暗躍編 第十三話 ルゥの厄介払い

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  リエルの変化の兆候をいち早く感じ取ったのは、異形としての経歴を持つニアで有った、ニアにとって強い雄に寄り添う事は何ら不思議な行為では無く、むしろそれは自然だったので特に気にも留めなかった。

  だが、ニアの警戒感が無くなった事を愛耶はいち早く気付き、その理由も直ぐに察する事が出来た。

  愛耶 「リエルさんってなんか変わりましたよね、反抗心が無くなった感じです、ニアの爪も引っ込んでますし」

  猫獣人のニアの身体は脅威に対して素直に反応する、猫同様に出し入れが可能な爪は警戒時には露わになって、視覚的な威嚇を対象に見せつけるのだ。

  そのニアの爪が通常状態に戻ったという事はこの場に敵がいないという判断だと見て取れる。

  リエル 「ダインさんが異形だと聞くと、憎しみなんて持ち難いですね、あの周りの人間が全て敵だと思える感覚の中でよく仲間を作ろうと考えられましたよね」

  ダイン 「それは私が邪悪だったからだと思います、自己の生存の為ならば他人の尊厳など気にする事は有りませんからね」

  七実 「また悪ぶってそんな事言ってますけど、本当はとても優しいんですよ、遊魔にされて不幸になった娘がいないのがその証拠です」

  ダイン 「それはそういう価値観を植え付けているからであって、やってる事は正に外道ですよね」

  真夏 「大切なのは結果で過程では無いって何時も言ってますよ、遊魔に成って不幸になった娘はマナの知る限りいませんから」

  愛耶 「ダイン様は日々皆の幸福を考えているんですよ、だからちゃんと聞いて確かめているんです、偽りは直ぐに見抜いてしまうでしょうから」

  ダインの意図はリエルに不満の無い遊魔の現状を見て貰いたいという思惑が有る、大概の場合、魔進化の現場には遊魔の先人がいるので彼女達の声を直に聞かせる事で抵抗感を減らそうという目論見である。

  だが、今回の行いは当初予定していた、堕液を使わずに反抗的な人間を従順な遊魔を生み出す事とは些か外れては来ているが、従順な者には望まぬ限り苦痛を与えないのがダインのやり方なのだ。

  ダイン 「リエルは私と自分を重ねている様ですが、私は初めからそれ程困ってはいなかったんですよ、殆ど人と関わる事の無い生活を楽しんでましたし、異形について調べる時間と手段もありましたから、そして推測を実行する事で早期に今の力を手に入れたんですよ、発想の源は日頃から嗜んでましたし」

  七実 「遊魔能力の元ネタはエロゲーみたいですからね、誰かが求めたから想像されたんですよ」

  ダイン 「男は根底に支配欲が有ると思いますから」

  真夏 「ダイン様はアフターケアをしっかりと行なってくれますからね、遊魔が増えた事でマナの性的な欲求は直ぐに解消されてますし、でもダイン様じゃないと満たされない事も有りますからね」

  七実 「ダイン様は牝同士を絡ませるという荒技を使う事によって、牝自体も新しい牝を求める環境を作り出しましたからね、ナナも当然リエルを心待ちにしてますし」

  アーキア 「そうなんだよね、リィはアキだけじゃ無く全ての遊魔に望まれてるわけ。相手に望まれる事って幸せな事だよね」

  ファービ 「そうですね、リエルには痛い目に遭わされたお返しをして上げないと、リエルをよがらせてやるのがファナの目下の目的です」

  遊魔という種族は人間に対して余り怒る事が無い、ダインの真理が人が期待できる存在では無いと定義している為だからだ、初めから期待していなければ失望する事は無く、その事が人に寛大な遊魔を生み出しているのだ。

