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【74】また美味しい物を貰ったよ!あれ?なんか私餌付けされてね?・・ってそれはお互い様か(笑)
親友曰く。
「霊圧」というのは霊体の「密度」や「気配の濃淡」の事を言うらしい。
あくまでも親友の感覚による説明なので、他の霊感ある人にこの言葉を使って通じるかは不明だが。
緋翠の気配は有名な神社で崇め奉られる神様や、神域にひっそりと御座す土地神。
長い年月祈りの象徴となった樹木や、像なんかに宿る神聖な気配に似ているそうな。
「あっち側で作られた「呪具」から生み出したって言うけど・・視ても悪い感じはしないから「呪いの道具」と言っても、一定の法則に基づいて作られた単なる装置なんだろうね。恨み辛みどころか、きれいな気配だったし」
「ふぅん?」
「アド氏の魔力?を込めた「呪具」で疑似生命体・・こっちで言う「式神」みたいなのを作ったと思えば・・まぁ理解出来る・・かな?かなり無理矢理だけど」
考え疲れたのか、ぱたりと床に仰向けに倒れ「にしても、引く程強いんよなぁ・・」と力なくつぶやく親友に、申し訳ないと思いつつも質問を投げる。
「ん~とさ。うちの子が「強くて最高ーっ!」てのは何となく分かったんだけど・・それって何か問題あるの?」
「う゛~ん・・え゛ぇ~っとね゛~・・・」
間延びした訛声で唸った後、親友は「分っかんない!」と投げやりに答えた。
そしてむくりと起き上がり、ローテーブルに突っ伏して気だるげに続ける。
「「霊感持ち」言うてもあたし単なる一般人。OK~?危険を回避する為に[[rb:そ > ・]][[rb:れ > ・]]が「良い物か悪い物か」ぐらいしか判らんし、ちらっとでも「悪い物」を感じたら見ない、触れない、近寄らない。これを遵守してきただけなワケ。・・つまり、さ。メチャ強いあの子が「問題」になるかどうかの判断が出来る程、あたしには知識も力も無いの。だから「分かんない」としか答えられないわ」
「役に立てずにすまんのぅ~」とぐだる親友に「いやいや十分、ありがとね」と、丸まる背中をぽんぽん叩いて感謝を伝えた。
ふむ。・・とりあえず、だ。
うちの子は「視える」親友がドン引きするレベルの強いお狐様・・らしい。
感覚的に、私の意志に従ってくれるだろうという確信はあるが、あの子はどういう存在で、何に気を付けたら良いか、アド君に詳しい話を聞く必要がありそうだ。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
オタク二人寄れば現金な物で、少しして落ち着きを取り戻すと新作のネームを見てもらったり、コスプレ衣装を試着した画像を見せてもらったりして、大いに盛り上がっておりました。
気付けば時間が飛んでいて、アニメを流してきゃっ!きゃっ!とはしゃいでいたところにチリンチリンと風鈴が来訪をお知らせなう!
