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俺はちょっと面倒くさい奴に借金を作ってしまったようだ。
今、拉致されて、簀巻きにされている。
車が暫く走ったところで俺は降ろされ、何処かの部屋へと連行された。
目隠しや猿ぐつわ、手錠を外され、中にはニコニコした中年の女が座っていた。
「こんな店に飛ばされてくるとはね。まぁいい、ウチとしては買った分の値段だけ働いてくれればいいから」
「働くって何を」
「風俗店だよ。着ぐるみのね」
何を言ってるんだコイツは……と思ったけれど、目の前の籠には肌色の皮が塊のように置いてある。
「それを着て女になって、男相手に腰を振ればいい。真面目に働けば一年で許してやるよ。ヤブに肝臓腎臓取られるよりずっとマシだろ?」
男相手か……ある意味肝腎取られるより精神にキそうだ。
「因みに、肝臓、腎臓取ってそこから病院に駆け込んでも、あんまり長生き出来ないみたいだねぇ。取られる側の奴なんてヤクザが考える訳ないからね。死ぬのが嫌なら、ここで働くんだね」
そこまで脅されると首を縦に振るしかなかった。しかし、一年も男の相手か……肉体が死ぬか精神が死ぬかの選択のように思える。
悩みは深いが、この女が回答を急がせる。
「あのね、借金まみれの男の葛藤に付き合う時間はないんだよ。あと五分で着ないなら、後ろのあんちゃんに連れてって貰うよ」
そうも言われると、先延ばしに出来まい。
首を縦に振ってから早々に俺は服を脱ぎ始めた。
「パンツも全部だよ」
相手はオバサンとは言え、若干抵抗感がある。
「女に裸を見られるのが恥ずかしいクチか? 童貞か?」
本当に口が悪い。
全裸になって、シリコンのような、ただ、表面の肌触りのいいラバーに足を通す。
ゴムのようなモノのクセして、するりと足が入っていく。
足指まで表現されているので、奥の奥まで足を通す。
足首から脹ら脛、太股と寄っているゴムを引っ張って行く。
どーせ破れてもいいやといういい加減な気持ちで引っ張ったが、存外丈夫で質感も保っていた。
同じ要領で両腕を通し、肩まで上げ、顔の部分を張り付ける。
想像以上に収まりがいい。
部屋の片隅の鏡を見て整える。
アニメ系の顔をしていて、目穴がどこにあるのか謎だが、しっかりと見えている。
最後に背中のファスナーを閉じていく。
ミリミリと何かが締まっていく音がする。
「おい、大丈夫か? これ?」
抗議するが、ババアは笑ったままだ。
ファスナーを締め切ると、身体がバキバキと音を立て、激痛が走る。
「おい! 騙したな!」
言うのが早いか、気を失ってしまった。
気が付いたら小部屋にいた。
姿見と鏡台、ベッドと小さな箪笥、机があるだけの部屋である。
扉を叩く音がする。
「はい」
声が明らかに女の声、それも小さな子供の声になっている。
「準備できたかな?」
明るい顔の女が入ってきた。
立ち上がって寄ってみると、俺よりも身長が高い。
否、頭身から考えて、女がそんなにデカイ訳がないのだ。
姿見を見てみると、真っ裸の幼女が立っている。
「なんだこれ?」
相変わらずの幼女声で言うと、「新規入店の方ですよね?」と尋ねられる。
「う、うん」
そう答えるしかなかった。
それからこの女に着せ替え人形にさせられる。
何が似合うか考えて、あれでもないこれでもないとされる。
最終的にセーラー服とランドセルと言う出で立ちになった。
「ぐっとくるよ」
女は頭が軽そうである。
「じゃぁ、早速お客さんが来るからお仕事にいって!」
と手を引っ張られる。
俺は断固拒否しようとするが、女の方が力が強くて、ずりずりと引き摺られてしまう。
通路を通り、何度か扉を越えたところでベッドルームに通される。
自分の部屋とは大違いで調度品が割と上品だ。
