がまぶしてあって、見た目もオシャレな僕の自信作……なんだけど、

  「オスカー、これってもしかして、手作り?」

  「そうだよ……」

  「……すごいね、俺こんな綺麗なチョコ初めて見たよ……食べていい?」

  「う、うん」

  ……味は一応何度も確認したけど、大丈夫かな。

  「……うん、めちゃくちゃ美味しい。なんだか…オスカーの味がする」

  「な!?……なんだか今の、変態みたいだよ」

  笑いながらアルゴの方を振り向いた瞬間、

  「んぅ…!?」

  僕はアルゴに、唇を奪われていた。僕にとって初めてのキスは、甘いチョコの味と、アルゴの味が混ざりあった、不思議なキスだった。

  「………!?……プハっ……ア、アルゴ……?」

  「ごめんな、いきなり。でも、オスカーがあんまりにも可愛いからさ、ついね」

  「ついって………でも、ありがとう。今なら言えそうだよ」

  「オスカー……」

  「アルゴ……僕は、君の事が、好きになっちゃったみたいなんだ。だからさ………僕と、付き合ってくれませんか」

  「………そんなの、もちろんいいに決まってるよ」

  「………ほんと?」

  「うん、寧ろ、先に言われちゃったな。」

  「え?…先って…」

  「オスカー、後出しになっちゃったけど、俺も、お前の事が好きだ。今日改めてわかった。俺と付き合ってくれ」

  「………うん、ありがとう、アルゴ」

  僕達は自然と惹かれ合うようにもう一度キスをした。アルゴが舌で唇を突っついてくるので、少し口を開けると、僕の口内が蹂躙される。キスって、こんなに気持ちいいものなんだ…

  「オスカー、勃ってるよ……」

  「しょ、しょうがないじゃんか…アルゴだって……」

  「うん、俺も興奮してる、だからさ、早く部屋に帰って……ヤろう?」

  「…………うん、でも僕初めてだから……優しくね?」

  学院に着いた僕たち。もうそろそろ就寝時間。パウルには申し訳ないが、オスカーの部屋で待ってて貰う。大切な話があると言ったら、何処か寂しそうな顔をして出ていった。

  「………じゃあやるぞ、オスカー」

  「うん、」

  僕達は服を脱いで、ベッドの上に寝転んだ。アルゴが僕の肉棒を撫でながら、甘いキスをしてくれる。

  「んぅ……あぅ………あっアルゴ…」

  突然僕も物欲しくなって、アルゴの膨張した肉棒に手を伸ばす。アルゴのの大切なところ、アルゴの男らしいところに、いつの間にか僕は惹かれてしまっていた。顔を近づけて、臭いを堪能する。

  「オスカー……俺の、見たいか?」

  「……見、見たい」

  「見せてくださいって言ったら、見せてやるよ」

  「は、はぁ!?………見せてください」

  「わかった」

  アルゴがパンツごとズボンを降ろす。飛び出した巨大な肉棒は、ブルンと激しく揺れ、大量の我慢汁を僕の顔にかけた。その雄臭い臭いと、硬さに、僕はこれからアルゴの雌にされてしまうんだという、ある種の興奮に陥った。そこからアルゴの肉棒を口に含むのは、そう時間が掛からなかった。

  「はぁ……オスカー、上手いぞ…」

  「ん……ジュル……グポっ……はぁ…」

  カリ首を舐めまわし、竿に舌を絡め、時々玉を舌で持ち上げつつ、喉深くまで肉棒を咥え込む。アルゴも気持ちよくなってきたのか、徐々に腰が動いて、硬い亀頭が叩きつけられる。

  「うぁ、あぁ………気持ちいい、はぁ…」

  「ん………」

  (そろそろかな…)

