21世紀前半の日本。
とりあえずは穏やかな時代の影で人知れずうごめく存在があった。
それが巨大な意志に率いられたものか、それともただその本能のまま生きるものか。
そもそもその存在自体が実在しているのか。
しかし、多くの人々が感知しない影でそれらは動いていた。
望む・望まざるを問わず獲物を求める為に……。
その夜、水葉楠葉がその公園を通ったのは奇妙な偶然によるものだった。
海外赴任した両親の留守を預かりながら医大生としての日々を送る楠葉の日常はおおむね平穏であり、その日もいつもの様に講義を終えた楠葉は友人達の誘いを受けちょっとしたティータイムを楽しんだあと家路についた。
その後一息ついたまでは良かったが夜になり買い残しの品物があった事に気づいた楠葉は行きつけのコンビニエンスストアに足を運んだ。
もしそこでもう一息ついていたのなら彼女の運命はまた違う事になっていた事は否定できない。
横切れば自宅までそれなりに近道になるとは言えそこを通るにはいささか不安を感じてしまう時刻を差している柱時計を横切りながら楠葉はやや急ぎ足で歩いている。
黒地のフレアスカートを揺らし黄色いブラウスにオレンジのジャケットを羽織った出で立ちは少し派手さを感じさせるが楠葉のショートボブに多少幼さの名残を残した穏やかな顔立ちとの兼ね合いは決して不似合いとは言えない。
その顔を多少なりとも緊張させつつ楠葉は常夜灯以外の灯りもなく通りがかる人影も皆無な公園の中を歩いている。
そもそもこんな時間にこんな場所でうら若き女性が只一人歩いている。
書き尽くされ切ったと言っても過言ではない危険な状況の手本とも言える中にいる楠葉。
その呼吸は若干荒く、その瞳もかなり緊張に震えていた。
”早く、早く帰らなきゃ……。“
今の彼女の心を占めているのはその思いだった。
いつもは決して通らないはずの場所を通る危険な選択をした事を後悔しつつもそれでもなんとか帰ろう。
そして一息ついたらゆっくり休もう。明日も講義があるし……。
そう思いながら歩を進めていた楠葉の体が突如として何かに引っ張られた―かと思いきや、
「きゃぁぁっ!?」
そう叫ぶのが早いか楠葉の体は通路から姿を消した。
何事もなかったかのような静かな夜の闇と彼女が手に持っていた買い物袋とバッグを残して―。
[newpage]
楠葉の体は宙に浮かんでいた。
正確には「浮かばされていた」と言うべきか。
「あ……ああ……。」
その顔は恐怖に震えおびえた瞳は大きく見開かれていた。
公園の中にある林の奥。
夜の闇がより暗さを深める中楠葉は大の字になった状態でその手足と腰を縛られている。
彼女を縛っているのは触手―まさにそう呼べる存在であった。
彼女が拘束されているさらに奥―今はまさに闇の深奥とも呼べる場所から伸びている触手。
それが今楠葉の体を拘束し宙に持ち上げているのだ。
「……いや……はなして……。」
恐怖におびえながらも体を必死に動かして触手を解こうとする楠葉だったが彼女に巻き付いていた触手はそのまま衣服越しに彼女の体をなで回す。
「あ……あぁ……。」
腕を、足を、腰から体中をなで回される感覚におびえと同時に軽い官能の声が上がってしまう。
それに呼応するかのように触手はさらに楠葉の体に伸びていく。
「あ……いや……あんっ……」
必死で体を動かしているのは抵抗しているからなのか、それとも素肌に直接伝わる異様な感触に身もだえしているのか。
そしてついに触手は楠葉の衣服を一気に引き裂く。
その豊かな胸が勢いよく震えながら弾けるように飛び出し、またたくまにそのきめ細やかな乙女の素肌と美しい肢体が露わになる。
「きゃぁっ!」
悲鳴と共に一瞬楠葉はその裸身を縮こめようとするが触手は容赦なくその手足を広げる。
