聖戦天使エンジェルフォース・IFシチュエーション

  聖戦天使エンジェルフォース。

  天界の意志を受け悪意の意識体・マブジェクトの脅威と人知れず戦う五人の少女達。

  彼女達は様々な・かつ色々な戦いや困難をくぐり抜けつつも結束を強め、苦難を乗り越えながら日々戦い続けている。

  しかし、その中には様々な可能性の分岐が存在し、中には無念の結末となったものも少なくは無い。

  この物語もまたそんな異なる可能性の一つにおける彼女達の戦いの記録……である。

  [newpage]

  これはエンジェルフォースがその力をアップデートする前の物語である……。

  「きゃあっ!」

  マブフェクトの放ったエネルギー波にはね飛ばされるエンジェルシャイン。

  メンバーが五人揃ってからは力負けする事も無くなっていた彼女達だが、マブジェクト側もそれなりに力や戦い方を高めているのだろうか。

  「やあっ!」

  「はぁっ!」

  エンジェルアクアとエンジェルエアロがライフルとアーチェリーの一点集中射撃を放つ。

  「このぉっ!」

  「えいっ!」

  そこにエンジェルボルトとエンジェルフレアが一点集中でハルバードとソードを叩込む。

  しかし、その攻撃さえものともせずマブジェクトはエネルギー波を放ち、四人をいっせいに吹き飛ばす。

  「きゃあっ!」

  「きゃっ!」

  「わぁっ!」

  「うわっ!」

  運悪く四人が吹き飛ばされた先にはまだ動けずにいたエンジェルシャインが倒れている。

  「ち、ちょっとみんな……こないでーっ!」

  シャインの叫びも虚しく彼女達はまともにシャインを直撃し、その先の壁に叩き付けられた。

  聖戦天使としての強化を受けてさえ五人には強烈なダメージが襲い掛かる。

  さらにそこにマブジェクトがトドメとばかりに強力なエネルギー波を打ち込む。

  「「「「「きゃぁぁぁぁぁーっ!!」」」」」

  五人の絶叫がこだまする。

  その攻撃が止んだあと、そこには力なく倒れる聖戦天使達の姿があった。

  「うう……」

  「う……」

  「ああ……」

  「く……」

  「くっ……」

  苦痛の中ただもだえる五人。

  そんな中、彼女達の姿に異変が起こる。

  彼女達の胸元に光るエンジェルリボン。

  その光が少しずつ弱まっていた。

  それは彼女達の戦う力、聖戦天使としての姿を維持する力が弱まっている事を意味している。

  事実、彼女達のコスチュームが少しずつその形を解き始めていた。

  両腕を肩口まで包む白く長いグローブが、その膝上まで伸びたロングソックスと靴がそれぞれのイメージカラーに染まりきるとまるでリボンが解けるようにほつれ消えていく。

  それは彼女達の衣装にも及び、レオタードをハーフトップとミニスカートで覆う形の衣装が同じくイメージカラーに染まるとリボンとなって解けていく。

  そしてその下からイメージカラーに染まった半袖のブラウスとミニスカート、そしてシューズ姿の五人の少女達が現れた。

  その髪と瞳にこそ聖戦天使の証である光が灯っているが、その力は半減どころか大幅に減っているのは間違いない。

  「みんな……大丈夫……」

  「なんとか……でも……」

  「さすがにこれは……」

  「くそ……これくらいで……」

  「……」

  なんとか立ち上がり健気にも反撃しようとする五人。

  しかし、弱体化した力を象徴するようにボルトのハルバードとフレアのソードは只の光の棒となっており、アクアのライフルやエアロのアーチェリーも満足な威力を出す事はできない。

  もちろんシャインのロッドもその力をほとんど出す事はできず、それでも文字通り振り絞るようにして力を放っている。

  今の所マブジェクトは彼女達の攻撃を黙って受けているが、いずれ飛び回る虫を払うように全てをなぎ払うのは間違いない。

  その場合彼女達は―!

