この国には龍神がいる。銀の髪を持ち、金の目を持つ唯一の存在だ。
龍神は自分の民を守り、自分の国を栄えさせ、その生涯を相手のために使う。
龍神には番がいる。番は龍ではなく人間の娘で、人間界から龍の世界へとやってくる。その髪は白く、瞳は桃色だと決まっている。誰が龍神の番であるのかが一目でわかるように。
番は龍神にとってなくてはならない存在だ。番とでなければ子はできず、国の存続ができない。だから龍神は番を求める。番が誰であるかは、相手の顔を見ればわかるらしい。
そしてその瞬間から、龍神は番だけを見つめる。番の要望を叶え、常にそばにいて、何かあれば自分が真っ先に気づけるように常に神経を尖らせる。
番は龍神に愛を返す。それが必然であるかのように。欲は少なめに。でも愛はまっすぐに。
2人の間に生まれる龍は、人の形をしながら、背中に龍の鱗を少し覗かせて生まれてくる。金の目を宿している子供は、次の龍神となる証だ。成長するにつれて、龍神としての能力を発揮していく。
龍神が持つ能力として、代表的に2つある。1つは、空を通して感情を表すこと。龍神が嬉しければ空は晴れ、悲しければ空は曇って雨が降る。感情の激しさによって快晴になったり、嵐が起きたりする。人々は空を見て我らが主の様子を知ることができる。
もう1つは、龍神としての自覚だ。新たな龍神が国を統率するのは、父親である先代の龍神が死んだ時。死期が近づくにつれてその力は強くなり、父親が息を引き取る時を感じることができる。その瞬間から、王としての威厳が受け継がれるのだ。
他にも番が誰だかがわかる、番の妊娠がわかる、などとあるが、それは龍ならば誰もができることだ。龍神と龍との違いはほとんど変わらない。
龍神は国を統率し、人々を統べる王だ。また番を愛する1人の男でもある。
何か道を踏み外さない限り、この国は永遠と続いていくだろう。そもそも、道を踏み外した龍神は誰一人としていないので滅亡することはないだろうが。
この国には龍神が統べている。その傍らには生涯の妻である番がいて、そこから彼らの血を受け継いだ子どもが誕生していく。それが変わることはないのだ。