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[chapter:【閲覧注意】着ぐるみネタ習作2]
別に彼女の事を馬鹿にしたり、傷つけたりするつもりはないが、その子は、実にのろまで、頭の回転も鈍い子だった。
彼女の名前を仮にAさんとしよう。
Aさんの小柄で童顔だという容姿は、その手の趣味の人からすれば、「合法ロリ」と持てはやされそうだが、彼女の堅実な実家がその手の商売やパフォーマンスを許すはずはない。
親の口利きで、いくつもの会社に潜り込んだことがあるが、その暢気な性格と要領の悪さ、体力のなさは、受け入れ先の人間を遺憾なく苛立たせた。
見合いは幾つか経験したようだが、男性に感心を向ける意識が乏しかったし、彼女の親は、彼女の体型に注意を向ける男共の性的嗜好を喝破するものだから、この試みが成功することもなかった。
実家が堅実だとは言え、特段裕福であるわけではないから、無職のまま放置していても良い問題ではなかった。
僕は、その彼女の、遠い遠い親戚で、小さな慈善団体をやっていたから、「給料が安くてもいいなら」と言う理由で、彼女を受け容れる事となった。
僕の仕事は、アニマルセラピーの為の犬を飼育、派遣する仕事で、彼女の親は「犬相手なら大丈夫だろう」と言う腹だったに違いない。
とは言え、人間に愛情を注ぐ犬を育てるのは、体力と忍耐力を必要とする仕事だ。
気力は兎も角、体力のない彼女は、予想通り、あまり役に立たなかった。
ただ、毎日、犬と戯れるばかりで、団体の利益に寄与する面は殆ど見られなかったのだ。そんな人でも、縁故関係を理由に、給金を払い続けなければならないのは、団体の運営上、健全な状態ではない。
他の職員から見ても、彼女だけ優遇されているように見えるのは、愉快ではないだろう。
愉快ではないとはいえ、おっとりとした性格、明るい表情、嫌味に対して鈍感である事は、"友達"として見れば、決して悪いキャラクターではない。それ故、尚更、追い出す口実も見つからない。
そんな時、知り合いから、一つの縫いぐるみが届いた。
大人が一抱えできる大きさで、なるべくリアルに、しかし、かわいい表情になるように作られている。
アニマルセラピーは、(我々が充分に対策をしているとは言え)アレルギーがあったり、免疫力の極端に低い人々には使えない。
だから、それ用に素材を厳選して、安全な縫いぐるみを貸し出そうと考えていたのだ。
もう十年以上も前に、アザラシのロボットに癒し効果があっただ何だと言われている。将来的には、そういうのを作りたいという動機もある。
「代表、Aさんなら、中に入れそうですね」
全てのきっかけは、何気ない嫌味から始まった。
その真意は、この中に詰めて大人しくさせておけば、邪魔にならないというものであったが、「それじゃぁ、私が作ります!」と、別の空気の読めない職員が乗っかってしまった。
当初、冗談だと思っていたし、問題の縫いぐるみも、いついつに使うという予定もなかったので、そのまま、気に留めることなく日々は過ぎていった。
ある日、打ち合わせから帰ってくると、僕は、異様な光景を目にした。
問題の縫いぐるみの中に、Aさんが詰められようとしているところだったのだ。
身長が低いとはいえ、手足の長さは不自然なため、両腕、両足は折り曲げた状態で、固定されていた。
固定には、各二か所ずつベルトで締め上げられ、それに対して、服装はTシャツとショーツと言う、カルティックな風体で準備が続けられていた。
犬スーツは、腹部が股間から顎まで、開いていて、ファスナーで閉じるようになっている。ファスナーは上手く隠れるように、もう一枚分のファーで覆われるようになっていた。
「代表、手伝ってください」
と言われ、僕の立場はその景色の目撃者から、共犯者に引き上げられた。
僕はAさんに、「嫌なら、嫌と言ってくださいよ」と声をかけると、「大丈夫です」と、か細い声で返事をした。
「じゃあ、行きますよ」
と、返事も期待せずに口に出すと、彼女は静かに頷いた。
僕は、彼女の毛綿のような軽い体を持ち上げると、足元で二人の女性が、Aさんの束ねられた脚を、犬の脚の中に詰めていく。そこから、胴体、前脚とスーツを引っ張りつつ収めていく。
ファスナーを少しずつ上げつつ、スーツ内のポジションを整えていく。
首まで来たところで、もう一度「熱くないですか?」と尋ねるも、かぶりを僅かに振るだけだった。
顎は樹脂で出来ているので、頭を収めるには一苦労した。