  僕はアルゴの肉棒を口から離す。

  「オ、オスカー……俺、もうちょっとでイきそうだった…」

  「まだダメだよ……それよりさ、」

  僕はズボンを脱いで、裸になった後、アルゴに抱きつく。そしてアルゴの肉棒を手で握りながら、

  「……これ、僕に入れていいよ」

  「え、……でも、準備とか」

  「大丈夫……今日のために、ちょっとずつ慣らして来たんだ。……こっそりとね」

  「オスカー…」

  「だからさ、……いいよ」

  「………わかった、ちょっと待ってろ」

  アルゴはローションを手に取り、僕のお尻に塗りつける。

  「はぁ……あっ……そ、そんなのよく持ってたね…」

  「グランがシコる時に使ってたのを、部屋に忘れたままでさ、使わせて貰ってる」

  「そ、そう………アルゴ、もう、大丈夫かも…」

  「よし……入れるぞ、痛かったら言えな…」

  アルゴの巨大な肉棒が、僕のお尻に入ってくる。思ったよりも苦しい……でも、耐えられない程じゃない。

  「……オスカー、全部入ったぞ…」

  「ほ、ほんと…?………じゃあ、ゆっくり動いてみて…」

  「わかった……」

  アルゴが少し腰を動かす。ゆっくりと、それでも僕を味見するかのように、僕の中を探ってくる。

  「う………あっ………あぁ……」

  「オスカー……どうだ?」

  「うん………もう大丈夫。早くしてくれていいよ……」

  「あぁ……俺も、我慢の限界だ…」

  「!?!?」

  すると突然、さっきまでとは比べ物にならないくらい奥まで僕の中を突いてきて、でも、なんだかそれが愛おしくて気持ちよくて

  「あぁぁぁぁ!……アルゴ、アルゴ、やばいっは、早い…!」

  「グルルゥゥゥゥ……ガァ!………オスカー、お前のイイところ、ここだな?」

  ズンっと、僕の気持ちいいところを容赦なくどんどん突いてきて、僕の頭がチカチカして、それで

  「やぁ♡……気持ちいい♡アル、アルゴぉ……んァァ♡」

  「ガルルルゥ……グァァ!」

  ドプッ

  パンパンって抉って、貫いて、でも気持ちよくて。僕はアルゴの雌にされていつの間にか精液も出てきちゃって

  「うぁ……クゥン………クゥゥン♡……イッてる……イッてるから止まってぇ♡」

  「オスカー…!!俺も、もうイク!ガルルルァァァァ!!」

  ブビュルルッブビュっブビュルル

  あ、中に出されちゃった。温かいアルゴの精液が僕の中をどんどん満たして、それが心地よくて気持ちよくて、頭がバカになっちゃって……

  「はぁっ…はぁっ……オスカー?」

  「あ、…あ、…あ、赤ちゃん………で、出来ちゃ……♡」

  「…………!!」

  そしたらまたアルゴのアレが硬くなって、また僕のイイところを突いてきた

  「あぁん……♡なんでぇ♡待ってぇ♡」

  「フッフッフッ………あんまりにも……お前が……!!可愛い過ぎるのがいけないんだろ……!!」

  「あ、また、また出ちゃう、触ってないのに、また出ちゃうよぉ……」

  「あぁいいぞ、出せ!、俺も、すぐに二発目出してやるからな!元気な赤ちゃん産めよ!」

  「う、イく、イくぅ………」

  力なく、殆ど透明な液体が僕の肉棒から放出された。すぐ後に、温かい二回目の精液が中に出された。あぁ、これは後処理大変だな……そうどこかで感じながら、僕は意識を失った。

  「……カー、オスカー、大丈夫?」

  「うぅん、……アルゴ、あれ、あの後どうなったの?」

  「お前、意識失っちゃったからさ、取り敢えず、風呂まで運んで、綺麗にして、服着させて、今は一緒に寝てる」

  「そっか………ごめんね、大変だったでしょ」

  「そんなことないさ」

  もう一回アルゴはキスをしてくれる。今度は性欲よりも、愛情を感じる暖かいキスだ。

  「……今日さ、オスカー、色々考えてくれたんだろ?」

  「……まぁね」

  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  『おい、坊主』

  『…?……なんですか?』

  『お前、あのチビに感謝するんだぞ』

  『チビ……オスカーのことですか?』

  『あぁそうだ。あいつ、一ヶ月ぐらい前に家に来てな。俺が『リコ』のファンで、グッズを沢山持ってるって聞いた時、見せてくれと頼み込んできたんだ。めんどくせぇと思ったから追い返したんだけどよ』

  『…はい』

  『そしたらあいつ、その日から毎日俺の本屋にきやがって、買いもしねぇのに頭下げて頼み込んでくるんだぜ。『僕の大切な人をどうしても喜ばせたいんです。お願いします。』ってな』

  『……!』

  『仕方ねえから許可してやったら、あいつ飛んで喜んでよ。『これで喜んで貰える!やったぁ!!』とか言いながら、急いで予定を取り付けてきやがった。健気だよなぁ、大切にしてやれよ、あいつのこと』

  『……はい、店長さんも、ありがとうございます』

  『いいってことよ!!リコ好きに悪いやつはいねぇ!』

  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  「………」

  「アルゴ?」

  「…いや、なんでもない」

  「……?」

  「俺、本気でお前のことが好きだからな。お前に先に言われたからじゃなくて、本当に好きなんだ。……絶対に大切にする。約束だ、オスカー」

  「………わかってる、僕の方こそ、よろしくね」

  「…おう」

  「ねぇアルゴ」

  「ん?」

  「あのね……僕と、仲良くしてくれてありがとう。殆ど友達がいなかった僕に、こんなに優しく接してくれてありがとう。お風呂だって、誘ってくれるのすごく嬉しかった。それに……僕と付き合ってくれて…ありがとう」