  「みんな!わたしに、わたしに力を貸して!」

  不意にシャインが叫ぶ。

  そんな考えがどうやって浮かんだのかはわからない。

  しかし、そうせざるを得なかった。

  そして、全ての聖戦天使達が迷わなかった。

  今はそうしなければきっと勝てない。

  これでも勝てないかも知れないけど―と言う考えは必死で振り払いながら。

  四人の聖戦天使達はシャインの背に回ると自分達の手をシャインの背中に当てる。

  「……お願い、シャイン……」

  「わたしの全部……受け取ってくれますね?」

  「任せたぜ……がつんと決めてくれよ……」

  「絶対……やっつけて……」

  それぞれの思いに対し、

  「任せて!」

  と答えながらロッドを握りしめる。

  四人の力が自分の中に注ぎ込まれる。

  その力がロッドに宿る。

  光がシャインを包み、その姿は大きく変わる。

  いつものシャインの姿よりもより力強い衣装に。

  より広い羽に。

  より豊かな髪に。

  見ればシャインだけではない。

  アクアも、エアロも、ボルトも、フレアも。

  五人ともより力強い姿に変わっている様に見えた。

  だが、その瞬間五人の光は消え去り、力なく倒れ込む。その髪と瞳からは今度こそ聖戦天使の力の色は失われ、もとの少女の姿となった事を示している。

  マブジェクトはその様を見て勝利を確信し、彼女達を霧散させんばかりの最大出力のエネルギー波を放とうとして―自身が霧散した。

  聖戦天使達がその残りわずかな力の全てをかけた一撃がその体に致命傷を打ち込んでいたのだ。

  勝った……聖戦天使達の薄氷の勝利である……。

  全てを出し尽くしそれぞれのカラーのブラウスとミニスカート姿で眠りにつく五人は余りにも無防備だった。

  せめてもの幸いは意識を取り戻した彼女達が変身を解除し、それぞれの衣装に身を包んで帰路に着くまで不埒な闖入者が現れなかった事。

  そして、この時一瞬だけ浮かんだ五人の姿と力をもとに彼女達に新たな力と衣装がもたらされる事になった事である。

  聖戦天使達の戦いはまだまだ続く。

  その行く手にある様々な困難を乗り越えながら……。

  [newpage]

