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【48】親友に非現実的事実を告げる時が来た!

  食事の後はお茶を飲みつつ、一緒にアニメを観てちょいと腹ごなし。

  その後「空気」について勉強しました!マル。

  結果?

  あ~。そりゃもぅバッチリでしたわ。

  水みたいに物体を操るというより、空気の流れを操作する感じになってたカナ?

  室内だから大した実験出来なかったんだけどね。

  風発生の原理~とか、動画や画像を使って説明したんだけど・・

  「水」の時でコツをつかんだのか、本人も驚く程あっさり空気?大気?厳密には違うかもだけど一応の「風魔法」をゲットしてましたぜ。

  思ったり早く発動出来たから、お昼ご飯まで「風魔法」を訓練してくるとかで現在アド君離席なう。

  私はというと、魔法を発動する上で役に立つかなーとアニメや映画で魔法のシーンを探してみたり。

  魔法はイメージって言ってたしね。

  それと調達を依頼されていたカレールーを密林でぽちったりしてます。

  ・・あれ業務用とかあんのね。

  そっちのが安上がりなんだけど、とりあえずは普通のやつで注文かけました。

  問屋とかの方が更にお得なんだろうけど、調べるのも面倒だからいいや。

  配送予定は明日。

  結構な量なのに早いなおい。

  近くの倉庫に在庫があったか?

  「あ。そいや対価を決めてないや・・」

  そうだそうだ。

  ルーの支払いを何でしてもらうか、まだなーんも考えてなかった・・

  ・・今日は・・日曜日。家に居るかな?

  スマホで曜日を確認して、こちらで唯一の友人にメッセを飛ばす。

  すると直ぐに既読が付いて「話せるよ~」と返信が来た。

  『ありがてぇ』と思いながら、早速コールしてみる。

  《おっすおっす!》

  「おつ~。急にスマンな!」

  《全然大丈夫!衣装作ってるだけだし、通話するくらい無問題!》

  「そっか、でもあんま邪魔したら悪いから早速本題~」

  《お?何かな?》

  「実は新しく友だちが出来たんだけど《は?!》さ・・」

  言葉の途中で耳に当てていたスマホからクソでか音声が飛び出し、思わず顔から離して通話画面を睨む。

  そのまま耳に当てると危険な気がしたのでスピーカーに切り替えると、案の定音が割れんばかりの勢いで友人の声がスマホから溢れ出た。

  《ちょちょちょっ!どゆこと?!ほぼ引き籠り状態なアコさんなのにどうやってニューフレンドをゲットしたん?!あ、ネットのオン友?!オン友でしょ?!》

  「や、オフっちゃーオフ。私もまさかな事態でビックリだったんだけどね~」

  《なんだい、なんだい!勿体ぶらずに話さんかいっ!》

  通話の向こう側で、何故だかテンション爆上がりの友人に『どう説明したもんかな~』と少しばかり考える頼子。

  しかし『ま、いっか』といつもの適当さとノリであっさり事実を話す事を決めた。

  その行動の根底にあるのは、親友に対する心の底からの信頼。

  青年との奇天烈な遭遇も、最終的には信じてもらえるだろう確信がある。

  まぁ流石にエロ事情まで明かすつもりは無かったが・・

  それもきっと、その内何かの流れで話すことになるのだろう。

  「いや~。謎過ぎる出会いなんだけどね?私の部屋に大きめの鏡台があるじゃん?」

  《あったね。お母さんの形見って言ってなかったっけ?》

  《それがどした?》と通話の向こう側で親友が首を傾げていることが窺え、何となく後頭部に手を当てると天井に視線を彷徨わせながら答えた。

  「うん。その鏡がね?なんか異世界に繋がったらしくて」

  《・・・・・・・・・・ぱーどぅん?》

  たっぷり10秒は沈黙して、友人は《ん~?夢?それとも強めの幻覚でも見たのかな?》と訊いてきた。

  それはそうだろう。

  当然の反応だった。

  「いや。マジなんだなぁこれが。なんでかいきなり繋がったんよ。で、体は通れないんだけど、物は行き来できんのね?そんで向こう側の人と友だちになったんだけど、こっちのご飯を上げたらめっちゃ「美味い!美味いっ!」って喜んでくれてさ~」