  「……」

  恥ずかしくなってアルゴに背を向ける。こんな顔、見せられるわけがないじゃないか。どんどん涙が溢れてくる。でも、この涙はきっと大切なもので、アルゴへの愛の形なんだ。

  「……もう寝ようか、おやすみ、アルゴ」

  「………おやすみ、オスカー」

  夢の世界に誘われる途中、僕の頬に湿った感触がしたのはきっと気のせいではないだろう。

  [newpage]

  蕾はやがて花となり

  ver.ヘルマン(猪)

  「勝っちまった…」

  俺は悩んでいた。今俺はアルゴの部屋の前にいる。理由は一つ。件のアルゴ争奪戦(ジャンケン)に勝ってしまったからだ。最初に争奪戦の話を聞いた時は、まさか自分が関わるとは思っていなかった。しかし、参加意思を聞かれた時に、気づけば参加を表明していた。自分が勝ったらテオ様に譲ろう、などと思っていたが、いざ勝ってしまうといつの間にか部屋の前でアルゴを呼ぼうとしているわけだ。

  「ヘルマン…貴様…」

  とテオ様に睨まれてしまいとても凹んだが、逆にあいつを一日俺のものに出来ると考えたら嬉しいような気もする、複雑な感情に苛まれた、なんだこれ。

  「おい、アルゴ!起きてるかよ!」

  「…え、ヘルマン?……どうしたの?」

  「……今日、空いてるか?」

  「今日?空いてるけど……なんで?」

  「い、いや、ちょっと俺も今日暇だからな、お前をその、俺の付き添いに街に連れていってやってもいい」

  「はぁ?…嫌だよ、なんで付き添いなんか」

  「いいから!……黙って、着いてきてくれよ」

  「…わかったよ、じゃあ準備するからちょっと待ってて」

  アルゴを言いくるめて、何とか一緒に出かけることを了承させる。

  「(……なんも予定考えてねぇ!)」

  最初はテオ様に譲ることだけを考えていたから、予定なんか考えていなかった。だが、チョコだけは用意した。以前『あぁ〜チョコ欲しいなぁ〜』などと嘆いていたのを聞いたからだ。それに、アルゴもやりたいことがあったかもしれない。年頃のバレンタインはそれほど大切なものなのだ。それを俺が貰ってしまうのだから、せめてチョコぐらいは用意してやろうと思ったのだ。……本当に、それだけだ。