彼女は苦悶の表情を作りながらも、体を収める努力をして、額が通り過ぎたところで、ずるっと飲み込まれていった。
目の前に現れたのは、不自然な部分がありながらも、やはり犬であった。
大型犬などは、うっかりしていると、中に人が入っているのではないか? と思えるほどの動きをするものだから、この不自然さは、むしろ、自然さでもあった。
尻尾や耳が動かないことや、瞬きしないこと、口に湿り気のないことを除けば、大体、犬のような動きをしていた。
「普段から、犬と遊んでいた甲斐がありましたね」
女性の職員は、嫌味のつもりなのだろう。見下す視線で、その犬を眺めていた。
犬は、実に楽しそうに周囲を歩き回り、実際の犬のように、職員達に"構って構って"のサインを出していた。
思いの外、不自然さのないこの状況は、周囲を和ませたが、中の人間のことを思うと、些か醒める。誰一人、腰を落とそうとも、声を掛けようともしなかった。
彼女は、普段から実にのろまであったり、機敏さや活発さというものを微塵も感じさせない人間であったから、犬になったときの動きのなめらかさは、不思議に見えた。
それ故、人間であるときの方が、演技であったのではないか? と、人々に連想させた。
勿論、その事は、誰も口にしなかったが、この可愛げな動物を目の前に、真顔でいられる理由と言えば、せいぜい、それぐらいしかなかったからだ。
そんな時こそ、都合良く電話が鳴るものだ――否、普通に仕事をしていれば、電話ぐらい幾らでも掛かってくる。
現実に引き戻された我々は、犬のことなどほったらかしにして、業務に戻り始めた。
僕は、最後まで立ち尽くしていたが、犬に靴の匂いを嗅がれ始めた所で、自分の席へと戻る事にした。
我々は、現実逃避から逃避したかったのだろう。
彼女の事など、特に気に掛けずに、そのままにしておいた。
それでも、犬は犬らしく、そして、人懐っこい犬らしく、邪魔臭い行動をし続ける。
果ては、余っていた首輪を付けられ、リードで繋がれる事となった。
ちらちらと犬の様子を覗えば、大人しく座っていたり、伏せていたりしている。犬らしい。
アニマルセラピーに使う犬の方は、きちんと世話もするし、構ってもあげる。
そして、当然、散歩にも出るのだ。
職員二人組が、準備を始めると、本物の犬たちは色めき立つ。
そして、その気配を察知したのか、偽物の方の犬の方が落ち着かない。
声こそ出さないが、しかし、何となく、面倒臭く感じてきた。
「よし、行くか」
僕が声を掛けて、リードを手にすると、犬は悦びのあまり抱きついてきた。
ただでさえ低い身長が、膝を折った高さで飛び込んでくるのだから、身長は1メートル弱となっていた。
それを下腹部で受け止めると、背中に突き抜ける劇震を感じた。
刹那、己の意識が飛ぶのを感じたが、すぐさま持ち直し、犬を散歩に連れ出すことに成功した。
外に出ると、犬は信じられない力強さで――中の彼女の普段の非力さでは、説明が付かないような力で、リードを引っ張り続けた。
遠目には実に犬であるが、近くで見れば、中に人らしきものが入っているのは一目瞭然であったから、僕は駐車場から外に出るのを躊躇っていた。
しかし、今、散歩をしようとする生き物は、お構いなしに、あちこちへ行こうとする。
それを必死に制しながら、敷地内を巡っていく。
勿論、事務所のある敷地の前は公道であり、通行人もいる。
彼らは、この奇異な光景を遠巻きに眺めつつ歩いて行く。
犬は、人が大好きであるらしく、そんな歩行者を見かけると、飛びかかろうと、より一層の強さで僕を引き摺ろうとするから恐ろしい。
外聞もあるからと言い聞かせつつ、事務所に戻ろうとするが、犬は人間の言葉など分からぬと言う素振りで、散歩の続行を志向した。
事務所に戻っても、彼女は脱ぐことを拒否した。
否、僕や周囲が幾ら脱ぐことを勧めても、素知らぬ顔で、無視し続けたのだ。
勤務時間は刻々と過ぎていく。
彼女の仕事は実質なかったようなものだし、この犬にかまけて、仕事が滞っても何一つ愉快なことはない。
そんな事情で、傾く日差しは、事務所にも流れ込み、それも次第に、長い影に化けていく。
皆が無視すると、犬は大人しくあったが、定時が過ぎ、従業員が一人、また一人と帰っていく。
それを犬は、喜々として見送る。尻尾は振れないから、腰を振って表現しようと努力していた。
僕自身は、それでも少しばかり仕事が残っていて、帰りがけまで好きなようにしてやろうと思っていた。
たった一人で、あの中に閉じこもり、水も飲まずに耐えるのに何の意味があるだろうか?
