1話

  俺の名前はトモイ、前世はオタクなサラリーマンだった男だ。車で跳ねられて死んだかと思ったら新しい世界へと転生していた、その異世界は剣と魔法のファンタジーの世界だった。

  のどかな村に生まれた俺は、そこそこの魔法と秀でた剣の才能に目覚めて村を飛び出した。ぶっちゃけて言うとせっかくの新たに転生した人生だ、村で平穏に過ごすよりも剣の腕一つで登り詰めたいと思ったからだ、街の冒険者ギルドに登録して優しい仲間達と出会い楽しい冒険をした。

  しかしそれも俺に言わせれば至って普通だった、もっとこう強敵とかが現れたり魔王を倒す勇者になったりとか、血湧き肉踊るような出来事は無いものか。

  そんなことを考えて冒険をしていたらあっという間に三十路になった、冒険仲間の一人の女性に言い寄られてなし崩し的に結婚した。特にそこまで好きではなかったが優しく気立ての良い妻だった、妻は冒険者を引退して娘も出来て人生こんなものかと思った。

  しかしそこに俺の心を揺さぶるような出来事が起きたのだ。

  ◇◇◇◇◇◇◇

  ギルドで奴隷にされた獣人達を大盗賊から救出というクエストがあったので受けた。

  大盗賊の頭が率いる盗賊の群れの数が多くて鬱陶しかったが、まとめて俺の剣で挽肉にしてやった。最後に大盗賊の頭と一騎打ちをして討伐に成功した、殆んどの獣人達は助ける事が出来たが助けられない獣人達も中には居た。

  檻の中で両親を殺されて泣きじゃくる銀髪の大きな獣人の娘が居た、あと少しで両親を助ける事が出来なかったようだ。

  檻を切り裂いて閉じ込められていた彼女を宥めると一緒に近くの森に両親の墓を建てた。

  彼女の名前はクオルと言う妖狐族の娘らしい、年齢はまだ15歳と聞いて驚いた。だって彼女の身体付きは成人女性そのものだったからだ、俺は未成年の彼女に抱いてはいけない感情を抑えた。

  こんな感情は妻にだって今まで出会った女達にだって抱かなかったのに、そんな俺の心を見抜いたかのように微笑んだ彼女は俺に主になって欲しいとお願いしてきた。

  奴隷ではなく家族としてなら迎え入れると言うと泣いて喜んでいた、街の自宅に着くまでずっと『旦那様』と呼んで側を離れなかった。

  自宅に着くと妻や娘に彼女の事を話すと快く受け入れてくれた、娘と年が近いので割りと早く皆と打ち解けれそうだった。

  彼女は家の余ってた和室に住まわせる事にした、これから義理の娘として大事にしてやらねば、だからもうあんな邪な感情は消さなくてはならない。

  そう思っていた夜更けにクオルが俺を部屋に呼んできた、まさか怖くて寝れないのだろうか……それとも。