  「準備出来たぞ……って、何頭抱えてんだ?」

  「何でもねぇよ…まぁ、ぶらぶらするか」

  「おう!」

  「(とりあえずは飯か…)」

  俺達は手頃な店を探して、朝食をとった。この間に行く場所を思いつけたらいいのだが、こいつが行きたい場所なんて海とかその辺しか思いつかなかった。

  「…おいアルゴ、お前、行きたいとこあるか?」

  「海!」

  「……やっぱり海かぁ…」

  正直…あの船酔いを思い出すと、そこまで乗り気はしない。アルゴは俺の顔を見て察したのか、

  「でも、二人で海になんて出たら危ないからな。別のとこに行こうぜ」

  「……助かるぜ」

  いや、本当に助かった。でも、そしたら本当に行く場所がないな…。よし、変に考えるのはやめるか。俺の好きな場所に行こう。気に入ってくれる自信はないが…。

  「よし、俺の行きたい場所に行くが、それでもいいか?」

  「いいよ、どこ行くの?」

  「行けばわかるぜ」

  少し遅めの朝食をとった俺たちは、少し学園から遠い場所にやって来た。

  「うおぉ…すげえ…!」

  「だろ?休みの時にちょくちょく来てたんだ」

  俺が選んだ場所…それは、花園だった。

  「男のお前には、少し退屈かもしれねぇな」

  「いや、俺の地元も自然が多かったけど、こんな沢山の花は見れなかったからな。ここに来れて嬉しいよ」

  「そりゃ良かった…」

  自分から誘っておいて、つまらないなどと言われたら実際にガチで辛いところだったが、何とか気に入って貰えたようだ。良かった…。

  「……俺は、俺の家は毒を取り扱うって前に言っただろ?」

  「?…うん」

  「こんなに綺麗な花にも、毒があるんだぜ。見てみろ、これは鈴蘭って言うんだがな。こんな綺麗な花も相手を殺す毒に使われたりする。……大分前のことだけどよ。」

  「それはなんか…可哀想だな」

  「だろ?鈴蘭の花言葉は『純潔』だ。こんな優しい花が人を殺すための道具になるなんて、可哀想でしょうがねぇ」

  「……ヘルマンは、やっぱり優しいんだな」

  「…お前は、そう言ってくれるのか」

  「だって、最初のお前のイメージとは全然違うぞ?」

  「まぁ、最初は見下してたからな」

  「だからこそ逆に、ギャップ萌えってやつかな?」

  「茶化すな!」

  俺達は何処までも続く花園を進んでいく。アルゴに花の名前や花言葉を解説しながら、途中にあるフードコーナーで昼食をとった。

  「なんか、心が洗われるっていうかさ、気持ちいいよな、こういう場所に来るの」

  「……俺の周りのやつはそんなこと言わなかった」

  「そうか…嫌われてるもんな、お前…」

  「言い方ってもんがあるだろ!……こんなナリしてるからよ、花が好きだとか、自然が好きだとか、そういうこと言うとよ、馬鹿にされちまうんだ」

  「そんなことないと思うけどな」

  「それだ、テオ様はお前と同じことを前に言ってくれた。馬鹿にするわけでも見下すわけでもなく、俺の好きなもんを否定しないでくれたんだ」

  「だから、テオのことが好きなのか?」

  「まぁ、前から惚れ込んでたけどな。切っ掛けの一つってやつだ」

  「なるほど…」

  気付けばもう日が暮れ始めている。そろそろ引き上げるべきだろう。

  「アルゴ、そろそろ帰るか」

  「そうだな、もうそろそろ時間がやばいな…」

  …もう終わりか。チクリと胸が痛んだ。もう少し、こいつと一緒に過ごしたい…そんな気持ちが、ふと湧いてきちまった。

  「お前は……何処か行きたいとこはあるか?」

  縋るように聞く。こいつも同じ気持ちだったらいいな、なんて女々しい事を考えちまう。

  「行きたいところ……そうだ、一箇所あるぞ」

  「…!ほんとか!よし、最後に付き合ってやるよ」

  このにやける顔を、俺は隠せているだろうか。

  「……お前をここに連れてくるのは初めてだな」

  「…こんな場所に続いてるのか」

  学園内の立ち入り禁止の場所を進んでいくと、誰もいない小さな浜辺に続いていた。

  「…他に連れてきたやつもいるのか?」

  「うん、グランにテオに…」

  「…そんなにいるのか」

  なんだよ…俺だけじゃねえのか。

  「あれ、もしかして寂しくなっちゃった?」

  「んなわけねぇだろ!…んで、なんで連れてきたんだよ」

  「特に理由はないかな」

  「はぁ?」

  「強いて言うなら、お前と本当の友達になれた…だから、俺のお気に入りの場所を共有しておきたかったって所かな?」

  「なんだそれ」

  アルゴは笑っている。俺も、多分笑っているだろう。まさか、ここまで自分の感情を出せる場所が出来るなんて思わなかった。今なら素直に渡せそうだ。

  「ほらよ、アルゴ」

  「ん?…チョコ?」

  俺が用意したのは、花の形を模したチョコ。ラッピングも蔦の模様をした、自然を連想させるものにした。

  「調合とかで、分量とか慣れてたのは幸いしたぜ、チョコ作りもそんなに難しくなかった」

  「え、俺にくれるの?しかも手作りを?」

  「そ、そうだよ、黙って受け取りやがれ」

  「……うん、ありがとう。すげぇ嬉しいよ」

  …沈黙が訪れる。なんか言えよ…いや、俺が何か言うべきなのか?

  「……そろそろ部屋に戻るか、ヘルマン」

  「…あぁ」

  俺達は腰を上げ、学園内に戻ろうとする。

  「おいアルゴ」

  「ん?」

  「それはいわゆる生チョコってやつだ。早めに食べろよ。後、九時ぐらいに俺の部屋に来てくれ」

  「うん、わかった。それじゃあな」

  ここから、俺の唯一と言っていい作戦が始まる。

  …あの日受けた羞恥。今思い返しても興奮…いや違う。恥ずかしい。足コキでイかされたあの日から、どうやってあいつに復讐しようか考えていた。争奪戦前から準備していた、俺ん家秘伝の取っておきの媚薬…それをたっぷりあのチョコに混ぜておいた。あいつは食前にはおやつを食べないと知っているから、効果が現れるのは必然的に夕食の後、あいつがチョコを食べる時間から換算して九時頃だ。