誰か一緒に遊んでくれる人だの、見てくれる子供だのがいるのなら兎も角、薄暗い事務所の一角に繋がれ、大人しく伏せている。
「もう、いい加減にやめませんか?」
この頃になると、可愛さ云々よりも、苛立ちが優先していた。
中身は、普段どうにも使えない人間が入っていて、そして、実際、今日は仕事なんてしてなくて、己の我が儘か何かのために、我々が付き合わされているのだという事実は、その表層の可愛さなんか、否、可愛さ故に、余計に気持ちを悪い方へと揺さぶる。
犬は再び僕の下半身に飛び込んできて、僕は再び、背筋を凍らせる衝撃を覚える。
パンツの中で迫り立つ男性器を感じながら、脳内では存外冷静でいられた。
事務所の灯りは、僕の席側の半分しか灯していなかったので、犬を留めていた一角には、暗みがじんわりと忍び寄っていた。
足下から伸びる闇は、スラックスの裾から精神に這い入って来るのが分かっていた。
憎たらしさがあっただろうか? 愛らしさを踏みにじりたい気持ちがあっただろうか? 全ては、何か、大胆にやってのけて、明日には何もなかった気持ちでいられるような気がしていた。
僕はそこで、犬を乱暴に払いのけた。
将来の犬好きである僕が、こんな行為に及ぶことの出来たのは、実際、中身がただの人間であったからだ。
彼女は、不意打ちの攻撃に、人間の声で悲鳴を上げたが、僕はそのまま乱暴な手つきで、尻尾を掴み上げた。
犬は、それに抗うように身体をひねったお陰で、ファスナーを隠すファーの一部がめくれ上がり、そして、僕の目には、尻尾側にもファスナーのスライダーがあるのが確認された。
犬を払いのけた瞬間から、僕は闇に魅入られていたに違いない。
ファスナーに手を掛け、ひと思いに手のひら大まで開いた。
彼女は、まるで裸体を見られたかの如く、一瞬だけ「嫌!」と叫び、届かない四肢をよじって抵抗した。
隠そうとするなら、余計に見たくなるし、覆おうとするなら、触りたくなるものだ。
僕は、そんな犬を力でねじ伏せて――その行為において、犬は実に人らしく、そして気をつけつつも、言葉にならない声を漏らし続けていた。
犬ではない彼女は、あっけなく僕に制圧され、僕は容赦なく、問題の穴に手を突っ込んだ。
犬の中にある人の部分。"中の女"の恥部を慰めていく。
彼女は初めのうち「やめ……て」と、くぐもった声で拒絶していたし、不自由な手足で、そこから逃れようとしていた。
しかし、僕は聞こえないふりをして、また逃げる犬を持ち上げては、手前に引き寄せるので、僕の手から逃れることは叶わなかった。
慰めると言っても、狭いところに手を突っ込んで、出鱈目に指を動かしていただけだから、乱暴で、とても下手だったと思う。
それでも、そんな状態を続けているうちに、彼女は観念したのか、それとも犬としての自覚が出てきたのか、「クーン」と犬の鳴き真似をしながら、自分の喘ぎ声を誤魔化す努力が覗われた。
彼女が犬として落ち着きを取り戻してきた頃には、中のショーツの構造が何となく掴めてきた。
近くのデスクから、ハサミを取り出すと、引き出した股間部分をばっさりと切り落とす。その音からか、衝撃からか、犬は瞬間身体を強張らせた。
さて、どうしたものか?