  真夏 「ファナは活きがいいので覚悟した方がいいですね、ですが淫魔の肉体なら逆にファナをやり込めてしまいそうです」

  ファービ 「そういう所も楽しみだよね、遊魔って自己進化出来るから、弱点がもっと弱くなってたりするし」

  真夏 「変な表現しないで下さい、感じる所をより敏感にしただけですから」

  七実 「二人は本当に仲良いなぁ」

  真夏 「殿方は自分が牝をよがらせる事を喜びますからね、マナがより自分の身体の感度を上げるのはダイン様の為でも有るんですよ」

  七実 「いや、ダイン様は痛がる牝も好きだよね」

  ダイン 「好みなんて気分で変わるじゃ無いですか、幾らプリンが好きでもプリンは主食に成り得ませんし、ナナはナナのやり方で私を満足させればいいだけです」

  愛耶 「ダイン様って何でも美味しいって食べてくれますからね」

  ダイン 「それはアイヤが知らない内に私の好みを完全に把握しているだけですよ、嫌いな物を出さないから全部食べるわけで、食べられない物は多いですよ、塩辛とか無理ですし」

  七実 「アレはお酒のアテってヤツですよね、酒を飲まない遊魔には縁遠い食物ですね、ナナも食べた事有りませんけどちょっと無理そうです」

  ダイン 「嫌な物をわざわざ食べる必要は有りませんし、勧めるつもりも有りません、味覚は個人で異なるので私の旨いも通じない遊魔もいると思うんですよ」

  真夏 「ダイン様と美味しいを共有出来ないのは悲しい事ですよね」

  ニア 「そうかにゃ、皆が嫌ってニャアだけ好きなのはお得な事にゃ、ニャアが森に狩に行くのは獲物の新鮮なキモを食べるのも目的にゃ」

  愛耶 「ニアの獲物はいつも内臓の処理がされてましたけどそんな事してたのですね、アイヤを助けてくれてるのだと思ってました」

  ニア 「内臓を早く処理した方が肉の味が落ちないにゃ、だから一石二鳥なのにゃ」

  ダイン 「話を聞いてみると私が把握していない事も結構有りますね、ニアの行為は異形の頃からの習慣ですよね」

  ニア 「そうにゃ、日本でも色々狩ってたにゃ」

  愛耶 「別荘の裏山には猪とか居ましたからね、他にも狸やイタチは結構見てましたし」

  ダイン 「まぁ、牝の好みも食の好みもそれ程気にしなくて大丈夫ですよ、遊魔で有るだけで私が嫌う事は絶対に有りませんから、ファービも真夏も良い感じに仕上がってますね」

  真夏 「遅い変身の感じで思ったよりもあっさりしてました、翼生えてるんですけど全く違和感無いんですよ」

  真夏は生えた翼の指を使って、グー、チョキ、パーを表現してみるがその動きは実に滑らかで、まるで以前から存在していた腕の様でも有る。

  ダイン 「二人には元々遊魔細胞が行き渡ってますからね、リエルも異形の細胞を変質させるだけなので、人間を遊魔に魔進化させるよりも簡単ですね、ですが、元の異形よりも遊魔は数段優れてますよ、完全な人間への変異も可能ですし、増える第三第四の腕も元から有った様に動きます、これはアーキアの手柄ですね」

  アーキア 「アキの身体が、リィの為にもなるんだ、よりリィを身近に感じるよ」

  ダイン 「情報のやり取りは脳内通信でも行ってますが、交わる事でより多くの事が解るんですよ、リエルの翼は王都の三人のデータも参考にしてますので、アーキアよりもかなり進んでますよ、何せザキトス魔族も遊魔に魔進化させましたから」

  七実 「ダインが魔進化させたって事はその魔族は処女だったんですよね、まさか男とか」

  ダイン 「それが有り得ない事はナナなら承知してる筈ですが、リレッタはザキトス魔族と言っても最近魔に成った存在です」

  リエル 「リレッタって、リレッタ・クガトの事ですよね、彼女が変わり始めてからクガトの内部は段々と変化して行きました」

  アーキア 「そういえばそうだよね、ルーフィン嫌いだった筈なのにべったりして明らかにおかしかったよ、でも遊魔に成ったアキの事から考えれば、人間から別の魔族に変わっていたんだよ」

  ダイン 「リレッタはルーフィンが魔族に作り変えてますが設計自体はザキトスの思念が行ったという特別な存在の様です、ザキトス魔族から得られたデータもリレッタには用いられてますので、翼としてはアーキアのモノよりも完成度が高いです、ですが器用な指を持つ手の機能は私のオリジナルなので、遊魔の翼の方が確実に優れてますね」

