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立は秋信に、昨晩望と話したこと、その時アキのことを思い出したことを話した。
「それで、秋信さん家に向かう途中に恵奈と合流して……アキが走ってるの見て、やっぱり秋信さんがアキだったんだって……確信したって感じ」
「そう、なんだ……」
まだ少し緊張している秋信は、小さくそう返した。
「……私と恵奈は、朝起きた時に思い出したの。恵奈、大泣きして……」
「だって、ずっとモヤモヤしていたから……」
純可がそう話すと、恵奈は少し恥ずかしそうにそう言った。
「……望は、最初から気づいてたのか?」
立は、望の方を見て訊ねる。
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「あー、じつは……此処で初めて秋信さんと会った日に送ってくれた時に……その……本来の姿の秋信さんを一瞬見て……」
「えっ!?」
まさかの望の発言に、秋信は思わず声を上げた。
「……山から出た時には、全て思い出していたんだ。だから次の日、秋信さんに会った時には大体わかってた」
望はそう言い終えると、少し困ったように笑う。
「どうして……問い質さなかったの?」
秋信がそう訊ねると、望はゆっくりと口を開いた。
「……正直に言うと、怖かったんだ。問い質してしまったら、本当にもう二度と会えなくなるんじゃないかって……だから、今こうして会えるんだったら、何も知らないままでもいいって……そう思ってたっていうのが本音だよ。どうしても、また一緒にいたいと思ったから……」
そう言った望の様子は、とても不安そうだった。
(不安だったのは、僕だけじゃないんだ……)
秋信は、望の方をじっと見つめる。
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「……ありがとう、望……そんな風に思ってくれていたんだね……」
「名前……」
「えっと……皆には聞こえてなかっただろうけど、五年前は呼び捨てで呼んでたから……」
秋信がそう言うと、望は目を丸くさせたかと思うと、くすりと笑った。
「何となく、わかってたよ。ね?皆」
望は他三人に目線を向けた。
そうすると三人は、笑みを浮かべて頷く。
「やっぱりって感じだな」
「うん。当時も今、名前呼んでくれたのかな?って思う瞬間たくさんあったし」
「えっとね、アキちゃんの鳴き声聞いて、そうなのかなぁって思ってたし……合ってて嬉しい!」
立、純可、恵奈は、次々と言葉を発した。その言葉が、秋信にとってはたまらなく嬉しかった。
「……皆、ありがとう……僕の正体が何なのか、それと何故皆の記憶から僕が消えたのか……僕の記憶からも皆が消えていたのか……全て、話したい……いいかな?」
秋信は四人になら全て話せると感じ、ゆっくりと口を開くと、四人はもちろんと言う風に頷く。
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「ありがとう。僕はね、猫の妖怪なんだ。もう二百年以上は生きてる。望が読んだ本に書いてあった、悪妖と呼ばれていたのは僕だよ。もちろん、悪さなんてしていない。ただ、気づいたらそこに生まれていただけ……」
四人は静かに、秋信の話を聞いている。秋信は続けた。
「猫の姿になって、本来の姿を隠しても……年が経つにつれて、村の人達から気味悪がられて……酷いことをたくさんされた。村から逃げようとしても『お前みたいな悪妖が出たら被害が広がる』と言われて捕まった。だから、ずっと逃げれずにいた」
そう話して、悲しく笑うしかなかった。
「百歳になる頃には、全てどうでもよくなっていた。そんな時、この山に放り出されたんだ……そこで、この山に住んでいた人間の夫婦に助けてもらったんだよ」
秋信は自身を育ててくれた父母のことを思い出し、自然と笑みを浮かべていた。
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「その夫婦は、妖怪である僕を受け入れてくれた。最初は信じられなかったけど、何年経っても僕に対して優しくしてくれて、様々な事を教えてくれた。二人は僕を息子だとも言ってくれて……気づけば僕も二人を、父親と母親だと思うようになっていたし、父さん母さんと呼ぶようにもなったんだ」
父母との思い出がどんどん蘇っていき、秋信は嬉しそうに話した。
「秋信という名前も、父さんと母さんが僕につけてくれたんだ。それからまた長い年月が経って、父が亡くなった。そして、その数日後には母が亡くなった。父母は最期まで、本当に僕を想っていてくれていた……僕が、人間に憎しみを抱かずに今こうしていられてるのは、父母のお陰なんだ。温かくて優しい人間もいると知れたから」
少し悲しそうな表情を見せたが、秋信は微笑んだ。
「この山とこの家から離れるだなんてことは考えられなくて、家が壊れないよう術で補強して、山の至る所に、人間や僕が知らない動物が入ってこれないように術をかけて……ずっと、此処で暮らしている。時々猫の姿になって、山の外の様子を見に行って……その時、君達に出会えた」
秋信がそう言うと、秋信だけでなく、四人も嬉しそうに微笑んだ。
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