「ひっ……あっ……」
恥ずかしさと怖さにおののきながら楠葉は身もだえを続ける。
そんな彼女の柔肌にさらに触手は伸びていく。腕や足・腰にさらに絡みつき、胸や臀部、そして―。
「あぁ……ああ……んん……。」
経験豊かとはまったく言えないものの彼女も年相応の女性としての感情は持っておりそれなりに鎮め発散する術自体は心得ていた。
しかし今彼女が感じているのはそれを遥かに上回る感覚だった。
ただなで回されているのにここまで感じてしまう。
裸にされているから?夜の林の中だから?それとも……。
そんな思いを抱いていた楠葉の顔がいつの間にか肩口からうなじまで伸びていた触手に覆われる。
顔だけではない。楠葉の裸身はいつの間にか触手によって完全に覆い尽くされていた。
今の楠葉はさながら人の形をした繭―そう言える姿となっていた。
闇の中から伸びる触手は静かに震えながらその繭に刺激を送る。
刺激が繭に伝わる度に形作る触手がしなりその中で楠葉の体が震える。
腕が・足が・頭が揺れるがその動きはさらに繭から伸びた触手によって押さえ込まれる。
全身を・素肌を・まさぐられる気持ち悪さ、そして気持ちよさに楠葉は繭の中で何度も声を上げた。
その度に意識が蕩けていく。恐怖や羞恥が薄れ入れ替わりに性感―そしてもっと根幹的な何かが刺激されている昂ぶりに楠葉は蕩けていた。
触手が伸び覆い包まれる内に楠葉―の形をしていた繭はその形さえなくし文字通りの繭となっていた。
触手の繭。その中に蕩けきった命を包む繭がそこにあった。
その姿は巨大で異様ではあったが夜の闇の中のかすかな光に反応して光る様はどこか美しい。
それを見とどけるかのように闇の深奥から一本の触手が伸びる。
これまでとはまた異なる存在感を持つ触手。その先端には赤く輝く宝石のような物体が握られている。
触手はしばらくの間繭の周りを探っていたが―意を決したように繭の中にその先をねじり込ませた。
”あ……あ……きひゃぁぁぁぁっーっ!”
その瞬間、楠葉の脳から全ての神経に突き抜けるような・押し流すような・はじけ飛ぶような刺激が走り楠葉の意識は途絶えた。
同時に繭を覆っていた触手は一本・また一本と引き抜かれていき闇の深奥の中に消えていく。
触手が引き抜かれて闇の中に消えていく度繭はその形を失っていく。
繭が完全に消えた時その中からうつろとなった顔をした全裸の楠葉、そしてその裸身をしっかりと、そして優しく支えるように巻き付いていた一本の触手があった。
触手は静かに楠葉を地面に置くと闇の深奥に姿を消し、同時にそこもまた只の夜の公園の林の一角に戻った。
何事もなかったかのように静まりかえる林の中で楠葉はぐったりとしたままその裸身を横たえている。
その顔は恐怖とも快感ともつかないほど惚けておりその瞳もうつろになっていた。
「……あ……あ……あ……あ……」
いつの間にかその口元から漏れ出した声もどこか朦朧としたものだったが声を出すうちに楠葉の中である言葉―言霊が少しずつ浮かび上がり形をなしていく。
意識はもちろんその感覚さえ未だうつろな中その言霊だけが形を成し輪郭を保っていく。
「あ……あはぁ……あへぇ……へぇ……へぇ……へぇん……」
横たわった体、その口元だけがかすかに動き言霊を紡ごうとする。そして……。
「へ……ん……し……ん……」
そうつぶやいた瞬間楠葉の腰、ちょうどヘソのあたりから紅い宝石が浮かび上がり光を放つ。
完全に意識を失う瞬間楠葉が感じたのはその光が全身に満ち自分が解き放たれていく様な感覚だった。
宝石の輝きに導かれながら暗がりの影に覆われていた楠葉の姿は再び形を失いまた異なる姿へと変わっていく。
しかし、幸か不幸か意識を失った今の彼女にそれを感知する事は不可能だった……。