  七実 「ダイン様も張り合う相手が出来て嬉しそうですね、ところでルーフィンって処女何でしょうか?」

  アーキア 「恋人が居る様には見えなかったけどね、それに魔術を習う者は処女を大切にするから処女だとは思うね、でもさ、遊魔のお陰かアキもルーフィンに興味が出て来たよ、あんなに嫌いだったのに」

  真夏 「遊魔は人の欠点が気にならなくなりますからね」

  リエル 「え、アキがルーフィンを気にして無いんですか、私よりも嫌ってた筈なのに」

  アーキア 「人間だから仕方ないよ、遊魔に比べて進歩して無いのは明らかだし、今思えばアキも器が小さかったからルーフィンに腹立ててたんだよ」

  リエルは今までで一番衝撃を受けていた様だ、実際、アーキアがクガトから出奔した原因の一端はルーフィンとの確執だとリエルは思っており、そのアーキアがルーフィンに対するわだかまりを完全に捨て去ってしまっているのだ。

  リエル 「アキの言葉が信じられません、私は人の常識で遊魔を判断していた様です、ルーフィンを嫌わなくなったアキというだけでも遊魔はとても温厚な存在だと思えます、あの不信感は人間では決して拭えない物だっとと思えますし」

  アーキア 「ダイン様の考え方が凄いんだよ、ルーフィンの思考を予測してそこから行動の理由を導き出しているんだよ、原因が解ればそれ程腹が立つ事も無いよね」

  ダイン 「相手を理解しようとする事は重要ですよ、理解すれば次の行動が予測出来ますから、リレッタには若干危険な事を申し付けてしまいましたが、ルーフィンなら多分大丈夫だと思っています、本当に疎ましいなら排除している筈ですから」

  七実 「リレッタという魔族も難しい立場なんですね」

  ダイン 「ルーフィンは自ら魔を生み出す事を編み出したわけで無く、人間が魔族を生み出せる様に改造された存在なんですよ、リレッタを解析して得られた情報から推測すると遊魔ほど成熟した思考は持っていませんね」

  アーキア 「何だか解る気がするね、ルーフィンはアキとリィを許せて無いんだよ、だからクガトから追い払いたかったわけ、そこでダイン様達の情報を流せばアキが見に行くと思って御膳立てしたんだよ、アキのフーティアはいつでも飛べる状態で人払いされてたからね」

  リエル 「私が逃げた時もそうでした、アキが逃げてから厳重になっていた監視が緩んでいたと思えば、リィのフーティアの周りにも人が居ませんでした」

  ダイン 「ルーフィンは厄介払いで二人を私の元に送ったんでしょうが、私としては大歓迎です」

  七実 「ダイン様って変な肩書きが大好きですからね、特に勇者を堕とすなんて一番大好きなシュチュエーションですよ、普通というのが嫌いなんですよね」

  ダイン 「量産型は好きですけど、量産機ベースのカスタム機体が特に好きですね」

  真夏 「ダイン様にとって人間って遊魔の素材ですからね、素材の特性を延ばしてより活躍出来る遊魔の力を与えてくれてます」

  アーキア 「そう、アキの身体って、エロいだけじゃん」

  真夏 「それはアキが隙が有れば淫魔になるからですよ、人間時の魔力はダイン様と同程度で頭もピンクじゃ無い筈です、エロい事しか考えていないならどんな力も大して役立ちませんよ」

  アーキア 「尻尾には満足してるけどね、リィを呑み込んだ感触って凄いの挿れてる感じでとても良かったよ、人間バイブで尾マンコオナニーするのも考えちゃうよ」

  ダイン 「アーキアはエロの天才ですね、人体をバイブに見立ててしまうとは、それも親友ですよ」

  アーキア 「リィは挿れても痛く無かったよ、凄く興奮したし」

  七実 「尾マンコはそういうモノですからね、元々人間を捕まえる事が目的ですし、尻尾に挿れて薬に漬けてしまえばゴリラだって逃げられませんよ、まぁ試す気は有りませんけど」