ダブルベッドも紫檀で出来ていそうだ。
「もう少ししたらお客さん来るからね」
そうこうしていると、金持ちそうだが不細工でデブなおっさんが入ってきた。
「アイラちゃん、これから一緒に遊ぼうね?」
声色が気持悪くて吐きそうだ。
だが、これ、あのババアの言う通りの仕事だとしたら、拒否して逃げる訳にも行かない。
大体、着ぐるみを脱いで元の姿に戻れるとは思えない。
おっさんは俺を抱きしめて、ハァハァと息を荒げた。
そして身体の各部を愛撫する。それもかなり気持悪い手つきだ。
自分の心の中の何かが泣き出しそうになっている。幾ら何でも泣かないぞと思っていても、それが動きそうになるのだ。
おっさんのセクハラはエスカレートして、スカートの中にまで及んでくる。
完全に恐ろしくて身体が動かない。
普段の自分なら一発二発蹴りを入れるところなのに。
おっさんは整髪料と制汗剤の臭いがして噎せ返るようだ。
抱きしめて、股間をいじっていく。
指を突き立てられ、それが中に入っていく気持ち悪さはなんとも形容しがたい。
全てを我慢して口を噤む。
早く! 早く終わって欲しい!
少しずつ衣装が脱がされていく。
胸がはだけ、ショーツを下ろされ、スカートを捲られる。
おっさんがクンニをしていて、舌がただただ気持悪い。
怖くて怖くてお漏らしをしてしまった。
おっさんは、それを大事そうに舐めて、垂れる足から舐め上げていく。
そうして、俺はベッドへと連れられてきた。
ショーツは取り去られているから、あとは挿入するだけである。
「いくよ」
その優しい口調がもっと恐ろしく感じられる。
いきり立った肉棒が俺の股間に突き立てられる。
そういえば、俺のちんこはどうなったんだ?
全てが謎で、全てが怖かった。
おっさんはあっという間に挿入する。
「ひぎぃ」
余りの痛さに声が出る。
「やめて! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!」
叫んでしまったが、おっさんは気にせず続けた。
もう、それはどれほどの時間なのか分からない。
永遠と思える時間を過ごし、おっさんは射精した。
お腹の中がじんわりと温まる。
ああ、気持悪い。
「気持悪い。気持悪い。気持悪い。気持悪い。気持悪い。気持悪い。気持悪い」
永遠に呟いていられた。
おっさんは頭を撫でると、手を引っ張ってシャワーに連れていく。
身体をベタベタと触られて、一つも綺麗になったとは思えない。
おっさんは意気揚々と服を着替え、「またくるよ」と言って出て行った。
俺は全裸で部屋に佇む。
「こんな事なら、死ぬ方がマシだった」
それから、なんとかしてこの着ぐるみを脱ごうと努力した。
だが、ファスナーらしいモノは一つもない。
タイツ(?)を引っ張ると皮膚まで付いて来るし、どことなく感触も伝わっているように思えた。
絶望した。
向こう一年、こんな気持悪い思いをし続けなければならないのかと。
泣き出したい気持ちが湧いてくる。
否、もう泣き出していた。
泣くなんて事、ガキの頃以来だ……そのままシャワーを浴びた。
精液の付いた服なんて着てられないので、着替えがないか部屋を探索する。
箪笥に何着かの衣装と下着を発見した。
着替えていると、さっきの明るい女が現われた。
「立派だったねぇ。ちゃんとお仕事できたねぇ」
子供をあやすような声色だった。
「服は籠に入れて外に出すと回収されるからね。
次のお客さんも待っているから急いでね」
急ぐ必要なんてないだろうと思ったが、もう服は着ている。
女と入れ替わりで別のタイプのキモイおっさんが入ってきた。
また絶望の時間を味合わなければならないのか。
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