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ミキと私は、古い付き合いのいい女友達であった。
お互いに、"そういう"素振りも気配もなかったと思う。とはいえ、小さな頃からずっと一緒だったし、大学まで同じ進路だったから、家族以上の縁を感じないではなかった。
だから、お互いに、一大事があれば、お互いに命に関わるほど心配しただろうし、命に代えてでも助けたいと思うだろう。幸い、そういう場面には出会わなかったのだけど……今年の春までは。
私の家には、古い祠があり龍神様を奉っている。奉っているのだが、絶対に願掛けだけはしてはならないと言う奇妙な仕来りがある。
半信半疑ではあったが、願い事が仮に叶ったりすると、辰の日、龍神に身体を乗っ取られて、それはもう大変なことになると言う。
と、言うわけで、我が家の庭に祠だけ残っていて、資産はあれど、高齢な両親が亡くなり兄弟もいない私が、広い家を守るという状況になっている。
まぁ、私自身は男に興味がないし、私が末代となれば、祠ごと古い家も取り壊されて、何もなかった事になるだろうと思っていた。
そんな諦念を持っていた時に、高熱にうなされると言う事態に陥った。
半月も意識がないと、流石に誰か心配するだろうと思ったが、本気で心配してくれたのは、彼女だけであった。
察しがいい人は分かると思うが、私はあまり人付き合いが上手くないから、親密なのはせいぜい彼女ぐらいだったのだ。
それが突然、全快したので、彼女の喜び様は一入だった。
「私ね、龍神様にお願いしたの! 熱が出てから、来る日も来る日も」
彼女は押しつけがましい所のない子で、割と純粋なところがあるから、それは本心から願っていてくれたのだなと理解したのだけど、これが本当なら、ちょっと不味いことではないかと思ったのだ。
幸い、退院した日は辰の日の前日である。
「お祝いしよう」
と、柄にもない事を言いつつ、部屋に呼んで、今日は泊まっていけばいいよ。なんて話を載せていった。
彼女も、感じるものがあったのか、それに同意し、今晩、一緒に過ごす事が決まった。
さて、鬼が出るか蛇が出るか――否、伝説通りなら龍神が現れる。
勿論、言い伝えなんてものは、あまり信じていないが、病気が治ってしまったのは事実だ。何も引っかからないではいられない。
お互いに好きなものを買い込み、家でそれを広げて食べて、無駄話を延々と続けて、夜も遅くなると布団を敷いて一緒に寝る事になる。
時計ばかり気にする私を、気に掛ける彼女だが、気にしているのは君の事なのだよとは言えなかった。
さて、寝間着に着替え、更によしなし事を話題にしているとちょうど零時となった。
すると、彼女は突然、身体が熱いと騒ぎ始めた。
最初は、熱い、熱いと言ってただけなのが、徐々に嬌声めいてくる。
わりとおっとりした子なので、その反応は意外である。
そして、目つきも色っぽくなってきてるし、服も脱ぎ出すしで、明らかに様子がおかしいのだ。
それから、息が荒くなり、何かを押さえ込んでいるような息づかいになる。
呼びかける声に応えると、眼球がなにやら爬虫類のような異様なものになっているのに気付く。
抱き寄せると、彼女は私の肩に手を掛けて、何かに必死で耐えているようである。
「来る……来ちゃう」
と肩越しに見える背後に、尻尾が生えているのが見える。
「ちょっと!」
流石に黙っていられないから、正面に向かって肩を揺すると、身体の所々が鱗に置き換わっている。
顔を見れば、マズルが伸び始めているし、角も生えてきた。
「ダメ、私、どうかなっちゃう!」
と叫んだ瞬間、短かった尻尾が一気に生え、そして、顔の構造が一瞬で変わっていくのが分かる。
身体もみるみる鱗に覆われ、そして、肉付きが良くなっていく。
足下に何か垂れるのを感じて、下を見れば、股間から粘液がしたたり落ちている。
「み、見ないで!」
といい、手で隠すその手は厳つく、鋭い爪が伸びていた。
手で股間を隠しているが、しかし、身体のうずきは泊まらないらしく、身体のあちこちを押さえるのに必死であった。
私は、濡れた股間から何故か目が離せないでいた。
「あっ! ダメ! 来ないで!」
その言葉の瞬間、大音声の喘ぎ声と共に、彼女の女性器からぬらぬらとした巨根が伸びていくのが見えた。
変身が終わったのだろうか、彼女は倒れ込んで、身体をビクビクとさせている。
「ミキ、大丈夫?」
もう、こんな言葉しか掛けられない。
彼女は顔を上げると、突然、私を押し倒した。
「やめっ!」