  「へへっ…見てろよアルゴ、目にもの見せてやる…」

  頭の中に浮かぶあいつの恥ずかしい姿に、更なる興奮…じゃなくて優越感を覚えながら、九時が来るのを待った。

  「(やっぱ、俺、興奮してんのか?)」

  「ヘルマン…来たけど、何の用だ…?」

  時間通り、アルゴがやってくる。顔が赤いな…俺の読み通り、媚薬の効能が聞き始めているらしい。

  「ヘルマン…?なんもないなら、俺、部屋に戻りたいんだけど…ちょっと体調悪いしさ…」

  「あぁ、すまねぇ。ちょっとこっちに来てくれ。渡したいもんがある」

  のそのそと近づいてくるアルゴ。俺はベッドの下からこっそりと用意しておいたマッサージ機を手に取る。何処のマッサージ用かは、その形から容易に想像できた。

  「これ…なんだ?」

  アルゴはこれについて知らないようだ。よしよし、上手く騙してやろう。

  「これはマッサージ機だ。お前、毎日かなり頑張ってるだろ?俺からのプレゼントだ」

  「へぇ…でも、変な形してるぞ?何処のマッサージなんだ?」

  「それは…ここだ!」

  「!」

  俺はアルゴの背後に回りこみ、股間に電マを押し付ける。

  「ちょ、おい、なんだ、んあぁ!」

  思った通り、アルゴの股間は既に隆起していた。

  「おら、どうだ?前にお前がやったことだ。気持ちいいだろ?」

  「あ、あぁ!やめ、やめて、ほんとにやばいぃ…!」

  「取っておきの媚薬を盛ってやった。何発も出せるようになる優れものだぜ?ほら、今まで脱がしてやる」

  「おい…そ、そんな…お前、また何か盛ったのか…」

  「毒じゃねえぞ?一般に出てる(嘘)強力な精力剤…まぁ、媚薬ってやつだ」

  「似たようなもんだろ…」

  呆れ顔をしつつも、我慢汁が止まることはない。電マを外し、俺の手で握る。すぐに俺の手はベチョベチョになり、ヌルヌルと亀頭が濡れ始めていた。。指でカリの部分を擦ってやると体がビクンと跳ね、裏筋を撫でてやると声を出してよがっている。

  「あ、い、イきそう、もっと、もっと強く…」

  「馬鹿野郎、こんな早く終わらせるかよ」

  ぱっと手を離して射精を抑制する。俺も勃起したのでアルゴの尻に擦り付けてやる。アルゴは一瞬怯んだが、逆に俺のちんこを押し付けてくる。

  「あ…でっか」

  「だろ?お前の方が長いが、俺の方が多分太いからな」

  「…知ってるよ、前に踏んでやっただろ」

  「生意気言うな」

  「あ、あぁ!いきなり扱くなぁ…」

  …なんかこいつ、可愛くないか…?何時もより色っぽく見えるっていうか、屈服させたくなるっていうか…。

  「…おいアルゴ」

  「…なぁに?」

  意識が朦朧としてやがる…ちょっと強すぎたか?こんな状態の時に言うのは卑怯な気もするが…俺も、我慢出来ねぇ。

  「お、俺のも触ってくれ」

  「ん…」

  「うぉ…おぉ」

  アルゴは向き直り、俺の肉棒に触れてくる。こんなこと、普通の友達同士じゃ普通はしない。でも、お返しなんだから仕方ないよな。うん。

  「ちょっちょっと待ってくれ…」

  「…なんで?」

  イッちまいそうだった…足もやばかったが、今回は手で扱いてくる分、テクニカルな動きに感じた。

  「……な、舐めてみてくれねぇか…?」

  「…いいよ、でも、俺のも頼むな」

  「お、おう…」

  俺達は寝っ転がり、体勢を逆にして、お互いの股間が目の前に来るようにする。アルゴの臭いが鼻に入ってきて、最初は不快に感じたが徐々に興奮が勝ってきた。

  「(…舐めてぇ)」

  「ヘルマン?」

  「お、おう…よし、やるぞ、痛かったら言ってくれよ」

  「うん…」

  恐る恐る口に含む。塩辛く青臭い味が口に広がる。先を重点的に舐めるともっと汁が出てきて、口内に、よりヌルヌルな液体が染み出てくる。

  「ん、んぅ…ヘルマン、強いぃ…」

  「はぁっ…はぁっ…ジュル…」

  「あぁっ…!」

  「ど、どうだ…出そうか?」

  「出る…出ちゃう…」

  「よし、イっていいぞ」

  口を窄めカリを重点的に攻める。玉袋を揉んでやりながら、固まってきた金玉から精液が登ってくる事がわかる。

  「イく、イく、イくぅ…!!」

  「!…ゴホッゴホッ…」

  大量の精液が口内に入ってくる。なんだこれ、全然飲めねぇ…!でも、吐き出す訳には行かねぇし…

  「(ん…ごくっごくっ…)」

  な、何とか飲み干した…うげぇ、ネバネバする。喉がイガイガして気持ち悪ぃ。

  「お、おいアルゴ、お前は飲まない方がいいぞ…結構やばい…おい、アルゴ?」

  「んぅ……くぅ…くぅ…」

  「おい、まさか…」

  寝ちまったのか!?俺まだイってないのに…。

  「んん…ヘルマン…好きだぞ…」

  「!」

  寝言……か。でも、夢でも俺が出てきたのかな?