  ダイン 「ですが有益そうな生物がいれば捕獲するかも知れませんね、いざという時の駒は持っておきたいですから」

  真夏 「確かにこの世界の生物標本は欲しいですね、それも生かしたままならなお良さそうです」

  ダイン 「有りですね、悪の巣窟にはそういう邪悪な空間が必要ですよ、ティアスを得た事でこのテガスの領有は確実でしょうから、早速初めましょうか、真夏に任せて大丈夫ですよね、参考となる私の妄想は遊魔の知識に含まれてますので参考にして下さい」

  七実 「アレ楽しいですよね、ナナもプランを記録してますので見てみて下さい、もちろんナナが手伝ってもいいんですよね」

  ダイン 「構いませんが、私の手伝いも頼みますよ、関節構造はナナが一番知っているでしょうし」

  七実 「どうせダイン様の物になるなら、工房も大改造しちゃいましょうテガスの敷地は結構広いですから、新しい工房を作るのも有りですね」

  ダイン 「確かに設備の入れ替えをするよりも新工房を作る方が効率的ですね、フェカトにその旨を捻じ込んでおきましょう」

  七実 「早速やりたい放題ですね、ですがこういう事ってやった者勝ちですよね」

  ダイン 「この世界は特にその傾向が強いみたいです、私も王都でいきなり戦えと言われましたし、ですが戦った事で随分と立場が向上しましたよ、直接のやり取りはティアスとしかしていませんが、工員達が私を見る目が変わっていましたからね」

  真夏 「能力を見せれば支援を呼び込めるんですか、出過ぎない様に気を付けて生きて行かないといけない日本とは全く違いますね」

  ダイン 「まぁティアスやフェカトの様な解る人間に裁量権が与えれれてますからね、お陰で二人を手に入れた私は随分と良い思いが出来そうです」

  リエル 「狡いやり方です、私は半年掛けて自分の立場を向上させていったのに」

  ダイン 「借りれる立場は借りれば良いんですよ、遊魔の財産は共有ですからね」

  真夏 「人間で有る限り理解は出来ないと思いますよ、人は繋がっていませんからね、ですが種として繋がっている遊魔ならば当たり前の感覚なんですよ」

  リエル 「人間には理解出来ない繋がりですか、どの道私はもう人間には戻れません、ならば仲間になれるモノを探さないと辛いですよね、ダインさんが私の居場所を作ってくれる事は解りますし、アキもそこに居る、ならば拒む理由は無いんですよ」

  リエルは短期間でダインへのわだかまりに決着を付けた様だ、ダイン的には面白さに欠けるチョロさだったが、腹部の淫紋のハートが半分以上浮き出ている事を考えるとリエルが本当に遊魔を認めているのは間違いない、ならダインとしては拒む理由など全く無いのだ。

  おまけ

  ゾゥティからゾッフォへ 百年以上歴史を積み重ねたゾゥティの運用実績から、よく出来た機体を吟味して、そのフレームを複製し進歩した魔動力を組み込んだ機体がゾッフォである。

  出来の良かったゾッフォフレームは不完全ではあるもののほぼ人体の動きが再現可能で有り、その事が魔力で機体をコントロールする操縦性の向上にも繋がり、巨人同士の戦闘が可能になった為、ゾッフォはマギガントの称号が与えられる事になった。

  また、同一機種の製造をするに当たって規格の概念が用いられ、若干の差異が生じる事が有るが、ゾッフォの部品は同じゾッフォで使えるレベルの品質を維持されていた。

  そして、ゾッフォで生まれた規格概念はアーグル世界に広く広まって、様々な製品に応用されている。

  これはアーグル世界に知的財産権の概念が存在せず、見様見真似のコピー製品が多く作られる事が原因で有るが、製造側も製造技術の隠匿を高いレベルで行っている為に、ただ見た目を複製しても品質の差は大きく異なっている事が多い。

  結果、ゾッフォ登場時に多く見られた各国の模造品は研鑽を重ねてその国独自のマギガントを産み出す土壌となったのだ。