「ほら、立ちやがれ!!」
3人の男達に囲まれている青い毛皮の狼は街の道路脇に立たされる。
「お前、俺らから逃げたらどうなるか分かってるのか?」
狼は目の前にいる人間の男を睨み付けた。
私は、奴隷だ。
・・・いや、この街の獣人全てが奴隷だろう。
なぜ獣人が奴隷なのかは貴族の定めた法律にある。
獣人奴隷法。
この法律は言葉通り獣人を奴隷にする事だ。
このほうが発令されてからは獣人のほとんどがはこの街から逃げ出そうとした。
しかし、人間達にはお見通しだった。
逃げられないようにこの街の門を全て閉じられてしまった。
そのあと、人間は獣人を奴隷にするため捕らえだした。
私もその中の一人だ。
奴隷になって3年が過ぎようとしていたとき脱走を企てた。
私を買い取った今の主人は、とても残虐だった。
沢山の獣人はその人の手によって亡くなっている。
その中で私は気に入られたらしく殺されずに雑用をさせられていた。
が、それも今日までだった。
私はうっかり主人の服を汚してしまい怒りを買った。
必死に謝罪をしたが許してもらえず、それどころか火に油を注いだようだった。
私は殺されるとすぐに悟り逃げ出したが用心棒に捕まりこのざまだ。
「反抗的な目だな・・・少しいたぶってやるか」
男は持っていた鈍器で狼に目掛けて振り下ろした。
何度も。何度も。
男が鈍器で殴るのを止めたときには狼はボロボロだった。
体中に痛々しい傷を作っていた。
狼はもう立っていることはできずに倒れていた。
「ぐ・・・がぁ・・・」
苦しそうに狼は呻く。
「まだ息があったか」
狼は再び睨み付けた。
「まだそんなに元気があるのか、よし、じゃあ止めだ」
鈍器に力を込めた男は、狼の頭目掛けて鈍器を振り下ろそうとした。
狼は目を閉じ死を覚悟した。
一瞬の苦しみだけ耐えればいい。狼がそう思った刹那。
「何してるんですか?」
男の後ろから声がした。
男達と狼がその声の方を向くと、そこには1人の少年が立っていた。
「何だガキ、こいつの死に際でも見に来たのか?」
「いや、さすがにそんな趣味はありません」
狼は必死にその場から逃げようとするが体にうまく力が入らないようだった。
「ん?ああそうだったなお前を殺る途中だったんだな」
男とは裏腹に少年は。
「可愛い狼ですね~」
「・・・お前本気か?」
「冗談です」
少年が狼に近付くと少年は男達にこう言った。
「この狼、買い取ってもいいでしょうか?」
男たちは集まり話し出した。
「待ってろ、主人に話してくる」
そういって一人の男が奥の方へと駆けていった。
暫く待っていると男が戻って来た。
「金貨50枚なら、買い取ってもいいぞ」
狼は、目を丸くした。
金貨50枚はかなりの値段だ、貴族でもこれは高い値段にあたる。
が、少年はコートの中から袋を取り出すと男達に渡す。
その袋の中には約束通り50枚の金貨が入っていた。
「・・・確かに受け取った、後は好きにしろ」
男たちは金貨を受け取ると、すぐにその場からいなくなった。
狼の意識が持ったのはここまでだった。
少年が何か話しかけているが聞き取れなかった。
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狼は闇の中いた。
夢のようで夢に感じられない場所。
狼は考えていた。
次はどのような場所で目覚め、どのような事をされるのか。
それを考えるだけで体はぞっとした。
この闇の中から目覚めたくないと狼は思った。
しかし、それが叶うはずもなく狼の意識はゆっくりと浮き上がっていった。
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狼はゆっくりと瞳を開けた。
「ここは・・・」
体を起こし、辺りを見回すと部屋の中であることが分かった。
そして、狼は自分がベットに寝ていることに気づく。
本来ならベットに寝ているなんて信じられないだろう。
基本奴隷は床や牢屋の中などで寝ることがほとんどである。
狼自身も床で寝ていた身なのだ。
狼が自分の扱いに驚いていると、部屋のドアがガチャリ、と開いた。
そこに入ってきたのはあの時の少年だった。
少年は狼が起きたのに気づくとすぐに駆けてきた。
「よかった!やっと目を覚ました!!」
狼は戸惑いを隠せずにいた。
「あ、いきなりごめんね僕はこの屋敷の主人だよ」
狼は驚きながら少年を見た。
この年で主人はまず居ないだろう。
「君、一週間寝ていたんだよ?」
「一週間も・・ですか?」
狼はそんなに寝ていたのかと驚く。
「体は平気?」
狼は体がちゃんと動く上に、殴られた痛みももうなかった。