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数時間か・それとも数分か。
暗がりの中からゆっくりと起き上がる物体があった。
”あれ……わたし……いきなり林の中で裸にされて……でも……なんだか違う……”
そうつぶやきながらその物体は体をよろめかせつつも立ち上がる。
まだ朦朧としているのか視界が少しおかしい。
同じものを写したたくさんの映像画面や写真を見ている様にものが見える。見える色もどこかおかしい。
それに体の感覚もどこかおかしい。
裸にされた事は覚えている。しかしその割には何かが違う。
体は動かせるが肌が固い。まるで全身を何か固い物で覆われそれと一体化しているような感じがする。
実際外気や地面を踏む肌の感覚が少し違うのだ。
”おかしい……わたし……わたしじゃない……わたしの体じゃないみたい……”
そうつぶやきながらその物体は静かに林を抜け通路に現れ常夜灯にその姿をさらす。
異形の存在―まさにそう言うべき存在がそこにあった。
人の形こそしているが生物学的な常識における「人間」の外見をしてはいない。
柔らかい皮膚の代わりに固い外骨格がその全身を覆い関節も節足動物のそれを思わせる。
何より独特の複眼と顎・そして触角を持つその顔―頭部は昆虫・特にバッタのものである。
その全身はまさにバッタを人の形にした生物―バッタ怪人がそこにいた。
ただその体形は少し細目であり何よりその胸部が少し大きいのを見ると一応「バッタ女」という所だろうか。
”あれ……この手……この腕……変……顔も……どうなっているのわたし……”
バッタ女はまるで人間の女性のような口調でつぶやくとふと辺りを見回す。
その視界の先、複眼により複数存在しているように見えるその先に一つのバッグと買い物袋があった。
"あ……これ……”
慣れた手つきでバッグを手に取りその中からある物を取り出す。
それはカードホルダーに入っていた学生証だった。
”みずは……くすは……”
その学生証に刻まれた名前と写っている女性の写真を見つめるうちにバッタ怪人の朦朧としていた意識が急速に形を成していく。
”みずは……くすは……水葉……楠葉……わたしの……名前……!”
頭の中で何かが閃いたと同時にその視界も複眼から単眼の物に変わる。
そして―バッタ女の意識の中で”水葉楠葉”が覚醒した。
”そ、そうだ!わたし、あの林の中で裸にされてそのあと……”
その記憶が蘇ると同時にバッタ女としての固い外骨格とバッタの顔に覆われた姿で楠葉は一瞬恥じらいの仕草を取った。
そこで改めて自分の体が変化している事を感じた楠葉はバッグと買い物袋を手にしたまま近くの公衆トイレに駆け込む。
幸い彼女以外誰もその場所にはいなかったのは幸運である。
のぞき込んだ鏡に映っていたのは生まれてからずっと見続けていた自分の顔ではなく人の顔の形に当てはめられたバッタの顔そのものだった。
その姿は緑を主とした色に包まれ、大きく開かれた瞳は紅い輝きに満たされていた。
その事自体には驚きこそしていたがなぜか楠葉に異形の姿と化した恐怖や不安はなかった。
バッタ女に変化させられていく中でその辺りの感覚が緩和されるような変化が行われていたのだろうか。
ふと腹部に手を置くとそこには紅い宝玉が納まっている。
”これって―あの時……”
触手に覆い尽くされたあと自分の体を突き抜けた衝撃、その源でもあった紅い宝玉を見て楠葉は自分をこの姿に変えたのはこの宝玉なのかと言う事を悟った。
”とりあえず一度帰ってから色々確かめないと”
色々考える事はあったがひとまず楠葉は帰る事を選んだ。
歩き出そうとする足に力が入り足を踏み出した瞬間一気にその体は宙に舞う。
"えっ?きゃっ!”