「お、来たね。はいはーい!っと」
「え?もう?!ヤバっ!?ねぇアコ!あたしメイク崩れてない?!大丈夫?!」
「大丈夫、大丈夫。いつも通りカッコいいから」
焦る親友に「問題無し」と返すも本人は納得出来なかったらしく、ポーチを持って「すぐ戻るから!」と洗面台へ小走りで向かった。
「んじゃ先にセッティングしとくよ~?」
「ごめん!お願い!」
向こう側を待たせる訳にもいかないので『やれやれ、しゃーない』と肩を竦めてから目隠し用のバスタオルを取り払う。
そういえばこの鏡のカバーも新調したいところ・・・明日ついでに探してみるか。
「どうもアド君!ジャスパーさんも!こんばんは!」
にっこり笑顔で挨拶をすると、鏡の向こうで青年が「あぁ。良い夜だな」と片手を上げて気さくに答える。
傍仕えさんはその背後で「お招きありがとうございます」と丁寧に頭を下げた。
綺麗な所作に思わず感心していると、青年が小さな陶器?の入れ物を手前にコトリと置く。
「食後だろうから、今回の手土産は小さめの甘味にした。納めてくれ」
「えっ?!ありがとう。そんな毎回気を遣わなくても良いのに・・」
「なに、私が貴女に贈りたかったのだ。気にするな」
そう言って、素焼きであろう土色の入れ物の蓋を外して中身を見せる。
「下町で売られている甘味で「変わり実」という。森の浅い所に多く自生している低木でな。実り、熟して落ちるまでの間に色が次々と変化するんだ。味も同時に変化するが、色と味に統一性はないから、食べるまでどんな味がするか分からないという少々変わった実だ」
「試しにどうだ?」と差し出されたので、カラフルな粒の中から黄色いヤツを選んで「ありがと、頂きます」と摘み取る。
小指の先ほどの大きさの実は表面はツルリとしていて、押せば少し形が変わる程度に硬い。
あれだ、[[rb:茱萸 > ぐみ]]の実っぽい感じ・・食べた事ないけど。
そのまま、ぽんと口に放り込んで奥歯で噛む。
と、ぷちんっ!と弾けてマンゴーっぽいフルーティーな味がした。
種無しなのか、食感は悪くない。
もぐもぐと咀嚼していると果肉部分が先に無くなって、後に皮が残ったが気にせず飲み込んだ。
「うん!甘くて美味しい!」
「それは良かった。是非残りも食べてくれ」
「有難く頂戴します」
蓋を閉めた入れ物を両手で恭しく受け取り礼を言う。
・・そう言えば、冷蔵庫にバニラアイスがあったな・・
後でこの実を散らして皆で食べよう!
見た目も味も、きっと楽しめるに違いない!
ふとした思い付きに、脳内でニヨニヨしていると「ところで、アキ殿は?姿が見えないが・・」と青年が部屋の中に視線を巡らせた。
「あ、大丈夫。ちょっと席を外してるだけで直ぐに戻るよ!」
そう説明して「じゃ、ちゃっちゃと準備するね~」と、青年と会話を続けながら、カメラとモニターをあちらとこちらに設置。
勿論、今回は双方向で通話出来るように2組セッティングした。
・・モニタースタンドも明日探さないとな。
買い忘れしないようにメモメモ・・
スマホを取り出してメモ帳アプリを開いたところで、傍仕えさんが青年に箱を手渡した。
視線で礼を伝えた青年が、受け取った箱をこちらに差し出しながら言う。
「これはアキ殿に着けてもらう予定の[言語変換]の魔道具だ。確認してくれ」
「はいはい、預かります。開けて見ても良い?」
「あぁ。構わない」
ちょっとワクワクしつつ、蓋をそっと持ち上げた。
別珍のような手触りの、滑らかな質感をした布が張られた蓋を横にずらすと、中に収められていたのは若草色をした親指大の宝石が輝く、豪華なネックレス。
あぁこれは、昼に傍仕えさんが使ってたヤツ、かな?
・・ん?じゃあ、あっちの分は?
ちらっと視線を上げると、モニターでこちらの反応を視ていたらしい傍仕えさんが、自分の胸元にある素朴・・シンプルなデザインのペンダントを真っ直ぐ揃えた指先で示して言った。
「わたくしの[言語変換]の魔道具はこちらです。そちらは貴婦人用ですので・・」
今、傍仕えさんが使ってるのは外回りの騎士さんや警備兵たちが使う実用的なヤツだそうな。
『ほぅほぅ成程!』と頷いたところで、メイク直しが終わったらしいアキが戻って来る気配。
トトっと小さく足音を鳴らして登場した親友は「ごめんなさい!お待たせしてしまって・・」と平身低頭で謝罪を口にした。
そんな腰が低く恐縮したアキの様子に、青年は「問題ない。気にしないでくれ」と声を掛ける。
その様子はこちらのモニターにも映し出されており、それを見たアキはまだ少し信じられない様子で、隣に置いたゲーミングチェアに座った。
「お~・・あっちの映像ちゃんと出てる・・ヤバ・・」
「アキさん、アキさん!はいっ!「翻訳こん〇ゃく~!」」
そう言って[言語変換]のネックレスを差し出して見せると、その豪華さに驚いて「うっわ!ギラギラしてる!」と親友はおっかなびっくり、どうにか箱ごと受け取るのだった。
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