声が出たのはその瞬間だけだ。彼女は喉の奥の方でグルグルと肉食動物のうなり声のような音を立て、そして、私の股間に彼女の肉棒を突き立てたのだ。
頭の中が痛覚でいっぱいになった。もはや、声すら出ない。否、呼吸すら出来ないでいる。
変調された彼女の声で、「ごめんね!」「ごめんね!」と何度も続けているが、腰の方は激しく揺さぶられ、自分も自分でその接点の感覚が徐々に麻痺していくのが分かる。
最初は謝るばかりだったのに、「アヤちゃんの中気持ちいい!」とか言い出していたから、いろいろなものに支配されているのだなと思った。
こうして、自分を傍らで見ている感覚になっているのも、多分、私の精神状態がただでは済まない状態になっているからなのだろう。
どれほど経ったのか――実際は凄く短い時間なのだろうが、「出すよ! 出しちゃうよ!」と、彼女は言った。
そして、私の返事も待たずに、大量の白濁液を私の中や身体や顔にぶちまける事になった。
それはもう、リットル単位で、部屋の片付けが大変だなと人ごとのように思えたぐらいだ。
二人して意識を失い、気がつけば朝になっていた。
彼女は人間の姿に戻っているが、部屋にまき散らされた粘液と、私の股間の痛みは、それが悪夢ではなかった事を教えている。
ミキは私が目覚めるのを見つけると、抱きついてわんわん泣いていた。
「大丈夫、私大丈夫だから」
なんとか落ち着かせようとする。
それから、この呪いの事を教え、そして、それは自分の責任だから、全部、私がこの身で受けると説得した。
彼女は、それに納得していない様子ではあるが、しかし、その他の解決方法を誰も知らない。
古い家だから、何か古文書の類いがあるのかと思ったが、小さな頃に色々と処分されたのを思い出した。
実際、倉のあった場所は潰され、駐車場となっているし、離れのあった場所はアパートとなっている。
説得の結果、この家で、一緒に暮らすこととなった。月に二、三度あるあの呪いのためにである。
彼女との生活は悪いものではなかった。学校は同じだし、贅沢をしなければ、バイトを必死にしなくても、生活出来る収入はあったからだ。
家事は分担できたし、彼女の性格の良さは、私の救いとなったし、全体的な暮らしぶりはむしろ良くなったと言える――辰の日を除けば。
零時になると、嬌声彼女は嬌声を上げ、私は犯される。
彼女は、意識を失う事はなかったが、私が意識を失ったとしてもそのまま犯すこともあるほど、性欲に乗っ取られるのが常であった。
ただ、私が嫌な顔をすれば、彼女を悲しませるばかりなので、なるべく彼女に奉仕するように努力した。
「アヤちゃん! アヤちゃん!」
腰を振る彼女に、私は抱きつき「ミキ! ミキ!」と答える。
この頃は、彼女だけならば犯され続けてもいいのかなと思えるようになってきている。
「中に出すよ!」
「出して! お願い!」
二人して、快楽に落ちていくばかりの声を上げる。翌日の朝六時、変身が魔法のように解けるまで、ずっとエッチし続けた日もあった。
もう、股間が申し分ないほど精液でいっぱいになり、そして、気持ち、お腹が出てしまった日、変身が解けた彼女に「妊娠したらどうしよう」と笑いかけると、彼女は艶っぽい表情で、「一緒に育てよう?」と笑いかけてくれた。
もう、この頃になると、ドラゴンであるかどうかは別として、普通に裸で愛し合う様になっていたから、そのまま乳繰り合う事になっていた。
そんな時、突然、突き上げるような腹の痛みに襲われた。
もう、どんな叫び方をしたのか覚えていないが、腹を抱えながら泣きわめいた。
腹が膨れていくのが分かる。あっという間に臨月ほどの大きさになった。
ちょっとして、痛みは治まり、腹の重たさと息苦しさの中に、とてつもない多幸感があるのが分かった。
「赤ちゃん出来ちゃった?」
ミキの声が実に優しく、慈愛に満ちていた。
「一緒に産もうね!」
「うん!」
と、確認の必要もないような確認をして、腹を撫で、そして撫でられて、幸せな夫婦の感触を得ていた。
だが、それもつかの間であった。
再び猛烈な痛みが腹と股間を襲う。だが、不安はなかった。これが出産なのだなと分かっていたからである。
ミキは私の手を握り、そして、私は存分に息んだ。
その時の声は、決して可愛いものではなかったが、母になると言う期待感から、心はいっぱいになっている。
出産は、それから半日ばかりかかり、そして、遂に大きな卵を一つ産むことになった。
「生まれたね!」
息を切らしている私に、彼女が幸せそうに答えた。
さて、問題の卵はどうしたらいいのだろうか?