さすがに突然の事に楠葉も驚きバランスを崩しかけるが辛くも身を立て直し両脚を揃えて着地する。
確かな着地の感覚が外骨格を通じ内側の筋肉を振るわせる。
”これって……ちょっと気持ちいいかも……?”
バッタ女の顔のまま楠葉は少し笑みを浮かべつつも今度はなんとか力を加減しつつ走り出す。
これも変化の影響かしばらく体を動かす間に楠葉はバッタ女の姿で走る事・そして飛び上がる事の呼吸を掴みつつあった。
公園を飛び出し住宅街を文字通り飛び抜ける楠葉。
幸いこの時間通りがかる人もなく窓の外を見る人もいないのは幸いだった。
そんな中をバッタ怪人の姿で駆ける中で楠葉の中にちょっとした恍惚感が生まれつつあった。
”あぁ……思い切り走ったり飛んだりするのってけっこう気持ちいい……しかもわたし―一応裸だし……でも裸じゃないし……”
そんな事を考えつつ飛び跳ねていた楠葉だったが壁の上に着地しようとした軌道がずれその横に止まっていた一台の大型車にその体を飛び込ませてしまった。
"きゃっ!”
天井から車体を貫く鈍い音と衝撃が響き楠葉は尻餅をついたまましばらく身動きを取る事ができなかった。
幸いバッタ女の外骨格は相当強靱らしくかすり傷一つ付いていない。その中の筋肉も異常は無いようだ。
それはともかくとしてさすがにこのままではまずい。
そう感じた楠葉は体を起こしなんとか車から出ようとするが勢い余って動けば動くほど車体はへしゃげつぶれていく。
楠葉が車から完全に解放された時そこにあったのは車の残骸―とも言えないような位に破壊された物体だった。
”ご、ごめんなさい―!”
心の底からわびつつ楠葉は再び宙に舞った。今度はうかつに気をそらす事無く慎重に。
ちなみに楠葉が破壊してしまった車はタチの悪い空き巣常習犯の常用車で一仕事終えた一味が完全に破壊された愛車の前で呆然としていた所をパトロール中の警察官に取り押さえられたのはせめてもの幸いである。
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楠葉が自宅に帰り着いたのはそれから一分も経たない事だった。
幸い誰にも気づかれる事も無く自宅の玄関前に滑り込む。
自宅の物陰に隠れながらしばし様子を見ていたが安全を確認したのか即座にバッグから鍵を取り出すとそそくさと中に入る。
”ふぅ……はぁ……”
そこでようやく気持ちがゆるんだのか楠葉は灯りのともらぬ玄関でだらしなく倒れ込む。
肉体や知覚こそ超絶に変化しているとは言えその内面はまぎれもなくもとの女子大生のものであった。
一息ついた所で再び気づかれる事無く家中の窓を閉め切るとようやく灯りを付けそのあとシャワーを浴びる。
バッタ女の姿のままでシャワーを浴びると言うのは異様なと言うかかなり奇妙な光景だがこれもまた楠葉自身の性格なのだろうか。
そしてそのまま自室に戻るとベッドに体を横たえる。
”ふう……わたし……すごい事になっちゃったんだ……”
恐怖や不安こそないもののやはりこの姿になっていると言う事は多感な女性にはかなり衝撃的な事実なのだろう。
”明日、休講しようかな……今のわたしが一体どうなっているのかもっと確かめないといけないし、周りに話すのはそれからでも遅くはないわね”
そう思いながらバッタ女の顔の中で楠葉は瞳を閉じた。
しかし―。
それからしばらくした部屋の中で布擦れと共にガサガサと固い物がこすれる音がする。
