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【32】マジ羞恥でタヒねるわ。【R18】

  金属の擦れる音がして、首輪が僅かに引っ張られる。

  「ね、こっち向いて・・顔見せて」

  「う・・」

  強すぎる快感と、吐精による虚脱感で頭がよく回らないまま、言われた通りに身体を動かす。

  体重を移動させるだけでも、中の性具が仕事をこなして快感が生まれるので、ゆっくりとしか動けなかった。

  それでもなんとか身体を捻り、彼女の方へと顔を向ける。

  正面から向かい合い、ややぼんやりとした視界の中・・

  紐を手にした彼女の前髪が、ぱさりと落ちるのを目にした。

  瞬間、彼女はガタッ!と音を立てて、台の端に両手を付く。

  突然の動きと音に驚き、ぱちりと瞬きをした事で明瞭となった視界に飛び込んできたのは、何かを堪えるかのように肩を丸め、俯いた彼女。

  どうしたのだろう?と疑問を抱いた時、彼女の身体がびくりと跳ねた。

  次いで、びくっびくっと見てわかる程に腰が震える。

  前髪で顔半分が隠され表情は見えないが、上唇を噛みしめる口元は見えた。

  呆気に取られていると、はぁと息を吐き出した彼女は片手で前髪を掻き上げ、こちらに赤い顔を向ける。

  眼鏡の奥、黒茶の瞳と視線が絡んだ。

  見つめ合い、ぎちっと体を強張らせた彼女だが、すぐに力を抜いてへらりと笑ったかと思うと一言。

  「私もイっちゃった・・」

  ・・・・・は?

  まさか、彼女が身体を震わせていたのは絶頂を迎えていたから・・だと?

  そう理解した瞬間、ゴゥ!と滝のように凄まじい勢いで思考が流れ始める。

  生まれて初めて、女性が達する瞬間を目にした!

  好きな人[[rb:の > ・]]を、初めて!この目で!

  え、では唇を噛んでいたのはもしかして声を我慢して、いた?

  なんっだそれは可愛いっ!

  いや、というか何故我慢など?!

  どうして聞かせてくれなかったのかっ!

  次、次は何時目にすることが出来る?!

  その時は顔をしっかり見せて貰い、どうか声も聞かせて欲しいっ!!

  是が非でも!!

  目を見開いたまま、怒涛の勢いで願望に塗れた考えが巡る。

  だが、はく。と口を動かした後に出た言葉は「そ、そうか・・」となんとも場違いな一言だけで・・

  何かもう少し、こう、気が利いた台詞が言えなかったモノかと。

  青年はこの時の自分の言動に、そこそこ長い間苦しめられるのだった。

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  何かを言い淀むように口を動かした青年は、きゅっと眉根を寄せてぽつりと言った。

  「そ、そうか・・」

  そして、しん・・と空虚な時間が、互いの間に流れる。

  う、うぉぉぉぉ!

  あほっ!私のあほ~っ!

  な~にが「イっちゃった☆」だ!

  三十路が!キモイわっ!何言ってんだ!!

  うぎぎぎぎ、消えたいっ!いっそ死にたいっ!

  はっ!?

  そうだ!今こそ墓穴を掘って埋まる時ではっ?!

  誰かっ!ここにシャベルを持ていっ!!

  虚ろな目で寸劇を脳内上映していると、青年が小さく「くちっ!」とくしゃみをした。

  『くしゃみも可愛いなオイ』と変な思考が流れたのを切っ掛けに、意識が鮮明になって『はっ!?』と正気に返る。

  「あ、大丈夫?体冷えちゃったかな?」

  「ん・・いや、平気だ・・」

  「そう?・・でももう、お終いにしようか。風邪ひいたら大変だし」

  「そう・・・だな」

  緩慢に頷いた青年に「足りない?」と訊ねたが「いや。十分だ」と返って来たので本日はここまで。

  「じゃあソレ、抜かないとね。自分で出来る?」

  「・・・やってみる」

  そう言って、青年は股間に手を伸ばし性具の取っ手に指を掛ける。

  ・・いやいや。見えないとこに移動するとか・・

  『せんのかい』と思ったけど、ステキな絵面だったのでじっと見せてもらいました。

  ぬぽって抜ける際の反応が堪らんかったです。

  ゴチ!

  そんなこんなで時計を見れば12時過ぎ。

  ・・2時間くらいちちくり合っていたことになりますな。

  軽く運動したのとそう変わらんのだろうし。

  そりゃ汗も掻きますわ。

  んで、これ以上体を冷やす前にって事で急いで解散することに。

  片づけでクッションとタオル類を半ば無理やり回収。

  いや、あっちで洗うって言われたけど・・たぶんだけど、手洗いだから大変だよね?