  「……お前が、俺の事を好きでいてくれるんなら、俺もお前のことを好きでいてやる…なんて、聞こえてねぇよな」

  体を拭いてやったら部屋に帰ろう…。

  「……また明日な、アルゴ」

  「……ん」

  起きないようにゆっくりとドアを閉めて、部屋に戻り眠りについた。

  「……後で、さっきのセリフそのまま言ってやろ」

  一人残されたアルゴは、口を濯いだ後、再び眠りについたのであった。

  「よぉヘルマン、おはよう!」

  「おう、おはよう」

  「あ、そうだ、昨日のことなんだけど…」

  「昨日?」

  「『お前が、俺の事を』うんたらかんたら…てやつ」

  「なぁ!?」

  「俺は、お前が俺の事を嫌いになっても、お前のことが好きだぞ」

  「……ほんと気に食わねぇな、お前」

  そろそろ授業が始まる。遅刻したらテオ様に睨まれちまうからな、早くお隣に出向かなくては…。

  「なぁヘルマン、テオと俺、どっちが好きなんだ?」

  「は?そんなん……テオ様に決まってるだろ」

  「えーー、そんなぁ!」

  「……悪かねぇなあ」

  「ん?なんか言った?」

  「なんでもねぇよ…行くぞ」

  「おう!」

  数年後、フロンテイルとハーシュライヒは正式に二国間条約を結んだ。その背景には、共に手を取り合い活躍する二名の騎士の姿が大きく影響したとされる。

  [newpage]

  誉ある大騎士達の過去

  ver.パウル(白熊)

  「え…自分が…勝った?」

  セリオ教官殿に誘われたアルゴ争奪戦。返事を返すまで数日悩んだ。自分なんかが参加する権利があるのだろうかと。

  「おめでとう、パウル。君の勝ちだね」

  「クソっ…まぁ、仕方ねぇか…」

  落胆する仲間達。信頼に足る彼らに対して、自分は隠していることがある。それは、E.Pにより、自分は既に死んでいて、幽霊になっているという事実である。

  「あの、もし良ければ」

  「おい待て、貴様、何を言おうとしている?」

  「テオ様…」

  「お前が何を語ろうとお前は勝者、俺達は敗者だ。これ以上俺たちの顔に泥を塗るようなことはしてくれるなよ」

  険しい顔で正してくる王子。これがアルゴ争奪戦についてじゃなければもっとかっこよかったんだけど…

  「……わかりました。不肖パウル、謹んでこの勝利を受け取らさせて頂きます」

  そうして、まだ起きてこないアルゴ殿の部屋に向かうのであった。

  「ふう…」

  体が強ばり、ノックが出来ない。アルゴ殿と同室である自分は、いつも何も気負いせずにドアを開けることが出来ているのに、どうしても今日は一歩踏み出せない。その時、突然扉が開かれる。