  《お~い待って、お願いだからマジ待って!そんな話急にされても理性が拒否ってお脳がぱぁん!しちゃうから!!てかガチ?ガチで言ってんのアコ?!》

  「マジでガチ。もうガッチガチ」

  《・・マジかぁ・・》

  直後に《もぅ!作業どころじゃないよ!今からそっち行くからっ!》と叫ぶように通話を切った友人。

  衣装制作の手を止めて、こっちに突撃するようだ。

  ・・ま、そりゃそうなるわな。

  ちょっと考えれば判る事なのに、しまった。早まったな・・

  あちらの作業の邪魔をするつもりは全く無かったのだけれども・・

  どうやら自分は新しい友だちを早いとこ親友に紹介したくて気が急いていたらしい。

  意識してなかったけど。

  『・・進捗次第では衣装作り手伝おう』と心に決め、頼子は友人を待ちながら昼食の下準備に取り掛かった。

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  異世界の知識により「風」という現象を理解すると、意識の何処かでカチリと何かが繋がり、噛み合う感覚がした。

  直感的に風魔法を「発動できる」と実感する。

  空間に浸透させた自分の魔力を意識して「風」を起こしてみれば・・

  それは実に呆気なく成功した。

  あまりにあっさりと発動出来たので、酷い肩透かしを食らった気分だった。

  ただ彼女は「お?成功?やったねアド君!!」と自分の事のように喜んでくれ、それがとても嬉しかった・・

  昼食まで時間があった為、今は傍仕えのジャスと共に地下の訓練場に訪れている。

  家族を除き、魔法を発動出来るようになったことを未だ周囲に秘匿している現状、人目のある所で訓練する訳にはいかない。

  「人払いは出来ておりますので、存分に力をお試しください」

  「あぁ。ありがとう。そうさせてもらおう」

  太い石柱が何本も規則的に立ち並び、天井を支えている地下訓練場。

  その石柱の半ば辺りに設置された明りの魔道具で、訓練場は夜明けに近い明るさを保たれている。

  それなりに広い空間の中央付近に一人で立ち、空気に浸透させた魔力を操作すれば忽ち気圧が変化して、耳鳴りと共にごぅと風が吹く。

  魔法はイメージ・・発動した結果を想像する事が重要だ。

  その想像を助け、補助する「詠唱」は、魔法の精度と威力を上げるのに役立つ。

  口から発する言葉を「起動装置」として意識に刻み込む「詠唱」だが、必ずしも必要という訳では無い。

  咄嗟の発動を「無詠唱」で行えるならば、その方が実戦では有用だ。

  だがこの「無詠唱」・・珍しいものでも無いが、その実あまり一般的ではない。

  戦闘では「詠唱」する事で仲間との連携に都合が良い上「詠唱」しただけで反射的に魔法を発動出来るまで練度を上げる事が出来れば、咄嗟の状況でも十分役に立つだろう。

  つまり、本人の戦闘スタイルに合わせて「詠唱」「無詠唱」を使い分けるのが理想的なのだ。

  ただ「詠唱」に慣れてしまうと「無詠唱」で魔法を使うというのはなかなか骨が折れるらしい。

  この国の学園では基本「詠唱」を用いて魔法を発動するように教えられる。

  貴族や豪商の家の者が実戦に参加する事は、ほぼ皆無だからだ。

  実際、戦闘になったとしても護衛が時間を稼ぐだろう。

  「詠唱」出来ないような状況に陥ることは、まずない。

  私には無詠唱の方が合っていた・・これまで剣とこの体一つで戦ってきたからな。

  「詠唱」すれば呼吸が乱れ、肉体に余計な負荷が掛る。

  一方、思考するだけで発動できる「無詠唱」は戦闘の邪魔になることが少ない。

  純粋に手数が増え、攻撃力を上げる事が出来るのだ。

  その分しっかりとイメージして発動しなければならないが、訓練次第で威力も精度も実戦で使えるようになるだろう。

  今の段階では風魔法も空気の操作しかできないが、それでも水魔法を混ぜれば・・

  固定された的を中心として、風で渦を作る。

  そこへ刃物の様に薄く鋭くした氷片を大量に投げ込んだ。

  結果は予想通り。

  的を支えていた丸太には無数の傷と共に結構な数の氷片が突き刺さっている。

  だが・・

  「これは、安全を確保した上で広範囲に攻撃する時にしか使えそうにないな・・」

  風の渦で撒き散らされた氷片は、的だけでなく周囲にも無差別に飛び散っていた。

  高速で飛んできても自分の魔力で操作し、作り出したものだ。

  体に届く前に昇華させたので何の問題もない。

  「やはり生きた的でなければ、風魔法の有用性を確認するのは難しいな・・」

  解ってはいたが、風魔法は物理的な攻撃に向かない、か・・

  水竜を倒すのに有効かどうか、また迷宮に潜って確認するのが良いだろう。

  だが今は少しでも風魔法の練度を上げるとしよう。

  結局、青年はお昼前まで訓練場で風魔法を試行錯誤しながら試したのだった。

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