  これは彼女達のある夏の光景・そしてある変身シークエンス実装の可能性の一コマである。

  「わ~い、夏だぁ!海だぁ!」

  城ヶ崎きららが無邪気にはしゃいでいる。

  「もう、そんなにはしゃいだら恥ずかしいよぉ。それに今日は水着を買いに来ただけだから」

  美咲しずくが自分が恥ずかしがりながらきららをいさめている。

  「ま、新しい水着で夏の海辺っていうならはしゃぎたくもなるってものだよな。そしてそこから一泳ぎは外せないさ」

  早乙女いなほはそう言って意気揚々と胸を反らす。

  「そうね。夏の海は開放的になるわ。水着さえちょっと……」

  川澄すずかはいつものノリで大胆な発言を口にしかける。

  「うん、思い切り泳ごう。楽しもう」

  北山ひなたはそう言いながら拳を握る。

  聖戦天使である前に多感な青春を送る女子学生である彼女達。

  夏の一時を海で過ごす為に新しい水着を買いに繰り出した次第である。

  「でもさあ、これでマブジェクト達も夏休みしてくれると私達としては嬉しいんだけどさ」

  気楽そうな顔で空を見るいなほ。

  「うん、今日一日みんなで楽しみたい」

  しずくもうんとうなずく。

  「ゆっくりと脱……解放感に浸りながら楽しみたいけど気持ちを引き締めるのも大事だわ」

  きわどい事を言いかけながら委員長らしいと言うかしっかりと釘を刺すすずか。

  「うんうん、みんなで楽しむのも気持ちをきゅっと引き締めるのも大事!だから今は思いきり水着選ぼうよ!」

  きららの発言は脳天気にも見えるがやはり確かなものは突いている。

  「でもみんな、こう言う場合こう言う話をしていると……」

  ポツリとつぶやきながらひなたが指をさした先、そこには―。

  「おいおい、マジかよ……」

  「来て欲しくなかった……」

  「あらあら、お約束かしら」

  「う~ん、ドッキリとかならいいけど」

  「まだ買い物していないのに!」

  みな口々にこぼしつつもその思いは視線の先―街中に出現したマブジェクトに向けられる。

  さいわいタイミング良くと言うかこちらには人の流れはない。

  変身するなら―今がうってつけのチャンスである。

  いつの間にかきららをセンターにして五人が並ぶ。

  そして、その手にいつの間にか握られていたエンジェルリボンを掲げて叫ぶ。

  「エンジェルシャイン!」

  「エンジェルアクア!」

  「エンジェルボルト!」

  「エンジェルエアロ!」

  「エンジェルフレア!」

  「「「「「メタモルフォーゼ!」」」」」

  各自のコードネームを除ききれいな声のハーモニーが重なり響く。

  彼女達を守る謎の空間に転移されるやいなやその胸元にリボンが装着され、それぞれの私服がそれぞれのイメージカラーに染まる。

  その勢いで彼女達の髪留めや眼鏡が宙に飛びリボンの中に収納される。

  さらに染まりきった私服が散り散りにはじけ飛ぶ―事無く逆にその全身を一瞬で覆う。

  それこそ足の先から頭の先まで余す事無く。

  その肌も、豊かな髪も、可愛らしい顔立ちも全てをそれぞれのカラーがピッチリと覆い尽くす。

  その瞳を除いて顔まで覆い尽くした全身タイツが彼女達のスタイルをより印象的に見せつける。

  きららの小柄な割に豊かな胸の膨らみをたたえたプロポーション。

  しずくの胸はそこそこだが優しげな体のライン。

  いなほのしなやかな中に体育会特有の引き締まったものを感じさせるスタイル。

  すずかのグラビアモデルと見紛う様な清楚でかつ蠱惑的な曲線美。

  ひなたの小柄でスレンダーな体格。

  その全てがより魅力的に引き出されている。

  そしてその体をピッチリと包む全身タイツの中で彼女達は内側から満ちる気を感じている。

  「来る……感じちゃう……」

  「ああ……やっぱりヘンな感じ……」

  「うう……こいつは……」

  「あん……いいわね……」

  「んん……んんんっ……」

  五者五様で内なる変化とそれを受け止める外側の感触を受け止めながらそれぞれに瞳を閉じ、その体を広げていく。

  内なる気が高まり渦巻く中、五人はかっと目を開く。

  その色はそれぞれの聖戦天使の力の色に輝いている。

  それに合わせてか、不意に彼女達の全身タイツの背中を破り白い翼が現れる。

  蝶が蛹から羽化する様に白い翼の根元から全身タイツがめくられながらネクタイリボン風に変化したエンジェルリボンが映えるハーフトップと白いラインの入ったミニスカートに覆われたレオタード風の衣装に、膝上まで伸びるロングソックスと足元を守るシューズに、肩下まで伸びるグローブに変わっていく。

  マスクが後頭部からめくられ、そこからそれぞれの色に輝く彼女達の髪が吹き上がる。

  その素顔が露わになると同時に吹き上がった髪がそれぞれの変身前より豊かになった髪型にまとめられていく。

  その髪にリボンと髪飾りが添えられ、その手にそれぞれの愛用の武器が握られると彼女達は元の空間に姿を現わす。

  そして戦いの構えと共に名乗りを上げる。

  「「「「「聖戦天使エンジェルフォース・参上!」」」」」

  こうして彼女達は今日もまたマブジェクト目がけて飛翔するのだった―。

  [newpage]

  今日も勝利したエンジェルフォース。

  それぞれに安堵した顔を見せながら彼女達にとっての安全地帯へと着地する。

  そして声を揃える。

  「「「「「変身解除!」」」」」

  の声と共に謎の空間に転移した五人のコスチュームがそれぞれの色に染まる。

  武器や髪飾り、リボンが消え、まとめられた髪が再び吹き上がると染まりきった彼女達のコスチュームが形を崩しながらその体にぴっちりとまとわれていく。

  胸に、腰に、腕に、足に、そして顔に。

  彼女達は再び顔まで覆われた全身タイツ姿に変化した。

  「あん……ちょっときつい……」

  「や……はずかしい……」

  「う……ひきしまる……」

  「あぁ……ここちいい……」

  「ん……んんんっ……」

  瞳を閉じながら感じる変身時とはまた違う引き締められる感覚。

  聖戦天使の気が静まっていき、同時にタイツの引き締めも少し増していく分感覚がより強く感じるのだろう。

  そしてそれぞれのもとの色に戻った瞳を開けると全身タイツは解けていき、その中から私服姿の五人が姿を現わす。

  元の色に戻った髪がなびく中、髪留めや眼鏡が再び身に着けられると同時に彼女達は元の空間に姿を現した。

  「ふぅ……やっと終わったね」

  「うん……でも、結局日が暮れそう」

  「まったく、夏休みどころかサマーフィーバーってか?良い迷惑だよ」

  「結局別の意味で楽しんだわね」

  「私、もっと普通に楽しみたかった」

  既に日が傾いている中、それぞれにこぼしながら五人は夕涼みをしながら帰路につく事となった。

  聖戦天使達に休息はない―とまでは言いきれないとしても結局慌ただしい一日を過ごしてしまった五人であった……。

  to be continued…

  オマケ

  変身解除中、全身タイツ姿で感じていた五人だがその力が鎮まってもなおその全身タイツが解ける気配はない。

  「……これって……」

  「まさか……」

  「変身解除エラー、だよな?」

  「そのようね」

  「うう……」

  元の空間に戻り、瞳だけがのぞいた全身タイツのままな姿を見回す一同。

  「このカッコ、裸でいるよりはまだ人前に出られるけど……」

  「やっぱり恥ずかしいよ……」

  「なんだかこれはこれで立ち回れそうなカッコではあるけどな……」

  「ええ、色々立ち回って……これはこれでハマりそうですね」

  「うう……なんだかこれはこれで嫌な気がする」

  それぞれの魅力的な体のラインをしっかりと露わにしながらその素顔も素肌も覆い尽くされた全身タイツ姿の彼女達。

  裸とはまた違う形で魅力的ではあるがやはりこれはこれできわどい事に代わりは無い。

  「誰かに見られたらどうしよう……」

  「できれば誰にも見られたくないよぉ……」

  「いっそ思い切り全力ダッシュするとか?」

  「あ、それは賛成!」

  「私はもっとゆっくり歩きたいわね」

  そんなやりとりをしながら彼女達は人目を避ける様にその場を去る。

  果たして彼女達は無事に全てをやり過ごす事ができたのか。

  それともやはり誰かに見つかり色々恥ずかしい体験をする事になったのか。

  それは皆さんのご想像に委ねる事になる……。

  to be continiued...