  「ふぁぁぁ……あれ、パウル?何してんの?」

  「あ、アルゴ殿…おはようございます」

  「うん、おはよう…それで、なんかあった?」

  「は、はい…あの、もし宜しければ、今日一日、自分に時間を頂けませんか?アルゴ殿と遊びたくて…」

  「…どっか出かけるってこと?」

  「…そういうことです。…いかがでしょう」

  「……ぷっ、あはは!そんな気張らなくても、断ったりなんかしないよ!わかった、準備してくるから待ってて」

  「……!はい、わかりました!」

  部屋に入り、アルゴ殿の準備を待つ間、自分の行動を思い返して、戸惑ってしまっていた。

  「(あれだけ悩んだのに結局誘ってしまった…)」

  自分がこの状況を受け入れ難い理由は一瞬で吹き飛び、アルゴ殿と過ごしたい、という気持ちが勝ってしまった。

  「おーいパウル、準備出来たぞ…何難しい顔してるの?」

  「あ、いえ、なんでもないです!…それじゃあ行きましょうか」

  「おう!」

  自分の気持ちがグチャグチャのまま、一応計画していた通りに歩を進める。懐のチョコも…持った。後はアルゴ殿が喜んでくれることを祈ろう…。

  「アルゴ殿、お腹は空いていますか?」

  「う〜ん、起きたてであんまり空いてないかな…パウルは?」

  「いえ、自分も大丈夫です。なら、もう少し経ってから食べましょうか」

  「うん…ところで、どこに向かってるの?」

  「ふふふ…今日は、自分がオススメする、最高の娯楽施設をアルゴ殿に紹介したいと思いましてね」

  「さ、最高の…娯楽施設…?」

  「ここです……どうですか?」

  「ここは……遊園地か!?…凄い広さだな!」

  「ええ、島の裏側にあるのに、とても人気なスポットのようです。自分は一度も入ったことが無いんですけど、せっかくの機会なのでアルゴ殿と一緒に遊びたいと思って…」

  「そうなのか…でも、なんで今までここで遊ばなかったんだ?」

  「実体化できるようになるまで、見ている事しか出来なったんですよ。とても楽しそうで、暇な時はついついここに来てしまったりしていました」

  「そうなのか…じゃあ、今日は思いっきり楽しもうぜ!」

  「はい!」

  あぁ、アルゴ殿の隣はやっぱり暖かい。十年間一人だったあの頃を押しのけるように、幸せが押し寄せてくる。こんな事なら、来なきゃ良かったと、少しばかり後悔する。これ以上の幸せを求めてしまいそうになるから。

  「おい、なんだあれ!ジェットコースターがグルグルしてるぞ、あれ落ちないのか!?」

  「乗ってみましょう!」

  「なんだこれ、どんどん早くなるぞ、パウルもやってみなよ!」

  「はい、どんどん回しましょう!」

  「上手いな〜このクレープ!ほら、一口やるよ!」

  「!……頂きます」

  本当に夢のようだ。とても楽しく(辛く)、自分の立場を忘れて、何時までも遊んでいたくなってしまう。

  「そろそろ昼食にしましょうか」

  「そうだな…何食べる?」

  「実は、お弁当持ってきてるんですよ。預けてあるのであの広場で待っててください」

  「ほんとか!?ありがとな、パウル!」

  「お易い御用です!」

  アルゴ殿は足早に広場に向かっていった。さて、自分も早く取りに行って……おや、あれは……。

  『さぁさぁいらっしゃい!フロンテイルでいちばん怖いお化け屋敷だよ〜!友達と入っても良し!恋人と入ってもよし!楽しめて怖がれること間違いなし!』

  「……」

  お化け屋敷…。よし、後であの場所に行ってみよう。アルゴ殿に確認したいことも今出来た。反応次第では…。

  「お待たせしました、アルゴ殿」

  「お帰り、パウル!場所取りしといたぞ!」

  「ありがとうございます。では、食べましょうか…」

  「おう!頂きます!」

  本当に美味しそうに、自分が作った料理を食べてくれる。この卵焼きはどうやって作っているんだとか、今までで一番美味しい唐揚げだとか、とても嬉しいことを次々に言ってくれる。