「平気そうだね、よかった」
「・・・あの」
狼は疑問になって聞いた。
「どうしてこのような扱いを?私は奴隷ですよ?それに」
何か裏があるんですか?と聞こうとした所少年がこう言った。
「君は奴隷じゃなくて狼獣人、それ忘れちゃ駄目だよ」
狼は驚いた。このような人が人間でも居ると。
「さぁ、ちょっと来てみんなに紹介したかったから」
「???」
少年は強引に狼を連れ出し階段を下りて広い食堂へと下りた。
「あ、みんな居るね」
少年が確認すると、狼をそのまま食堂に引っ張った。
狼はそこにいた人物を見て驚いた。
全員が獣人だったのだ。
猫や、山羊、虎に獅子、狐やハイエナの獣人がいた。
「お、目覚めたのか」
少し低い声でそう言ったのはハイエナだった。
「えっと・・・・この方々は?」
「もちろんこの家に住んでる人達だよ」
「よろしく!」
猫獣人が飛び跳ねながら挨拶をする。
「そういえば、君名前は?」
「ブランドです」
「いい名前だね。僕もまだだったね僕はルル!よろしくね」
ルルがにこりと微笑む。
「向こうにも自己紹介してきなよ」
ルルはブランドを押すようにして彼等のところまで連れて行った。
最初の話しかけてきたのはハイエナだった。
「よかったな!ルルに助けられて、ラルドだ、よろしくな」
次に猫の獣人が話しかけてきた。
「なかなか起きてくれないからびっくりしたよ~トルネだよ!よろしく」
獅子が肩を組んで話してきた。
「面白い人だろ?ルルは、レイモンだ!よろしくな」
すぐに虎が話しかけてきた。
「一週間も寝てたのかぁ俺そんくらい寝てみてぇなぁ・・・っと、チットだ、よろしく!」
そんな虎とは対照的な山羊が話しかけてきた。
「おやおや皆さんこんなにはしゃいで・・・ロットです、よろしくお願いします」
少しみんなと話していると狐の少年が耳元で風船を割った。
ブランドは少し焦っていたが、まだ話していない人だった。
「えっと君は?」
「ちぇ・・・もっと驚くと思ったのに。次は驚いてよ?僕の名前はホルン、よろしく!」
ブランドはここの獣人達は他の主人のところにいた人達よりか生き生きしていた。
「ちょっと買い物行ってくるね」
とルルがそういって出かけてしまった。
「どうしたんだ?」
「気を利かせてくれてんだよ」
狼が疑問そうな顔をしているとラルドがこういった。
「ルルよりか俺らの方がまだ安心できるんだろ?」
ブランドは否定できなかった。
獣人は人間達に酷い目にあわせられているのだから。
「でも、どうして私を助けてくれたんだ?」
ロットが口を開いた。
「困っている人をほうっておけないのですよ」
それに・・・私たちは皆あなたと同じ奴隷なのですし」
「・・・」
「私達全員はルルに助けて貰っているのです」
でも、何が目的で?と聞こうとしたとき。
「さぁ・・・?ルルは特に目的なんてないんじゃないか?」
と言ったのはチットだった。
「とにかく、すぐにルルを信用しろとは言わない、ゆっくり慣れてほしいだよ」
ブランドは頷いた。
「よし!じゃあ新しい仲間も増えた所だし、今日は豪華に作るか?」
とラルドは言った。
みんなは頷いているが、ブランドは驚いていた。
「か、勝手に食材やキッチン使って起こられないのか??」
と聞いたのだが「いつもの事だから」と返されてしまった。
するとそこにルルが戻ってきた。
「どうしたの?ブランド?」
「いや・・・何でもございません」
ルルはブランドの顔を覗き込んだ。
「なんでしょうか?」
「行かなくていいの?」
ブランドは少しだけ悩んだが、すぐに答えも決まった。
「ええ、では行かせてもらいます」
「じゃあ、僕もみんなと一緒に作ろうかな」
ブランドはさっきの言葉を思い出した。
「少しずつ慣れて欲しい」
ルルは動かないブランドを見て心配そうにしていた。
「どうしたの?」
「ルル」
ルカはきちっと立ちブランドを見た。
「なんですか?」
「これからいろいろとお世話になります」
ルルはブランドの言葉に、にこりと微笑み頷くと、ブランドの手を引き皆の居るキッチンへと向かった。
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キャラクター一覧
ルル 人間 歳は14歳。性別は男
ブランド 狼獣人 歳は25歳。性別は男。
ラルド ハイエナ 歳は37歳。性別は男。
トルネ 猫獣人 歳は17歳。性別は女。
レイモン 獅子獣人 歳は26歳。性別は男。
チット 虎獣人 歳は23歳。性別は男。
ロット 山羊獣人 歳は58歳。性別は男。
ホルン 狐獣人 歳は12歳。性別は男。