最初は間隔を置いて、そしてだんだんその間隔が短くなっていく。
”あ……あ……ああ……”
その音に混じって甘い声が聞こえてくる。
言うまでも無くその音と声の主は楠葉だった。
眠りにつこうとしていた彼女の中であの時の記憶と感覚が痛烈に蘇る。
あの触手に巻き付かれ素肌を触れられた感覚。
その触手の繭の中で蕩けていった感覚。
そして―今の自分の姿を形作ったあの宝玉と一つになった時の衝撃。
女性として、人間として―いや、一つの生命としての快感に目ざめる歓びを教えてくれたあの出来事。
それを思い返す中で楠葉の意識と彼女の中に宿る宝玉が共鳴し合いその体の隅々に奇妙な活力を与える。
自然とその胸に手が伸びる。
胸の大きさは少し豊かになったみたいだがその触れた感覚は冷たく固い―はずなのだがそっと触れて軽く押さえる感覚は弾力に富み柔らかささえ感じた。
そして何より……。
”あっ……”
バッタの顎に似た口元が開きそこから不似合いな優しい声が漏れる。それと同時に頭部の触覚がピンと震えながら引き立つ。
硬い胸部骨格の中で柔らかく揺れる筋肉の動きが普段戯れに触れる時の胸の感覚以上のものを伝えてくる。
と言う事は―。
”あっ、んっ、んんっ……!”
同じ要領で固く覆われた下腹部に触れた時楠葉は甘い歓びの声を上げてしまった。
今までやってきた自分を鎮め発散させる為の行動を遙かに上回る快感と衝撃に楠葉はベッドの上で身をそらし続けた。
緑の外骨格に覆われた「人間の女性の形をしたバッタ」の姿で両手を下腹部に添えて身をよじらせる光景は確かに異様であり同時に官能的でもあった。
”あっ、ああっ、あはぁっ、あぁぁっ……”
固い外骨格がこすれる音と布擦れの音、そして甘い女性の声はいつ果てる事無く夜の闇の中で続いていた―。
「ん……んん……」
ベッドシーツに包まれた「柔らかい肌の感触」とカーテンから漏れた朝陽が顔に当たる感覚で楠葉は「瞳を開いた」。
ふと光を遮ろうと手をかざした時楠葉は自分の手が柔らかい人間の手になっている事を見て思わず目を見開いた。
「!?」
思わず飛び起きそのまま姿見を見る。
そこには紛れもなくいつも通りの楠葉の裸身がそこにあった。
ショートボブの髪をした少し幼げの顔立ち。
柔らかな素肌に覆われた平均よりもちょっと豊かな胸元をはじめとする相応の肢体。
まぎれもなく生まれたままの人間の女性だった。
「―戻れた―わね。戻っちゃった―かな?」
両手で顔を軽く撫でながら鏡の中の自分に笑みを向ける楠葉。
あの出来事を夢だったと片付ける事は彼女の記憶と実感が許しはしなかった。
今もなお自分の中にあるあの宝玉。
自分にあのバッタ女の姿に変わる力を与えたあの宝玉とあの触手の正体は何なのだろう。
そして自分は一体どれだけの力を持ってしまったのだろうか。
不安こそ無いが色々と思いは尽きない。
しかし―元の姿を取り戻した楠葉が変化の余韻を思い出そうとするよりも先に目に飛び込んだ物は―。
「そうだ!早く仕度しないと遅刻しちゃう!」
ふと見上げた時計がそろそろ大学に向かう為の段取りをする為の黄信号を示していたのを見て楠葉は朝のシャワーとかをする様な余裕もなく急いでクローゼットに飛び込む。
下着・上着・バッグと一通り身に着けなんとか段取りを済ませると楠葉は急いで自宅を後にし大学へと走り出していた。
それは水葉楠葉が歩む事になる物語の始まりの一歩でもあったのだ―。
第一部第一章・了