  「あの、アルゴ殿…後で、お化け屋敷に行きませんか?」

  「お化け屋敷…?いいけど」

  「ありがとうございます」

  そうしてご飯を食べ終えて、お化け屋敷へと向かった。

  「うわぁ…結構怖そうだな…本当に行くの?」

  「はい!」

  「そっか…」

  アルゴ殿が怯えた顔で建物を見る。やはりお化けは怖いらしい。

  「アルゴ殿、やっぱりお化けは怖いですか?」

  「当たり前だろ!……でも、怖くないお化けもいるって知ってるから」

  「……アルゴ、殿」

  この人は…本当に優しい人だ。

  「あぁ〜めちゃめちゃ怖かった!」

  「お疲れ様です、アルゴ殿」

  「うん…」

  「もう日も暮れてきましたね、最後にアレなんてどうです?」

  「観覧車か…なんだかカップルみたいだな!」

  「あ、すみません…そんなつもりじゃ」

  「いいよ、別に。ほら、時間もないから早く行こうぜ」

  「……はい!」

  もう帰っている人も多い。ガラガラの観覧車に二人で乗り込む。夕焼けが、海に反射して、一番上まで登った時にとても美しい風景が見られた。

  「アルゴ殿、これを受け取ってくれますか?」

  「ん?……チョコ、だな。くれるの?」

  渡したのは、船の形を模したホワイトチョコ。型どりから何まで、自分一人で仕上げたものだ。

  「はい、今日はバレンタインでしょう?もし良かったら、受け取ってくれますか?」

  「もちろん!ありがとな、パウル!」

  「…!」

  そう言いながら、アルゴ殿は抱きついてきた。いきなり、でも相手のことを思いやるように優しく。

  「…アルゴ殿」

  「今日はありがとな、パウル。俺、もっとお前のこと好きになっちゃったよ」

  「それは、自分も一緒です。貴方とここに来れて本当に良かった」

  間もなく夢の時間も終わり、いつもの生活が戻ってくる。でも、それでいいんだ。近くに彼がいてくれるのならば、それだけで。

  「……パウル」

  「…はい?」

  「寮に帰ったら話があるんだ…いいか?」

  「…はい」

  話とは…なんだろう。ここで言えないような内容なのか、万が一にも自分を遠ざけるような内容かもしれないと考えると、直ぐに尋ねることが出来なかった…。

  寮に戻った後、夕食をとり、お風呂に入った後部屋に戻ったら、既に時間は十時になっていた。何時もなら、二人で勉強をするか、横になりながらお喋りをする時間だ。

  「よし、パウル!」

  「は、はい…なんでしょう」

  「俺は、お前が好きだ。俺と付き合ってくれ!」

  「え、あ、ちょっ…!?」

  混乱する。今、自分は何を言われたのだろう。

  「俺は、普通に女が好きだ、抜く時もいつも女のことを考えて抜いている。だけど、今日お前と遊んで話して、自分の思いに気づいたんだ」

  「そ、そんな…」

  「お前の気持ちを教えてくれ、パウル!」

  「……」

  本当に嬉しい。アルゴ殿が望むことは、自分がアルゴ殿以上に望むこと、言うなれば願いでもあるのだ。だけど…

  「…アルゴ殿」

  「……おう」

  「自分は、幽霊だって分かってますよね…?」

  「?…分かってるぞ」

  「いいですか、もし自分達が付き合うことになれば、これからもずっと共に歩むことになります。でも、自分は貴方とは違って、歳を取れないんです。貴方の人生はまだ終わってない、大切なものです。だから…」

  「……だから、俺とは付き合えないって?」

  「……」

  「……馬鹿にすんな!」

  「…!?」

  「そんな事な、俺が気付いてないとでも思ったのかよ!」

  「……!だったら、尚のことダメですよ!自分なんかと一緒になるなんて…」

  「なんかってなんだよ!違うってなんだよ!人生が終わってるなんて言うなよ!お前の人生はまだ終わってないだろ、むしろ始まったばかりじゃないか!」

  「……!」

  「俺だって怒る時は怒るんだぞ!俺の人生の全部をあげてもいいってぐらいお前が欲しいって言ってんだ!わかんないのかよ!」

  「……」

  「なぁパウル……パウル?」

  あぁ、ダメだ。もう止められない。

  「あ…わ、悪かった、言いすぎたよ、ごめん…」

  「いいえ、違います、違うんです…!」

  「…?」

  「…自分は、今日一日だけでも、貴方の恋人になったつもりでいようって思ってました…。でも、それが寧ろ辛くて…終わって欲しくないって…」

  「…終わるわけないだろ、お前次第だぞ、パウル」

  「……自分は、幽霊で、もう生きていません」

  「うん」

  「これ以上歳も取らないし、この島から出れるかも分かりません」

  「気にすんな、関係ない」

  「それでも…」

  「…」

  「それでも、自分と付き合ってくれますか…?」

  「……もちろんだ、お前のこれから、俺が貰うぞ!」

  「…ありがとう、ございます」

  何とか笑顔を作る。大切な時なのだ、ちゃんと嬉しさを伝えないと。

  「…俺たち、これで恋人だな」

  「……ですね」

  ようやく生きる意味を見つけた。彼の夢、立派な騎士になること。それを支えられるように、自分ももっと成長して、アルゴ殿の隣に立てる騎士になろう。

  「……もう寝るか、パウル」

  「……ですね、今日は色々あって疲れちゃいました」

  「……一緒に寝るか」

  「はい、一緒に寝ましょう!」

  灯りを消して、同じベッドに入る。不安だったあの日々はもう何処にもない。自分は、彼が寿命を果たした後も、生き続けるかもしれない。でも、大丈夫だ。自分を愛してくれた人、その存在を忘れない限り、何処までも明日を目指せるから。

  これはとある噂話。希望を無くした者たちに勇気を、道を外れた者たちに救いを与える白熊の騎士が、数十年、数百年に渡り同じ姿を保ちながら活躍する様子が見られる、と。彼に救われた人は皆こう言う。「『幽霊の騎士』が私たちを助けてくれた。彼は消える前にこう言ったんです。『仲間を大切に、家族を大事にしてください。かつて私を救おうと頑張ってくれた、大騎士アルゴのように』って」

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  違う未来があったのだろう。嘆く仲間もいたと思う。でも、俺は後悔しない。二月十三日、寝る前、俺の元に現れた七枚のカード。きっと、それが分岐点だった。未来は幾つも枝分かれしている…俺は、その中で○○を選んだ。きっと何処かで分かってたんだ。この選択が俺の運命を決めるって。迷いはなかった。でも、俺が出来るのはカードを手に取ることだけ。何が起きるかは、まだ分からない。きっと、明日答えが出るのだろう。だから今日は寝よう。……楽しみだな、多分、いや、○○は絶対に俺を幸せにしてくれる…。

  branch point ver.アルゴ