  それに生地が傷むかもだし・・あと、寝具に[[rb:他人 > ひと]]ん家の匂いがつくの、苦手なんだよね。

  こっちは洗濯機に任せれば直ぐだしってことで諦めてもらいました。

  ・・え?恥ずかしい?

  いやいや、今更ですがな。

  エネ〇グラも同じく回収・・しようとしたけど「流石に無理」とマジ顔で言われたので話し合いの結果、買い取ってもらう事に。

  いや、別にあげても良かったんだけどね?

  「買い取らせてくれ」って頑なだったんだもの。

  なので対価として、あちらの高級お菓子で手を打ちました。

  金貨とか渡されてもね~。こっちで換金するの面倒だし。

  「それじゃ、また明日、かな?」

  「日付跨いでるから今日、だけどね」と笑いながら訊ねると、青年は「すまない、それなんだが・・」と謝って来た。

  「明日はこの鏡を詳しく調べる予定がある。魔術院に勤めている姉が検分する事になっている、のだが・・」

  「へぇ、お姉さんが」

  「あぁ。それで、姉と顔を合わせるかと思うのだが・・よい、だろうか?」

  ん~・・・

  や、全然、全く・・・ダイジョばないっ!

  鏡越しとはいえエロい事しまくった私がアド君の家族と顔を合わせて気まずくならない訳がねーわっ!

  舐めんなよ!こちとら引き籠りのコミュ障やぞ?!

  そのお姉さんとやらと目が合った瞬間にひっどい挙動不審っぷりを披露して不審者丸出しムーブをかます事間違いなしっ!

  流石にそれは恥っずい!

  よって、戦略的撤退を推奨!勝手に承認っ!

  秒で結論を出し、たった今決めた自分の予定を青年に切り出す。

  「そんじゃ、明日はこっちの鏡を壁にでも向けて私は外出でもするかな~」

  「そうか。分かった。姉にはそのように伝えておく」

  頼子の様子から、他人と顔を合わせるのを避けたいのだろうと感じ取った青年は特に質問を返すことなく頷いた。

  「そうしてそうして。検分とやらが終わったら、何か合図を頂戴な。元に戻すから」

  「分かった。では、ベルでも鳴らしてから声をかけよう」

  「あいよ~」

  明日は久々に遠出でもするか。

  でも目的もなくウロウロするのもな・・そうだ。

  「ねぇアド君。こっちの事で何か気になる物ってある?」

  「ん?そちらは私にとって未知の世界だからな。正直、何を目にしても疑問や興味は尽きないと思うが・・」

  「何故だ?」と首を傾げる青年に、腕を組みながら正直に話す。

  「いや~、急な外出だし。暇を持て余しそうだからさ。外で色々写真に収めて来ようかな?って思って。街の様子とか、こっちの世界の生き物と「それは是非頼む!」か・・」

  鏡の前に勢いよくしゃがみ込んだ青年は鼻息荒く、台詞に割り込む形で目をキラキラとさせて言った。

  若干苦笑しながらも、頼子は「おっけ。じゃあ色々撮って来るね」と返す。

  「そしたらまた明日ね。おやすみ~」

  「ああ。おやすみ」

  手を振り就寝前の挨拶を交わして、頼子はいつものように鏡台へとタオルを掛けた。

  そして直ぐに雑巾を用意すると、鏡台の脚と床の間に噛ませ始める。

  全部の脚に雑巾を挟み終えた頼子は、鏡台をずりずりと引きずり動かし180度回転させた。

  そうして鏡台を壁に向け終え「よし」と頷いて、ようやく風呂へと向かうのだった。

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  翌日、外出した頼子はスマホ片手に久々の街歩きを楽しんだ。

  家を出て、仕事に向かう人々を適当にパチリ。

  朝食の朝〇ックをパチリ。

  行き交う車や、路面電車を何となくパチリ。

  ビルの隙間の、狭い空を。

  電柱に止まる鳩や、烏や雀。散歩中の犬や塀の上でまったりしている猫を。

  ちょっと歩いて、公園の池の鯉や亀。

  暑い日差しの中で輝く噴水や、青々とした遊歩道の木々。

  芝生の上を飛ぶ蜻蛉と、その緑の縁を連なり歩く蟻。

  移動販売で買った昼食のロコモコ弁当や、喉が渇いて購入したかき氷。

  青年に見せるつもりで撮り始めると『これも、あれも面白がりそうだ』と、普段全く気にしないものまで目に付いて、どんどんスマホに収めていく。

  久々に外出した所為だろうか。

  不思議なくらいに、世界が変わって見えた気がする頼子だった。

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