ここまできて、急に怖じ気づく自分がいる。考える自分がいる。
考える自分? 否、考えなんてあってもなかった。
犬は、魔の手から解放されて、目の前で突っ伏している。息が荒いのが分かる。
しかし、そんな惨めな光景は、僕にとってどうでもよかった。
自分の逸物を、この事務所の中で露出させることに関しての背徳感の方が、遙かに僕を冷静にさせるのだ。
しかし、目の前で、犬らしくへたっている彼女を見ると、未だに憎たらしい気持ちが残っているのが分かる。
どう、いたぶってやろうか? などと、努めて邪悪なことを考えてみるが、足蹴にしてみるとか何とかと言うのは、候補に挙がるも、どうも自分には出来そうな事には思えなかった。
そうやって立ち尽くしていると、犬は息切れから立ち直ったのか、実に人間らしい仕草で、正座の状態で僕と向き合った。
この「中に人がいる」と言うのがまざまざと見せつけられると、やはり、僕の中の暴力的な部分――恐らく幼少期に喧嘩をして以来の熱情が、泉のように湧き上がってくるのが分かる。
そこからの行動力は、僕にも信じられない勢いだったと思う。
椅子を引っ張り出してきて、犬を両手で抱きかかえると、逆向きに座らせる。
犬は、それで何をされるか悟ったようだ。背もたれにしがみついて、動かなくなった。
「覚悟があるのか」と、自分に言い聞かせて、ベルトを外し、自分側のファスナーを下す。
スラックスは、膝まで落ちたところで引っかかり、その不快さを感じながらも、僕は、迷いなく――否、迷ったのは迷ったが、犬と人との境界線までで、僕の得物を持って行きさえすれば、あとは思い切りよく差し込む事が出来た。
そこからは、童貞のような必死さで、一心不乱に腰を振り続けた。
相手の満足を考えないセックスがこんなに気楽なものだろうか? 全く、脳みそが空っぽになったまま、大きな毛玉の腰を掴みながら、その触り心地さえも感じずに、機械的半分、動物的半分に、ペニスの抜き差しを繰り返すばかりだ。
僕は、性的欲動はあっても、性的快感を求めずに、この不毛な行為を続けた。
しかし、そんな状態で続けることは、存外苦しいものだ。なんだか疲れてくる代わりに、快感が下半身に伝わってこない。
犬のほうは、存外感じているのか、それともお得意の演技なのか、犬の真似と人間の喘ぎ声が交互に出てきていた。
疲れた。
犬は、痙攣させるように震えながら、未だに背もたれにしがみついている。
その体を、力で引きはがすと、今度は、僕が椅子に座った。
そそり立つ竿を、犬の穴に差し込むと、力加減など考えずに、ひたすらしがみついていく。
犬は、飼い主の期待に応え、腰をグラインドさせていく。
僕は、疲労の体で、何もせずに奉仕させるままにしていた。
腰に手を回し、顔を見つめ、手の感触を楽しんでいく。
中の構造の細さ、ファーを伝わる温かみが、中の人間を感じさせた。ただ、裸の女性を抱くよりも、より肉質的な存在感が得られることに驚き、そこに気付いてからは、亀頭をこすられる感覚が否応もなしに現実的になった。
「行くぞ!」
淡白な一言に対して、犬は、不自由な四肢を動員して、僕を抱きしめ返した。
瞬間、意識が飛んだ。何が起こったのだろうか?
僕と犬の体が跳ねて、あとは、荒い吐息をお互いに聞かせあうばかりだ。
相手は、声にならない声、犬の鳴き声に真似切れない真似を続ける。
そこから暫くは、信じられない多幸感を持っていたと思う。
時間の感覚が引き伸ばされ、僕は、延々とその犬を抱きしめていた。
「もういいですか?」
Aさんの声が聞こえる。
構う事か。
いくつもの体液にまみれるがいい。この犬に顔をうずめて、深呼吸するだけでも、"その時"の感動が見えてくるようだ。
もはや犬である事をやめた故に、脱がす感動は先送りする。
そうしたいという願いを叶えてやったのだから。
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