毛布をつかってみようとか色々試したが、自分の身を挺して抱くのが、一番収まりが良かった。幸福な気持ちに包まれる感じである。
これは、お礼参りをしなくてはならないと思い立ち、二人して、「ありがとうございます! これからも二人で幸せになります!」と願った。
卵はその後、変動もなかったが、次の辰の日には、またエッチをして、二人の愛を確かめ合ったりした。
翌日、すべてが夢のように醒めると、なんとなしに身体が熱いのを感じた。
ミキが私に大丈夫かと尋ねてくるが、頭の余裕がなくなってきているのを感じた。
きっとエッチな声を出しているのだろうなと思った。熱すぎて服を脱いでいたし、股間がぬめぬめとしているのを感じ取っていたからだ。
身体がビクビクと震える。そして、「何かが来ている」と言う感触があった。
まさか、変身?
姿見に身体を写すと、身体のあちこちがむくんでいるのが見える。
何かが張り詰めている。
先ず、足が痛くなり始めた。
「痛い!」
叫ぶと、右の太股から先、皮膚が裂けて龍の足が飛び出すのが見える。
そっちに気を取られると、左腕が脈打つのを感じる。否、実際、何かがうごめいているのが外から見ても分かった。
猛烈な痛みと共に、左腕もドラゴンになっている。
次は、顎から下、喉にかけてが、突然膨れ上がるのを感じる。
顔の半分が崩壊して、マズルが現れる。
当たりは血みどろになっているのが分かった。
半分人間、半分ドラゴンになって、痛みが治まった。
もう、外に出ていけないような身体になってしまった。
ミキが、大丈夫、私が支えるからと言ってくれた。
心の支えは卵であり、この卵を抱いている時は、不安が不思議と消えてしまう。
ちょうど、大学も夏期休暇となっている。私が卵を抱き、ミキが生活のことをやってくれるようになった。
夜になると、性欲が高まってくる。
「こんな私でも抱いてくれる?」
と、厳しい質問をしてみると、ミキは「アヤちゃんはアヤちゃんだよ」と答えてくれる。ドラゴンの部分も人間の部分も愛してくれた。
それから次の辰の日、彼女がドラゴンになると、「このままドラゴンになってもいいね」と言ってしまう。
そして、私も「そうだね」と答える。
その望みは聞き入れられたのかも知れない。
その日の昼頃、私は再び、例の痛みを感じて、ミキを呼んだ。
背中が裂けるのが分かった。まるで着ぐるみを脱ぐかのように、古い身体を脱ぎ捨て、そして完全なるドラゴンになってしまった。
半分だけ残った私の身体は、肉片となって、そして、驚愕の表情を残してこぼれ落ちている。
ミキの第一声は「おめでとう」だった。
自分でも、このことは悲しいことのようには思えなかった。中途半端な状況より、ずっと良いことのように思えたのも一つであったし、そして、卵を抱くときのしっくりくる感じは、その日以降、人間の時よりも格段によかったのだ。
それから、辰の日が来るのが、今まで以上に楽しみになった。
ドラゴン同士のセックスが、かなりいいものだと思えたし、人間の柔肌を爪で傷付けなくてすむドラゴン同士の方が、思いっきりやれていいと思っていたぐらいだ。
さて、そんなある日のことだ。そろそろ夏休みも終わりそうな気配のする頃である。
ミキはもう、変身に慣れていたが、それでも嬌声を上げないで済ますことは出来なかった。
そんなことだから、その日の事も、特に何という風でもなかった。
だが、彼女は、今まで以上に喘いでいて、そして、「来た! ありがとう!」と何かに感謝している。
そして、凄く幸せそうに喜びながら、身をもだえていた。
それから、突然、汚い声――自分を捨てて動物の鳴き真似をするような感じというか――で雄叫びを上げると、背中が膨れ上がるのが見える。
身体のあちこちが裂ける。
彼女が、人間であった頃の最後の言葉は、「私、お願いしたの! アヤと一緒になるって!」であった。
内部から巨根の生えたドラゴンが現れ、そして、それからはお互い理性をなくし、三日三晩にわたる交尾をしていた。気がつけば、人生のすべてのことが、どうでも良くなっていた。
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